体調不良者の長期在宅勤務に関して(診断書、業務報告)
いつもお世話になっております。
■状況
①事務職社員が体調不良(ひどい腰痛)で、すでに約1ヵ月近い在宅勤務になっている。
②年次有給休暇や、在宅ワークで、欠勤には至っていない。
③整骨院などに通って治療の努力はしているが、診断書などは提出されておらず、先の見込みは不明。
④本人のメイン業務が電話や郵便対応などの【出社前提の業務】であり、本人の現PCスキル等から、在宅で任せられる仕事が多くない。
■ご相談事項
休職・欠勤の場合は診断書を提出してもらい、先の予定と職場での配慮を検討するのですが、今回のケースでは、欠勤には至っておりません。
必要であれば、しっかり休職なり休みをとって回復してほしいですが、本人の意思に任せているため、当日休む・本日も在宅希望などの、場当たり的な対応になっております。
・欠勤に至っていない場合でも、診断書の提出を求めることは問題ないでしょうか?
・上記④に書いたとおり、在宅で任せられる仕事は多くないです。「在宅なら勤務可」という診断が下りた場合、何とか在宅業務を捻出して任せたいです。この場合、業務日報の提出を義務付けても問題ないでしょうか? 長期在宅をしたことがない社員の為、「適宜チャットで報告して」とするより、ある程度書式化して報告事項が固まっている方がやりやすいと思うのですが、他のテレワーク勤務者には義務付けていないため、体調不良者へのハラスメントにとられかねないか危惧しております。
■弊社の体制
・IT企業(SE派遣)で、オフィスはあるが、客先常駐者がほとんど。
・在宅勤務の可否は、弊社テレワーク規程+客先の常駐者規定で判断されるため、「SE職ならOK、事務職は不可」という一律したルールではない。
・事務部門でも、在宅勤務オンリーの対象者あり。この場合、PCスキルなどを事前に上長が確認しており、日報ではないが、まめにチャットツールやミーティングなどで進捗・成果物を報告している。
投稿日:2025/06/02 09:49 ID:QA-0153358
- 桂木藤尾さん
- 大阪府/情報処理・ソフトウェア(企業規模 101~300人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 欠勤に至っていないが、診断書提出を求めることは可能か
結論:問題ありません。
法的には、診断書の提出義務は、休職や長期欠勤の際に求めるのが一般的ですが、「健康上の理由により勤務形態の変更を希望する(=通常勤務ができない)」場合にも、勤務継続・職場配慮の判断材料として提出を求めることは正当な業務命令の範囲とされています。
留意点といたしましては、診断書の提出理由を「本人の健康と職場での配慮を適切に行うため」と配慮目的として説明すると、本人の心理的抵抗が少なくなります。
提出を求める際は、診断書の内容として「就労可否」「就労可能な範囲(出社/在宅/時間制限など)」に触れてもらうよう依頼するのが望ましいです。
2. 在宅勤務者に日報提出を義務付けることは可能か
結論:原則可能。ただし、他の在宅勤務者とのバランス・説明が重要です。
法的観点といたしましては、日報提出は業務管理の手段として合理的であり、業務命令として課すことは問題ありません。
「他のテレワーク社員には求めていない」点は差別的取り扱いと見なされないよう、体調不良による在宅勤務であり、業務の制約・健康状態に配慮して管理手段を明確化する必要があるためと説明できれば、ハラスメントには該当しにくいと考えられます。
具体策として、書式例(日報テンプレート)を用意して、他の在宅勤務者にも共通化することを将来的に検討すると、制度としての正当性が高まります。
書式例の内容:
日時・勤務時間帯
その日の業務内容(できるだけ定型項目に)
作業時間・進捗状況
健康状態(任意)
所感・連絡事項
3. その他の留意点・ご提案
在宅勤務の「業務捻出」が困難な場合、診断書で「在宅勤務なら可能」と明記された場合にのみ受け入れるスタンスは妥当です。
それでも業務がない場合は、「就労可能な業務がない」=休職または療養優先を提案することが正当な対応です。
長期的に場当たり的な勤務(前日夜や当日朝の在宅申告)が続くと、他社員との不公平感や業務支障が生じかねません。状況を整理する意味でも、「診断書の提出と勤務形態の今後の見通しの確認をしたい」と丁寧に対話の場を持つのがよいでしょう。
4.まとめ(会社としての対応案)
項目→対応方針(提案)
