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HRカンファレンストップ > イベントレポート一覧 > 日本の人事部「HRカンファレンス2016-春-」  > ランチミーティング [LM-2] 安藤至大氏によるランチ・ミーティング『これからの日本の「働き方」…

これから日本の「働き方」「雇用」はどのように変化し、
人事はどう対応すればいいのか

  • 安藤 至大氏(日本大学総合科学研究所 准教授)
2016.07.12 掲載
講演写真

長時間労働が社会問題化し、ストレスチェックが企業に義務化されるなど、働き方と雇用のあり方に大きな変化が起きている。人事部はこれらの問題にどう対応していけばいいのか。雇用や労働の問題に詳しく、NHKの経済番組「オイコノミア」でもおなじみの日本大学准教授・安藤至大氏による講演と、参加者との質疑応答を通じて、今後の日本の社会・経済・労働環境の変化と人事部の果たすべき役割について、幅広く考察するランチミーティングが行われた。

プロフィール
安藤 至大氏( 日本大学総合科学研究所 准教授)
安藤 至大 プロフィール写真

(あんどう むねとも)1976年東京生まれ。1998年法政大学経済学部卒業。2004年東京大学博士(経済学)。政策研究大学院大学助教授などを経て、現在は日本大学総合科学研究所准教授。専門は、契約理論、労働経済学、法と経済学。規制改革会議(2007~2010年)の専門委員、雇用仲介事業等の在り方に関する検討会(2015年~)の委員などを務める。新聞・雑誌への寄稿(日本経済新聞「経済教室」欄など)のほか、著書には『ミクロ経済学の第一歩』(有斐閣・2013年)『働き方の教科書』(ちくま新書・2015年)がある。また、NHK(Eテレ)の経済学番組「オイコノミア」の講師として活躍するなど、雇用問題に関する分かりやすい解説には定評がある。


変化に備えて、人事はアンテナを張っていなければならない

安藤氏の専門は、契約理論と労働経済学。契約理論とは数学的な理論分析によって、従業員のモチベーションを高める契約内容や、効率的な組織デザインなどを研究する学問だ。現在は日本大学の研究所に在籍しながら、政府の各種会議にも参加するなど、社会と労働の関係を大局的にとらえるポジションにいる。この日の講演もこうした安藤氏のバックグラウンドを反映し、社会の変化をまず予測し、それに対応していくことの重要性を強調したものとなった。

安藤氏がまず取り出したのは、スマートフォン。「未来は、なかなか予測しにくいものです。20年前には、こんな小さな機械にメールも電話もパソコンの機能も全部入るなど、思いもしませんでした。しかし、ほぼ確実にわかっている未来もあります。そこをまず押さえて、日本の働き方がどう変わるのか考えていきましょう」

■人口減少

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安藤氏によると、労働問題を研究する多くの経済学者の共通認識として、今後の働き方に大きな影響を及ぼす二つの力が存在するという。最初にデータで示されたのは「人口減少」、いわゆる少子高齢化の進展だ。国勢調査のデータからは、2008年が日本の人口のピークだったことがわかる。すでに日本は人口減少時代に突入しており、今後は10年ごとに1000万人ずつ生産年齢人口が減っていくことがはっきりと予測されている。

「外国人労働者の受け入れが議論されていますが、私は難しいと思います。世界でも成功している国は少なく、貧民化して社会問題になったり、適応できずに帰国したりする例も少なくありません。また、仮に出生率を改善しても、生まれてくる子供が成人するのは20年も先のこと。つまり、人口減少は防ぎようがなく、近未来の日本を直撃する問題であることは間違いないのです」

すべての世代が均一に減少するわけではないとも、安藤氏は言う。「もっとも減少する割合が大きいのは、現役世代。生産年齢人口です。つまり、これからの日本は急速に労働力不足に陥る可能性が高いのです」

労働力が不足すれば人材は奪い合いになる。働く側から見れば待遇の改善などが期待できるが、企業の人事部は、バブル期のような人材確保に苦労する時代の再来を覚悟しなくてはならない。

