【ヨミ】アウトソーシング アウトソーシング
従来社内で行われていた業務や機能の一部あるいは全部を、外部の専門会社に委託すること。主にコストダウンやコア事業へのリソース集中を目的としています。
(2008/5/19掲載)
アウトソーシングのケーススタディ
企業に求められる、コスト圧縮・品質向上の追及
委託先に対するマネジメント能力が必要
アウトソーシングは1980年代初頭よりアメリカで用いられるようになり、日本でも1990年代頃から活用する企業が増加してきました。当初は情報システム分野が大半でしたが、現在では採用・研修、保険・年金事務、秘書業務から、経営企画、人事、法務、広報、研究開発、設計、製造業務といった、経営のあらゆる分野に及んでいます。
背景には、バブル崩壊後の経済のグローバル化や規制緩和で競争が激化し、経営手法の見直しが必要になったことが挙げられます。それ以降、企業はさらなるコスト圧縮、品質の向上が求められるようになり、コア事業への経営資源の集中が課題となっています。また、技術革新が著しい情報分野では、すべてを抱え込むとリスクもコストも高くなり、企業活動のフットワークの低下にもつながります。こうした状況をうけて、企業では経営判断のスピードを高めるために、戦略的アウトソーシングの活用が重視されるようになりました。一方で、近年は、アウトソーシングの名を借りた違法な労働者供給(「偽装請負」など)といったトラブルも、社会問題化しています。
経営のキーワードとして定着した 「アウトソーシング」ですが、従来の“委託”や“外注”とはどこが違うのでしょうか。『アウトソーシング戦略』(島田達巳編,日科技連,1995)によれば、アウトソーシングとは、「ある組織から他の組織に対し、組織の機能やサービスの全てまたは一部を委託すること」とあります。つまり、「資源の外部化」といえるでしょう。これは、コンサルティング、外注(代行)、人材派遣のすべてが含まれる包括的で広義な定義です。一方、効率性やコストの削減、スペースの有効活用などを目的とする、単なる業務の一部代行(請負)としての「請負型アウトソーシング」と、有効性、新規事業進出、事業拡大・縮小などを目的とした今日的な「戦略的アウトソーシング」を分ける狭義の定義もあります。
アウトソーシングを行う上では、「機密性とセキュリティ」や「委託先の技術水準」をしっかりと確認するべきでしょう。また、「受託先への依存が過ぎることによる戦略的なコントロール力の喪失」「社内への技術的ストックが失われる可能性」などの組織的問題や、「社内の生産性やモラールの低下」「人員の削減」といった人的問題もあります。重要なのは、アウトソーシングを活用する際、業務を丸投げするのではなく、自社の戦略を見据えた上で、主体性をもってマネジメントすることです。