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HRカンファレンストップ >  日本の人事部「HRカンファレンス2016-春-」講演レポート・動画 >  特別講演 [D-5] 「自ら考え、自ら動く社員」を生み出す「7つの習慣(R)」

「自ら考え、自ら動く社員」を生み出す「7つの習慣(R)」

  • 佐藤 剛志氏(株式会社ジェイック 代表取締役社長)
2016.06.21 掲載
株式会社ジェイック講演写真

全世界で3000万部を売った大ベストセラー、スティーブン・R・コヴィー博士著『7つの習慣』。この「7つの習慣」を扱う研修を展開するジェイック社長の佐藤氏は、「成果を上げている会社の社員は、自らのことを『私』ではなく『我々』『私たち』と呼ぶ」と語る。自ら考え、動く社員には、何事も他責にせず、自分が動くことで解決しようとする姿勢に共通点がある。そんな自立社員を育成する組織づくりについて佐藤氏が語った。

プロフィール
佐藤 剛志氏( 株式会社ジェイック 代表取締役社長)
佐藤 剛志 プロフィール写真

(さとう たけし)ジェイックにて教育研修事業を展開。その後、若手の就職支援を行う「営業カレッジ®」を開講。「ガイアの夜明け」をはじめ多数メディアで注目される。2011年フランクリン・コヴィー・ジャパン(株)から許諾を得て、中堅中小企業向けに「7つの習慣®」研修を開始。「7つの習慣®」の考え方を広めている。


会社の「雰囲気は能力」「雰囲気は力」である

ジェイックは全国に6拠点を構え、教育研修事業と就業支援事業の二つを柱に、組織をよりよくする支援を行っている。教育研修事業では「7つの習慣®」研修、「原田メソッド」研修を展開。就業支援事業では、第二新卒およびフリーター向けに「営業カレッジ事業」、法政大、東洋大、日大、駒大、武蔵野大、独協大、関学など55校の大学に就業支援を行っている。

この日の佐藤氏の講演は、次のような語りかけから始まった。「企業というのは利益を出せばよい、という考え方もあるでしょう。でも中にはそれだけでは面白くない。いい会社をつくりたいとか、社員を幸せにしたいとか、仕事を通じて社員一人ひとりが成長できる場にしたい、といった組織を目指す志の高い方もいらっしゃるはず。今日の『7つの習慣』の話は、そんな方には大変参考になると思います」

佐藤氏は、「日本経営品質賞」の仕組みをつくった大久保寛司氏に、毎月勉強会を開いてもらっていると語る。その大久保氏がよく使う「雰囲気は能力である」という言葉を紹介した。「職場の雰囲気がよいところは成果を上げています。雰囲気は力です。組織の雰囲気を作るうえで『7つの習慣』は役に立ちます。2年から3年程度、本気で『7つの習慣』に取り組めば、コミュニケーションの中身、人間関係が変わり、社風も確実に変わっていきます」

同じ研修プログラムを実施しても、成果の出る会社と出ない会社がある。研修内容を工夫して自分たちで回していける会社や、研修内容が浸透していきやすい組織はどこが違うのか。「教えが浸透しない会社の社員は、『会社が○○してくれない』『上司が的確な指示を出してくれない』などと考えます。組織が、顧客が、景気が、と自分以外に原因があると考える。こんな他責の文化に染まっている組織は本当に動きません。自分は変わる必要がないと思っているわけです。こんな組織は変われません」

物事を考えるときの主語が何かということは、人の深層心理を的確に表現している。佐藤氏は、自責の組織ならば「自分が」となると語る。

講演写真

“成功に関する文献”研究から生まれた「7つの習慣」

次に佐藤氏は、京セラ名誉会長の稲盛和夫氏の言葉「人生の成果=能力×熱意×考え方」を紹介した。ここで特に大切なのは「考え方」だ。「これはかけ算ですから、互いの要素がカバーし合えます。でも、考え方にはプラスからマイナスと幅がある。もし最後の『考え方』がマイナスだと、答えすべてがマイナスになるわけです。プラスの考え方、まっとうな考え方を持つことがビジネス人生においては大事です。このことを『7つの習慣』は教えてくれます」

ジェイックが研修事業の主題とする『7つの習慣』は、米国のスティーブン・R・コヴィー博士が、米国建国以来200年間に発刊された“成功に関する文献”をすべて研究してまとめたものだ。その書籍は世界で3000万部を販売している。博士は文献を研究する中で、はじめの150年間とそれ以降の50年間の文献に、大きな違いがあることを発見する。それは、はじめの150年間が、成功の条件として『人格の大切さ』を共通して説いていることに対し、後の50年間では『テクニックやスキルを素早く身に付けることが秘訣である』と説く文献が多かったという事実だ。

「博士ははじめの150年間に着目し、継続して成功し続け、効果的な人生を送るために必要な要素の体系づけを行いました。『7つの習慣』はその集大成です。この中には博士独自の教えは多くありません。あくまでも、文献から体系づけられた教えが数多く述べられています」

この本が述べる人材育成の着眼点は、目に見えにくい「人格」の部分にあるという。目に見えやすい「能力」は、見えにくい「人格」の影響を受けている。表面には見えていないが、その人を支えているものが人格だ。「人格について考えることが、人としてのあり方を考える体系となります。これは簡単なテクニックといったものではありません。何度も何度も本を読むことで、この考えが自分の中に浸透していきます」

