日帰り出張時の勤務が求められる時間について
いつも大変お世話になっております。
標記について、当事業所と別の事業所で対応が異なっていることが判明し、統一したいと考えております。
その際、以下の場合どう考えるのが正しいか(法律的に問題がないか)をご教授いただきたく、質問いたします。
(前提)
・通常勤務時間:8時30分~17時15分(うち休憩1時間含む)※7時間45分
・出張は勤務時間を把握することができないため、通常の勤務時間を勤務したとみなす(みなし時間)。
(内容)
・日帰りの出張の業務を命令。
・その業務のため、早朝6時30分から社用車で移動を開始。
※出発時間は自己判断だが、通常妥当な時間です。
※移動にはおよそ2時間かかるものとします。
・午前中で、業務を終え、再び社用車で移動。
・午後3時15分頃、帰社。
(質問)
1)上の場合、帰所してから、通常の勤務終了時間まで2時間あるが、急ぎの業務もなく、この日はみなし時間のため、年休簿を出さずに帰宅することは、問題ないか?
2)ほかの質問者の回答で、「移動時間は出勤時間と同様の扱いとなるため、勤務時間に含めない」とありました。しかし、うちの場合は社用車を運転している者は勤務時間とする考えがあり、6時30分から15時15分まで、業務したことになっております。
このような考え方でも問題ないのかご教授いただきたいです。
前提や情報が不足しておりましたら、申し訳ございません。
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/31 18:58 ID:QA-0156150
- 北の山脈さん
- 北海道/教育(企業規模 11~30人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.【前提の整理】
通常の勤務時間:8:30〜17:15(休憩1時間含む)=実働7時間45分
日帰り出張時は、原則として所定勤務時間分(7時間45分)を勤務とみなす(みなし勤務)
移動開始:6:30/帰社:15:15
2.【質問1】
出張業務を終えて15:15に帰社。定時(17:15)まで急ぎの業務がないため、そのまま帰宅。
年休申請などをせずに「通常の所定勤務(みなし勤務)をした」とする運用は問題ないか?
3.結論
→ 年休申請なしで早退する扱いとしても、法的には問題ありません。
4.解説
みなし勤務制度(実働を問わず定時間働いたとみなす)を採用している場合、実際の労働時間が多少前後しても、所定労働時間分を労働した扱いにするのが基本です。
業務指示に基づく日帰り出張であり、業務遂行後に帰宅することは、労務提供義務の履行が終わったものとして取り扱うことが可能です。
5.実務上の注意点
帰社後の業務がない(または本人に業務指示がない)ことが明確であること。
就業規則や社内慣行として「出張日のみなし勤務の取り扱い」が明文化・共通認識されていること。
逆に、帰社後に業務があるのに勝手に帰宅した場合は、無断早退扱いとなる可能性あり。
よって、「出張=みなし勤務」としており、帰社後に業務がなければ、そのまま帰宅可とするのは妥当です。
6.【質問2】
出張の移動開始を6:30とし、その間、社用車を運転。
この6:30〜15:15を勤務時間とみなしてよいか?
7.結論
→ 社用車運転を業務と評価するならば、6:30からの勤務時間として取り扱うことは妥当です。
8.法的根拠(労働時間の定義)
労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」(最判 平成12.3.9)を指します。
移動時間であっても、使用者の指揮下にある場合(例:社用車運転)は、労働時間と評価されます。
9. 参考
労働基準法上、「移動時間=労働時間でない」と一律には言えず、移動の実態で判断されます。
典型例:
- 新幹線などで移動中に自由時間 → 労働時間ではない
- 社用車を運転し、使用者の指示で移動中 → 労働時間に含む
よって:
運転を含む移動開始(6:30)から帰社(15:15)までを勤務時間とすることは、法的に問題ありません。
10.補足:法定労働時間と割増の考慮
ご提示のケース(6:30〜15:15)は8時間45分労働になります。
休憩が適切に1時間ある前提であれば、実働7時間45分程度に収まり、割増対象とはなりません。
ただし、6:30〜17:15など、法定労働時間(8時間/日)を超える場合は時間外労働(割増)が必要です。
11.まとめ
質問→結論→コメント
(1) 出張後早退しても年休不要?→ 問題なし→みなし勤務制を採用していれば合法的な運用
(2) 6:30〜15:15を勤務時間にしてよいか?→ 問題なし→指揮命令下の移動であり、労働時間に含めてよい
12.おすすめ対応(社内運用ルール整備)
出張時の「みなし勤務」「移動時間の労働時間性」などを、就業規則または運用マニュアルに明文化しておくことを強く推奨します。
各事業所間で取り扱いを統一する際は、労使の合意と現場周知を経たうえで運用統一するとトラブル防止になります。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/01 21:34 ID:QA-0156178
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、1につきましては、みなし労働時間ですし、実際上も早めに出張へ行かれて早退とは言い難いですので、不要といえます。
2につきましては、社用車で出張先へ行かれていますので、ご認識の通りで差し支えございません。
投稿日:2025/08/01 21:55 ID:QA-0156183
プロフェッショナルからの回答
移動時間の扱い等
【御質問】
1)帰所してから、通常の勤務終了時間まで2時間あるが、急ぎの業務もなく、この日はみなし時間のため、年休簿を出さずに帰宅することは、問題ないか?
