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【ヨミ】セイリカイコノヨンヨウケン

整理解雇の4要件

経営不振や事業縮小など、使用者側の事情による人員削減のための解雇を「整理解雇」といい、これを行うためには原則として、過去の労働判例から確立された4つの要件(1.人員整理の必要性 2.解雇回避努力義務の履行 3.被解雇者選定の合理性 4.解雇手続の妥当性)が充たされていなければなりません。これらを、「整理解雇の4要件」と呼びます。

更新日:2021/03/24

1. 整理解雇の4要件とは

「整理解雇の4要件」のポイントは、それぞれ以下の通りです。

(1)人員整理の必要性
どうしても人員を整理しなければならない経営上の理由があること(「経営不振を打開するため」は可、「生産性を向上させるため」は不可)。
(2)解雇回避努力義務の履行
希望退職者の募集、役員報酬のカット、出向、配置転換、一時帰休の実施など、解雇を回避するためにあらゆる努力を尽くしていること。
(3)被解雇者選定の合理性
解雇するための人選基準が評価者の主観に左右されず、合理的かつ公平であること。
(4)解雇手続きの妥当性
解雇の対象者および労働組合または労働者の過半数を代表する者と十分に協議し、整理解雇について納得を得るための努力を尽くしていること。

「整理解雇」という言葉は、法律上の用語ではなく、過去の裁判の判例や実績から上記の4要件が判例法として確立される中で浮上してきた、あくまでも労働慣例上の用語です。

終身雇用制や年功序列型賃金を前提としてきた日本型雇用慣行において、落ち度のない従業員を経営上の理由で辞めさせる整理解雇は、雇用に関する労働者の期待を裏切るものであり、その生活や将来設計に大きな影響を及ぼします。そのため、使用者側には厳格な法的制約が課せられ、労使紛争が生じた場合、従来は4要件を一つでも満たしていないと「解雇権の乱用」として無効、すなわち不当解雇と見なすという判断が主流でした。

しかし、4要件が確立される根拠となった過去の判例には、一定規模以上の会社を舞台としたものも多く、必ずしも中小零細企業の実情に即しているとはいえません。多くの中小企業では、「配置転換したくても職場がない」「一時帰休させるほどの企業体力がない」など、大企業のように段階的な雇用調整を行う余裕がないため、いきなり退職勧奨や指名解雇に踏み込まざるを得ないのが実情です。

近年は「整理解雇の4要件」の前提である日本型雇用慣行が崩れつつあり、また終身雇用・年功序列の下にない非正規雇用の増加もあって、要件の解釈はかなり変わってきました。一つでも欠けると整理解雇が無効になるのではなく、何かが欠けても四つを総合的に考慮した結果、相当と認められれば有効とする、すなわち四つの「要件」ではなく、「要素」として捉える判例も増えてきています。現状としては、各企業の経営や雇用の実態を踏まえて、4要件の充足を従来よりも緩やかに認める流れに傾きつつあるようです。

一方で、整理解雇に関して裁判になると、業績悪化などによる人員整理の必要性だけでなく、解雇回避努力義務の履行といった会社側の対応がかなり細かく検証されることになります。また、整理解雇に関して誤解されがちであるアルバイトなどの非正規雇用についても、正社員同様の制約がある点に留意する必要があります。

2. 整理解雇に関する注目の裁判例

実際に整理解雇の4要件が適用された裁判例を見ていきましょう。有効とされた判例を二つ取り上げます。

会社更生手続き中の大手航空会社による整理解雇

まずは、日系大手航空会社が会社更生手続き中に、客室乗務員84名を整理解雇の対象とした事件(大阪高裁平成28年3月24日判決)について取り上げます。この事件では、会社による整理解雇の有効性が争われました。

第一審の裁判所は整理解雇を無効と判断しましたが、第二審の大阪高等裁判所は整理解雇を有効と判断しました。この事件は整理解雇の有効性に関して、判断の分かれるケースとして参考になります。

整理解雇の4要件をそもそも適用するかどうかが争点の一つ

この事件では、会社更生手続き中という極めて業績の悪化した局面における整理解雇であるにもかかわらず、第一審では解雇を無効と判断しています。裁判では会社側から、会社清算や破産手続きがされている場合と同様に、整理解雇の4要件が機械的に適用されるべきではないとの主張もなされていました。

しかし裁判所は、会社更生手続きはいわゆる再建型の手続きであり、基本的には事業継続が前提とされていることから、会社清算や破産手続き中の場合とは異なり整理解雇の4要件が適用されると判断しています。

被解雇者選定の合理性についてのポイント

本事件では、整理解雇の対象とする従業員の選定に当たって、客観的基準を設けたことがプラスに評価されました。具体的には、会社側は以下の4点について客観的に判断できる基準を挙げて、被解雇者選定の合理性を判断しました。