次に安藤氏が「人口減少に関わる新しい視点」として紹介したのが、国土交通省の研究会が作成したという、地域ごとの人口変動の予測データだ。同省では、インフラ整備のための公共事業予算をどの地域に投下するのがもっとも効率的かといった検討をするため、日本全国を1キロ四方ごとに分割し、すべてのエリアの2050年までの人口推移を予測したという。

「首都圏よりも東北の人口減少が明らかに大きい、意外に沖縄の人口減少が少ない、といった『地域差』が生じることがはっきり示されています。また都市部でも、都心部と郊外では相当な格差があることがわかります」

人口の多いエリアはインフラが整備され、企業やその顧客が集中するようになる。少ない地域は逆の現象が起こり、その差は着実に拡大していくことになる。企業は顧客に近く、従業員を集めやすい場所に事業所を置くことが必要だ。人口減少は地域的な偏りも伴うものだという認識の重要性を、安藤氏は強調した。

■技術的失業

安藤氏が二つめの大きな力として注目したのが、「技術的失業」という問題だ。技術革新によって、それまであった仕事が機械によって置き換えられる。もちろん、技術革新自体は昔からあった。しかし、近年はICT技術やAI(人工知能)技術を中心に、そのスピードが急激に加速していることが問題だという。

「馬車が自動車に置き換わるといった事例は、過去にもありました。しかし、昔はその速度がゆっくりだったから、年配の人は馬車を作り、次の世代の若者が自動車工場で働く、という形で世代交代ができました。しかし、現在はポケベルからPHS、携帯電話、スマホ、と数年単位でどんどん進化していきます。技術や知識を身に着けても、22歳から65歳という一人の人の労働人生の途中で、自分の従事する職種や、場合によっては業界自体がなくなってしまうことも考えなくてはならない。今後、AIによる自動運転が普通になれば、自動車のドライバーという仕事がすべてなくなるかもしれないのです」

安藤氏は、イギリスの経済学者が発表した『雇用の未来』という論文では、ざっと30以上の職種がそう遠くない将来に消滅すると予測されていることを紹介した。さらに、この日の参加者にとって身近に感じられたのは、アメリカで研究が進んでいるという「AIによる採用判断」だろう。AIに応募者の職務経歴書を読み込ませ、採否を判断させたところ、人間の人事経験者よりも正確に、離職率が低く良いパフォーマンスをあげる人材を選び出したそうだ。これは将来、人事という仕事がAIに置き換わる可能性を示唆するものだ。また、エストニアではすべての購買履歴を電子データ化する実験を進めた結果、税務申告を代行する税理士が不要になったという事例も紹介された。

「こうした技術的失業が多発すると、労働者は『技術をさらに活用して活躍する人材』『技術進歩によって仕事を奪われてしまう人材』『技術進歩と競合しない人材』の三層に分かれます。これを『技能偏向型技術進歩』と呼ぶことがあります。すべての職種が、将来はどうなるかわからない。毎日ニュースで流れてくる新しい技術や製品により、今後どんな仕事が失われる可能性があるのか、人事はつねにアンテナを張っておいた方がいいでしょう」

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日本の働き方と雇用はどう変わるのか

■日本的雇用慣行とは

あらためて、「日本的な働き方」とはどのようなものか。人事なら知っている人も多いであろう「定説」がすでにある。安藤氏はアメリカの経済学者アベグレンが1958年に定義した、三要素をあげた。
(1)定年までの長期雇用慣行
(2)年功序列型の役割分担と賃金
(3)企業別労働組合

「アベグレンは経営コンサルタントとして、日本で長く暮らしました。高度経済成長のごく初期の段階で、日本的な働き方の核心を見抜いていたことになります。ちなみに、よく長期雇用の意味で『終身雇用』という言葉が使われることがありますが、本来の終身雇用は定年退職を前提とせず、生涯雇い続けるというものです。従って、日本的雇用慣行を表す用法としては間違いです。さらにいうと、『定年』という制度は日本をはじめとするいくつかの国にしか存在しません」

