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【ヨミ】ヒョウジュンホウシュウゲツガク 標準報酬月額

「標準報酬月額」とは、社会保険料を算出する際の基準となる報酬です。決定時期や計算方法、対象となる報酬など、細かなルールが定められています。ここでは、社会保険労務士監修のもと、標準報酬月額および標準賞与額の算出方法を解説します。
(2015/10/28掲載)

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1. 標準報酬月額・標準賞与額とは

社会保険料は労働者の標準報酬月額・標準賞与額によって決まります。決定方法や時期、対象となる報酬を見ていきましょう。

標準報酬月額とは

社会保険には厚生年金保険・健康保険・介護保険・雇用保険・労災保険の五つがあります。標準報酬月額とは、労使折半で負担をする厚生年金保険・健康保険・介護保険の三つを算出するための基準となる報酬を指します。被保険者が事業主から毎月受ける給料などの報酬額を区切りの良い幅で区分しており、健康保険では都道府県ごとに1~50等級、厚生年金保険は1~31等級に区分されています。

例えば、毎月の受け取る給与(通勤や残業などの各種手当含む)が230,000 〜250,000 円の場合、標準報酬月額は19等級となります。この標準報酬月額と税引前の賞与総額から1,000円未満を切り捨てた標準賞与額(※)によって、保険料や保険給付の額を算出します。

(※)健康保険は年度累計額573万円、厚生年金保険は1ヵ月あたり150万円が上限

標準賞与額とは

標準賞与額は、原則として支給された賞与額の1,000円未満を切り捨てた額となります。例えば、賞与の年間支給総額が98万5,000円だった場合、標準賞与額は98万円となり、これに対して保険料が計算されます。標準賞与額には、健康保険・厚生年金ともに上限があり、一定の上限を超える標準賞与額には健康保険料・厚生年金保険料がかかりません。

標準賞与額の上限は健康保険の場合、毎年4月1日~翌年3月31日までの「1年間累計」が573万円まで、厚生年金の場合は「1ヵ月ごと」の上限が150万円までとなっています。特に健康保険の標準賞与額は、年度をまたぐかどうかで保険料に大きな差が出ます。

例として、7月・12月・3月に分けて支給された賞与の合計が600万円だった場合は、573万円分までが標準賞与額とみなされ、保険料の計算対象となります。

標準報酬がある理由

社会保険料を毎月一人ずつの報酬から計算していくと、業務が煩雑になります。標準報酬は、社会保険に関する業務をできるだけシステム化し、事業主が保険料などの計算をしやすくするために設定されています。また、労働者も自分が支払う社会保険料を把握しやすくなるメリットもあります。

標準報酬の対象となる報酬

「標準報酬」の対象には、基本給のほか次のものが含まれます。

役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、日直手当、宿直手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、事業所から現金または現物で支給されるものなど

現金や現物支給の価額は、都道府県によって異なりますので下記を参考にしてください。

標準報酬月額の決定方法と時期

標準報酬月額は基本的に、毎年1回、4~6月の報酬額の平均で決まります。

事業主は被保険者の実際の報酬と標準報酬月額とに大幅な差が生じないよう、毎年4~6月の報酬月額の「算定基礎届」を提出します。この算定基礎届に基づいて、毎年1回、標準報酬月額が決まることを「定時決定」といいます。定時決定で決まった標準報酬月額は同年の9月から翌年8月まで適用されます。

中途採用などで定時決定時期以降に入社した社員の場合、「被保険者資格取得届」を提出することで資格を取得し、資格取得月から翌年8月まで適用されます。届け出を提出した時点では報酬額が決定していないため、今後受け取るであろう「1ヵ月あたりの報酬見込み額」で取得届を提出します。所属部署で残業などが見込まれる場合は、同部署の社員の平均残業時間などを参考に、残業手当を見込んで含めます。

また、育児休業などで、休業中にも社会保険が適用となっている状態から会社へ復帰した場合、復帰後に見込まれる報酬と、有給休業中の報酬にかなりの差が生じます。この場合は育児休業などを終了した時点で、被保険者が事業主を経由して標準報酬月額を改定した上で決定します。この場合、事業主は「健康保険・厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出する必要があります。

パートタイマーの報酬月額決定方法

パートタイマーやアルバイトの場合は、1ヵ月あたりの勤務日数が17日以上かそれ未満かによって、標準報酬月額の決定に影響します。

パートタイマーの報酬月額決定方法

支払基礎日数 標準報酬月額決定方法 年功序列
4〜6月とも17日以上 3ヵ月の報酬月額の平均額を基に決定 勤続年数や年齢
4〜6月に17日以上の月が1ヵ月以上ある   17日以上の月の報酬月額の平均額を基に決定   職種によらない公平性があるが、業績を上げても評価と連動しないことから、ハイパフォーマーが不公平感を抱きやすい
4〜6月に3ヵ月とも15日以上17日未満 3ヵ月の報酬月額の平均額を基に決定 社員の高齢化により増大
1ヵ月または2ヵ月は15日以上17日未満(ただし1ヵ月でも17日以上ある場合は除く) 15日以上の月15日以上の月の報酬月額の平均額を基に決定   高い傾向
上記のどれも満たさない 従前の標準報酬月額で決定 評価基準が一律のため、負荷は小さい

