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HRペディア 掲載日:2018/09/28

【ヨミ】コヨウ 雇用

人材を採用した後に配置、育成、処遇などを行い、その後、退職に至るまでの一連の管理プロセスが「雇用」です。雇用は法律に関わる事項も多く、長期間にわたって従業員に関わることになるため、求められる業務も多岐に及びます。

1. 雇用とは

雇用とは

民法第623条で雇用は、「当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる」と定められています。この場合、当事者間の合意があれば、口頭でも成立します。しかし、労働基準法第15条第1項に「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と規定しており、一般的に「雇用契約」を結ぶ際は、書面(雇用契約書)において締結します。

労働者を雇用した際、企業には健康診断を行うことが義務付けられています(労働安全衛生規則第43条)。また、賃金については、「最低賃金法」に基づき国が最低限度を定め、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。

請負、委任、準委任との違い

雇用契約と異なる契約形態として業務委託契約があります。さらに、業務委託契約は請負契約と委任・準委任契約に分類されます。それぞれの違いを見ていきましょう。

請負契約とは

請負は、民法において下記の通り条文化されています。

(請負)
第632条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

引用:民法|e-Gov法令検索

つまり請負契約とは、企業がある一定の業務に関し、定められた期限内に成果物を納品することで報酬を支払うことを約束する契約です。成果物が完成するまでの工程や作業の方法などは、全て請負側の指揮命令の下行います。

委任契約とは

委任は、民法において下記の通り条文化されています。

(委任)
第643条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(受任者の注意義務)
第644条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

引用:民法|e-Gov法令検索

準委任契約とは

準委任は民法において下記の通り条文化されています。

(準委任)
第656条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

引用:民法|e-Gov法令検索

委任契約とは、法律行為に関する業務を定められた期間遂行することで、報酬を支払うことを約束する契約です。直接の雇用契約は結ばないものの、法律に関して特定の業務を依頼する際に締結します。

法律行為以外の業務遂行に関して依頼する際は、準委任契約になります。準委任契約は2020年4月の民法改正によって、大きく二つの型に分類されています。

1. 履行割合型
依頼した行為において、労働時間や工数などに応じて報酬が支払われる契約です。
履行割合型は、該当事務の履行ができなくなった場合や契約途中で終了した場合、受任者側の責に関係なく、すでに実施された内容の割合に応じて報酬を請求できます(民法第648条3項)。
2. 成果完成型
依頼した行為が完了した場合に報酬が支払われる契約です。
完成義務は負いませんが、成果によって報酬が支払われる点では請負契約に共通します。成果完成型は、成果が可分なもの(履行の割合がわかる)である場合、委任者の責に帰するものでない理由で事務が履行できなくなったり契約が終了したりしたとき、委任者が受ける利益の割合に応じた報酬を請求することができます(民法648条の2第2項)。

それぞれの違いを分ける基準について

請負契約、委任契約、準委任契約を分ける主な判断基準の違いは、以下の通りです。

雇用契約 請負契約 委任契約 準委任契約
業務の目的 労働力の提供 仕事の完成 仕事(行為)の実行(法律に関する事務処理) 仕事(行為)の実行(法律以外の事務処理)
報酬となる対象 労働力 成果物 業務の遂行 業務の遂行
完成責任 なし あり なし なし
発注者側の
指揮命令権
直接雇用のため雇用主の指示に従う なし なし なし
契約不適合責任(2020年4月民法改正前:瑕疵担保責任) なし あり なし なし
責任 契約不適合責任 善管注意義務 善管注意義務

請負契約の場合、その業務の目的は「仕事の完成」です。定められた期限内に成果物を完成させ、納品することによって報酬が支払われます(民法632条)。一方の委任・準委任契約については仕事の実行が目的であり、定められた期間に業務を遂行すること自体が報酬の対象となります。

