通勤災害欠勤とその結果の有休発生を本人に連絡するかについて
弊社従業員が、通勤途中の交通事故を起こし、現在欠勤が続いております。
現在予定している復帰日以降、さらに欠勤が続くと、出勤率が8割に満たなくなり、次回の有休付与は行えないこととなります。
こういった内容は労基法に準じ、なおかつ就業規則にも規定がされておりますが、改めて従業員に連絡をする必要はあるのでしょうか?
当該従業員はかねてから社内のトラブルメーカーの方で、連絡自体は法的に必須ではないとは思いますが、連絡をせず有給が発生しなかった場合、さらにトラブルになりかねないと危惧しております。
ただ、上席からはこの連絡によって主治医に働きかけ復帰を早める可能性があり、連絡はしないほうがいいと言われております。
法的な見解はもちろんですが、社内のトラブルや労務問題にお詳しい方からご見解をお伺いできますと幸いです。
投稿日:2025/07/31 16:29 ID:QA-0156141
- えむらさん
- 東京都/情報処理・ソフトウェア(企業規模 11~30人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
法的には、年次有給休暇が付与されない(出勤率8割未満)ことについて、事前に本人へ通知する義務はありません。
しかし、トラブル予防・紛争回避の観点からは、連絡をしておく方が望ましいケースが多いです。
ただし、当該従業員が「感情的・問題行動を起こしやすい人物」である場合は、文面・伝え方の工夫と、慎重な検討が必要です。
2.労働法上の基本
(1) 年休の8割要件(労基法39条)
労働基準法上、年次有給休暇の付与要件は「継続勤務6か月以上」かつ「出勤率8割以上」です。
この出勤率計算において、「通勤災害による欠勤」は原則として**出勤扱いにならない(=欠勤としてカウントされる)**ことが一般的です(※例外あり後述)。
したがって、復帰が遅れれば、年休の自動付与は行われないことになりますが、これは「法的な要件に合致していないだけ」の話なので、会社に通知義務は原則ありません。
3.ただし、実務上の注意点
(1)トラブルメーカーであることを踏まえたリスク
当該従業員が感情的・トラブルを起こしやすい性格であれば、**「説明なく年休が付与されなかったことに不信感を抱く」**リスクが高い。
「事故で出勤できなかったのに、それを理由に有休がもらえないのはおかしい」と言ってくる可能性も。
(2)事前に通知するメリット
あくまで事実として有給が付与されない見込みであることを、淡々と事務連絡として通知しておけば、「説明責任を果たした」ことになります。
紛争時には「事前に知らせていたか否か」がトラブルを左右することも。
(3)通知が逆効果になる懸念への配慮
ご懸念の通り、「早く復帰しなければ」とプレッシャーに感じることで、主治医や本人の回復に悪影響がある可能性も。
「年休のことを理由に、焦って復帰し事故が悪化した」等と言われることを防ぐ必要があります。
4.推奨される対応策(実務的)
・ 通知する場合:柔らかく、事務的に通知
たとえば、以下のような文面により、「脅し」や「復帰圧力」にならないよう配慮しつつ伝えることが可能です。
件名:年次有給休暇付与要件に関するご案内(事務連絡)
〇〇様
平素よりお疲れ様です。
年次有給休暇の付与に関して、労働基準法第39条および就業規則の規定に基づき、一定の出勤率(通常、8割以上)が必要とされています。
現在ご療養中であり、今後の出勤状況によっては、次回の年次有給休暇が自動的に付与されない可能性がございますので、念のため事務的にご案内申し上げます。
本件は法定の取り扱いに基づくものであり、復帰のご判断に影響を及ぼすものではございませんので、ご安心くださいませ。
引き続き、くれぐれもご自愛ください。
・ 通知しない場合:対応履歴を内部で記録
あえて連絡しない選択をする場合でも、「なぜ連絡しなかったか(復帰を急かさないため)」という意思決定理由を社内で記録しておくことをおすすめします。
あとで争いが起きた場合、合理的な対応であったことの根拠になります。
5.参考:出勤率計算と「通勤災害」の扱いについて
通勤災害による休業についても、出勤率の「出勤」にはカウントされないのが原則ですが、下記のような例外もあります。
状況→出勤率での扱い
労災による療養中→欠勤(出勤扱いにならない)※
就業規則等で「出勤とみなす」定めがある→出勤扱いにできる(=年休付与に有利)
※就業規則で「業務災害・通勤災害による休業は出勤とみなす」と定めれば、出勤率に含めることが可能です(任意)。
就業規則にそのような定めがなければ、原則「欠勤」として出勤率に影響します。
6.まとめ(対応方針の検討軸)
観点→判断
法的通知義務→なし
通知するメリット→説明責任の履行、予防効果
通知するデメリット→復帰圧力と受け取られる可能性
推奨方針→通知するなら、文面に最大限配慮。通知しない場合も社内に判断根拠を残す。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/01 21:04 ID:QA-0156176
相談者より
大変丁寧なご回答参考になりました。
ありがとうございました。
