週休二日制導入にあたり解決する課題について
医療法人で、職員268名の母体です。
病棟勤務者と外来勤務者とで勤務形態が異なっており、変形労働時間制を採用しています。
群市医師会は開業医が会員の8割を占め、木曜日と土曜日の午後休診がほぼ100%です。同様に当法人で木・土を半休として週休二日とする場合、月内で、平日1日休みにした場合と、木・土の半日を1日に換算する場合で、差異が生じてしまいます。
このような差異を解消する方法として、病棟勤務は平日に1日休みで週休二日はシフト勤務作成上で可能、外来勤務者は半日づつの消化で月内の端数の日時や年間での端数の差異がでてきます。
勤務場所での差異の考え方を統一し、不平等感をなくすために法的な解決策をご教示いただきたいと存じます。よろしくご指導をお願い致します。
法人事務長
投稿日:2025/06/30 12:11 ID:QA-0154717
- セントラルさん
- 沖縄県/医療・福祉関連(企業規模 101~300人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
医療法人における病棟勤務者・外来勤務者間の勤務形態差(特に「半休」と「平日1日休み」の取り扱い)による不平等感の解消について、労働法上の視点からの解決策を以下に体系的にご提案いたします。
1.前提の整理
項目→病棟勤務者→外来勤務者
勤務形態→変形労働時間制(シフト制)→固定曜日半日休(木・土)
休日扱い→平日1日まるごと休み(例:火曜など)→木・土の午後を「半休」×2で週休2日相当と解釈
問題点→1日単位 vs 半日単位の扱いの違いにより、月間・年間労働日数や休日数に微妙な差が出る(≒不公平感)
2.労働法上の原則
(1)週休2日制は「1週に2日の休日を与えればよい」
労働基準法では、週1回以上の休日(法定休日)の付与が義務です(労基法第35条)。
週休2日制は法定外の任意制度であり、「1日」か「半日×2」かは会社が合理的に定められれば問題ありません。
→つまり、「木・土の午後を合わせて1日休み扱いにする」こと自体は違法ではなく、就業規則等で明確に定めていれば適法です。
(2)変形労働時間制においては、「総労働時間」が一致していれば形式上の休日日数に多少差があっても違法にはならない
例えば、1か月単位の変形労働時間制では、
月160時間の労働が想定されていれば、
「8時間×20日」でも、
「4時間×40日」でも、合計労働時間が同じであれば合法
→端数が生じること自体が違法ではないが、職員間の納得性が問われます。
3.解決策:3つのアプローチから検討
(A)就業規則等で「半休×2=1日休」と明示して換算ルールを統一
形式の違い(午前だけ働く vs 丸1日休む)にとらわれず、換算方法を統一することで公平感を醸成
→ 就業規則・勤務管理規程などに以下のような一文を明記
「週の勤務時間の短縮を目的として、木曜午後および土曜午後の勤務を免除された場合は、これを1日分の休日取得とみなす。」
◎利点:実運用に近く現実的。形式は違っても「結果的に週休2日」となる。
◎注意点:職員へルールの丁寧な説明と文書化(周知)が不可欠。
(B)年間所定労働日数・所定労働時間ベースで均衡を取る
→全職種の所定労働日数・時間を「年間トータル」で揃える
たとえば、病棟勤務:週40時間、年間所定労働日数240日(8時間×240=1920時間)
外来勤務:半日勤務を含めた年間総労働時間が同程度になるよう調整
→月単位・週単位の端数差が出ても、年単位で公平性を担保
◎利点:法的にも実務的にも有効な公平基準
◎必要な対応:
職種ごとの年間労働時間数の見える化
各種制度(年休、特別休暇など)における付与条件の統一
(C)勤務体系を柔軟化し、外来部門でも「シフト制」に寄せる
病棟勤務と同様、外来勤務者にも「平日1日まるごと休み」を導入(週1回午後×2を廃止)
木・土午後の休診に合わせて、午前出勤+午後自動的に休みとなる日を「半日勤務」とせず、1日の休日扱いとする方法も検討
→例:
「木曜日と土曜日は1日勤務日だが、午後休診のため実質半日勤務日として取り扱う。その代わり、別日に完全休日を設定」
◎利点:制度として統一され職員にわかりやすい
◎留意点:外来の業務運営上の制約を受けやすいため、段階的導入や試行が望ましい