委任・準委任契約では、想定通りに完成しなくても、業務遂行自体が適切に行われれば対価を請求できます(民法648条2項)。万一、受任者側の責任ではない事情で業務遂行途中に契約が終了した場合、すでに行われた業務の割合分について報酬を請求することも可能です(民法648条3項)。

また、委任と準委任の違いについては、業務の内容が法律行為か、それ以外かによって名称が区別されています。例えば弁護士に訴訟代理人などの依頼をする場合には委任契約、コンサルタントやシステム会社などへ法律行為以外の依頼をする場合は準委任契約に該当します。

指揮命令権については、請負、委任、準委任とも発注者側にはありません。これは雇用契約との大きな違いです。

契約不適合責任については、請負契約の場合、万が一成果物の種類、品質または数量について契約内容に適合せず、帰責事由がある場合、受任者は債務不履行に基づく損害賠償請求を負うことになります(民法564条)。

また、不足分や代替物の引き渡し請求(履行の追完請求)や代金減額請求、契約の解除も認められます(民法562、563条)。

一方の委任・準委任契約の場合、受任者に契約不適合責任はありません。ただし、民法644条において「善管注意義務(善良な管理者の注意の義務)」が定められています。業務遂行に当たって期待されるような行為ではなかった場合、損害賠償責任や契約解除といった問題に発展することもあります。

2. 雇用形態の種類

用形態の種類

近年、雇用形態の多様化が進んだ結果、長期雇用を前提とした正社員や限定正社員の他に、有期雇用の契約社員やパートタイム労働者が増えています。

雇用形態の種類一覧
名称 内容 雇用契約期間の定め
正社員 会社の基幹的な業務を担うため、期間を定めずに雇用される者 なし
限定正社員
(短時間正社員)
正社員に比べて、勤務地や業務が限定されていて、所定労働時間が短い者 なし
契約社員 高度な専門知識を持ち(増産などに対応するため)、期間を定めて雇用される者 あり(*)
パートタイム労働者
(アルバイトなど)
正社員を補助したり、臨時に発生する業務に対応したりするため、期間を定めて雇用される者 あり(*)
派遣労働者 派遣元企業との間で結んだ労働契約に基づき、派遣先企業の指揮命令を受けて就労する者 ※同じ派遣先・同部署で働ける上限期間は原則3年
(*)有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、労働者の申し込みがあれば、無期契約に転換しなければならない(労働契約法第18条)

正社員

正社員とは、会社の基幹的な業務を担うため、期間を定めずに雇用される者のことを指します。

正社員として雇用を開始する際には多くの場合、一定の「試用期間」を設けます。日本では、正社員として雇用された場合、期間を定めない「無期雇用」が一般的です。雇い入れる側は長期間にわたって雇用を継続することになり、法律的な関係で言えば「解雇が不自由」となります。安易に解雇することができないため、雇い入れる側は自社に合った人材なのか、将来的にミスマッチを起こさないか、不安がつきまといます。

適性判定のための試用期間

そこで、本人の適性を判定するための期間として設けられたのが試用期間です。試用期間については、法律で規定されておらず、契約(就業規則)によって決められます。通常は3~6ヵ月が多く、最長で1年が限度と一般的には解釈されています。

契約社員

契約社員は、企業との契約によって定められた期間や業務に限定して就く社員のこと。契約満了となれば、退職することになります。激しい経営環境下にあって、長期雇用を前提とした正社員だけでは対応するのが難しいこともあり、近年は契約社員の採用が増加しています。

従来は、正社員より低い労働条件で雇用されることが多く、不況時には比較的容易に調整可能な労働力として認識されていました。しかし最近では、卓越した専門知識や技術力・スキル・経験などを有していて、高い報酬を得る人も多くいます。

また、正社員の採用難が続く中、営業や人事・経理・財務などの職種で、契約社員の求人が増えています。このような場合、フリーターからの応募も少なくありません。そのため、履歴書はもちろん、面接などでこれまでの職歴を十分確認した上で採用することが重要です。さらに、副業や複数の企業で働くダブルワークの手段として契約社員を選択する人も増えるなど、近年、契約社員のあり方も多様化しています。

