1か月単位の変形労働時間制、勤務変更という言葉
職場の労務管理では勤務変更(あるいはシフト変更)という言葉は日常的に使われています。また1か月単位の変形労働時間制の解説文、厚労省の通達、裁判の記録等を見ると、どのような場合に勤務変更ができる、できないに対する理解も大切だと感じています。
ところが、勤務変更という言葉は法律用語でないためか、これを定義したものは見あたりませんでした。このためか言葉が曖昧に使われているように思います。そして勤務変更がはっきりしないと、どの時間が残業時間になるか、つまり残業時間の確定にまで影響してしまうように思いました。
そこで私なりに1か月単位の変形労働時間制における勤務変更と残業の定義と両者の関係を表すことを試みました。
「勤務変更とは、所定労働時間を発生または消滅させることをいう、所定労働時間外または法定労働時間外に働かせることを残業させるという。」
そしてこのような文言を例えば就業規則に書いてしまえば、曖昧さによって起こるトラブルが予防出来ると考えたのですが、このアイデアはいかがでしょうか?
投稿日:2025/04/25 06:30 ID:QA-0151475
- Aviarさん
- 東京都/保安・警備・清掃(企業規模 3001~5000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、いずれも法令上定義された用語ではございませんので、就業規則で定義される事で意味内容を明確に出来るものになります。
従いまして、示されたような定義をされても差し支えございません。
投稿日:2025/04/25 08:59 ID:QA-0151485
相談者より
ありがとうございました。
就業規則に書きこむやり方で意味の明確化を行って良いのですね。
投稿日:2025/04/25 16:39 ID:QA-0151523参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問のケースでございますが、まず、「勤務変更」というワードについては、
当方も、内容がイメージできませんでした。
仰る通り、「勤務変更」は、貴社内における慣習的なワードになります。
その上で、「勤務変更」が何を指すのかを具体的に明示されませんと、
解釈論が複数発生し、社員側も事務側も混乱をきたすケースが生じます。
よって、「勤務変更」が何を指すのか等の内容は、明確に定め、全社へ
周知する必要があると考えます。
明示の手段として、会社規程に定めることも選択肢の1つだと思います。
但し、1ヵ月単位の変形労働時間制は、途中でのシフト変更は原則不可とされて
いる制度ですので、会社規程に定める場合は、法令観点との整合性がとれている
かの確認が必要です。
また、就業規則等の会社規程内に定める場合は、他の規定との関係性や、
適切な文言(表現)の使い方など、繊細に定める必要がありますので、
社労士等の専門家の確認工程を踏んでいただくことをお勧めいたします。
投稿日:2025/04/25 09:11 ID:QA-0151488
相談者より
ありがとうございます。
確かに私の職場で用いている勤務変更という言葉は社内における慣習的なワードです。
しかし、JR西日本(広島支社)事件・広島高判平成14年6月25日 においては勤務変更という言葉を繰り返し用いられ、1か月単位の変形労働時間制の労働時間の特定について説明しています。そしてこの裁判例が多くの専門家によって変形労働時間制の説明に用いられていると思います。
このような現実を踏まえると、勤務変更という言葉は単なる社内における慣習的なワードと片付けられないように思っています。
とはいえ、おそらく判決における勤務変更という言葉も、JR西日本の社内における慣習的な言葉をそのまま用いたに過ぎないのでしょうが・・・・・・。
会社規定に明示する場合の注意については、アドバイスありがとうございました。
投稿日:2025/04/25 22:27 ID:QA-0151532参考になった
プロフェッショナルからの回答
1.ご提案の文言の評価
「勤務変更とは、所定労働時間を発生または消滅させることをいう。所定労働時間外または法定労働時間外に働かせることを残業させるという。」
この定義は非常にクリアで、優れていると考えます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
非常に鋭い問題意識であり、実務的にも法的にもとても意義のあるアプローチだと思います。ご指摘の通り、「勤務変更」という言葉は労働基準法などの法律用語ではなく、実務上の便宜的な表現にとどまっているため、定義が曖昧なまま使われているケースが多いです。その結果、何をもって「所定労働時間の変更」とみなすのか、またそれが「残業」に該当するのか否か、といった点が争点になることは現実にあります。
1.ご提案の文言の評価
「勤務変更とは、所定労働時間を発生または消滅させることをいう。所定労働時間外または法定労働時間外に働かせることを残業させるという。」
この定義は非常にクリアで、次の点で優れていると考えられます。
