解雇予告手当について
お世話になります。
どうぞよろしくお願いいたします。
ハラスメントにより社員1名を諭旨解雇処分といたしました。
自主的に退職届を提出する猶予を通知日より1週間与えております。
今後ですが、①退職届を提出 ②退職を拒否 のそれぞれの場合の解雇手当について教えてください。ただし①の場合でも、当月末31日を退職するよう強制は可能でしょうか。
通知日 15日
回答期日 22日
①自主的に当月末までに退職する旨回答してきた場合、通知した15日から31日までの17日間を除く、13日分の解雇予告手当を支払う。(強制的に当月末31日と指定することは可能なのでしょうか)
②退職拒否の場合は、通知書記載の23日付で懲戒解雇になるので、通知した15日から23日までの9日間を除く、21日分の解雇予告手当を支払う。
また、①の場合31日までの間に有休消化も可能でありその場合は、有給と解雇手当の両方を支払うこと。
上記問題点をご教示いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/12 08:49 ID:QA-0159398
- はらっぺさん
- 埼玉県/その他業種(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.退職届を提出した場合(諭旨退職扱い)
(1)退職日指定の可否
会社が「退職届の提出を促す」ことはできますが、退職日はあくまで労働者の意思表示によるものであり、会社が一方的に31日と強制指定することはできません。
ただし、次のような運用が実務的です。
「22日までに退職届を提出した場合には、31日付退職として受理します。提出がない場合は23日付で懲戒解雇とします。」
このように“31日を退職日として扱うことを条件付きで明示”しておくと、実務上は労働者も同意して提出するケースが多く、法的リスクも小さいです。
(2)解雇予告手当の要否
退職届が提出されれば、使用者からの解雇意思表示は失効(撤回)し、「自己都合退職」扱いとなるため、
→ 解雇予告手当は不要です。
ただし、形式上「諭旨退職」を選ばせたものの実質は解雇と同視されるような場合(退職届提出が事実上強制された等)は、解雇とみなされ、予告手当支払い義務が発生する可能性があります(東京地判昭和60年2月26日ほか多数の判例)。
2.実務ポイント
退職届の文言は「自己の意思により退職します」とし、会社の指示・圧力によるものとならないよう注意。
通知文書や議事録にも「退職を勧奨したが、本人が自らの意思で退職を選択した」と記録。
3.有給消化との関係
有給休暇は、退職届提出後、会社が承認すれば消化可能です。
この場合、
有休分の賃金は通常どおり支給。
解雇予告手当は不要(そもそも解雇ではないため)。
4.退職を拒否した場合(懲戒解雇)
(1)予告手当の要否
懲戒解雇は原則として即時解雇に該当するため、予告手当(30日分)は不要です。
ただし、懲戒解雇に「重大な背信性」がなく、普通解雇と同視される程度の場合には、行政指導上「解雇予告手当を支払うことが望ましい」とされています(昭和23年基発163号ほか)。
したがって、
就業規則上の懲戒事由(ハラスメント等)が明確で、
社内調査・弁明の機会を与え、手続が適正
であれば、予告手当不要が原則です。
しかしご質問のように「通知日15日→解雇日23日」としており、8日間の猶予期間を与えているため、法的には予告日数8日分の予告済みと扱えます。
よって、
30日 − 8日 = 22日分の解雇予告手当
を支払う形でも法令違反にはなりません(会社のリスク回避としては妥当)。
5.有給消化と解雇予告手当の併用
有給休暇は「労働義務を免除して賃金を支払う制度」
解雇予告手当は「予告期間を短縮するための金銭補償」
であり、性質が異なるため両立します。
したがって:
解雇日までに残有給を使用 → 有休分の賃金を支給
解雇日までの期間が30日に満たない → 不足分の予告手当を支給
という併用は適法です。
6.問題点・整理
事項→内容→留意点
諭旨退職扱い→解雇予告手当不要→強制・誘導がないよう記録を残す
退職日指定→一方的指定不可→「31日付退職として受理する」旨の文面で誘導は可能
退職拒否・懲戒解雇→原則即時解雇で予告手当不要→社内調査と弁明機会の確保が必要
有休消化→可→解雇予告手当と重複しても問題なし
7.推奨文言(通知書例)
貴殿の行為は就業規則第○条(懲戒事由)に該当し、懲戒解雇相当と判断します。
しかしながら、諭旨により自ら退職を申し出る機会を与えるため、令和○年○月22日までに退職届を提出する場合には、同年○月31日付退職として受理いたします。
期限までに提出がない場合は、同年○月23日付で懲戒解雇といたします。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/14 09:37 ID:QA-0159404
相談者より
ありがとうございます。
とても参考になりました。
推奨文言もご教示いただきありがとうございます。
投稿日:2025/10/14 11:27 ID:QA-0159413大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
1について・・・
↓ ↓ ↓
諭旨退職は解雇ではなく、退職となるため、原則として会社は解雇予告手当を
支払う義務自体ありません。
2について・・・
↓ ↓ ↓
ご認識の通りです。
有給休暇との併用について・・・
↓ ↓ ↓