契約社員の雇用管理

雇用管理について見ると、年次有給休暇は、6ヵ月以上継続して就業し、全労働日の8割以上を出勤すれば、正社員と同じ条件で与えられます。また、育休や産休についても、一定の範囲(1年以上就業など)にあれば取得することができます。

ただ、ボーナス(賞与)の支給に関しては、契約内容によって異なります。社会保険(健康保険、厚生年金保険)、雇用保険(失業保険)などは、所定の要件を満たせば加入することになり、健康保険証が支給されます。なお、解約に関しては、30日前までに解雇を予告するか、予告しない場合には解雇予告手当の支払いが必要です。

パートタイム労働者

パートタイム労働者は正社員以外の雇用形態の一つで、短期間・短時間労働を基本とし、パートタイマーとも呼ばれます。ただし、実質的に正社員と同様の仕事を担うフルタイムのパートタイム労働者は少なくなく、賃金などの待遇が働きや貢献に見合っていなかったり、正社員になることが難しかったりするのが実状です。

「パートタイム・有期雇用労働法」は、こうした問題を解消するために、パートタイム労働者の権利保護や雇用の基本を定めた法律です。アルバイトとの違いは特に定義されておらず、学生が学業の合間に行うのがアルバイト、主婦の短時間労働がパートタイム、と使い分けられることが多いようです。

雇用管理について見ると、年次有給休暇は労働基準法の規定により、6ヵ月以上勤務し、かつ所定労働日数の8割以上出勤した場合に与えなければなりません。また、休憩時間は、1日の労働時間が6時間を超えるときは45分以上、8時間を超えるときは1時間以上の休憩を与えることが義務付けられています。なお6時間以下なら、与えなくても差し支えはありません。

限定正社員

限定正社員に雇用期間の定めはありませんが、職種、勤務地、労働時間などに限定のある点において、正社員と違いがあります。労働力人口の減少が進む中、多様な人材が労働市場に参入する仕組みが急務となっており、人材活用の面で柔軟性を持ち、雇用期間に定めがない安定的な働き方として、限定正社員に注目が集まっています。

かつては「コース別人事管理」「複線型人事管理」という形で、限定正社員を導入する企業が存在しました。それが「改正労働契約法」によって「無期転換ルール」が義務付けされ、無期雇用の受け皿として限定正社員の導入企業が増えていったという経緯があります。

ところで、限定正社員の給与水準、昇進・昇格の範囲などは、パートタイム労働者などよりはアップしていますが、正社員との間には依然として差が生じています。合理的な差であったとしても、限定正社員から不平・不満が生じる可能性もありますが、そのような場合には、処遇差の改善に向けた取り組みを進める必要があります。

例えば差を設ける場合にしても、「転居・転勤の範囲に応じた給与水準とする」「短時間勤務では正社員と同一の給与とした上で、時間比例とする」「労使間の話し合いによって、正社員と限定正社員間で異なる給与を設定する」といったように、限定正社員が納得できる合理的な水準を就業規則に明確に定めるなどの工夫が求められます。ちなみに、厚生労働省の「『多様な形態による正社員』に関する研究会報告書」の結果を見ると、限定正社員の賃金を正社員の8~9割とする企業が多いようです。

限定正社員で問題となるのが、業務内容や勤務地などが限定されるため、業務がなくなったり勤務している事業所が閉鎖になったりしたときに解雇できるのか、ということです。しかし、解雇は正社員、限定正社員ともに、客観的に納得できる理由が必要不可欠です。つまり、「整理解雇」が有効となるための「人員整理の必要性」「解雇回避努力義務の履行」「解雇対象者選定の合理性」「解雇手続きの妥当性」の4要素から判断されることになり、会社側の都合で解雇はできません。業務内容消失・事業所閉鎖のような場合には、「解雇回避努力義務の履行」が特に重要です。

