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社会保険・労働保険 手続き代行サービスの傾向と選び方
~全国の企業一覧~

社会保険・労働保険 手続き代行サービスの傾向と選び方

社会保険とは、医療・介護・年金に関する公的保険制度全般を指します。国民健康保険、国民年金なども社会保険に含まれますが、企業としてなじみのあるものとしては「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」があります。最初の三つを狭義の社会保険、残りの二つを労働保険と呼ぶのが一般的です。
社会保険・労働保険は、従業員の入社や退社ごとに手続きが発生するだけではなく、労働保険の年度更新や、健康保険・厚生年金保険の算定基礎届など、毎年時期が決まっているものもあり、労務管理担当者にとっては負担の大きな業務です。また、手続きを代行できるのは社会保険労務士に限られるなど、ソリューション企業を選ぶうえで制限もあります。手続き代行サービスを検討する際の比較ポイントを見ていきます。

社会保険・労働保険の実務

社会保険、労働保険の基礎について解説するとともに、会社が行う実務を紹介します。

狭義の社会保険・労働保険とは

社会保険とは、医療・介護・年金に関する公的保険制度のこと。けがや病気、出産、死亡したときの補償や、失業時の補償などが含まれます。社会保険には、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の五種類があります。このうち、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」の三つを狭義の社会保険と呼ぶのが一般的です。さらに、「雇用保険」と「労災保険」を合わせたものを労働保険と呼びます。

社会保険が適用される事業所には、「強制適用事業所」「特定適用事業所」など、いくつかの種類があります。2024年10月からは、短時間労働者に対する社会保険の適用が拡大され、常時51人以上の事業者が特定適用事業所となります。

一人でも雇用者がいる場合は、労災保険に加入しなければなりません。さらに、「1週間の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上の雇用の見込がある人」を雇い入れた場合は、雇用保険の適用対象となります。

社会保険・労働保険の手続きが発生するタイミング

社会保険・労働保険にまつわる手続きは、従業員の入社・退社のタイミングだけでなく、さまざまなシーンで発生します。

従業員を雇い入れたとき
社会保険 資格取得届:被保険者となった日から5日以内
雇用保険 資格取得届:被保険者となった日の属する月の翌月10日まで
従業員が退職したとき(または解雇したとき)
社会保険 資格喪失届:被保険者でなくなった日から5日以内
雇用保険 資格喪失届・離職証明書:被保険者でなくなった日の翌日から10日以内
従業員の転勤、引っ越しなど住所変更が生じたとき
社会保険 住所変更届:事実があった日から速やかに(マイナンバーが登録されている場合は不要)
雇用保険 転勤届:事実のあった日の翌日から10日以内
従業員が死亡したとき
社会保険 資格喪失届:被保険者でなくなった日(事実発生)から5日以内
雇用保険 資格喪失届・離職証明書:被保険者でなくなった日の翌日から10日以内
従業員が結婚したとき
社会保険 氏名変更届:事実があった日から速やかに(マイナンバーが登録されている場合は不要)
被扶養者異動届:事実のあった日から5日以内
住所変更届:事実があった日から速やかに(マイナンバーが登録されていない場合)
雇用保険 喪失届・転勤届などの手続きをする際に氏名変更欄に記載
従業員が出産、育児休業、介護休業したとき
社会保険 資出産手当金支給申請書、出産育児一時金支給申請書、産前産後休業取得者申出書、育児休業等取得者申出書
雇用保険 育児休業給付金支給申請書:休業開始日(または支給対象期間の初日)から4ヵ月を経過する日の属する月の月末(2回目以降は「次回支給申請日指定通知書」に記載あり)
介護休業給付金支給申請書:介護休業終了日の翌日から2ヵ月を経過する日の属する月の月末
従業員が病気やけがで休んだとき
社会保険 傷病手当金支給申請書
雇用保険 療養補償給付たる療養の給付請求書、療養補償給付たる療養の費用請求書、休業補償給付支給請求書

ほかにも、会社が毎年行わなければいけない手続きとして「労働保険年度更新」や「社会保険料算定」(月額算定基礎届)などがあります。どちらも毎年7月10日が締め切りで、6月・7月は人事部にとって業務負荷が高まる時期です。

さらに、給与の昇給による標準報酬月額の月額変更届や、短時間労働者の社会保険適用拡大、40歳を迎えた従業員からの介護保険料の徴収など、個々の従業員に合わせて行う手続きもあり、細かな管理が求められます。

社会保険・労働保険手続き代行を導入するメリットとデメリット

社会保険・労働保険手続きに関するサービスや企業の形態、アウトソーシングするメリットやデメリットを見ていきます。

社会保険・労働保険手続き代行で依頼できるサービスの種類

社会保険・労働保険手続き代行として依頼できる業務には、以下のようなものがあります。

【社会保険・労働保険手続き代行で依頼できるサービス】

  • 社会保険・労働保険の新規適用手続き
  • 社会保険・労働保険の加入や脱退手続き
  • 住所などの変更手続き
  • 育児休業や介護休業の給付金の書類作成・申請
  • 算定基礎届、月額報酬変更届作成、届出
  • 自社で上記の手続きを行う際のアドバイス、コンサルティング(独占業務の範囲外)