次に安藤氏は、日本的雇用慣行成立の背景を整理した。第一の背景は「高度経済成長による人手不足」。圧倒的に人手が足りなかった時代、企業は人材を地方に求めた。「金の卵」と呼ばれた中卒・高卒の若者たちだ。当然未経験者なので、企業が自前で育成しなくてはならないが、せっかく育てた人材にすぐに辞められてしまっては、元も子もない。そこで考え出されたのが「年功序列」や「退職金」という、長く勤めた方が労働者にとって得になる制度だった。

「今では長期雇用や年功型賃金が、労働者が求めてできた制度のように思われていますが、実は企業が大事な人材を手放したくないと考えて作ったシステムなのです。若い時の給与は安いけれど、長く働けばやがて高い給与が約束される。しかし、企業からすれば、給与が高くなった人にいつまでも残られても困ってしまう。そこで、定年という制度が導入されたわけです」

日本的雇用慣行を生んだ第二の背景は、「技術進歩が速すぎなかったこと」。社内でさまざまな部署を経験し、多くの知識やノウハウを蓄積したベテラン従業員の方が若者よりも大事にされたのは、新しい技術がどんどん出てくる時代ではなかったからだ。年功序列型賃金には、一定の裏づけがあったのである。

■前提条件の変化で雇用慣行はどう変わったか

しかし、高度経済成長期には有効だった「日本的な働き方」も揺らぎ始める。安藤氏はその前提条件の変化を、以下のようにまとめた。
(1)右肩上がりだった経済が、先行き不透明な時代に変わった
(2)技術の進歩が急速で、蓄積してきた経験・知識が役に立たないケースが増えている
(3)定年延長などで、労働人生そのものが伸びている

前提条件が変わった結果、日本型の雇用慣行も変化を余儀なくされた。それをまとめると以下のようになる。
(1)正社員中心から非正規雇用が40%にまで拡大
(2)年功賃金がフラット化の方向に変化
(3)企業外の独立系ユニオンも一定の役割を拡大しつつある

ここで安藤氏がもっとも強調したのは、非正規雇用問題の捉え方だった。「現在は『非正規労働者がかわいそう』という文脈で語られることが一般的です。しかし、非正規の内訳を細かく見ると、本当は正社員になりたいのにやむなく非正規で働いているという人は、実は18%しかいない。また、かわいそうなのは非正規の人だけではありません。 正社員にも長時間労働による健康被害、配置転換や転勤命令に応じないといけない自由度のなさなどで苦労している人も多い。そもそも正社員であっても、中小企業で働く人は必ずしも安定しているとも言い切れません。正社員にも非正規にも課題がある、という視点で考えていかなければならないのです」

■働き方改革の方向性

現在、さまざまな対策が議論されている働き方改革。そのうちのいくつかが紹介された。

(1)限定正社員
正社員の中にも多様な働き方を認めていこうという方向性から生まれたのが、限定正社員という考え方だ。「転勤がなければ夫婦で正社員として勤務できる。また専門性を大切にしたいという人は、職種間異動のない働き方を選択できる。何を限定するかは、契約で明確化すればいいのです。法学者、経済学者、厚労省もそろって同じ方向性を打ち出しています」

(2)労働移動の支援
人口減少で働き手が不足するのと同時進行で、技術的失業による人余りも発生する。一方では足りないのにもう一方では余っているという「ミスマッチ」を解消するためには、労働移動を支援することが重要だと安藤氏は語る。

「新しい仕事に就くために、必要なスキルを身に着ける教育訓練が大切です。ここでは、これまで正当に評価されてこなかった人材ビジネスの重要性が増すでしょう。また、会社を移った方がスキルにあった仕事ができるが、そうすると年功賃金がリセットされて給与が下がってしまう、というケースも出てきます。そういう場合には、出向のような形で賃金の差額を補てんするなどの仕組みが必要かもしれません」

さらに労働移動の問題については、「人材をいかにスムーズに移動させるかという発想だけでは足りない」という。今後の人口動態を分析すると、人材を確保しやすいエリアとそうでないエリアの格差が広がっていく。「人材を採用しやすい地域に企業自体が移転することも、選択肢のひとつになるでしょう」