(1)勤務変更の実質を定義している
単なる「勤務の入れ替え」ではなく、「所定労働時間の発生・消滅」という視点は本質を突いており、実務で混乱しやすい「シフト変更=残業ではないか?」という誤解を防げます。
(2)残業との線引きを明示している
所定時間か法定時間を超えたかどうかで残業か否かを区別する、というのは労基法の基本的な構造に即しており、分かりやすい整理です。
(3)就業規則等への明記による予防効果
曖昧さがトラブルを生むことが多いため、社内での共通理解の土台として就業規則に明記するのは非常に有効です。
2.実務的にもう少し明確にするためのアドバイス
就業規則等に反映する際には、次のような要素を加味しておくとさらに実効性が高まります。
(1) 勤務変更の手続きと制限の明記
例:
「勤務変更は、業務上の必要により使用者がこれを命じることがある。ただし、変更の内容は労使協定および労働基準法の範囲内とし、労働者に不利益な変更は合理的な理由なく行わない。」
(2) 予見可能性の原則
1か月単位の変形労働時間制では、**事前に勤務を特定すること(原則1ヶ月前にシフト表を確定するなど)**が前提です。勤務変更があまりに頻繁だと制度が無効と判断される可能性があるため、以下のような補足も考えられます。
「勤務変更は、原則として事前に通知した勤務表に基づいて行うが、やむを得ない業務上の事情がある場合に限り、合理的な範囲内で変更することがある。」
(3). 残業の定義と手当の支払い明記
例:
「所定労働時間外または法定労働時間外に労働を命じた場合には、時間外労働とみなし、割増賃金を支払う。」
3.結論
ご自身で定義された「勤務変更」および「残業」の区別は、法的な枠組みに即しながら、実務的な理解を助けるとても良い整理です。
その定義を明文化して、就業規則や労使協定などに反映することは、トラブルの予防・対応の双方に役立ちます。加えて、運用上の具体的なルール(通知のタイミング、変更の上限、手当の支払い等)も併せて明記すれば、より万全になるでしょう。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/04/25 09:41 ID:QA-0151493
相談者より
ありがとうございます。定義などいろいろ褒めていただき恐縮しています。
1か月単位の変形労働時間制において、例えばあらかじめ定めた休日に出勤させる場合であっても、①就業規則などを整備したうえで勤務変更が可能となって、残業(割増)が不要となる場合 ②勤務変更により出勤させることは不可だが、時間外労働を命じ残業(時間外)割増の賃金を支払う形で勤務させることが可能な場合 ③勤務変更で出勤であっても残業(時間外)割増賃金を支払う場合 があり、勤務変更と残業の関係は複雑です。
そして①③、②のどちらになるかは出勤を必要とする理由次第であるから労働現場の判断を必要とし、さらに①②③は給与支払い額の差になるので、給与管理の事務方の理解も必要となるはずですが、職場(会社)にはこのようなことをきちんと理解して実務をおこなっている人はどうやらいないようです。
実は私の定義の肝は、『勤務変更と残業とは排他的概念や事象ではない』ということがはっきりわかる表現にしたことです。この部分が現場で混乱してしまう元だと思うので。
もちろん本来なら社内で勤務変更という言葉を禁句とし、『あらかじめ設定された勤務日や所定労働時間の変更』などとすればよいのです。しかし現場では勤務変更が広く使われており、しかもスペシャリストの書いた1か月単位の変形労働時間制の説明に裁判例を用いる形でこの言葉を用いて説明が行われている以上、まず専門用語に準じる社内定義が必要で、そのうえで共通理解を得て使っていくのが良いだろうと考えました。
頂きましたアドバイスを参考にして、この定義を今後活用していけたらと思っています。
投稿日:2025/04/26 17:10 ID:QA-0151539大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
確かに、勤務変更(あるいはシフト変更)という言葉は日常的に使われますが、法に根拠があるわけではございません。
企業において、使用者、労働者双方で暗黙の了解のもとで運用されているに過ぎません。
ご相談者さまのアイデアであっても特段問題はございませんので、就業規則に明文化しておくことで差し支えはございません。
投稿日:2025/04/26 09:31 ID:QA-0151537
相談者より
ありがとうございました。
「勤務変更」が暗黙の了解がないのに社内では大事なところで使われて混乱のもとになっている。これが私が最初に社内で感じた問題でした。
暗黙の了解を確認がキチンとできていれば問題ない訳ですが、これは私の社内の問題なのでしょう。
投稿日:2025/04/28 11:19 ID:QA-0151558参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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