派遣労働者

派遣労働者は、「派遣法(正しくは労働者派遣法)」に基づく雇用形態の一つ。人材派遣会社(派遣元)に雇用され、派遣元の人材派遣会社から派遣先となる会社に派遣され、派遣先の指揮命令下で働く労働者のことです。身分は人材派遣会社の社員なので、雇用関係は人材派遣会社との間に発生し、派遣先との間には存在しません。派遣労働者の管理責任について、派遣先企業が担うのは「労働時間、休憩」「時間外、休日労働」であり、それ以外の「賃金の支払い」「年次有給休暇の付与」「産前産後休業の付与」「災害補償」「健康診断の実施」などは、派遣元である人材派遣会社が担います。

人材派遣会社が派遣労働者と締結する「雇用契約書」には、労働基準法で定められた労働条件明示事項と、労働者派遣法で定められた明示事項を定めなくてはなりません。また、派遣先企業と締結する契約書は、「労働者派遣に関する基本契約書」と「派遣を行うごとに締結する個別の派遣契約書」を二重に締結するのが一般的です。

さらに、人材派遣会社は労働者派遣をするとき、派遣労働者の氏名、派遣労働者が期間を定めないで雇用する労働者であるか否かの別、派遣労働者の社会保険・労働保険への加入状況などを、派遣先企業に「通知書」として提出しなくてはなりません。

派遣労働者を活用するメリットは、まず派遣先企業にとって「雇用責任」がないこと。さらに、採用業務における「募集から配置」に至るまでの手間が省けること。その結果、「総額人件費」を軽減できるなど、人事・労務管理の負荷が大きく削減できる点が挙げられます。

一方、デメリットとしては、「直接雇用でないため、派遣先企業に対する忠誠心が希薄になりがちである」「法律上、契約にない仕事には原則として対応できない」「正社員とのコミュニケーションに困難な場合がある」「社内機密の漏えいの恐れがある」などが挙げられます。

そうした中、2015年9月の「改正労働者派遣法」により、これまでの派遣労働者の仕組みが大きく変化しました。全ての労働者派遣事業は新たな許可基準に基づく許可制となり、派遣業界の健全化が図られると同時に、派遣労働者の雇用安定とキャリア形成支援がうたわれることになったのです。派遣会社には、派遣労働者に対する計画的な教育訓練や、キャリアコンサルティングの相談窓口の設置が義務付けられるようになりました。これまで、正社員と比べて職業能力形成の仕組みづくりが問題となっていた派遣労働者に対して、キャリアアップ支援を初めて義務化した点が、大きな注目を集めています。

3. 雇用の諸制度

雇用の諸制度

雇用管理

雇用管理とは、入り口である採用から配置・配属、異動、評価・処遇、そして出口である退職に至るまで、従業員を雇用する間に関わる一連の労務管理活動のこと。また、従業員を採用・活用する際、その能力・適性を判断するための検査や面接選考、教育・研修の行い方やノウハウなども、広く雇用管理の中に含まれます。雇用管理において、責任者となるのは各現場・事業所の管理職ですが、雇用管理を円滑に進めていく上で、人事部・総務部の果たす役割は大変大きくなっています。

こうした背景から、厚生労働省では雇用管理制度(評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度)の導入などを通じて、従業員の離職率低下に取り組む企業に対し、助成を行っています。雇用管理の改善を推進することで、人材の定着・確保と魅力ある職場の創出を目標としているのです。

勤務制度

勤務制度とは、従業員の勤務・雇用の形態などについて定めた制度のことです。勤務形態については、「複線型人事制度」「コース別雇用管理」「限定勤務地制度」など、多様な社員の勤務形態を促すものから、「再雇用制度」「再入社(出戻り社員)制度」「嘱託社員制度」など、一度辞めた社員を再活用するものもあります。