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人手不足にどう対応すればいいのか

高度経済成長期やバブル期並みに、人手不足と技術的失業による人余りが同時進行する可能性もある時代。人事が先回りして、できることとは何なのだろうか。

■重要になる人事の役割

これからの時代を企業が生き抜くためには、人事の力がとても大切になると安藤氏は語る。しかし、そのことを十分に認識している企業はまだ少ないという。

「企業の人材採用は、当然数年先を見すえて行われていると思いますよね。しかし、実際に調査してみると、『現時点で景気が良ければ採用数を増やし、景気が悪ければ減らす』、つまり、目先の景気判断だけで採用を変えている企業が大多数だという結果が出ました」

バブル期に大量採用し、バブル崩壊後は逆に絞りすぎた。いびつな人員構成の正常化に企業も労働者も長年苦しめられた経験があるのに、なぜこんな問題が生じるのか。

「採用は本来なら5年後、10年後を考えて行わなくてはならない。しかし、経営トップはどうしても自分の任期のことだけを考えてしまいがちです。中長期的な将来のことを考えるインセンティブがないからです。むしろ経営者よりも長くその企業で働く中堅・若手こそが、ステークホルダーとして長期的視点に立った判断ができるはず。人事は経営者よりもさらに先を見る必要があるのです」

ここで安藤氏は、近い将来、企業が人手不足に直面したときに、どのような対策が考えられるのか、さまざまな事例を紹介した。高齢者や女性活用といった従来から不可欠とされてきた施策だけでなく、大胆な機械化や海外人材の活用の提案などが参加者の興味を引いていた。

  • アメリカのマクドナルドではカウンターの要員を減らすために、受付の無人化(タッチパネルによる注文とクレジットカード決済)を大幅に導入した。
  • 自動翻訳技術の研究は急ピッチで進んでいる。日本でも総務省が相当な予算を投入しており、2020年の東京オリンピックまでにかなり精度の高いものをつくろうとしている。実現すれば日本語という大きな参入障壁がなくなり、外国人労働者の活用が容易になる。
  • アメリカではインターネットと時差を利用して、夕方から業務をインドに引き継いでいる。アメリカの夜間がインドでは昼間になるので、中断なく業務が進められる。

■5年先を見すえた人手不足対策

そのうえで安藤氏は「人手不足に直面してからでは遅い」と強調した。一般的に企業が中期経営計画の対象とする「5年先」を見すえた取り組みが、人事にも強く求められる時代が来るということだ。では、5年先をにらんでどのようなことに注力するべきなのか。安藤氏はいくつかのテーマをリストアップした。

(1)既存の人材を辞めさせない
年功賃金や退職金など、「給与の後払い的性格」のある施策で引き留めることが今後は難しくなる。社内にあるパワハラ、セクハラなどを一掃し、従業員がモチベーション高く働ける環境をつくらなくてはならない。特に注意したいのは、従業員同士の世代間対立。若手の育児休業を年配の管理職が批判するような事態を防ぐのは、人事の重要な任務となる。

(2)ネットワーク採用で優秀な人材を押さえる
辞めにくい人材の採用に最適なのは「縁故採用」だ。欧州での大規模な調査で、実際にデータでも証明された。しかも縁故採用の人材は、パフォーマンスも高かった。優秀な人材のネットワークには、同質の優秀な人材がいるからだ。従って今後の採用の中心は、従業員の紹介をはじめとする「ネットワーク採用」志向になっていくだろう。先に優秀な人材を押さえれば、そのつてで次々と良い人材を採用できる可能性があり、出遅れたら逆の結果になる。

この他にも、技術的失業に備えて「どんな職種が合理化され、そこにいた人材を再教育してどこに配置転換するか」といった社内教育計画の重要性も訴えた。「人事はまさに企業経営の生命線という時代がやってくると思います」と安藤氏は結んだ。

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人事は未来を見すえていなければならない

後半は質疑応答とディスカッションが行われた。人事担当者が日頃から疑問に思っているさまざまなテーマについて意見が交わされたが、ここではこの日の講演テーマに近かったものに絞って、安藤氏の解説を紹介する。

■「同一労働同一賃金」はどうなるか?