投稿日:2025/08/04 13:33 ID:QA-0156274大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、就業規則に基づく措置ですので、規則が周知されている限り改めて本人に連絡する必要まではないものといえます。
逆にこうした件について都度会社から連絡するとなれば、手間もかかる上従業員側も何でも会社が知らせてくれるはずと思ってしまいますので、本件に限らず当人都合による年休未発生等の通知は不要といえるでしょう。
投稿日:2025/08/01 21:50 ID:QA-0156181
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/04 13:33 ID:QA-0156275参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
ご質問者様のご記載通り、法的な通知義務はありませんので、
べき論はなく、あくまで会社判断での対応問題となります。
通知を行わないか、通知を行うかのリスクの整理と、
どのような対応がベターかの判断が必要となります。
以下、整理した上で、折衷案が適切かと思案します。
|通知しない場合のリスク
有休付与がなかったことに対して、本人が後から知らなかった、不当だ、
病気療養中だったのに配慮がない、などのクレームを申し立てる恐れが
あります。これが労基署等への主張材料に使われる可能性があります。
|通知することでのリスク
復帰を急がせるような圧力に受け取られ、主治医や本人が安全配慮義務違反
と感じる可能性もゼロではありません。特に、過去に社内トラブルがあった
従業員であれば、会社の対応に強く反応してくる可能性も想定されます。
よって、事実ベースの中立的な通知にとどめる。
具体的には、以下のような非圧力的で事務的な内容の連絡が望ましいです。
○○さん
現在ご療養中のところ、お疲れさまです。
就業規則及び労働基準法に基づき、年次有給休暇の次回付与にあたり、
過去1年間の出勤率が8割を下回る場合には、次回の付与が行われないことと
なります。今後の出勤状況によっては、この条件に該当する可能性があります
ので、念のためご案内いたします。なお、現在のご体調や復職の予定等について
は、引き続き主治医のご判断を最優先していただきますようお願いいたします。
投稿日:2025/08/02 08:20 ID:QA-0156197
相談者より
大変参考になりました。ありがとうございました。
投稿日:2025/08/04 13:34 ID:QA-0156276大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
就業規則に規定していれば、
特に改めて従業員に連絡する必要はありませんし、
付与日に算出すればよろしいでしょう。
投稿日:2025/08/03 04:44 ID:QA-0156213
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/04 13:34 ID:QA-0156277参考になった
プロフェッショナルからの回答
出勤率が8割を満たせなくなり来年度は有給休暇の付与がないことについては就業規則にも記載があることから法的には問題ありません。
復職以後の欠勤については本人より欠勤する旨の連絡をもらう必要があります。連絡もなく休んでいる場合は無断欠勤となり長期に無断欠勤している場合は懲戒の可能性もあります。
対応が必要な従業員の場合は事前に知らせておく方が良いと思います。何も知らせずに次年度に有給休暇が付与されなかった場合の方が後の対応が大変になると思います。また、体調が悪く休む場合は連絡が無いと無断欠勤となることも事前に知らせておいた方が良いと思います。
投稿日:2025/08/03 23:25 ID:QA-0156227
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/04 13:38 ID:QA-0156279参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
まず本人に通知する義務は無いので、このまま何もしないという判断は問題ないでしょう。次にリスク回避の視点ですが、そもそものトラブルメーカー行為の際に対応することが重要で、こうした別件が新たなトラブルになるのは人事総務部門が損するだけです。
日ごろから問題行動があれば、厳しく対応し、上長だけでなく事業部全体、全社、管理部門が一体となって厳格に対応することで、トラブルそのものをつぶしていくのが原則だと思います。会社側が一丸とならなければ破綻しますので、ぜひしっかり団結して取り組んで下さい。
投稿日:2025/08/04 11:13 ID:QA-0156263
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/04 13:38 ID:QA-0156278参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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