2)ほかの質問者の回答で、「移動時間は出勤時間と同様の扱いとなるため、勤務時間に含めない」とありました。しかし、うちの場合は社用車を運転している者は勤務時間とする考えがあり、6時30分から15時15分まで、業務したことになっております。このような考え方でも問題ないのか。
【回答】
(1)まず、「事業場外労働のみなし制」の適用の適否という論点があろうかと思われます。通達(昭63.1.1 基発1号)では、「事業場外で業務に従事する場合にあっても、使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合については、労働時間の算定が可能であるので、みなし労働時間制の適用はないものである」とされています。そして、その場合として、「事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場にもどる場合」をあげています。
「出発時間は自己判断だが、通常妥当な時間です。」、「移動にはおよそ2時間かかるものとします。」、「(直帰ではなく)帰社」とのことですが、そうであるならば「労働時間の算定が可能」ではないかとも思われました。
(2)次に、年次有給休暇については、「出張は通常の勤務時間を勤務したとみなす」としているとのことです。この場合、年次有給休暇の取得の必要性はないと考えられます。
(3)最後に、移動時間の扱いについては、「労働時間は使用者の指揮監督のもとにある時間」とされています。本件では、業務上の必要性を踏まえ使用者が労働者に対して社用車の運転による出張を命じ、労働者がこれを受けて社用車の運転による出張をすることとし(余儀なくされ)、労働からの解放が保障されていないのであれば、当該移動時間は労働時間に該当するものと認識されます。
投稿日:2025/08/02 07:25 ID:QA-0156195
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
|1.上の場合、帰所してから、通常の勤務終了時間まで2時間あるが、
|急ぎの業務もなく、この日はみなし時間のため、年休簿を出さずに帰宅する
|ことは、問題ないか?
↓ ↓ ↓
みなし時間の取扱いをするのが貴社の規定である以上、
みなし勤務扱いとなります。
年休を取得させる等、社員にとって不利益となる取扱いはできません。
|2.ほかの質問者の回答で、「移動時間は出勤時間と同様の扱いとなるため、
|勤務時間に含めない」とありました。しかし、うちの場合は社用車を運転して
|いる者は勤務時間とする考えがあり、6時30分から15時15分まで、
|業務したことになっております。このような考え方でも問題ないのか
|ご教授いただきたいです。
↓ ↓ ↓
社用車を運転している者は勤務時間とするのは貴社独自の規定であり、
どの程度、詳細に規定されているかによって正確な判断は異なります。
但し、一般的には、上記取扱いの場合、運転時間の把握(勤務時間の把握)
が必要となり、出張時の勤務時間が把握できないことを理由とした、
みなし勤務扱いとの間に、制度的な矛盾が生じます。
よって、出張時には運転時間は勤務時間としてみなさないとするのが妥当
な判断になりますが、その辺りの詳細ルールが規定されていないようでしたら、
規定いただくことをお勧めいたします。
投稿日:2025/08/02 08:49 ID:QA-0156199
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
・会社に立ち寄ってから移動を開始したのであれば、
6:30から業務開始ということになります。
15:15分に帰社したのであれば、そこで、7時間45分になり、
その場合には、みなし勤務というよりは、
スライド勤務として規定しておく必要があります。
・出張としてみなしとして扱うにしても、
15・15分からの社内勤務は残業扱いとなりますので、
残業の必要がないのであれば、帰宅してもらってもよろしいでしょう。
ただし、みなし出張規定にその旨、記載しておくことをお勧めします。
投稿日:2025/08/03 05:06 ID:QA-0156215
プロフェッショナルからの回答
対応
みなしなので、弾力的運用可能であり、ご提示の内容で問題ないでしょう。
>移動時間は出勤時間と同様
普段から社用車で通勤など、自宅で乗れる状況で、当日も自宅から社用車であれば、この解釈は成り立ちます。
一方、一度出勤して社用車発進であれば、出勤時刻が始業時間です。
投稿日:2025/08/04 10:53 ID:QA-0156260
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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