一方、勤務形態については、「正社員・非正社員」「契約社員」「パート・アルバイト」といった雇用関係にあるものから、「派遣労働者」「業務委託・インディペンデントコントラクター(IC)」「アウトソーシング」のように、雇用関係はありませんが、企業にとって重要な戦力を担うものがあります。さらに最近では、正社員でも短時間勤務の「限定正社員」が増えています。働き方改革が求められている中、また、柔軟な事業経営を推進していくために、企業の勤務制度が多様化していることがわかります。

さまざまな勤務制度が当たり前の社会となっていく一方で、ワーク・ライフ・バランスや健康経営の観点から、退社から出社まで一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」が求められています。勤務間インターバル制度は、働き方の見直しを進める際、他の勤務制度と併せて実施することで、より一層の効果が上がると考えられます。

解雇

解雇は、会社側が一方的に従業員との雇用関係を終了させることをいいます。しかし、会社側の判断で「解雇通知書」を作成すれば自由に解雇できる、ということではありません。労働契約法第16条において、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められているからです。解雇は、その事由によって、以下の種類に分類されます。

【解雇の種類】

  • 普通解雇:就業規則に定める事項に該当したことで行われる解雇
  • 懲戒解雇:従業員が問題を起こし、その処分として行われる解雇
  • 整理解雇:業績不振に伴う人員削減のために行われる解雇

また労働基準法では、解雇が安易に行われないよう規制が強く敷かれ、以下のルールを定めています。

解雇のルール

解雇制限(労働基準法第19条)

業務上の負傷・疾病による休業期間およびその後30日間、産前産後の休業期間およびその後30日間は、その従業員を解雇することはできない。

解雇予告(労働基準法第20条)

会社は、解雇する従業員に対して、「解雇予告通知書」をもって少なくとも30日前に解雇予告を通知するか、30日分以上の平均賃金を計算し、「解雇予告手当」として支払わなければならない。ただし、即日解雇のできる「解雇予告除外認定」(適用条件:窃盗・横領・障害などの行為が確認されたときなど)がなされた場合、一般的な解雇の手順に捉われることはない。

解雇の理由に関する証明書の交付(労働基準法第22条2項)

従業員が、解雇理由について証明書(解雇理由証明書)を請求した場合においては、会社は遅滞なくこれを交付しなければならない。

就業規則や労働組合との話し合いの下、退職金(退職手当)を支給する規定があれば、企業側は従業員に支払う義務が生じます。ただ解雇された場合では、解雇の種類によって支払いの有無が変わります。特に法律による規定はありませんが、これまでの判例を見ると、懲戒解雇では対応が異なります(普通解雇・整理解雇は、基本的に支払いが発生)。懲戒解雇の場合、具体的内容を十分に考慮した上で、個別に判断するようになっています。

また、失業保険は、退職が自己都合か会社都合か、解雇されたかなどによって受け取りの条件が変わってきます。解雇による退職の場合、失業手当の支給日数は90~330日までで、年齢や被保険者期間などによって細かく定められています。いずれにしても、解雇の手続きは従業員との間で、できる限りトラブルなくスムーズに進める必要があります。

退職

退職とは、会社と従業員との間の労働契約が終了することを意味し、「会社都合退職」と「自己都合退職」に分けられます。

会社都合退職は、就業規則や労働契約に定められる事項に基づいて行われ、具体的には「定年年齢に達したことによる退職」「契約期間満了に伴う退職」「従業員が死亡したことによる退職」「休職期間の満了に伴う退職」などがあります。

これに対して自己都合退職は、従業員の個人的な事情による退職であり、従業員が労働契約解除の意思を会社に示さなければなりません。従業員による退職の意思表示は、文書による「退職届(退職願)」の提出を通して行われるのが一般的です。自己都合退職の場合、優秀な人材に対して、会社として引き止めを行うことが少なくありません。しかし、本人としてやむを得ない事情・理由もあるので、あまり深く退職交渉をしないことが賢明です。