診断書の提出要否→要請可能。「職場での適切な配慮のため」として依頼
日報提出→義務付け可能。目的と他社員との違いを明確化する
業務の捻出困難→診断書により在宅勤務可能とされた場合に限定し、それでも業務がない場合は療養推奨
社内整合性→在宅勤務ルール・報告方法の見直しを視野に入れ、今後の運用に活かす
以上です。よろしくお願いします。
投稿日:2025/06/02 14:55 ID:QA-0153380
相談者より
ご回答ありがとうございました。
まさに、ご指摘の状況が生じつつあり、不公平感の解消の為にも行動を起こしたいと思います。
>長期的に場当たり的な勤務(前日夜や当日朝の在宅申告)が続くと、他社員との不公平感や業務支障
投稿日:2025/06/03 09:06 ID:QA-0153448大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、メインの業務が出社要の場合ですと、在宅勤務のみを認められる必要性まではございません。
すなわち、御社との雇用契約に関しましては、出社可能である事が前提になるものといえますので、無理に在宅の仕事を割り振ってまで勤務を継続されなくてもよいものといえます。仮にこの先もそうした対応を続ければ、今後類似の事案が発生した際に従業員が同様の希望を出される事で業務運営に重大な支障をきたしかねませんし、きちんと勤務されている従業員の不満を生じる可能性も高くなるでしょう。
対応としましては、医師の診断書を提出頂き、出社が現状無理という状況でしたら、出社可能になるまで休職指示をされるのが妥当といえるでしょう。
投稿日:2025/06/02 15:47 ID:QA-0153389
相談者より
ご回答ありがとうございました。
在宅以外の者が、通常業務の負荷+下記のことも考えないといけない…とダブルの負荷になっており、行動を起こしていこうと思います。
>無理に在宅の仕事を割り振ってまで勤務を継続
投稿日:2025/06/03 09:08 ID:QA-0153449大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
1.現在やむを得ない状況で在宅勤務を行っていますので、
出勤可能かどうかの判断のため、診断書を求めることは可能です。
ただし、もめるケースもありますので、その旨本人によく説明してください。
できれば、就業規則で診断書を求めることがある旨、規定しておいた方が
よろしいでしょう。
2.業務日報の義務付けは問題ありません。
こちらもテレワーク規程等で記載しておくことをお勧めします。
特別なはからいともいえますので、はじめは書式化した報告書でも
よろしいでしょう
投稿日:2025/06/02 15:50 ID:QA-0153390
相談者より
ご回答ありがとうございました。
今回のケースを踏まえて、就業規則やテレワーク規程などに「診断書を求める場合がある」という規則を追加したいと思います
>就業規則
投稿日:2025/06/03 09:09 ID:QA-0153450大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
まず、前提として、社員は通常の業務提供を行う義務があります。
身体の理由により、通常の業務遂行が難しいか否かは、主治医の診断書及び、
貴社の産業医に診察してもらい、最終的には貴社での判断となります。
ここで言う通常の業務とは、配慮する前の従前の業務を指します。
よって、通常の業務遂行が難しいと申告があった時点で、主治医の診断書は
提出してもらうべきかと思案いたします。
通常の業務遂行が難しいのであれば、休職を命じることも可能ではあります。
また、会社配慮として自宅勤務を認める場合においても、業務上、会社が必要と
判断しているものであれば、業務日報の提出を命じることも可能です。
業務上、必要な理由があれば、ハラスメント行為には該当いたしません。
重要なのは、会社が必要と判断している理由が明確にあるか否かとなります。
投稿日:2025/06/02 16:39 ID:QA-0153407
相談者より
ご回答ありがとうございます。
これまで「診断書=『欠勤、休職』の前段階」という流れがあり、下記の観点が弊社には抜けていたと感じました。
本人との打ち合わせに向けて、準備を進めてまいります。
>通常の業務遂行が難しいと申告があった時点で、主治医の診断書は提出してもらうべき