  • 休職者基準
  • 病欠日数・休職日数基準
  • 人事考課基準(整理解雇が行われた年度以前の3年間)
  • 年齢基準

ここでポイントとなるのは、上記基準の判断において整理解雇時点での事情が考慮されているかどうか、ということです。例えば、人事考課基準について見ると、整理解雇を検討する時点での人事考課によって判断されるとすれば、会社が意図的に人事考課を下げることによって解雇したい従業員を選別することができてしまいます。実際に本事件で企業側は、人事考課について整理解雇が行われた年度以前の3年間の人事考課によって判断しています。

担当業務がなくなったことを理由とする外資系製薬会社の整理解雇

次に、外資系製薬会社の日本法人において、他社との業務提携などにより、いわゆるMR(医薬情報担当者)の業務が社内に存在しなくなったことを理由として整理解雇した事件(東京地裁平成30年10月31日判決)を取り上げます。

整理解雇の4要件に関する判断

裁判所は従来通り、整理解雇の4要件に基づき判断しました。この事件では、整理解雇の4要件のうち、会社の講じた解雇回避努力義務の履行が重要なポイントとなりました。

具体的には、会社側は従業員に対して他のポジションの案内や配転、出向の具体的提案などの解雇回避努力を行ったにもかかわらず、従業員側が真摯に対応しなかったことなどが認められ、整理解雇が有効とされていることに特徴があります。

解雇回避努力義務の履行についてのポイント 

解雇の4要件のうち、解雇回避努力義務の履行に関しては、本判決のように会社側が具体的検討や従業員に対する案内を行ったかが重要となります。また、会社側の対応だけでなく、これに対する従業員の対応も考慮して判断される点がポイントです。

会社側が解雇回避努力義務を履行すべく真摯に対応しているにもかかわらず、従業員側が取り合わなかったなどの事情がある場合には、会社が免責される可能性があります。実際に整理解雇を検討する場面では、会社側の対応やこれに対する従業員の応答が後から証明できるように、電子メールや書面などで対応の履歴を残しておくことも大切です。

3. アルバイトの整理解雇

アルバイトなどの非正規社員であれば、業績が悪化したような場合に人員整理がしやすいと誤解している人は少なくありません。しかし実際は、アルバイトなど非正規社員でも、正当な理由なく一方的な解雇はできません。また、契約社員のように雇用契約について期間の定めがある場合でも、雇用契約が何度か更新されている場合には正当な理由なく更新拒絶(雇い止め)ができないこともあります。

整理解雇の要件は正社員と同様

アルバイトなど非正規社員についても、正社員同様に労働契約法が適用されます。労働契約法によれば、解雇をするためには客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。この二つはアルバイトなど非正規社員についても整理解雇の4要件によって判断されます。

ただし、整理解雇の4要件のうち被解雇者選定の合理性の要件に関しては、アルバイトなどの非正規社員は正社員より解雇の正当性が認められやすくなることもあります。会社が業績悪化などを理由として整理解雇をする局面で、従業員に正社員と非正規社員がいる場合、被解雇者選定の合理性の要件を満たすためには非正規社員から先に解雇することが必要という考え方には、ある程度の合理性があると考えられているためです。

契約期間満了を理由とする実質的な整理解雇

アルバイトやパート社員、契約社員といった非正規社員の場合、雇用契約に期間を定めていることがあります。そのため、会社から雇用契約の期間満了時に更新をしないという形で、実質的には解雇と変わらない雇用調整が行われる場合があります。

しかし、契約期間の定めがある場合であっても、3回以上契約が更新されているときや1年を超えて継続的に勤務しているときは、契約更新をしないのであれば、会社は当該従業員に対して30日前までに予告しなければならないと厚生労働省から示されています(平成15年厚生労働省告示第357号)。

また、何度も雇用契約が更新されている場合や、契約期間中に更新を期待させる言動が会社側にあった場合など、従業員にとって継続的に雇用されることが客観的に期待できる事情があるときは、契約期間の満了を理由とする雇い止めが無効となる可能性があります(いわゆる雇い止め法理)。

従って、雇用契約に期間の定めがあるアルバイトなどの従業員を、実質的には解雇と変わらない雇用調整の対象とすることは簡単ではありません。法的に許容されるかどうかについては十分に検討する必要があります。

4. 整理解雇では過去の判例も参考にしながら慎重な対応が求められる

整理解雇の4要件については比較的知られているため、会社の人事担当者であれば認識している人も多いと思われます。しかし、実際にはケースによって有効性の判断が分かれるなど、自社で見極めるのは難しいものです。今回取り上げた判例のように、会社側が相当程度の努力をしていれば整理解雇が許容されているケースも多くあります。整理解雇をせざるを得ない局面になった場合には、過去の裁判例を参考にして会社側の対応を検討することが重要です。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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