雇用契約書の期間上限記載について
いつも大変お世話になっております。
雇用契約書に記載する、契約期間の表現について悩んでおります。
弊社では有期パートタイム社員の雇用に際し、
5年を上限(無期転換をしない)とする方針です。
この点がグレーであることは承知しております。
雇用契約書には更新の有無に『更新する場合があり得る』としており
これまでも更新した方、満了で更新しなかった方それぞれいる状況です。
まず更新上限の有無についてを更新回数で記載するか、
上限年数での記載とするか迷っております。
・年数の場合“雇入日から通算して5年”とすると問題がありますでしょうか。
・回数表記の場合、現在契約期間が半年の設定なのですが
最大の5年間の更新があり得ると考えると、“更新最大10回まで”と記載した方が良いのでしょうか。
その場合、更新ごとに最大回数の数値をその契約時の最大回数へ減らしていって表記するのか、
あるいは“更新は通算最大10回まで”の表記でも問題ないのでしょうか。
細かい部分で恐れ入りますが、
労使で齟齬があると良くないかと思い、ご教示いただけますと幸いです。
宜しくお願いいたします。
投稿日:2025/09/01 12:10 ID:QA-0157567
- AOBAさん
- 東京都/その他メーカー(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
更新上限の明示は義務になっています。
明示の例としては、
以下のとおり、契約期間でも更新回数でもどちらでもかまいません。
(明示例)
・契約期間は通算5年を上限とする。
・契約の更新回数は4回までとする。
投稿日:2025/09/01 13:36 ID:QA-0157575
相談者より
ご回答ありがとうございました。
大変参考になりました。
投稿日:2025/09/02 17:58 ID:QA-0157658大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 「更新上限」をどう扱うか
労働契約法19条(雇止め法理)や18条(無期転換ルール)では、「有期契約を繰り返す場合、無期転換や雇止めの合理性が問われる」ことが前提です。
会社方針として「無期転換はしない」「5年を上限にする」というのは可能ですが、契約書に「必ず5年で終了する」と明記するのはリスクが高いです。
→ 労働者が「形式だけで実態は継続雇用」と主張した場合にトラブルになりやすいため。
2. 「年数上限」の表記について
「雇入日から通算して5年を上限とする」旨を契約書に直接記載すること自体は可能です。
ただし、「必ず更新し続ければ5年働ける」と誤解を与えるリスクがあります。
実務上は、契約更新の有無は会社判断であることを前提にしつつ、就業規則や要領に「通算5年を上限」と定め、契約書では簡潔に触れる程度が無難です。
3. 「回数上限」の表記について
半年契約 × 10回更新 = 最大5年、という考え方も可能です。
表記方法としては以下のどちらでも問題ありません。
「契約は6か月ごとに更新し、更新は通算して最大10回までとする」
「契約は6か月ごとに更新する場合があり、更新は通算して最大5年を限度とする」
ただし、毎回の契約書に「残り更新回数」を減らして書く必要まではありません。
「通算して最大○回まで」としておけば足ります。
4. 実務上のおすすめ表現
雇用契約書に書く場合は、次のようにするとリスクが少なく実務に即しています。
契約期間:○年○月○日から○年○月○日まで(6か月間)
更新の有無:業務量、勤務成績、会社の経営状況等により更新する場合がある。
ただし、更新は通算して最長○年(または○回)を限度とする。
5. ポイントまとめ
契約書には「更新あり得る」+「上限(年数または回数)」を明記するのが望ましい。
「残り更新回数」を毎回書き換える必要はない。
年数・回数どちらでもよいが、「通算して5年を上限」表記が分かりやすく、実務的に一般的。
就業規則や社内要領で「通算上限に達した場合は更新しない」旨を明文化し、周知しておくとより安心です。
以上です。よろしくお願い申し上げます。
投稿日:2025/09/01 14:24 ID:QA-0157580
相談者より
ご回答ありがとうございました。
大変参考になりました。
投稿日:2025/09/02 17:59 ID:QA-0157659大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
上限年数の方が、誰がみてもわかりやすいので、回数ではなく、
上限年数を記載いただくことをお勧めいたします。
例|雇入日から通算して5年を上限とする
回数表記はダメということはありませんが、ご記載いただいた通り、
表記の回数について解釈に齟齬が生じたり、結局いつまでかという点が
社員目線でパッと見て理解が難しいかと存じます。また、契約期間が
半年から変更した際にも困ります。
なお、仮に回数表記にするのであれば、「雇入日から」という表記を頭に
付ければ、10回固定で表現できるかと存じます。こちらは補足までに。
投稿日:2025/09/01 14:28 ID:QA-0157581
相談者より
ご回答ありがとうございました。
大変参考になりました。
投稿日:2025/09/02 17:59 ID:QA-0157660大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
勤務上限明示は必要なので、更新年次または更新回数の上限いずれかを記載することになります。
回数の場合、契約期間が変われば意味がありませんので、本契約の契約期間が変わらないことが前提となります。
ご提示の、雇い入れ日から5年で良いのではないでしょうか。
投稿日:2025/09/01 15:28 ID:QA-0157596
相談者より
ご回答ありがとうございました。
大変参考になりました。
投稿日:2025/09/02 17:59 ID:QA-0157661大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