投稿日:2025/06/03 09:14 ID:QA-0153452大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
貴社がどのような業務を任せるかの方針が基本となります。本当は出勤して欲しいが、無理そうなので別業務でもかまわないのか、今回に限らず、人事的視点では公平公正な取扱いとすべきでしょう。本人希望を何より優先してしまうとこの点が問題になり得ます。
何らかの事情でその社員だけを特別扱いした前例は組織に悪影響を及ぼします。
本来の雇用契約業務を果たせないのであれば、契約見直しも合理性があります。その判断のため診断書を出してもらうのは有効でしょう。本人が拒絶するのであれば、契約履行を求める理由となります。
「在宅なら可」であっても、そもそもそんな業務が無い(社内にはあっても、その社員に適用できる業務ではないも含みます)のであれば、任せる業務がないので休職扱いにするなどを、ここで本人の希望を聞くのはありだと思います。
投稿日:2025/06/02 23:00 ID:QA-0153430
相談者より
ご回答ありがとうございます。
下記も検討の一つとして、本人との打ち合わせに備えて、準備を進めたいと思います。
>契約見直しも合理性があります
投稿日:2025/06/03 09:11 ID:QA-0153451大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
問題ありません。
むしろ、医師の診断書を提出してもらったうえで、出社可能か否かを見極める必要があり、「在宅なら勤務可」という診断が下りた場合であっても、在宅なら体調が回復するという保証はありませんし、またそもそもの話としまして、無理に在宅での業務を用意してまで在宅勤務をさせる義務はありません。
本人の意思に任せっきりで、当日休む・本日も在宅希望といった場当たり的な対応では、適正な労務管理とはいえません。
本人とよく話し合い、体調が回復するまで休職させ自宅療養を勧めるのがよろしいのではないでしょうか。
他の社員に与える影響も考慮すべきです。
投稿日:2025/06/03 06:10 ID:QA-0153435
相談者より
ご回答ありがとうございました。
まさに下記が大きな問題になりつつあり、不公平感の解消に向けて行動していきたいと思います。
>他の社員に与える影響
投稿日:2025/06/03 09:15 ID:QA-0153453大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
労働契約の説明・確認
以下にて、回答させていただきます。
(1)労働者も、労働契約を遵守する必要があります。
(2)そして、「就業の場所」は、労働条件通知書において明示することになっ
ています。
(3)本件に関係して、あくまで一般論として、労働者において、「就業の場
所」として「在宅」を追加するという(黙示の)契約変更が成立していると
の認識に至ることが考えられます。
(4)この場合、一般論として、労働者が、自分は労働契約を履行しており、診
断書を提出する必要はないのではないかと思う可能性は否定できないと考え
られます。
また、例えば、在宅業務が無くなるのであれば休業手当の支給が必要では
ないか、出社命令は安全配慮義務に反するのではないかといった可能性も否
定できないと思われます。
(5)事務職社員の方に、まずは、契約内容(特に、在宅勤務の位置づけ)につ
いてご説明、ご確認なされることが重要であると考えられます。
その上で、今後の業務について、診断書の提出等を含めて、お話し合いさ
れては如何でしょうか。
投稿日:2025/06/03 06:59 ID:QA-0153437
相談者より
ご回答ありがとうございました。
ご指摘事項の、特に(4)のあたりが気になっており、また本人からの通院しているという自己申告に基づいて、これまでアクションを控えておりました。
会社として「社員のキャリア継続」も大切ですが、今回はその時期を過ぎて、次は「人事としての公平感」を前面に押し出すタイミングだと強く感じました。
投稿日:2025/06/03 09:17 ID:QA-0153454大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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