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【ヨミ】シュッコウ

出向

「出向」とは、企業が社員との雇用契約を維持したまま、業務命令によって社員を子会社や関連会社に異動させ、就労させることです。出向の場合、対象となる社員の籍と給与の支払い義務は出向元企業にあり、社員に対する業務上の指揮命令権は出向先の企業が有します。人事異動の形態としては、企業間異動であるという点で、同一企業内での業務内容、勤務場所などの変更にとどまる配置転換や転勤と大きく異なります。
(2013/11/11掲載)

ケーススタディ

社内規定があれば社員の同意は原則不要
左遷ではなく、若手や中堅は復帰前提も

金融業界に渦巻く悲喜こもごもの人間模様を描いて反響を呼んだ、テレビドラマ『半沢直樹』。ラストシーンでは主人公・半沢がどんでん返しの出向を命じられましたが、そのヒットがきっかけとなり、「出向」の実態について放送中から議論が巻き起こりました。「出向=敗北、左遷」のイメージが強調されるなど、ドラマではあまりにもネガティブに扱われていたからです。表現上のデフォルメとはいえ、出向中のビジネスパーソンから「あの描写には違和感を覚えた」という声が挙がっても不思議ではありません。

社員にとっては、在籍する会社ではない職場に移り、業務を行うことになるのが「出向」。確かに銀行では他業種より頻繁にみられる勤務形態ですが、一般の企業でもそれほど特殊なことではありません。企業が就業規則や労働協約などで、あらかじめ出向に関する社内規定を設けている場合は、出向の対象となる社員本人の同意は原則的に必要ないとされています。つまり社員本人には、寝耳に水の辞令であっても、出向を拒否することはできないというわけです。ただし実際の運用に際しては、やはり事前に出向の理由や労働条件、業務内容などを明示したうえで本人の意思を確認することが望ましく、そうした手順を踏んで決定している企業も少なくありません。

従来の出向には、確かに「出世コースからはずれ、社内では年齢に見合ったポストを用意できないベテラン社員に対する処遇」という後ろ向きの面がありました。この場合はいわゆる“片道切符”で、社外に出ると元に戻ることはほとんどありません。最終的に出向先企業と雇用契約を結び直し、「転籍」となるパターンが一般的でした。しかし近年では、20代、30代の社員をあえて出向させるパターンもあるようです。若いうちから小さな組織マネジメントを任せて、能力を試したり、海外の子会社に送り込み、修羅場を経験させることで急成長を促したりするなど、いずれ重要な戦力として呼び戻すことを前提とした“前向きな出向”を実施する企業が増えてきました。『半沢直樹』の舞台となった銀行業界でも、若手中堅社員に仕事の幅を広げさせるねらいで、子会社の証券会社やカード会社に出向させる異動がよくあります。

もちろん企業側にそうした戦略的な意図があったとしても、出向の対象となる社員本人がそれを「左遷」と受け取ってしまうようでは意味がありません。前向きな出向を進めたいときこそ、本人のモチベーションに最大限配慮し、出向の目的や期待する成果をきちんと説明する必要があるといえます。

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