本人の意思が確認できない場合の退職処理
	従業員が入社して10日目に、休日に自損事故を起こし、意識不明の状態となりました。マイナンバー等、手続きに必要な書類が未提出の為、社保未加入の状態ですが、年金事務所に確認したところ、指定された書類を揃えて申請し確認が取れれば加入できるようなので進めています。
 就業規則の「私傷病等による休職」については「勤続年数3年未満は1ヶ月」、「休職期間満了しても休職事由が消滅しない場合は、休職期間満了日を持って自然退職とする」となっています。
 ただ、ご家族は海外在住と聞いていますが、連絡先がわからない状況です。
 警察が捜査してくださっているようですが、このまま進展が無い場合、自然退職とする際、どのように対処すべきでしょうか。
 また、本人の意思が確認できないまま、傷病手当の申請はできるのでしょうか。
 加えて、寮に入っておられるので退職となれば退寮となりますが、どのように対応するのが良いか困っております。    
投稿日:2025/06/11 11:57 ID:QA-0153835
- にしたんさん
 - 京都府/販売・小売(企業規模 301~500人)
 
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
                ご質問いただきまして、ありがとうございます。
 大変難しい状況であり、法的・人道的・実務的観点を慎重に踏まえて対応する必要があります。以下に、それぞれの論点について整理します。
 
 1.自然退職の扱いについて
 就業規則の規定
 「勤続年数3年未満は1ヶ月」「休職期間満了しても休職事由が消滅しない場合は、自然退職とする」
 これは有効ですが、「本人の意思確認が困難」「連絡先不明」「事故で意識不明」という特殊な事情があるため、形式的な自然退職処理だけでなく、慎重な実態確認・記録保全が求められます。
 対応のポイント
 事故・医療状況の記録を文書化(事故発生日、病状、病院の連絡先、警察からの報告など)。
 休職開始→休職期間満了→自然退職とする場合、会社の判断の合理性を担保する記録を残す(例:「本人意思の確認は困難」「警察に捜査依頼しても所在不明」など)。
 社会的な配慮として、退職の決定を急がず、警察の調査結果や医師の判断を一定期間待つという判断も可能です(人道的配慮や評判リスクの回避)。
 退職処理に入る前に「不利益取り扱い(解雇・退職)」と捉えられるリスクを避けるため、労働基準監督署に相談しておくことを推奨します。
 
 2.傷病手当金の申請について
 (1)基本要件
 傷病手当金は、健康保険の被保険者が「業務外の傷病により就労不能」となった場合に支給されます。
 (2)今回の問題点
 健保未加入状態 → 加入手続き中
 本人が意思表示できない → 通常は申請書に本人の署名が必要
 (3)対処の方向性
 健康保険への遡及加入手続きが完了し、被保険者資格が確認されれば申請可能です。
 申請手続きについては、以下の方法があります:
 方法→内容
 1.家族など代理人による申請→通常は親族が行うが、連絡先不明のため困難
 2.会社が代理で進める→申請書の「事業主記入欄」までは記入可。
 医師の意見書があれば、本人署名の代替措置を相談できる可能性あり。
 3.全国健康保険協会(協会けんぽ)等への個別相談→本人署名が取れない理由(意識不明)を説明し、柔軟な対応が可能か協議する
 まずは加入予定の保険者(協会けんぽ、健保組合など)に事情を説明して指示を仰ぐのがベストです。
 
 3.寮の扱い(退寮)について
 (1)基本的な視点
 本人の私物の管理、寮の空き部屋確保、緊急時の対応など、会社の管理責任が問われる領域です。
 退職が確定していない間は、寮に対する入居資格の継続判断が必要になります。
 (2)対応案
 寮費の扱いをどうするか決める
 滞納があっても本人に請求できない状況であり、一時的な会社負担(仮払)扱いとするケースも。
 一定期間(例:休職満了まで)占有を認め、それ以降は退去とするルールを設定
 その際も、私物の取り扱いや家財の保管に注意が必要(勝手な処分は不可)。
 「私物整理・処分・引渡し」について法的助言を得る
 弁護士や社会保険労務士と連携して、処分・保管通知の様式などを整える。
 
 4.まとめ:実務対応ステップ
 項目→実施内容
 (1)社保加入→年金事務所・健保に状況説明し、遡及加入手続きを進める
 (2)傷病手当金→健保に相談し、本人署名無しでの手続き可能性を確認
 (3)自然退職処理→休職期間満了後に検討。事実経過の記録と労基署相談を推奨
 (4)寮対応→寮費扱いと私物管理方針を決定。法的な観点での対応ルールを整備
 (5)家族連絡→警察・行政と連携し、引き続き連絡先の把握を試みる
 
 以上です。よろしくお願いいたします。                
投稿日:2025/06/11 16:26 ID:QA-0153845
相談者より
                ご回答ありがとうございます。それぞれの質問に対して分かりやすくご説明くださり、大変助かります。
社会的な配慮もふまえ、関係各所と連携を取りながら、進めたいと思います。                
投稿日:2025/06/12 08:38 ID:QA-0153872大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
                ご質問について、回答いたします。
 
 ご本人が意識不明の状態でしたら、当然ながら、本人との会話はできません。
 
 意識不明状態がいつまで続くかにもよりますが、長期に渡る場合は、ご家族と
 連絡を取り合っていただくのが最も適切かと存じます。
 
 ご家族の連絡先がわからないとのことでございますので、警察に相談してみて
 ください。事情を説明すれば、警察を介し、ご家族から会社へ連絡をいただく
 ことは可能ではないかと思います。
 
 また、傷病手当金の申請は本人が行うものですので、一旦は状態の快復を見守って
 いただくしかございません。状態が快復すれば、本人と申請手続きのやりとりを
 行ってください。
 
 まずは、ご家族との会話が実現出来るよう、警察にご相談していただくことを、
 お勧めいたします。                
投稿日:2025/06/11 16:29 ID:QA-0153846
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/06/12 08:39 ID:QA-0153873参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
                事故の状況にもよりますが、全体としましては、
 少なくとも1ヵ月は様子をみて、本人の意識が戻るのかどうか、
 一方で、家族等には連絡を取る努力を継続するということになるでしょう。
 
 ・自然退職は通常通りでよろしいでしょう。
 ただし、文面のような状況ですので、
 ご家族等に連絡するように努力してください。
 身元保証書等は今後については必須としてください。
 
 ・傷病手当金の申請は可能ですが、時効は2年ですので、
 少なくとも、数ヵ月は本人の意識が戻ってから、教えてあげればよろしいでしょう。
 
 本人に万が一のことがあった場合には、法定相続人が申請可能です。
 
 ・退寮についても、本人の意識が戻らなければ、ご家族等に依頼するしかありません。                
投稿日:2025/06/11 16:49 ID:QA-0153849
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/06/12 08:39 ID:QA-0153874大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
                本人とコミュニケーションが取れない以上、家族と連絡するしか方法はなさそうです。警察にも事情を説明し、家族との連絡ができるよう、先方から会社に連絡をくれるようお願いするくらいでしょうか。
 
 直ちに危篤状態になっていないのであれば、そうしたやり取り含めて少なくとも1カ月程度は様子をみて、最終的に全く対応できる人間がいないのであれば、貴社就業規則に沿って自然退職ということになるのではないでしょうか。                
投稿日:2025/06/11 23:42 ID:QA-0153867
    回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
    回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
    ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
    
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