執行役員への退職金支給について
当社は執行役員を就業規則上も社員として位置づけ、退職金を正社員同様積上げておりました。確定給付年金・確定拠出年金の双方を運営しております。このたび上位方針として、執行役員は取締役と同様な処遇形態とし今後新たに執行役員に就任する者は退職金を精算して、就任以降は完全に年俸制とすることになりました。このため就業規則の社員の範囲、退職金規程等から執行役員を適用外とする改訂を検討しています。
そこでご質問ですが、今後の執行役員就任者はむともかく、現状の執行役員の退職金を就業規則変更日付で精算することに問題ないでしょうか。
①金融機関からは、現行の執行役員については、退職所得としては認められず、一時所得扱いとされるかもしれない。いずれにせよ金融機関が判定する立場にない。
②現行の執行役員が、上位の取締役へ就任するか、下位の顧問に就任するか、何らかの身分の変更がない限り、退職金として判定されないのではないか。とのことです。
投稿日:2012/02/09 18:57 ID:QA-0048142
- あーさん
- 愛知県/機械(企業規模 1001~3000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御相談の件ですが、文面のような処遇変更ですと、従来雇用契約であった執行役員について取締役同様の委任契約を結ぶことになります。その場合、契約形式は実態に応じたものでなければなりません。
執行役員の業務内容や指揮命令形態に殆ど変化が無く、単に社員としての適用を除外するというのであれば、実質は雇用契約が継続しているものといえます。そうしますと、ご懸念の通り、税法上の退職所得として認められないばかりか、労働基準法の観点からも一種の偽装役員としまして合法性を欠く可能性が高いでしょう。
従いまして、対応としましては退職金精算の前に、従来の執行役員の定義を見直し基本的には取締役同様の業務役割を荷わせることで従業員との身分の違いを明確にすること、及び実際の運用上でもそのように処遇されることが必要です。たとえ名称が同じでも具体的な中身が完全に変われば、少なくとも労働法令上問題とされることは無いものと考えられます。但し、税法上の問題については別になりますので、課税対策としての具体的な措置につきましては税理士等の専門家にご確認されることをお勧めいたします。
投稿日:2012/02/09 20:22 ID:QA-0048143
相談者より
明解なご見解をいただきありがとうございました。お礼申し上げます。
投稿日:2012/02/09 20:57 ID:QA-0048146大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
執行役員への退職金について
▼ポイントとしては、執行役員が雇用関係の継続なのかどうかです。雇用関係の継続であれば、退職所得ではなく、給与または賞与としてみなされます。
現状の執行役員は、社員として位置づけていたわけですから、原則、退職所得とはみなされないでしょう。
以下、参考通達ですが、今後の具体策等については、顧問税理士さん等にご相談ください。
所得税基本通達30-2の2及びその解説
《使用人から執行役員への就任に伴い退職手当等として支給される一時金》
30-2の2 使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限る。)からいわゆる執行役員に就任した者に対しその就任前の勤続期間に係る退職手当等として一時に支払われる給与(当該給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上当該給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものに限る。)のうち、例えば、次のいずれにも該当する執行役員制度の下で支払われるものは、退職手当等に該当する。
(1) 執行役員との契約は、委任契約又はこれに類するもの(雇用契約又はこれに類するものは含まない。)であり、かつ、執行役員退任後の使用人としての再雇用が保障されているものではないこと
(2) 執行役員に対する報酬、福利厚生、服務規律等は役員に準じたものであり、執行役員は、その任務に反する行為又は執行役員に関する規程に反する行為により使用者に生じた損害について賠償する責任を負うこと
(注) 上記例示以外の執行役員制度の下で支払われるものであっても、個々の事例の内容から判断して、使用人から執行役員への就任につき、勤務関係の性質、内容、労働条件等において重大な変動があって、形式的には継続している勤務関係が実質的には単なる従前の勤務関係の延長とはみられないなどの特別の事実関係があると認められる場合には、退職手当等に該当することに留意する。
以上
投稿日:2012/02/09 20:29 ID:QA-0048144
相談者より
ありがとうございました。大変勉強になりました。
投稿日:2012/02/09 20:56 ID:QA-0048145大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
運用委託先には 《 問合せ・確認 》 義務があるのでは ?
|※| ご相談の 「 執行役員 」 とは、部門長など、部門経営の執行者を執行役員と位置づけ、取締役に準じた責任と権限を付与された人だと推測します。この場合、法律上の取締役でないことは明らかですが、契約形態については、取締役と同様の委任契約か、雇用契約かに就いては、見解が分かれています。 .
|※| 他方、退職手当等とは、「 本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与 」 と定義されていますので、税法上、退職と扱われると思います。 .
|※| 但し、年金制度に関わる、本人拠出の所定掛金と運用益の控除問題や、脱退一時金としての取扱いに関する年金規約と、国税の見解の擦り合わせなどがありますので、運用委託期間を通じてご確認されることをお勧めします。金融機関には 《 判定 》 する立場になくても、《 問合せ・確認 》 義務がある筈です。
投稿日:2012/02/09 21:16 ID:QA-0048147
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2012/02/25 12:11 ID:QA-0048454参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
運用委託先には《 問合せ・確認 》 義務があるのでは ? (誤字修正 )
最終パラグラフの誤字訂正致します。 「 運用委託期間 」 ⇒ 「 運用委託機関 」。 失礼しました。
投稿日:2012/02/09 21:45 ID:QA-0048148
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2012/02/25 12:12 ID:QA-0048455参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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