越境リモートワーク時の処遇について
配偶者の海外出向(V国)に伴い、帯同してV国から越境リモートワークを希望する従業員がいます。
この従業員に対して「海外勤務者」ではなく、国内のリモートワークと同様の処遇を考えていますが、他社様ではどのような処遇をとっていますか。
弊社では海外勤務者には「海外勤務規程」に則り、海外勤務手当、危険地域手当の他、住居費用・帰国費用・現地国の所得税などの会社負担がありますが、海外勤務者の配偶者に帯同して、越境リモートワークすることを想定していなかったので、他社事例を参考にさせていたでければ幸いです。
投稿日:2025/07/03 08:33 ID:QA-0154842
- WOODBELLさん
- 愛知県/印刷(企業規模 1001~3000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
ご質問の「配偶者の海外出向に帯同して、従業員が越境リモートワークを行う場合の処遇」については、国内企業において制度整備や個別対応が進みつつある一方で、統一された対応はまだ確立されておらず、各社が個別事情に応じて対応しているのが実情です。
以下に、他社事例とその実務的ポイントを整理してご案内いたします。
1.他社事例:主に3つのタイプに分類
(1)「国内勤務扱い(リモートワーク)」とするケース(最も多い)
特徴:「一時的な私的理由による海外滞在」として、国内の在宅勤務制度に基づいて就労させる。
処遇:国内勤務者と同一(海外勤務手当や現地費用負担なし)
条件付与の例:
現地の滞在は労働者本人の私的都合(帯同)によるものである
就業時間は原則として日本時間(JST)に準拠
勤務可能な期間を限定的に(例:最大6か月/1年)
労災・社会保険などの取扱いに関する誓約書の取得
通信環境の整備は自己責任
他社例:
大手メーカーA社:「最大1年以内」「就業規則に反映」「税務・社会保険リスクは本人の自己責任で文書同意」
コンサルティング会社B社:「プロジェクトに支障が出ない限り認める」「完全日本時間で勤務」
(2)「休職・無給休業」扱いとするケース
特徴: 業務継続が困難と判断される場合、あるいは滞在期間が長期にわたる場合に選択される。
処遇:給与・手当なし、復職の意思を確認
対応例:
海外滞在期間が1年以上に及ぶ場合や、法的リスクが高い国への渡航時
業務内容が対面主体の場合、フルリモートが不適切な職種
(3)「海外勤務扱い」に準じる特例処遇(ごく少数)
特徴:高度人材や重要な役割を担う社員を対象に、海外勤務手当や安全対策等を個別に支給。
前提条件:
勤務地国が安全で、長期滞在が想定される
現地の法規制(ビザ・就労・税務)を企業側でフォローアップ可能
2.処遇設計で検討すべきポイント
項目→内容
就労形態→日本の雇用契約を維持し、越境リモートを特例許可する形が多い
税務リスク→滞在国で「PE(恒久的施設)」認定、現地法人課税や所得税課税が発生しないよう慎重に確認
社会保険→日本の健康保険・厚生年金を維持可能か(※原則として日本に「居住」していないと非該当になる可能性あり)
労災・安全配慮義務→リスクがある国では、本人に誓約をとる/業務内容を制限するなどの対応が必要
情報セキュリティ→接続国によってはVPNやクラウド接続の制限・禁止措置を設ける企業も
3.貴社での対応に向けた提案
貴社がこのケースを「海外勤務」ではなく「国内のリモートワークと同様」としたい場合は、以下のような対応ルール(例:越境リモート勤務に関する内規や運用ガイド)を設けることが現実的です:
(1)「越境リモートワークに関する取扱指針(案)」
本人の私的理由に基づく海外滞在中のリモート勤務とする
現地における滞在・就労許可の取得は自己責任
会社は現地の税・法令に起因する責任を負わない
国内勤務と同一の賃金体系、手当適用(海外勤務手当等は不支給)
日本時間での勤務とし、業務に支障が出る場合は許可を取り消す
セキュリティ遵守・通信環境の責任は本人にあり
上記条件に同意する旨の誓約書提出を必須とする
4.まとめ
処遇方針→海外勤務者扱いにはせず、国内のリモートワークに準じた特例運用が妥当
対応方針→(1)業務支障の有無、(2)滞在期間、(3)法的リスク、(4)本人同意を踏まえて判断
以上です。よろしくお願い申し上げます。
投稿日:2025/07/03 10:28 ID:QA-0154851
相談者より
ご回答ありがとうございました。
他社事例の紹介およびご提案いただい内容は、とても役に立ちました。
投稿日:2025/07/18 15:03 ID:QA-0155673大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
まず、前提として、海外現地法人に属するのではないとしますと、
就労ビザそのものが取得できるのかがポイントとなります。
多くの場合、就労ビザの取得が困難なケースが多々ありますので、
その点をまずはご確認する必要がございます。
