企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】タイショクカンショウ 退職勧奨

使用者が労働者に対して強制ではない退職の働きかけを行うことを指し、俗にいう「肩たたき」がこれに当たります。労働者が退職勧奨に応じると、労働契約上の「合意解約」となり、「解雇」にはあたりません。退職金の優遇や再就職先の斡旋など労働者側が勧奨に応じやすい条件を提示して行うのが一般的です。
(2009/9/18掲載)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

退職勧奨のケーススタディ

労働者側に応じる“義務”はない
十分な説明と書面での確認が不可欠

「派遣切り」から始まった人員削減の波が正社員にまで及んだことから、それにともなう労使間のトラブルも増加の一途をたどっています。厚生労働省によると、2008年度に全国の労働局に寄せられた個別労働紛争の相談件数は、23万6993件に達し、前年度を2割近く上回りました。最も多かった相談内容は「解雇」で全体の25%。そのうち、業績悪化などの経済的理由による「整理解雇」は1万4960件で、前年度の2倍を超えています。

労働相談において「解雇」との区別でよく問題になるのが、退職勧奨です。解雇とは、会社が労働者との雇用契約を一方的に解除すること。日本の解雇ルールは使用者側にとって厳格であるとされ、企業の解雇権は大幅に制限されているのが実情です。そこで会社は、人員削減を進める方法として、能力の低い社員や業績のわりに賃金が高すぎる社員に「辞めてもらえないか」と退職を“勧める”形をとります。これが退職勧奨です。

したがって退職勧奨を行うこと自体は、法律に反する行為ではありません。しかし勧奨に応じるかどうかは、あくまでも労働者の自由。使用者側はこの点を十分考慮しなければなりません。辞めないと意思表示している労働者に対して、何度も強迫的に退職を促す、労働条件の切り下げや配置転換、解雇などを示唆する言動は勧奨の域を逸脱した「退職強要」にあたり、それ自体が違法行為となります。労働者側が精神的・経済的損害を訴えれば、会社に賠償責任が生じる可能性もありますので注意が必要です。

また最近目立つのが、退職勧奨を行った結果、話し合いによる労使合意のうえで社員が自己都合退職に応じてくれたと安心していたのに、しばらく経過してから「自己都合退職ではなく不当解雇だった」と訴えられ、労働局に斡旋や労働審判を申し立てられるケースです。会社は退職勧奨を行ったつもりでも、突然呼び出された社員は冷静に対処できず、「クビと通告された」と受け止めがち。ショックから応じるよりほかないと思い込んで、求められるままにその場で退職届を書いてしまう人もいるようです。

退職勧奨を行う際は誤解を招かないように、社員には応じる義務がないことをきちんと説明するとともに、合意する・しないにかかわらず話し合いの内容を記録し、書面で確認しておくことが求められます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

諭旨解雇
「諭旨解雇」とは、使用者が労働者に対して行う懲戒処分の一つで、最も重い処分である懲戒解雇に相当する程度の事由がありながら、会社の酌量で懲戒解雇より処分を若干軽減した解雇のことをいいます。「諭旨」は、趣旨や理由を諭し告げるという意味。労働者の責によって生じた業務上の支障や損害について、使用者が強制的に...
リストラ
日本では、「リストラ=解雇」のイメージが浸透しています。しかし、本来はrestructuring(組織再編)が原義であり、経営資源の集中や再編成により収益構造を改善する事業再構築の考え方を指します。つまり、解雇による人件費の削減は、経営効率の向上を目指すリストラの一つの手法という位置づけになります。...
整理解雇の四要件
経営不振や事業縮小など、使用者側の事情による人員削減のための解雇を「整理解雇」といい、これを行うためには原則として、過去の労働判例から確立された4つの要件(1.人員整理の必要性 2.解雇回避努力義務の履行 3.被解雇者選定の合理性 4.解雇手続の妥当性)が充たされていなければなりません。これらを、「...

関連する記事

「退職届」「退職願」の法的整理と撤回等をめぐるトラブル予防策
昨今の世界同時不況下、希望退職制度などを実施する中で、退職届の取り消しや無効をめぐり、労働者とトラブルに発展するケースも少なくありません。今回の記事では、企業・人事担当者として知っておきたい、退職届の取扱いに関する社内ルールや、留意すべきポイントについて、紹介...
2009/07/13掲載人事・労務関連コラム
利用者急増!退職代行会社等が関与する場合の留意点
最近、本人に代わって退職の手続きを行う「退職代行業者」が話題になっています。もし、従業員から退職代行業社を通じて退職届が出されたら、どのように対応すればよいのでしょうか。実際の例を紹介しつつ解説します。
2019/03/06掲載人事・労務関連コラム
マニュアル的な対応は要注意! 裁判例にみる“組織を乱す社員”への対応実務
企業規模を問わず、組織を乱す問題社員がいることがあり、企業はその対応に頭を悩ませている。事情に応じて慎重に検討する必要があるが、その実務的な対応方法とは?裁判例を踏まえつつ、わかりやすく解説する。
2016/09/16掲載人事・労務関連コラム

関連するQ&A

退職勧奨の面接について
お世話になっております。 弊社は50名弱の会社です。近々社員数名に対して退職勧奨の面接を行います。一般的に、面接はどのような立場の者が何名で行うのがよしとされているのでしょうか。よろしくお願いいたします。
退職勧奨について
お世話になります。 基本的な質問で恐縮ですが、以下の点について教えてください。 1.退職勧奨によって退職してもらう場合(もちろん合意のうえで)、   その退職は「解雇」扱いになるのでしょうか? 2.退職勧奨で合意を得た場合、退職日の設定に制限はあるのでしょうか?   (極端な例ですが、本人が良け...
退職勧奨と「退職願」
お世話になります。 退職勧奨と退職願についてご教示ください。 退職勧奨し、本人も同意した場合、 「トラブルを避けるため「退職願」を書いてもらう」 という説明を聞いたことがありますが、 そのような考えでよろしいでしょうか? それでよい場合、退職願に記載する退職の理由は、 「一身上の都合」でしょうか...
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ 人事管理 ]
分類:[ 労務・法務 ]
テレワーク特集

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

タレントパレット ジョブ・カード制度 総合サイト

50音・英数字で用語を探す

新着用語 一覧

注目コンテンツ


テレワーク特集

「テレワーク」のメリット・デメリットを整理するとともに、導入プロセスや環境整備に必要となるシステム・ツール、ソリューションをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


「見える化」による効果検証で テレワーク導入をスムーズに実現<br />
西部ガスが取り組む“業務・ワークスタイル改革”とは

「見える化」による効果検証で テレワーク導入をスムーズに実現
西部ガスが取り組む“業務・ワークスタイル改革”とは

福岡市に本社を構える西部ガス株式会社は、「働き方改革」の一環としてテレ...


「グロービス学び放題」導入で公募研修の受講者が増加<br />
“自発的に学ぶ”企業文化を醸成

「グロービス学び放題」導入で公募研修の受講者が増加
“自発的に学ぶ”企業文化を醸成

急速に変化する市場環境の中で競争力を維持・向上させていくためには、人材...