サインオンボーナス
サインオンボーナスとは?
「サインオンボーナス」とは、企業が特定の候補者に対し、入社を促す目的で支給する一時金のこと。ほかにも「サインアップボーナス」「サイニングボーナス」「入社祝い金」「入社支度金」「入社一時金」など、さまざまな呼び方があります。希少なスキルを持つ人材を確保する際に、候補者の転職に伴うリスクや費用を補償し、入社を後押しするインセンティブとして機能します。
なぜ今、サインオンボーナスが注目されるのか?
導入目的と運用のポイント
サインオンボーナスが近年注目を集める背景には、労働市場の変化があります。少子高齢化により、労働力人口が減少。DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速に伴い、IT人材など専門職の需要が増大しています。即戦力となる人材や特定の分野で実績を持つプロフェッショナルは、市場価値が高く、企業間で獲得競争が激化しています。このような状況下、企業は多様なインセンティブを用意することで、他社と差別化を図る必要に迫られています。
サインオンボーナスを支給することで、前職での給与や賞与の未支給分を補償したり、転居費用、資格取得費用の負担をカバーしたりすることが可能です。転職に伴う候補者の経済的負担を軽減することで、候補者が安心して転職を決断することにつながります。
さらに、特定のスキルや経験を持つ人材への強い期待を示すメッセージとしても機能します。高額なサインオンボーナスにより、企業がその人材にどれほどの価値を見出しているかを明確に伝えることで、入社後のモチベーション向上を促すことができます。
サインオンボーナスを導入する際には、注意すべき点もあります。例えば、「入社後一定期間内に退職した場合、返還を義務付ける」といった支給条件を設けることは、労働基準法第16条の「賠償予定の禁止」に抵触する可能性があるため、おすすめできません。
また、就業規則や労働契約書などで支給の有無や支払い条件が明確に定められているものは、労働基準法上、賃金として取り扱う必要があります。サインオンボーナスを入社時に支払うのであれば、賃金の前払いと解され、賞与と同じように臨時の賃金に該当すると考えられます。
入社一時金が就業規則や労働契約書などに定められたものではなく、入社時の引っ越し費用や就職する際の支度金として、恩恵的または実質弁償的に支払われる性質のものであれば、賃金には該当しません。
参考:短期間で退職した人に入社一時金の返還を求めることはできるか|https://jinjibu.jp/qa/sum/employee_signing_bonus_refund
既存社員への配慮も重要です。サインオンボーナスの支給が既存社員のモチベーション低下につながらないよう、透明性のある説明や、既存社員の貢献を評価する仕組みを併せて検討することが求められます。例えば、既存社員に対するインセンティブ制度の強化や、成果に応じた適正な評価・報酬体系の確立などが考えられます。
サインオンボーナスは単なる一時金ではなく、企業の採用戦略、人材マネジメント、法務の各側面を考慮して運用されるべき施策といえます。優秀な人材を獲得し、企業の競争力を高めるためには、その効果的な活用が不可欠です。
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