欧米などの同一労働同一賃金は、業界横断的に経営者団体と業界労組が交渉して賃金を決めることが前提です。しかし、日本では会社ごとに給与が決まります。また社内でも配置転換によって給与が変動するケースが出てくるとすれば、労働者側も反対するでしょう。したがって、「あまりにも不合理な場合についてのガイドラインを作る」程度にとどまるのではないでしょうか。また、非正規の給与を無条件で正社員と同じに引き上げるのも無理があります。それよりも、非正規の人に正社員と同じだけかせげる能力を、いかに身に着けさせるかが重要です。

■正規・非正規の格差を埋めるために、雇用形態の多様化以外に何があるか?

教育・訓練しかないでしょう。しかし、今の教育現場には「現場で本当に役に立つ教育」が十分できていないという大きな問題があります。使えない技能や知識を身に着けるよりも、企業の現場に放り込んで鍛えた方が早い。ただし、これは企業にとっては負担になります。そこを公的な補助金などでまかなうような施策が必要です。

■従業員が専門性を持って活躍するためにはどんな仕組みが必要か?

まず、専門性を狭く考えすぎない方がいいでしょう。違う職種や職場を経験して幅を広げることが、結果的に高い専門性につながることもあります。また今後は、技術的失業のリスクを考えておくことも大事です。逆に、職種を固定して専門性を高めるコースをつくる場合には、配置転換が一般的だった世代のシニア社員に十分な理解を促しておくことも欠かせない。同じ社内に無理解や反発があってはいけません。

■女性活躍にリモートワークは有効か?

アメリカのヤフーが在宅勤務を原則廃止したことが、大きなニュースとなりました。今後は再び、社内(オフィス)でのコミュニケーションから生まれる創造性などが、重視されていく流れになるのではないでしょうか。企業への帰属意識を持たせるためにも、オフィスに席があることには意味があります。ただ、通勤を義務づけると退職せざるをえないようなケースでは、リモートワークも活用すべきだと思います。

■高齢者活用に再雇用以外にどのような策がありそうか?

人手不足時代を迎えると、高齢者活用は重要なテーマになります。ただ、同じ企業での再雇用と狭く考える必要はありません。長年培った経験や知識を、定年退職後に別の企業で活かすパターンも大いに歓迎されるようになるでしょう。社会全体で考えても、知識や経験という資産の有効活用になります。

■長時間労働対策の決め手になるのは何か?

長時間労働が、すべて悪いわけではありません。キャリアの中では、長時間働くことで経験やスキルを身に着けていく時期もあるはずです。問題なのは、心身の健康を害するようなケースや、労働者が望まないのに強制されるケースなど。一度ブラック企業という風評が流れると、イメージの回復は容易ではなく、採用にも企業業績にも悪影響を及ぼします。顧客への長時間対応が必要な場合には、シフト勤務制などの工夫が求められるでしょう。

続いて安藤氏から、人事として、変化する働き方に対応していく場合の「考え方の基本」についてのヒントが提示された。ここでは、「国政選挙にインターネット投票を導入する」「タバコのポイ捨てを減らす」といったいくつかの演習課題が出され、参加者が自由にアイデアを述べる形でディスカッションが行われた。

「これは政策研究大学院大学の講義などでも活用している、思考実験です。制度づくりをする際に何に注意すべきかということを、官僚や公務員に学んでもらうためのものです。働き方の変化に対応する人事も同じです。自分の会社で新たな制度をつくる際は、人事の立場だけでなく、あらゆるステークホルダーに配慮しなくてはならない。直接的な関係者だけでなく、できあがった制度を悪用しようとする人の身になって、考えてみることも大切です」

若手社員のモチベーションをあげる制度をつくる際には、年配のシニア社員から「俺の時代にはそんなものはなかった、仕事をなめるな」といった反応があることも考えられる。そのため、事前に納得させられるロジックを用意したり、説得したりする必要があるという。

最後に、安藤氏がこの日のセッションを総括した。「未来を見すえて人事の仕事をするには、経営者よりも長い射程、広い視野で考えていくことが不可欠です。人口減少、技術進歩という大きな変化を理解した上で、ネットワーク採用の工夫やリテンション(退職防止)策、再教育プランなどを少しずつ先回りして考え、手を打っていくこと。それがこれからの人事の仕事だということを、理解していただければ幸いです」

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