なお、期間の定めのない労働契約の場合、民法627条により退職届の提出後、14日間を経過すれば退職が有効となります。ただし、仕事の引き継ぎなどを行うため、就業規則で「退職予定日の1ヵ月前に退職届を提出する」などといったルールが定められている場合には、それに従わなくてはなりません。

退職届は上司を経由して、人事部に提出されます。人事部は退職届を受理した後、以下のような流れで退職の手続きを進めます。

人事部が行う退職の手続き
(1)退職者・上司への確認、退職日の確定
退職者に退職届を受理したことを伝え、退職の意思、退職理由、退職予定日を確認する。必要に応じて本人と面接を行い、退職理由を聞く。退職者の上司にも連絡し、人員の補充必要性などを確認する。退職日が確定したら、退職者に退職日までに提出する書類などを伝える。なお、退職証明書は会社が対象の従業員が退職したことを証明するもので、ハローワークなど公的機関に提出するものではない。そのため、退職者から希望があった場合に発行するという姿勢で特に問題ない。
(2)給与の計算
退職日までの給与を計算し、振り込みの手続きを行う。社会保険料は前月分の社会保険料を当月分の給与から控除するケースが多いが、これだと退職日を月末とした場合、最後に支払う給与から前月分と今月分の2ヵ月分を控除することになるので、注意が必要である。
(3)退職金(退職手当)の計算
退職金(退職手当)制度があれば、制度に基づき金額を計算し、指定口座への振り込み手続きを行う。退職金の計算に当たっては、退職者に「退職所得の受給に関する申告書」を渡し、必要事項を記入してもらい回収する。この処理を行わないと、退職者本人が後日、確定申告をすることが必要となる。
(4)所得税・住民税の計算
最後の給与を支給した後、源泉徴収票を発行して退職者に渡す。住民税は、本人が市区町村に納付するか、会社が給与や退職金から控除して納付するかのいずれかとなる。
(5)雇用保険に関する手続き
会社は「雇用保険被保険者資格喪失届」を作成し、退職の翌日から10日以内に事業所を管轄するハローワークに提出する。その際、「雇用保険被保険者離職証明書」を添付するが、退職者が「離職票」の交付を希望しない場合には、省略することができる。
(6)社会保険(健康保険・厚生年金保険)に関する手続き
退職者から健康保険被保険者証(保険証)を回収し、退職日から5日以内に年金事務所に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を提出する。なお、退職した後、しばらく次の会社に入らないような場合、再就職までの期間は、本人が国民年金保険料を納付する必要がある。また、健康保険も国民健康保険に切り替える必要がある。
(7)貸与物品の回収・整理
社員証、入館証、作業服、机・キャビネットの鍵、携帯電話など、会社からの貸与物品を回収する。また、文具類や書類、パソコンデータなどを退職日までの期間内に整理させる。

定年・再雇用・勤務延長

定年とは、ある一定の年齢に達したら仕事を退職する、と制度で定められていること。制度としての定年制は、就業規則において「満65歳に達した日の翌日に退職する」など一定の年齢を定め、該当する年齢に達したら自動的に労働契約が終了(退職)するという仕組みです。

そうした中、労働力不足を補う観点から、高年齢者の活用が求められています。2012年に改正された「高年齢者雇用安定法」により、高年齢者が年金支給開始年齢まで働き続けることができるよう、65歳未満での定年退職を定めている会社では、2013年4月1日から「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」もしくは「定年の定めの廃止」のいずれかの措置を講じなくてはならないことになりました。

「継続雇用制度」とは、現在雇用している高年齢者を本人の希望によって、定年後も引き続き雇用することを義務化する制度です。継続雇用制度には、定年でいったん退職し新たな雇用契約を結ぶ「再雇用制度」、定年退職せずに引き続き雇用する「勤務延長制度」の2種類があります。なお、再雇用の場合、いったん定年退職し、「再雇用契約書」をもって新たに労働契約を締結するため、退職前と比べて賃金や手当の支給水準が下がることが少なくありません。

