閑散期があるパートタイマーの社会保険加入時報酬月額について
パートタイマーの社会保険加入についてご教示ください。
労働契約条件は週4日・1日あたり5時間勤務で月の労働時間数20時間・月額賃金88,000円以上となるパートタイマーを1年毎の契約で採用予定なのですが、1年間の内、夏に1.5か月と春に1か月、閑散期(出勤が無い)があります。
社会保険加入の為の標準報酬月額算出の為に以下の2パターンで計算いたしました。
①通常月の条件(週4日・1日あたり5時間勤務)により標準報酬月額を計算。
②採用後1年間の出勤日数(見込み)を12か月で割って算出した、平均出勤日数(1か月)に1日の勤務時間(5時間)を乗じて標準報酬月額を計算
①の場合は社会保険加入条件を満たすのですが、②の場合は標準報酬月額が88,000円を下回ってしまいました。(交通費も加算しています)
実際の賃金額に近しい金額を計算することで毎月の保険料が過大にならないようにできないか、と②の計算をしましたが、②では加入条件に当てはまりません。
全く勤務の無い月がある場合のパートタイマーについて、①が正しいのか②が正しいのか、それともその他の計算方法があるのか、ご教示いただけないでしょうか。
知識不足で申し訳ございませんが、何卒よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/21 15:59 ID:QA-0159730
- 人事担当1さん
- 愛知県/その他業種(企業規模 501~1000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 結論
社会保険の加入要件判定および標準報酬月額の設定は、
「通常の就労・賃金の状態(平常時)」を基準に判断します。
よって、あなたのケースでは(1)が正解 です。
すなわち、閑散期の「一時的な非勤務期間」を平均化して月額を減らす必要はありません。
加入・標準報酬ともに 通常勤務時の賃金を基礎 に設定します。
2.社会保険加入要件の原則
加入判定の基準(厚労省「短時間労働者の適用拡大Q&A」より)
短時間労働者であっても、「通常の就労形態における所定労働時間および所定労働日数」を基準に、一般被保険者の4分の3以上に該当するかで判断します。
つまり、「閑散期がある」「繁忙期のみ勤務が増減する」といった季節的変動は、一時的な例外であり、年間平均で割るのではなく、契約上の通常状態で判断します。
3.あなたの事例の判断(社会保険加入要件)
条件→内容
契約内容→週4日 × 1日5時間 = 週20時間
月平均労働時間→約80時間前後
月額賃金→88,000円以上(交通費込み)
雇用契約→年度更新制(1年)
閑散期→夏1.5か月+春1か月(計2.5か月)勤務なし
→ 通常の就労形態が「週20時間・月88,000円」であれば、
社会保険の加入要件を満たす(被保険者) と判断します。
閑散期の勤務休止があっても、それが
雇用関係が継続しており(契約が切れていない)、
一時的に業務がないだけ(解雇・休職・契約停止でない)
であれば、その間も社会保険資格は継続です。
4.標準報酬月額の設定
(1)標準報酬月額の原則
健康保険法第41条・厚年法第22条によれば、
「報酬月額は、通常の報酬を基礎として見込み額で決定する」
(2)適用すべき基礎
厚労省通達「昭和60年6月27日保険発第54号」によれば:
報酬月額は、恒常的に支払われる賃金を基礎とし、
臨時・不定期の欠勤や季節的変動を平均化してはいけない。
したがって、
通常月(週4日×5時間、月88,000円)の状態を基礎に算定します。
閑散期の非勤務月を含めて12か月平均で割り、
標準報酬を引き下げるのは誤りです。
5.保険料の取扱い(閑散期)
閑散期に勤務・賃金が「0円」となる場合:
雇用関係が継続していれば、社会保険資格も継続します。
その間も「資格喪失」はせず、保険料は賃金支払がなくても発生します。
(※事業主負担・本人負担いずれも要)
実務的には「賃金から控除できないため、本人から別途徴収」します。
6.補足:資格喪失の判断基準
一時的に出勤がなくても、以下のいずれかに該当しない限り資格喪失しません:
状況→社保資格
雇用契約が継続している(閑散期)→継続
雇用契約を一時中断・終了→喪失
実質的に「出勤見込みなし」で再契約予定も未定→喪失(離職扱い)
7.まとめ(あなたのケース)
項目→判断・処理方法
社保加入判定→通常時(週20h・月88,000円)で判断=加入対象
標準報酬月額→通常勤務時の報酬((1)の方法)で算定
閑散期の非勤務鵜→雇用関係継続中なら資格継続・保険料徴収必要
平均化算出(2)→誤り(季節変動は除外して算定)
8.実務運用アドバイス
就業規則または雇用契約書で
「閑散期の勤務休止は雇用継続中である旨」明記しておくと安全です。
(例:「業務の都合により一時的に勤務を要しない期間を設けることがある。この期間も雇用関係は継続する。」)
年度更新時に就労条件が大きく変わる場合は、標準報酬の随時改定(定時決定)対象外であることにも留意。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/21 17:45 ID:QA-0159738
相談者より
詳細なご説明、本当にありがとうございます。
大変勉強になりました。今後の運用に関する助言も大変助かりました。
投稿日:2025/10/22 10:32 ID:QA-0159769大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
ご提示のケースでは、週の所定労働時間が20時間(週4日×1日5時間)であり、
この所定労働時間は、閑散期を除いた「通常月」をベースに判断します。
よってご記載の、「1」の方で判断するのが正しいとなります。
投稿日:2025/10/21 18:42 ID:QA-0159744
相談者より
ご回答くださりありがとうございます。
大変参考になりました。
投稿日:2025/10/22 10:33 ID:QA-0159770大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
①が正しい運用となります。
労働条件が週4日、1日あたり5時間勤務で月の労働時間数が20時間、月額賃金88,000円以上で契約したわけですから、当該契約を基に判断することで差支えはございません。
夏に1.5か月、春に1か月の閑散期(出勤が無い)日があっても、その期間を除く月が契約どおりであれば、それで大丈夫です。
投稿日:2025/10/22 08:43 ID:QA-0159756
相談者より
ご回答くださりありがとうございます。
大変参考になりました。
投稿日:2025/10/22 10:36 ID:QA-0159771大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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