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「イノベーションを生み出せる人と組織」が重要な時代
経営者の仕事は「良い会社をつくること」

レジェンダ・コーポレーション株式会社 代表取締役社長

藤波 達雄さん

藤波達雄さん(レジェンダ・コーポレーション株式会社 代表取締役社長)

今では多くの企業が活用している、人事アウトソーシングサービス。我が国におけるこの分野の草分けといえるのがレジェンダ・コーポレーション株式会社です。同社の創業は、まだ「アウトソーシング」という言葉が一般的ではなかった1996年。しかも、代表取締役社長の藤波達雄さんは、日立製作所でエンジニアとしてキャリアをスタートさせ、アメリカ留学後に転職したリクルートでは情報通信の事業部に所属。一見、人事とは直接的な縁のない分野で活躍してきました。そんな藤波さんが人事アウトソーシングビジネスを確立させることができた背景には何があったのか。また「『人事のNo.1イノベーションドライバー』を目指す」という同社のビジョンに込められた思いとは。さらには日本企業の人事や組織をとりまく課題や今後の展望、「仕事」に対する独自の哲学など、ビジネスパーソンとして、また経営者としての豊富な経験をベースとした貴重なお話を聞くことができました。

Profile

藤波 達雄(ふじなみ・たつお)/早稲田大学理工学部を卒業後、株式会社日立製作所 設計部門配属。国内外数々のビッグプロジェクトを担当。米国テキサス大学へ留学し、航空宇宙工学、エンジニアリングメカニックスを学ぶ。帰国後、株式会社リクルート入社。世界を股にかけた超巨大ビジネスに取り組む中、通産省(現:経済産業省)主導で発足したマルチメディア振興協会へ、リクルート社員として出向。1996年、レジェンダ・コーポレーション株式会社 起業。現在に至る。

転機となった社会人8年目でのアメリカ留学

大学卒業後、藤波さんが最初に勤務されたのは日立製作所ですが、どんな思いで同社を選ばれたのでしょうか。

私が早稲田大学理工学部を卒業して就職したのは1975年。当時は、製造業が輸出で日本経済全体を引っ張っていました。理工系の人材はいくらでも必要とされ、就職先には困りませんでした。私がいた機械工学科は、特に「つぶし」が効くということで学生数の10倍くらいは求人が来ていたほどです。何社か話を聞きに行った中で日立製作所を選んだのは、祖父が日立を好きだった影響でしょうか。「日立はいい会社だぞ」といつも言っていたのを覚えていたんです。超売り手市場だったので、よほどの人気企業でなければ、面接に行けば採用された時代でした。

当時の日立は一兆円企業。それくらいの規模のメーカーは理工系学生を毎年数百人単位で採用します。私の同期も約800人いました。配属されたのは、産業機械の設計部門。大型の産業用ポンプやコンプレッサーといった、回転機械系の事業部です。入社8年目にアメリカに留学するまでは、そこでエンジニアとして働きました。

アメリカに留学されたのは大きな転機だったと思うのですが、どんなきっかけだったのでしょうか。

入社したころ、日立の輸出比率はまだ10%程度でしたが、入るとすぐに「これからは輸出が50%以上になる。君たちも英語を勉強しておくように」と言われました。輸出や海外生産強化の一環として、当時の大手企業にはだいたい社費留学の制度があり、日立でも年間40~50人くらいを募集していたんです。社内選考はありましたが、手を挙げたら運よく受かりました。現地法人で実務を経験するコースもありましたが、私が選んだのは大学院で学ぶコース。学生時代はあまり勉強しませんでしたが、仕事をしていく中で再度しっかり学んでみたいという気持ちになっていたためです。

留学先のテキサス大学(大学院)での研究テーマは、やってきた仕事の延長線上といえるコンピューターを使った数値計算。航空宇宙工学、エンジニアリングメカニックスなどの分野です。今では日本でもコンピューターによるシミュレーションがさまざまな分野の研究開発や設計などに利用されていますが、1980年代前半ですから、あらゆるコンピューター関係の技術はアメリカが圧倒的に進んでいました。夢中で取り組むうちに、あっという間に3年が過ぎていましたね。

帰国後すぐに転職されますが、アメリカで心境の変化があったのでしょうか。

実は、日立からの留学は1年間しかスポンサードされていなかったので、その後は休職して自費で勉強を続けていました。博士課程の途中まで進み、研究には手応えを得ていたのですが、同時に今後の進路も気になっていたんです。一時は大学院に残って研究者になる選択肢も考えました。しかし、アカデミックな世界でやるとなると、とんでもなく賢い人たちと張り合っていかないといけない。実際、同じ研究室でも飛び級で大学院に入ってくるような優秀な人材を間近に見ていました。さらに、アメリカの大学では一定の年齢までに成果を出さないといけないのですが、当時の私はすでに33歳になっていたのです。結局、指導を受けていた教授が違う大学に移籍したのをきっかけに、ビジネスの世界に戻ることにしました。

帰国後は日立には戻らず、リクルートに入社しました。当時のリクルートは全く畑違いの情報通信事業に新規参入しようとしていて、技術系の人材を国内外から中途採用していたんです。「これは面白そうだな」と思ってお世話になることにしました。

リクルートでの仕事は、アメリカで学ばれた経験が生きる内容だったのでしょうか。

リクルートが新しく立ち上げた事業の一つに、スーパーコンピューターを時間貸しするというものがありました。それはまさに数値計算のためのもので、世界が市場になります。その意味では知識を生かせるビジネスでしたね。リクルートの情報通信事業は、ピーク時には1500人のスタッフを擁する規模になります。私はスパコンのビジネス以外にもいくつかの新規事業を手がけました。バブル景気で日本経済全体が絶好調だったこともあり、非常にエキサイティングでした。

ただ、手がけていた事業はいずれも当初見込んだほどの成果を上げることができず、5年目くらいから徐々に撤退モードに入っていきます。バブル崩壊の余波もあり、黒字化できたビジネスも入社7年目の1992年ごろには全て畳むことになりました。つまり、約10年間在籍したリクルート時代の私の「損益計算書」は完全な赤字なんです。

情報通信事業を撤退してからは、当時の通産省(現:経済産業省)が主導してつくった「マルチメディア振興協会」に出向しました。マルチメディアといってもピンとこないかもしれませんが、インターネット登場以前にトレンドになっていた技術です。日本の主要な大手企業から来ている人たちと一緒に意見をまとめていく作業は、ビジネスパーソンとしての自信にもつながりました。

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