全員参加型社会が求められている昨今、厚生労働省では、意欲と能力がある限り、年齢に関わりなく働くことのできる「生涯現役社会」を実現するため、「65歳超雇用推進助成金」を設けました。65歳以上への定年引き上げや高年齢者の雇用環境の整備、高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う企業に対して、助成を行っています。

ただし、60歳や65歳を過ぎて働く場合、一定以上の収入を得ると年金の一部または全部が支給停止になるため、注意が必要です。また、社会保険については、同じ会社で継続雇用される場合や別の会社に再就職する場合は問題ありませんが、それ以外の場合は国民健康保険の被保険者になるなど、別の選択肢があることも注意しなければなりません。

なお、定年退職した後でも、「定年退職前に雇用保険(失業保険)に最低6ヵ月以上加入している」「健康上問題なくすぐに働ける能力がある」など、再就職に向けて一定の受給資格を有していれば、失業手当を受給できます。

アウトプレースメント

アウトプレースメントとは、再就職支援とも呼ばれ、職業紹介事業会社が行う再就職・再雇用のための支援サービスのことです。通常、企業の人員削減(レイオフ)の一環で実施され、企業は自社の従業員の中から希望者を選び、再就職活動のための支援を職業紹介事業会社へと依頼します。職業紹介事業会社は希望者に対して、面接の指導やスキルアップ、カウンセリングなどのコンサルティングを行い、再就職先をあっせんします。アウトプレースメントを外部に委託する際は、人員削減を実施する企業がアウトプレースメントにかかる費用を全て負担するのが一般的です。

アウトプレースメントは1980年代から、レイオフの頻度の高いアメリカで、従業員とのトラブルを回避し、リストラを円滑に遂行するために利用されてきました。外部に委託するケースがほとんどで、アメリカではアウトプレースメント専門の事業会社が数多く存在します。

一方、日本での利用は、バブル経済崩壊後の1990年代から。不況にあえぐ大手メーカーが早期退職優遇制度を用いてリストラを実施した際に、アウトプレースメントを導入する企業が増え、日本のアウトプレースメント会社は大きく売り上げを伸ばしました。

一般的に、アウトプレースメントを利用する企業の多くは待遇条件の良い大企業です。こうした企業は定年まで勤め上げることを希望する従業員が多いため、人員削減の対象となった従業員との間でトラブルが起きることが少なくありません。このような場合、退職金の上積みや再就職支援サービスなど、従業員が早期退職に理解を示してくれるための制度の整備が不可欠です。

特に日本では、正社員の解雇を厳しく制限しており、退職を強要する違法行為をした場合は、社会問題になります。そのため、人員削減を実施する際は再就職支援を手厚く行い、従業員がしっかりと納得した上で退職手続きを進めるなど、きめ細かな対応が求められます。

ワークシェアリング

ワークシェアリングとは、一人当たりの仕事量を減らし、全体の雇用者数を増やす政策のこと。仕事を分かち合う(シェアする)ことで、長時間働いている人は労働時間を削減し、仕事を求めている人は労働を確保することが可能になるため、雇用創出が実現できる(失業対策につながる)というメリットがあります。

ワークシェアリングが成功すれば、高齢者雇用や女性の社会進出に向けた大きな促進力となります。さらには個人消費を高めるなど、経済効果も期待されます。一方で、生産性が低下する可能性がある、給料の手取り額が少なくなる、といったデメリットも懸念されています。

ワークシェアリングは、欧米では1980年代から行われていました。中でもオランダは1980年代前半にワークシェアリングが推進され、失業率が徐々に低下。その結果、経済危機を克服し、ワークシェアリングの成功事例(オランダモデル)として一躍有名になりました。一方、日本はまだワークシェアリングが普及しているとはいえない状況ですが、働き方改革の一環として導入する企業が徐々に増えています。