「自ら変化を起こし、相手との違いを認める」ことの意義

佐藤氏はここで『7つの習慣』の基本概念について説明した。一つ目は「インサイドアウト」のアプローチだ。これは個人が変わることでチームが変わり、それによって組織が変わるという、内側から外側に働きかけていくアプローチだ。

「人を変えようとしても、なかなか変わりません。でも自分が変わると、不思議に周りが変わっていく。これは、周りから変えようとしても変わらないという原理原則です。『7つの習慣』のほとんどは、こうした原理原則に基づいています」

コヴィー博士は、「問題は自分の外にあると考えるならば、その考え方こそが問題である」と語っている。問題は外ではなく、自分の中にある。「部下が動いてくれない」となげくのでなく、「指導力のある自分になれ」ということだ。原因はすべて自分にある。

「例えば、私は普段家事をまったくしませんが、家で正月にちょっとしたことで妻とケンカしました。それで私は2週間、食器の片づけを黙々と続けたのです。すると、妻はだんだん優しく接してくれるようになりました。自分が優しくなれば、周りも優しくなる。これは人間関係の原則です。自分から変われば、人は見てくれていて誠意が伝わり、相手が変わってくる。これは社内でも社外でも同じ。これがインサイドアウトです」

講演写真

次に佐藤氏は、『7つの習慣』の基本概念の二つ目を紹介した。パラダイム転換だ。パラダイムとは、自分たちの見方、理解の仕方、アタマの中の地図のことだ。「モノの見方を変えることが、仕事での成果を変えていきます。人は自分が以前に経験したものが自身のフィルターとなっている。それによってモノの見方は個々で異なっているのです。年齢や出身地が違うと価値観が違ったりします。個人ごとに自分のパラダイムがあるのです」

「7つの習慣」を学ぶと、一つひとつの習慣があなたの固定観念に働きかけ、新しい発想やよい思考回路を生みだしていく。「小さい変化を起こしたければ行動を変えればいい。ですが大きい変化を期待するならば、パラダイムを変える必要があります。自分のモノの見方を変える。人のパラダイムと自分のパラダイムが違うことを確認する。『7つの習慣』を学ぶと、上司と自分のパラダイムが違うとか、製造と営業の部長はパラダイムが違うなと気付きます。これが成熟したコミュニケーションであり、相手の違いを認めるということです」

「7つの習慣」の考え方では異論は歓迎される。二人が同じ意見では意味がない。違う意見を持っていることは当然であり、それを認め合うことでチームのレベルが上がっていく。パラダイムの違いに気付くことで、コミュニケーションが変わっていく。

「私たち」「我々」という言葉を使う裏にある証

三つ目の基本概念は「成長の連続体」だ。「7つの習慣」は人を「依存」から「自立」させ「相互依存」へと導く成長プロセスだ。その過程に「7つの習慣」が大いにかかわってくる。「第一の習慣:主体性を発揮する、第二の習慣:目的をもって始める、第三の習慣:重要事項を優先する。この三つは『私的成功』と呼ばれ、自分との約束を守って自分に対する自信を高めていこうというステージです」

それに対して、第四の習慣:Win-Winを考える、第五の習慣:理解してから理解される、第六の習慣:相乗効果を発揮するは、『公的成功』と呼ばれ、信頼の文化を作っていくステージとなる。最後に第七の習慣:刃を研ぐ、がある。

「私たちには依存→自立→相互依存という三つの成長ステージがあります。皆さんの組織が今どういう状態にあるのか、想像してみてください。人は基本的に依存の状態から始まります。赤ちゃんや子どもは、親がいなければ生きていけない。子どもはよく自分以外のことを話題にします。『あなた』が主語となっている。そんな人は依存しています。自立していないわけです」

主体が「自分」になるとようやく自立する。しかし、「7つの習慣」では主語が「私」となっても、ゴールではない。あくまでもその次にある「私たち」だ。「世の中で大きな成果を上げている人たちは、『我々は』『私たちは』と語ります。その感覚になれることがすごく大事なのです。米国のスーパー業界で15年以上成果を上げ続けている会社・ウォルマートと、途中でダメになった会社・Kマートはどこが違ったか。比較したデータがあります。互いのエグゼクティブの言葉の主語をカウントしたところ、ウォルマートは『私』より『我々』をよく使っていた。Kマートのエグゼクティブは『我々』より『私』をよく使っていたのです」

佐藤氏は、「私たち」「我々」という言葉を使うようになった組織は絶対に強くなると語る。なぜならそれが「共同体意識が強くなった」「チームワークや信頼関係が強くなった」という証となるからだ。最後に「ぜひ皆さんも、『私たち』と言いたくなる『7つの習慣』研修を体験していただきたい」と講演を締めくくった。

*「7つの習慣 ®」は、フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社の登録商標です。

講演写真
本講演企業

「企業のホームドクター、人材のメンターになり、人と組織の限りない可能性に貢献し続ける」これが、ジェイックが掲げるミッションです。 我々は、このミッションのもと、研修事業と採用支援事業を展開しており、一人でも多くの雇用を生み出し、一人でも多くのビジネスパーソンの人生が輝き、一社でも多くの中小企業が「いい会社」と言われる存在になるために、社員一人ひとりが日々奮闘しています。 我々の提供する研修は、『7つの習慣®』を筆頭に、我々が自分たちで実施してみて、「これは効果があるぞ!」と確信を持っているものばかりです。実際に自分たちが体感してみる、そして、本当にいいものだけを自信を持ってご紹介する――そのことに徹底的に注力して、事業を展開しています。

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