育児・介護者のフレックスタイム制について
弊社ではシフト制を導入しており、10種類ほどの勤務パターンに沿って勤務しています。
この度、フルタイム勤務の育児者より子供の送迎により、どの勤務パターンにも合致しなくなってしまったという相談がありました。
育児・介護者のみ適用できるフレックスタイム制の導入を考えていますが、勤務開始時間は自由に決められるが、1日の所定労働時間は固定という形での運用は可能でしょうか?
投稿日:2025/07/25 11:40 ID:QA-0155817
- さめまるさん
- 京都府/輸送機器・自動車(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
可能です。ただし、制度上は「フレックスタイム制」として適法に導入するには、一定のルール整備が必要です。
また、運用意図が「始業時刻だけを柔軟にしたい」のであれば、フレックス制ではなく「時差出勤」や「短時間正社員制度」等のほうが実務上は適している可能性もあります。
2.「フレックスタイム制」としての導入は可能か?
→フレックスタイム制とは?
労働基準法第32条の3に基づく制度で、以下の要件を満たす必要があります:
要件項目→内容
清算期間の設定→1か月以内(原則)/3か月以内(特例)で、総労働時間を定める
労使協定の締結→就業規則とは別に、労使協定(36協定とは別)を締結する必要あり
始業・終業時刻を労働者の決定に委ねる→自由に設定できることが原則(ただしコアタイム、フレキシブルタイムの設定は可能)
→ 「1日○時間は必ず働く」運用は可能?
制度上、日単位で「所定労働時間は固定」とすることは、厳密にはフレックス制の趣旨に反します。
しかしながら、実務では「1日実質的に7.5時間勤務が求められるが、始業時刻は柔軟でOK」といったフレキシブルタイムを広くとる形で対応可能です。
運用例
清算期間:1か月(例:月150時間)
コアタイム:なし または 10:00~15:00
フレキシブルタイム:7:00~20:00
育児者は毎日 9:30~18:00などで勤務
→ 事実上は「日7.5時間固定の柔軟始業制」に近いが、労働者が自主的に時間を決められる形にすれば問題なし。
3.シフト制の中でのフレックスタイム制導入は可能か?
→ 原則
同一事業場において、一部の従業員のみフレックスタイム制を導入することは可能です。
労使協定に「対象者は育児・介護者に限る」と明示すれば問題ありません。
→ 注意点:
勤務パターン(シフト)によっては、他従業員との公平性や業務運営に支障が出る可能性があるため、業務との整合性を十分に確認してください。
勤怠システムの対応も事前に要チェックです。
4. 他の制度との比較検討(柔軟性重視ならこちらも)
制度名→特徴→長所→短所
(1)フレックスタイム制→清算期間単位で労働時間を管理。時間配分は労働者に任せる→柔軟・法的根拠あり→運用が複雑(給与計算等)
(2)時差出勤制度→始業・終業時刻を固定パターンで複数用意→就業規則変更で導入可能。シフト制との相性もよい→柔軟性はフレックスよりやや劣る
(3)短時間正社員制度→所定労働時間自体を短縮→安定的な勤務パターン設計が可能→時間制約が強く柔軟さに欠ける
5.実務対応のヒント
まずは該当社員の希望勤務時間を確認
→ 毎日7.5時間勤務を希望しているのか?変動ありか?
柔軟な時差出勤制度で対応できないか検討
→「9:30〜18:00勤務」など複数のパターンを追加するだけで解決する場合あり
本格的なフレックスタイム制にするなら、労使協定と就業規則の整備が必要
フレックスタイム制導入時の労使協定内容(例)もご提供可能です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/26 14:56 ID:QA-0155841
相談者より
ご丁寧にご回答いただきありがとうございます。
対象者が、フルタイム勤務希望で、時短勤務制度利用に難色を示しているため、フレックス制度はどうかと検討をしておりました。
御教示頂きました制度案の中で時差出勤制度に興味を持っております。
こちらは下記どちらかを従業員に選択してもらう認識でよろしいでしょうか?