厚生労働省では、ワークシェアリングを以下の四つのタイプに分類し、導入を促しています。

ワークシェアリングの四つのタイプ
名称 内容
(1) 雇用維持型(緊急避難型) 一時的な景況の悪化を乗り越えるため、緊急避難措置として、従業員一人あたりの所定内労働時間を短縮し、社内でより多くの雇用を維持する。
(2) 雇用維持型(中高年対策型) 中高年層の雇用を確保するために、中高年層の従業員を対象に、当該従業員1人あたりの所定内労働時間を短縮し、社内でより多くの雇用を維持する。
(3) 雇用創出型 失業者に新たな就業機会を提供することを目的として、国または企業単位で労働時間を短縮し、より多くの労働者に雇用機会を与える。
(4) 多様就業対応型 正社員について、短時間勤務を導入するなど勤務の仕方を多様化し、女性や高齢者をはじめとして、より多くの労働者に雇用機会を与える。

引用:ワークシェアリングに関する調査研究報告書|厚生労働省 「ワークシェアリングの類型」

4. 雇用に関する給付金・助成金制度

雇用管理に関する給付金や助成金制度は、数多く存在します。ただ、雇用環境に応じて内容が変化し、廃止されたり、新たに創出されたりすることが多いため、人事担当者は、それらの情報を常にチェックしておくことが欠かせません。

高年齢者雇用継続給付
急速に高年齢化が進む一方、まだまだ元気で働ける人たちが多い実態を受け、60歳以上65歳未満の雇用の継続を援助、促進するための制度。
特定求職者雇用開発助成金
高年齢者や障がい者など、特定の者を雇い入れた企業に対し、その賃金を一部の雇用者に助成することで、これらの人たちの雇用機会の増大を図ろうとするもの。
育児休業給付・介護休業給付
育児、介護のために会社を休まなければならない人たちのために、その間の賃金をある程度補てんすることにより、育児休業や介護休業を取りやすくするための助成制度。
雇用調整助成金
景気変動など経済上の理由により、やむを得ず事業活動を縮小したため従業員の休業や出向を行った企業に対し、休業手当や出向者に対する負担額の一部を助成するもの。
教育訓練給付
特別な制限なしに、一般に労働者が受講できる厚生労働省の支援する能力開発のための教育訓練に給付される制度。

助成金の申請作業が煩雑に感じた場合は、専門家による申請代行サービスを利用してもよいでしょう。こちらでは申請代行に強い社会保険労務士の探し方を解説しています。

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形態
限定正社員

「限定正社員」とは、勤務地や仕事内容、勤務時間などを限定して働く正社員のことで、従来型の正社員とパート、アルバイトなどの非正規社員の中間的な雇用形態を指します。転勤や残業、職務変更がないため、子育てや介護などの事情で働く時間と場所に制約がある人でも働きやすい、という特徴があります。通常の正社員と比べると給与など待遇面は劣るものの、無期雇用で、福利厚生が受けられ、非正規社員より立場が安定するというメリットがあります。ただし、事業再編などに伴い、労働契約に定めた職務がなくなったり、務めていた事業所が閉鎖されたりした場合、通常の正社員より容易に解雇されるおそれがあります。

業務委託

「業務委託」とは、企業に雇用されるのではなく、企業と対等な立場で、仕事単位で契約を結ぶ働き方のこと。契約形態には、委任契約と請負契約の2種類があります。委任契約は、成果や結果にかかわらず、一定期間に実際に遂行した業務に対して報酬が支払われます。請負契約は、役割を完了させることが任務となっており、納品物や成果物に対して報酬が支払われます。昨今では、企業の人件費削減の流れや働き方の多様化を背景に、業務委託が増加しています。 (2018/2/21掲載)

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