労働者への説明
以下、回答いたします。
(1)厚生労働省のパンフレット「2024年4月からの 労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」では、次のような説明がなされています。
1)契約当時は更新上限がなかったが、契約途中に更新上限を定める場合
・更新上限を設定する・短縮する理由を労働者に説明することが必要になります。
・更新上限の新設・短縮の理由をあらかじめ説明する際は、文書を交付して個々の有期契約労働者ごとに面談等により説明を行う方法が基本ですが、説明の方法は特定の方法に限られるものではなく説明すべき事項をすべて記載した労働者が容易に理解できる内容の資料を用いる場合は当該資料を交付して行う等の方法でも差し支えありません。また、説明会等で複数の有期契約労働者に同時に行う等の方法によっても差し支えありません。
・更新の上限を新設する理由の事前説明の例
『当初予定していた出資が受けられず、Aさんに担当していただく予定の事業が縮小することになったため』
2)契約当初から更新上限が定められていた場合
・(最初の契約締結より後に更新上限を新設・短縮する場合に、事前説明が必要となります。)最初の契約締結時点で更新上限を設定している場合であっても、労働者が希望するときは、トラブル防止のためにその理由を説明することを検討してください。
(参考)
○有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準
(有期労働契約の変更等に際して更新上限を定める場合等の理由の説明)
第一条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の締結後、当該有期労働契約の変更又は更新に際して、通算契約期間(労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十八条第一項に規定する通算契約期間をいう。)又は有期労働契約の更新回数について、上限を定め、又はこれを引き下げようとするときは、あらかじめ、その理由を労働者に説明しなければならない。
(2)「更新上限の有無についてを更新回数で記載するか、上限年数での記載とするか迷っております」とのことです。
この点については、上記(1)を踏まえ、更新上限の理由としてどちらが合理的(説明の際に説得的)であるのかについて改めて確認・検討することが考えられます。
(3)「年数の場合“雇入日から通算して5年”とすると問題がありますでしょうか」とのことです。
この点については、上記のパンフレットでは、更新上限の明示の例として、「契約期間は通算4年を上限とする」とされています。
(4)「回数表記の場合、現在契約期間が半年の設定なのですが、最大の5年間の更新があり得ると考えると、“更新最大10回まで”と記載した方が良いのでしょうか。その場合、更新ごとに最大回数の数値をその契約時の最大回数へ減らしていって表記するのか、あるいは“更新は通算最大10回まで”の表記でも問題ないのでしょうか。」とのことです。
この点については、「令和5年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A」では、次のような記載があります。
(Q)有期労働契約の更新回数の上限とは、契約の当初から数えた回数を書くのか、残りの契約更新回数を書くのか。また、通算契約期間の上限についてはどうか。
(A)労働者と使用者の認識が一致するような明示となっていれば差し支えない。なお、労働者・使用者間での混乱を避ける観点からは、契約の当初から数えた更新回数又は通算契約期間の上限を明示し、その上で、現在が何回目の契約更新であるか等を併せて示すことが考えられる。
投稿日:2025/09/01 18:46 ID:QA-0157611
相談者より
ご回答ありがとうございました。
大変参考になりました。
投稿日:2025/09/02 17:59 ID:QA-0157662大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、いずれの表記でも直ちに違法行為とはなりません。
但し、当初から無期転換を阻止する意図で設定されたものと解される場合もございますので、そうしたあからさまな定めは避けられるべきです。
対応としましては、5年(半年10回)ではなく、もっと短い上限期間を設定された上で、例外的に会社の事情等によって引き続き更新される場合が有る旨定めておかれるのがよいでしょう。業務上長期の雇用を避けたいという事であれば、このような措置で問題はないはずです。
投稿日:2025/09/01 19:18 ID:QA-0157615
相談者より
ご回答ありがとうございました。
大変参考になりました。
投稿日:2025/09/02 17:59 ID:QA-0157663大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
労使間で認識にズレが生じないようにすることが重要になります。
「契約年数は雇い入れの日から通算して5年とし、契約の更新回数は9回までとする」と記載しておけば解りやすいです。
ただし、更新回数を重ねていくと、途中で誤解や勘違いも生じる可能性も否定はできませんので、更新の都度、当初からの更新回数または通算契約期間の上限を明示し、現在が何回目の更新であるかは認識させていく必要があります。
「今回は〇回目の更新であって、更新回数の上限は9回まで、契約期間の上限は5年とする」といった体で記載しておけばよろしいでしょう。
投稿日:2025/09/02 08:35 ID:QA-0157624
相談者より
ご回答ありがとうございました。
大変参考になりました。
投稿日:2025/09/02 18:00 ID:QA-0157664大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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