大幅な給与の変更があったら?~標準報酬月額の変更(改定)

定時決定で適用されている標準報酬月額が、大幅な昇給や降給などで実態とそぐわなくなった場合、随時改定により新しい報酬月額に変更されます。これを「随時改定」と呼びます。

以下の条件を全て満たしている場合、定時決定を待たずに月額変更届を提出することで、標準報酬月額を変更できます。

  • 昇(降)給などの固定的賃金の変動に伴って大幅に報酬が変動し、2等級以上の差が発生している
  • 変更月以後引き続く3ヵ月とも支払基礎日数が17日以上である

報酬月額の対象が基本給だけではないことに注意する必要があります。例えば、遠方に転居して通勤手当が増えた場合、家族が増えて家族手当が増えた場合などは注意しなければなりません。

中途入社などにより、「被保険者資格取得届」を提出した後に報酬月額が実際と異なっていることが判明した場合は、資格取得時にさかのぼって「資格取得時報酬訂正届」の届け出が必要となります。
さらに、パートタイマーやアルバイトの場合、月ごとの報酬や出勤日数が大きく異なることもあるので注意しましょう。

2. 健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料の計算方法

労使折半となる社会保険料(健康保険・厚生年金保険・介護保険)の計算方法について見ていきましょう。

まず、社会保険料の計算式をまとめると以下の様になります。

社会保険料=健康保険料【標準報酬月額×健康保険料率×0.5】+厚生年金保険料【標準報酬月額×厚生年金保険料率(0.18)×0.5】+介護保険料【標準報酬月額×介護保険料率×0.5】
※労使折半した場合の双方の負担額

それぞれについて、詳しく説明していきます。

健康保険料

健康保険料は、次の方法で計算されます。

健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率×0.5

健康保険料の負担は、労使半分ずつとなるため、0.5を掛けることで労使双方の保険料がわかります。

健康保険料率は、加入する組織が健康保険組合(組合健保)か全国健康保険協会(協会けんぽ)かによって異なります。健康保険組合(組合健保)の場合は、属する組合によって異なります。例えば「エヌ・ティ・ティ健康保険組合」の場合、健康保険料の負担率は被保険者4.56%:事業主4.71%。「東京都電機健康組合」では被保険者4.50%:事業主4.70%の割合となっています(2019年7月現在)。

協会けんぽは都道府県によって料率が異なるので、下記ページを参照すると良いでしょう。

厚生年金保険料

厚生年金保険も労使の負担は半々です。そのため、0.5を掛けることで労使双方の保険料がわかります。厚生保険年金利率は、健康保険組合、協会けんぽのいずれも現在一律18.30%で固定されています。

厚生年金保険料=標準報酬月額×厚生年金保険料率×0.5

介護保険料

介護保険料も同様に労使の負担は半々で、次の式で計算されます。

介護保険料=標準報酬月額×介護保険料率×0.5

介護保険は40歳以上64歳未満の従業員(第2号被保険者)のみ、健康保険料と合わせて徴収されます。介護保険利率は組合健保の場合、所属する組合により異なります。例えば、「エヌ・ティ・ティ健康保険組合」では被保険者・事業主ともに0.76%、「東京都電機健康組合」はともに0.8%となっています(2019年7月現在)。

協会けんぽの場合は毎年変動していますが、全国一律で健康保険のように都道府県別の違いはありません。

3. 雇用保険料・労災保険料の計算方法

社会保険に含まれる、雇用保険・労災保険料の負担は労使折半ではありません。それぞれの計算方法について見ていきましょう。なお、これらの保険料の計算に標準報酬月額はかかわってきません。

雇用保険料

雇用保険料の負担は労使折半ではなく、業種によって労使の負担割合が異なります。例えば、一般事業の場合、被保険者3%・事業主7%、建築業の場合はそれぞれ4%と8%です。また、雇用保険は標準報酬月額ではなく月ごとの給与総額によって計算されます。

雇用保険料=毎月の給与×雇用保険料率

労災保険料

労災保険料は全額会社負担となり、同じ年度内に支払われた給与総額をもとに計算されます。原則3年ごとに労災保険料率が見直され、事業の種類によって利率が異なります。

労災保険料=年度内の給与総額×労災保険料率

4. 制度のポイントを理解してミスを防ぐ

社会保険の算出基準となる標準報酬月額は、含むべきものとそうでないものがわかりにくかったり、法律の変更や一人ひとりの昇給や別の理由などにより改定の必要があったりするため、煩雑さを感じるかもしれません。しかし、ミスがあってはならない業務の一つです。この記事を参考に標準報酬月額について理解を深め、ミスのない業務に努めましょう。

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