プレイフルシンキング・ワークショップ
~楽しく、チャレンジしたいと思える職場をつくる~
- 上田 信行氏(同志社女子大学現代社会学部現代こども学科特任教授/ネオミュージアム館長)
「プレイフル」とは、物事に対してワクワク・ドキドキする心の状態を指す言葉で、働く人が仕事を楽しみ、チャレンジしたいと思えるようにするためのエンジンとして考え出された概念のこと。今回のセッションでは、「プレイフル」を提唱した同志社女子大学の上田信行氏が「プレイフルなものの考え方」を紹介したうえで、参加者全員がプレイフルなワークショップを実際に体験した。
(うえだ のぶゆき)1950年、奈良県生まれ。同志社大学卒業後、『セサミストリート』に触発され渡米し、セントラルミシガン大学大学院にて M.A.、ハーバード大学教育大学院にて Ed.M., Ed.D.(教育学博士)取得。専門は教育工学。プレイフル・ラーニングをキーワードに、学習環境デザインとラーニング・アートの先進的かつ独創的な学びの場づくりを数多く実施。1996~1997 ハーバード大学教育大学院客員研究員、2010~2011 MITメディアラボ客員教授。著書に『プレイフル・シンキング:仕事を楽しくする思考法』(2009, 宣伝会議)、『プレイフル・ラーニング:ワークショップの源流と学びの未来』(2013, 共著、三省堂)、『協同と表現のワークショップ:学びのための環境のデザイン』 (2010, 共編著、東信堂)など。
楽しいことにこそ学びがある
日本でまだ「ワークショップ」という言葉がまだあまり使われていない1970年代から、学び・ワークショップの研究を続けてきた、上田氏。セッションの冒頭で上田氏は、自身の提唱する「プレイフル」という概念について説明した。上田氏は「プレイフル」を、真剣に物事に向き合う姿勢であり、他者と協調しながら柔軟で多様な考えをドライブし、実現できそうな予感にワクワク・ドキドキする心の状態である、と定義している。
上田氏は、「楽しいことにこそ学びがある」と言う。本セッションも、楽しく、本当にプレイフルなワークショップとなった。最初に、5~6人ごとのグループに分かれ、体を楽にした状態で、全員がジャンプ。そして、グループの仲間とハイタッチ。軽快な音楽が流れるなか、身体を揺らしながら、テーブルの上にレゴを高く積み上げていく。動きながら積んでいくことがルールだ。どのグループも天井に届きそうなくらいまでレゴを積み上げることができ、大きな盛り上がりを見せた。
「プロフェッショナル 仕事の流儀」風のオリジナルムービーを制作
今回のセッションの目玉は、NHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」風のオリジナルムービーが作れるアプリを使用し、参加者が自分たちで作ること。参加者全員が、自分自身のことをあらためて見つめ直しながら、動画を撮影。レゴを使ったワークショップを通じてすっかり打ち解けあった参加者たちは、お互いにアドバイスし合いながら撮影を行い、大きな盛り上がりを見せた。
最後に、参加者が実際に作成したオリジナルムービーをいくつか投影。2時間を超えるセッションを総括する映像の数々に、参加者の誰もが笑顔になり、会場は大きな拍手に包まれた。従来の企業研修にはあまりなかったスタイルによるセッションから、参加者全員が多くの学びを得たようだ。「プレイフル」をコンセプトに置いた今回のワークショップは、大盛況のうちに終了した。
参加者の声(一部抜粋)
・セミナーなのに最初から最後まで楽しく、「楽しいと思わせることってこんなに大切なんだ」とあらためて感じました。
・ファシリテーターである上田先生の場作りや進行の仕方によるところが大きいと思いますが、和やかな雰囲気だけど皆が熱中している、というとても楽しいワークショップでした。ぜひ、自社の研修の参考にさせていただきたいと思います。
・ワークの内容が素晴らしかったので、楽しく他の受講者と共感しながら、プレイフルな考え方を理解することができました。
・講演の内容にも、プログラムデザインにも、人の心を動かす要素が満載でした。
・座学ではなく、実際に体を動かしていろいろな課題を体験することで、「プレイフル・シンキング」の良い点を実感できました。
・レゴを天井まで積む競争という単純な作業を通して、協力・競争・手の届く目標が大事だということを身を持って認識でき、社内研修などへの応用のイメージがわいた点がとても良かったです。「NHKプロフェッショナル 私の流儀」というアプリを使っての作品製作も、とても楽しく参加できました。
・上田先生のセッションをリアルに体験することができた、貴重な機会でした。本で読んで想像していた以上に「プレイフル」な時間で、圧倒されました。
・新たな視点と、すぐに実践できる知見が得られました。
・体を動かしながら考え、かつ、楽しいだけで終わらずにリフレクションもきちんと行われていて、とても学びが大きかった。上田先生のパッションあふれる抜群のファシリテーションももちろんですが、スタッフの皆さんのホスピタリティーに満ちたご対応も素晴らしかった。今後もぜひ、このワークショップを継続して実施してほしいと思います。
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