4.おすすめの組み合わせ
病棟勤務→外来勤務→採用策
シフト制→固定制(木・土午後半日)→(A)+(B)を併用が現実的
変形労働時間制→同左→両者とも同じ変形労働時間制で統一
不平等感→出やすい→換算ルール明示と年単位集計で緩和
5.補足:導入の手順例(院内合意形成含む)
(勤務形態調査):病棟・外来の実際の労働時間と休日取得実績を比較
(案の提示):「半休×2=1日休」等の明文化・換算ルール案
(職員説明会):公平性の説明(感覚の違いを解消)
(就業規則改定):労基署提出・労使協定の見直しがあれば同時に対応
(システム対応):勤怠集計・有休計算ロジックの確認・統一
6.まとめ
法的には「半休×2=1日休」と扱っても問題ない
年間所定労働時間ベースの公平性確保が実質的な解決策
文書化と説明がカギ(制度の見える化+運用ルールの明文化)
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/06/30 14:46 ID:QA-0154722
相談者より
詳細なご説明を頂き、誠にありがとうございました。職員間や職制、勤務場所で勤務内容が異なっても総労働時間が同じであれば、時間外勤務計算や短時間当たりの時給計算等にも影響がないように思えます。従業員に不利益がないように、就業規則等でも明記するように検討させていただきます。
ありがとうございました。
投稿日:2025/06/30 16:00 ID:QA-0154728大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
不公平感を軽減するという意味では、「年間の総労働時間を一致させる」に
尽きるところかと存じますが、病棟と外来で、そもそも休日のスタイルが異なり
ますので、両者間での不公平感が解消しない場合は、何かしらの手当支給で
均衡を保つのも選択股としてはございます。
いづれにせよ、労使協議が必要な内容でございますので、病棟・外来従業員側の
双方の意見も聞きながら、経営として着地点を見極めてください。
投稿日:2025/06/30 17:51 ID:QA-0154737
相談者より
ご回答を下さりましたが、返信が遅くなり大変失礼しました。人事としては、不公平感があると、職員モチベーションも考慮したく、「年間の総労働時間を一致させたい」と思いましたが、働く部署と内容がことなるため、職員への業務内容の理を行う事にしました。
先生のご指摘のように、「労使協議が必要な内容」で病棟・外来従業員側の双方の意見も聞き入れて最適な状態で着地点を見極めたいと思います。ありがとうございました。
セントラル
投稿日:2025/07/22 12:39 ID:QA-0155729参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、法的な解決というのは労働基準法や就業規則に定められている労働時間や休日の定めに従っていれば達成されるものになります。
従いまして、御社の場合でも、各々異なる勤務形態であってもこれらの定めに基づいている内容であれば問題はございません。
仮に多少の差異が生じましても、入社された時点で提示された労働条件で合意の上就労されているはずですし、逆に全ての職員が全く同じ労働条件で勤務されている事の方が珍しいですので、現状不満の声が上がっていなければ敢えて早急に変更される必要性まではないものといえるでしょう。
投稿日:2025/07/01 19:18 ID:QA-0154756
相談者より
労基への相談の結果、先生の指摘通りでした。ありがとうございました。
各部署での勤務条件が異なっている所を職員に周知し、法的に本題無い点を説明して実施し行きたいと思っております。
確かに、入社時の雇用契約にも労働条件合意されておりますので、大きな問題点はないものと思っております。ありがとうございました。
セントラル
投稿日:2025/07/22 12:42 ID:QA-0155730参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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