社会保険・労働保険手続き代行を依頼できるサービス企業の形態

業務負荷緩和や業務効率化のために、こうした諸手続きをアウトソーシングすることは珍しくありません。その場合、これらの手続き業務が社会保険労務士(社労士)の「独占業務」であることを踏まえて、代行先を検討する必要があります。

独占業務とは、社会保険労務士の資格を持つ人のみが、手続きの代行を認められているものです。自社の従業員が行うのであれば無資格でも問題ありません。外部に依頼する場合は、社会保険労務士以外が業務を行うと違法になります。

手続き代行の依頼先として、アウトソーシングを専門に請け負う法人組織や経営コンサルティング会社などを検討している場合は、法人が社会保険労務士法人となっていることを確認する必要があります。

【社会保険・労働保険手続き代行サービスを依頼できるアウトソーシング先】
社会保険労務士 有資格であり、独立して個人で事務所を営むケースです。
社会保険労務士法人 社会保険労務士の有資格者が設立した法人です。
コンサルティンググループやアウトソーシング専門会社 社会保険労務士事務所や社会保険労務士法人でなければ手続き代行はできません。給与計算は資格不要ですが、年末調整は税理士資格が必要です。
なお、労働社会保険諸法令に基づき支給される助成金に関するコンサルティングを行う企業でも、「手続き代行」は社会保険労務士資格を有する事務所・法人でなければ行えません。

社会保険・労働保険手続きをアウトソーシングするメリット

社会保険・労働保険の手続きを外部に依頼する場合、業務効率化や手続きの正確性の向上といったメリットがあります。

自社のコア業務に集中できる

従業員の入社や退社、転勤など、都度発生する手続き業務をアウトソースすることで、従業員は自社のコア業務に集中することができます。たとえば、入退社にまつわる社会保険・労働保険の手続き業務がなくなることで、新入社員のオンボーディング研修に力を入れたり、育児休業や介護休業の制度の整備を行ったりするなど、従業員の満足度向上、エンゲージメント向上につながる取り組みに注力できます。

正確な手続きを行える

法令に精通した専門家が手続きを行うため、手続きが不備なく実行できるようになります。不備があった場合、不利益を被るのは従業員です。手続きの正確性を向上させることで、人事部の業務負担を減らすだけではなく、従業員も安心して働けるようになります。

業務を効率化できる

近年は、クラウドシステムを提供する労務管理ソフト販売会社が少なくありません。システムを介することで、データの受け渡しがスムーズになります。従業員の情報を変更するだけで社会保険・労働保険の手続きと連携できるため、必要な社会保険・労働保険の手続きが最小限のやり取りだけで完結します。なおこの場合、手続きは労務管理ソフトを利用して自社で行うことになります。

社会保険・労働保険手続きをアウトソーシングするデメリット

一方、情報漏えいのリスクなどに注意しなければなりません。

知見が社内に蓄積しない

アウトソーシングによって、社内に「手続きがわかる人」がいなくなってしまう恐れがあります。すると、従業員からの保険に関する質問に対して回答するのに、時間がかかることもあるでしょう。アウトソーシング先にすべてを依存しない体制を検討することも必要です。

情報漏洩のリスクがある

従業員情報を外部とやり取りする場合、セキュリティ対策が行われていても、漏えいのリスクが存在します。依頼先を検討する際は、情報の取り扱い、セキュリティ対策について十分に確認すると共に、インシデントが発生した際の対処方法について確認しておく必要があります。

社会保険・労働保険代行手続きの選び方・比較ポイント

社会保険・労働保険の手続き代行先を検討するポイントについて紹介します。

自社の依頼したい内容に対応しているかどうか

労務管理や助成金のコンサルティング(相談)だけを依頼したいのか、手続き代行まで依頼したいのかによって、適切なアウトソーシング先は変わります。手続き代行を考えている場合は、アウトソーシング先が社会保険労務士業務ができる事務所または法人であることを、必ず確認しなければなりません。また、依頼したい手続きについてカバーしているかどうかもチェックします。

自社の組織規模に適したアウトソーシング先かどうか

たとえば数百人規模の組織や、グループ企業を抱える場合などは、個人ではなく、規模の大きい企業に依頼したほうが、安心感を得られるでしょう。従業員人数に応じて料金が発生するのかなど、料金形態によって満足度が変わるので、注意が必要です。

自社の労務管理システムと連携しているかどうか

自社で労務管理システムなどを利用している場合、アウトソーシング先とシステム連携の方法について確認しておくとよいでしょう。連携が可能な場合、システム移行の負担がなく、スムーズにアウトソーシングを依頼することができます。システムの切り替えが発生する場合は、どのような業務フローになるかを確認します。

全国の社会保険・労働保険手続き代行ソリューション企業一覧

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

HRソリューションの傾向と選び方

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この記事ジャンル 社会保険

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