有給休暇の賃金と解雇予告手当は両方支払う必要があります。
有給は労働日の賃金であり、解雇予告手当は、予告期間不足に対する
補償であるため、性質が異なります。
投稿日:2025/10/14 11:06 ID:QA-0159411
相談者より
ありがとうございます。
諭旨退職の場合、解雇予告手当が不要とのことよくわかりました。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/10/14 11:28 ID:QA-0159414大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
まず、諭旨解雇というのは、懲戒処分を会社の温情で、
自己都合退職を促すものですが、
法律用語ではありませんので、扱いは会社により異なるケースがあります。
1.自主的に退職届を届け出た場合には、解雇ではありませんので、
解雇予告手当は不要とするケースも少なくありません。
解雇予告手当を支払うのであれば、
通知した翌日から30日以内ですから、
16日間を除く日数分を支払ってください。
2.翌日が起算日ですので、8日を除く日を支払ってください。
投稿日:2025/10/14 15:42 ID:QA-0159433
相談者より
ありがとうございます。
慎重に対応してまいります。
投稿日:2025/10/16 05:36 ID:QA-0159527大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
1.懲戒事案なので、解雇「処分」である以上、予告は不要となります。
とはいえ、実務上はなるべく穏便に進めるため、諭旨のプロセスとして、予告手当的なものを付けることは交渉の材料でしょう。
2.通常は拒否時点で即時解雇ではないのでしょうか。予告も不要となると思います。ご提示のような温情は貴社の選択肢としてありかと思います。
投稿日:2025/10/14 18:18 ID:QA-0159444
相談者より
ありがとうございます。
まずは本人の意思を確認したいと思います。
投稿日:2025/10/16 05:37 ID:QA-0159528大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
諭旨解雇の場合の解雇予告日
以下、回答いたします。
「諭旨解雇」は法律用語ではなく会社により様々に取り扱われていますが、概ね、以下のように認識されます。
(1)自主的に当月末までに退職する旨回答してきた場合、通知した15日から31日までの17日間を除く、13日分の解雇予告手当を支払う。(強制的に当月末31日と指定することは可能なのでしょうか)
⇒ 「自主的に退職する旨回答してきた場合」は、「退職勧奨に応じたもの」であり「解雇」には該当せず、解雇予告手当は不要になると考えられます。
一方、「強制的に当月末31日と指定すること」は一般に「解雇」に該当し、14日分の解雇予告手当が必要になると考えられます。但し、「労働者の責に帰すべき事由に基づく解雇」として労働基準監督署の認定を受けた場合には不要となります。
(2)退職拒否の場合は、通知書記載の23日付で懲戒解雇になるので、通知した15日から23日までの9日間を除く、21日分の解雇予告手当を支払う。
⇒ 「通知書記載の23日付で懲戒解雇になる」は退職勧奨に伴う「予定」であり、23日に「23日付の懲戒解雇」を通知し、30日分の解雇予告手当を支払うことになるものと考えられます。但し、「労働者の責に帰すべき事由に基づく解雇」として労働基準監督署の認定を受けた場合には不要となります。
(3)また、(1)の場合31日までの間に有休消化も可能でありその場合は、有給と解雇手当の両方を支払うこと。
⇒ 上述のように「解雇予告手当」は不要となりますが、退職日までの有給取得は可能です。
(4)特に、上記(2)については労働基準監督署にご確認いただくことが有益であると認識されます。
投稿日:2025/10/14 20:06 ID:QA-0159446
相談者より
ありがとうございます。
有休消化の件、理解いたしました。
投稿日:2025/10/16 05:38 ID:QA-0159529大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
①諭旨解雇とは、一般的に、労働者に退職届を提出させ、通常退職を促す形式によるものであり、そうであれば、自主的に当月末までに退職する旨回答してきた場合は、自己の意思(自己都合)による退職として扱えばよく、解雇予告、予告手当の支払いは必要ありません。
速やかに、〇月〇日に退職する旨の退職届の提出を求めればよろしいでしょう。
②その対応で差支えはございません。
自主退職であろうと、懲戒解雇であろうと、退職するまでは会社に籍があり、有給休暇権の行使は当然の権利であって、解雇予告手当とは別の問題です。
したがって、有給休暇取得時賃金と解雇予告手当の支払い、双方が必要になります。
投稿日:2025/10/15 08:56 ID:QA-0159473
相談者より
ご回答ありがとうございます。
解雇予告と有休消化の区別を理解いたしました。
投稿日:2025/10/16 05:35 ID:QA-0159526大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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