①時間を何パターンか設定し、その中から選んでもらう
②就業開始時間を9:00~18:00と定めた場合、就業開始時間を前後1時間(8:00~10:00)の中でその日ごとに自由に決めて出勤可能
投稿日:2025/07/28 09:53 ID:QA-0155862大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
フレックスタイム制の前提
以下、回答させていただきます。
(1)フレックスタイム制は、労働者の自由な時間管理が保障されることを前提として、各日、各週の労働時間をあらかじめ特定することなく、日又は週の法定時間を超えて労働させることを認めているものです。
(2)このため、始業及び終業の時刻の両方を労働者の決定に委ねることが要件になっています。労働時間を指定するような業務命令をすることもできません。
(3)こうしたことから、「勤務開始時間は自由に決められるが、1日の所定労働時間は固定という形での運用」は、フレックスタイム制に馴染まないと考えられます。
投稿日:2025/07/26 16:00 ID:QA-0155845
相談者より
ご回答いただきありがとうございました。
投稿日:2025/07/30 09:14 ID:QA-0156012大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご相談内容について回答いたします
育児・介護者のみに適用させる形でフレックスタイム制を導入することはできますが、従業員に勤務開始時間だけを自由に決めさせて、1日の所定労働時間は固定するという形での運用はできません。
フレックスタイム制は特定の個人を対象として適用させることが可能です。
個別に適用の有無を決める場合には、個々の雇用契約書や労働条件通知書の中で就労形態をフレックスタイム制とすることになります。
フレックスタイム制とは、一定期間の総労働時間を定めたうえで、始業時刻と終業時刻の両方の決定を従業員に委ねる制度です。始業時刻のみ、または終業時刻のみの、どちらかだけの決定を従業員に委ねる形での導入はできません。
また、フレックスタイム制においては、労働者の総労働時間を定める期間のことを「清算期間」といいますが、この「清算期間」を単位として従業員の所定労働時間を決めることになりますので、1日単位で所定労働時間を決めて固定した運用をすることはできません。
なお、フレックスタイム制の導入にあたりましては、(1) 就業規則等への規定 (2) 労使協定で所定の事項を定めること、の2点が要件となります。
投稿日:2025/07/26 16:43 ID:QA-0155846
相談者より
ご回答いただきありがとうございました。
投稿日:2025/07/30 09:14 ID:QA-0156013大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
フレックスタイム制は、清算期間内で定められた総労働時間の範囲内で、
日々の始業・終業時刻や労働時間を労働者が自主的に決定できる制度です。
よって、本人希望があれば運用も可能ですが、会社側が1日の所定労働時間を
指定固定することはフレックスタイム制の主旨に反しますので出来ません。
なお、フレキシブルタイムとコアタイムの組み合わせにより、一定は、
勤務時間をコントロールすることは可能です。
ですが、1日の所定労働時間の固定までは出来ませんので、固定する場合は、
フレックスタイム制ではなく、時差出勤制度の導入をお勧めいたします。
投稿日:2025/07/28 07:51 ID:QA-0155853
相談者より
ご回答いただきありがとうございました。
投稿日:2025/07/30 09:15 ID:QA-0156014大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、フレックスタイム制で1日の所定労働時間は成立しません。
従いまして、当事案につきましても導入は不可ですが、敢えてフレックス制でなくとも、個別に相談の上特例として認められる事で対応が可能です。
投稿日:2025/07/28 09:15 ID:QA-0155856
相談者より
ご回答いただきありがとうございました。
投稿日:2025/07/30 09:15 ID:QA-0156015大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
2回目のご質問にご回答申し上げます。
再度のご質問をいただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
考え方等につきましては、ご説明申し上げました通りです。
「下記どちらかを従業員に選択してもらう認識でよろしいでしょうか?
(1)時間を何パターンか設定し、その中から選んでもらう
(2)就業開始時間を9:00~18:00と定めた場合、就業開始時間を前後1時間(8:00~10:00)の中でその日ごとに自由に決めて出勤可能」
につきましては、最終的には所轄の労働基準監督署の判断となります。
つきましては、本ご質問は
所轄の労働基準監督署の監督官にご確認されることをお勧め申し上げます。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/28 11:55 ID:QA-0155872
相談者より
ご回答いただきありがとうございました。
社内にて検討の上、進めていきたいと思います。
投稿日:2025/07/30 09:19 ID:QA-0156018大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
フレックスタイム制では、
1日の所定労働時間は固定という形での運用はできません。
1日、1週間ではなく、
コアタイム以外は、1か月の総労働時間で運用するのが、
フレックスタイム制だからです。
投稿日:2025/07/28 17:16 ID:QA-0155896
相談者より
ご回答いただきありがとうございました。
投稿日:2025/07/30 09:15 ID:QA-0156016大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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フレックスタイム制における就業規則の例です。コアタイムあり・なしの二例をそろえています。