まずは、ビザ関係に精通した行政書士等へご確認ください。
また、今回の件においてビザ問題がクリアできたとしても、諸外国によって、
ビザ取得条件が全くことなりますので、貴社の継続的な制度として、
独立させるのは、大変困難なものであると思案いたします。
個別案件として対応することも不可能とは言えませんが、他社員に同様の
ケースが生じた場合も会社としては認める必要性が生じてまいります。
また、税務の面においても多々障害はありますので、税務の専門家である、
税理士等へもご相談いただくことをお勧めいたします。
その上で、個別案件として認める場合は、貴社における海外勤務規程を
ベースに個別に条件を決定し、双方合意するのが宜しいかと存じます。
企業対応としては、諸外国ことに異なるビザ・税務・保険の面でハードルが
高い為、他社事例では、社員としての雇用契約を解消し、業務委託契約として、
業務を依頼するケースも多々ございますので、こちらはご参考までに。
投稿日:2025/07/03 10:43 ID:QA-0154855
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/18 15:09 ID:QA-0155674参考になった
プロフェッショナルからの回答

- 渡井 保仁
- 渡井マネジメントオフィス 代表
ご相談のケースは配偶者の海外出向に帯同するケースであり、この場合はまず現地での就労の可否を確認する必要があります。配偶者ビザ(帯同ビザ)では就労不可とする国が多いですし、(貴社従業員の)配偶者の会社が、配偶者(=貴社従業員)の現地での就労を禁じている場合もあります。
現地での就労が可能であれば、労働時間、賃金等の基本的な労働条件を変えない、社会保険の資格を日本に残すなどの対応により、越境リモートワークの処遇を国内のリモートワークのそれとほぼ同様に設定することは可能と思われます。海外居住となると非居住者になり、税務取扱いが居住者とは異なりますので、税務対応は専門家に確認されることをお勧めします。
投稿日:2025/07/03 22:45 ID:QA-0154889
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/18 15:12 ID:QA-0155675参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、こうした従業員本人の事情・希望による海外リモートワークにつきまして、明確に制度化されている会社は余り見られないものと思われます。
つまり、会社が指示されて海外勤務を命じられるのであれば、示されたような手厚い処遇をされる必要があるものといえますが、本人都合であればそれに応じて処遇を見直される義務はないものといえます。
加えまして、リモートワークであれば通常の海外勤務とは異なり、あくまで御社の指揮命令下で業務を遂行される事になりますので、基本的には国内勤務と同じ処遇で差し支えないものといえるでしょう。
その上で、海外に滞在される事に起因する問題があれば、個々の事柄毎に本人とご相談の上で、会社が出来る範囲内で措置を取り決められるというのが一般的な対応になるものといえるでしょう。
投稿日:2025/07/03 23:11 ID:QA-0154893
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/18 15:18 ID:QA-0155676参考になった
プロフェッショナルからの回答
他社事例と留意点について回答いたします。
ご質問いただきありがとうございます。
越境リモートワーク時の留意点と処遇について回答します。
留意点ですが、他の先生方の回答にもある通り従業員のビザまたは滞在許可証が国外の企業に雇用されてリモートワークをすることができるのか確認する必要があります。
帯同ビザで就労可能の国もありますし、デジタルノマドビザを発給している国もあります。
次に処遇については、まずは法の適用を現地の国の法律または日本の法律どちらにするか決めます。
今回の場合は日本の企業で働く従業員が配偶者の帯同で海外に行くということですので、日本の労働基準法を適用することがほとんどです。
その上で、就業時間は現地の国の時間帯に合わせる、リモートワークは労務管理が難しいことから深夜・早朝労働は禁止する等、海外からリモートワークをする上で考慮することやリモートワークをする上で考慮するべきことをひとつひとつ処遇を決めます。
海外駐在員とは異なるため、海外勤務規程より国内のリモートワーク規程を基本としている会社もあります。
ご参考いただければと思います。
投稿日:2025/07/04 13:50 ID:QA-0154936
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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