企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】テレワーク テレワーク

働き方改革が推進されるなか、時間と場所にとらわれない多様な働き方を実現する「テレワーク」の導入を検討する企業が増えています。新たな労働力の確保や優れた人材を獲得しやすいなどの理由から、その活用方法にも注目が集まっています。

1. テレワークとは

テレワークとは、時間や場所にとらわれない働き方のことを意味します。1970年代にアメリカで登場し、近年ではインターネットを介して物理的な距離を気にせずに働くことが可能になっています。そのため国内・海外を問わず、さまざまな場所をつないで働く形へと発展しています。

テレワークの「テレ」とは

テレワークの「テレ」とは、「tele=遠い・遠距離」という意味です。それが「work=仕事・働く」という言葉と組み合わさってできた和製英語です。テレワークのなかでもさらに、勤務スタイル・働く場所によって、いくつかの名称に分類されています。

テレワークの目的

企業がテレワークを導入する目的の一つは、固定費の削減です。オフィスをなくしたり、オフィスで働く人数を減らしたりすることで、家賃や光熱費といったコストの削減が可能です。また通勤の必要性がなくなることで、交通費の削減にもつながります。

さらに場所を問わず人材を採用できることが、間口を広げ、結果として優秀な人材確保につながります。これまで結婚や出産、育児などライフステージの変化で退職を余儀なくされていた人が継続して働けるようになります。病気や障がいで外に出て働くのが難しいといった、個別の事情に応じて働く場所を用意できるのも、テレワークのメリットです。

2. テレワークの分類

テレワークは大きく、雇用型と非雇用型に分けることができます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

雇用型:企業に勤務する従業員が行う

(1)在宅勤務

雇用されている状態ではあるが、定められた就業場所に通勤せず、自宅で仕事をする働き方です。業務のやり取りにはPC・電話・FAX・ビデオ通話などを活用します。育児・介護・身体的事情などで通勤が困難な場合に活用されています。

(2)モバイルワーク

PCや携帯電話などを使い、働く場所を柔軟に選択する方法です。主に営業職など外回りの業種で活用され、施設に依存することなく仕事を進めることができます。オフィスから取引先に移動する途中など、時間を有効に活用したい場合に利用されています。

(3)施設利用型勤務

勤務先以外に設けられたスペースでPCや携帯電話などを使って働く方法です。その企業専用のサテライトオフィス、数社で共有する共同サテライトオフィス、テレワークセンター、スポットオフィス、レンタルオフィスなどの施設があります。

自宅周辺や通勤経路などにサテライトオフィスがあれば、通勤時間が短縮され、時間を有効に使えるというメリットがあります。通勤に時間がかかる従業員の居住地を考慮して、場所を設定することが多くなっています。

非雇用型:個人事業者・小規模事業者などが行う

(1)SOHO(スモール・オフィス・ホーム・オフィス)

Small Office Home Officeの略で、個人事業者として、ICTを使って柔軟に働く方法を指します。1990年代後半にノートPCが普及し、IT系SOHOが増加したことで浸透しました。プログラマーやWEBデザイナーなど、専業性が高い職種の個人事業者が活用している働き方です。

(2)内職副業型

企業に雇用されず自宅などでPCや携帯電話を使って働く方法です。SOHOと比較して、専業性が低い業務を中心に行う働き方を指します。勤務場所は自宅が多く、「在宅ワーク」とも呼ばれます。

テレワークと似た意味で使われる言葉

在宅ワーク

いわゆる在宅勤務を意味します。企業に雇用されている従業員が在宅で働く以外に、フリーランスや業務委託の形態で、自宅で仕事をしている働き方を指すこともあります。

リモートワーク

オフィス以外の場所で仕事をすることを意味します。テレワークとほぼ同義語で利用されます。在宅ワークとは異なり、サテライトオフィスなどの自宅以外での勤務も含みます。

3. テレワークを導入するメリット

テレワークの導入により企業、労働者の双方にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

企業のメリット

(1)離職防止と人材確保

テレワークの導入は、育児や介護などの事情により優れた人材が離職してしまうことを防ぐメリットがあります。働く意思はあっても働ける状況が整わないため離職せざるを得ないのであれば、従業員だけでなく企業にとっても痛手となります。また、柔軟な働き方の実現は企業イメージの向上につながるため、多様な人材の獲得が期待されます。

(2)オフィス運営におけるコスト削減

テレワークの導入により、既存のオフィススペースや拠点を削減できるほか、通勤交通費の削減も可能です。これまでオフィスで利用していた紙などの備品も使用頻度が減少するため、さまざまなコストの削減を期待できます。

(3)緊急時の事業継続

近年、災害や感染症の流行によって事業継続が困難になるケースが増え、BCP(事業継続計画)の重要性が高まっています。緊急事態が発生した場合は、従業員が出社できなくなる可能性を想定しなければなりません。テレワークが可能な体制を導入しておくことで、緊急時にも事業を継続できるというメリットがあります。

従業員のメリット

(1)ワーク・ライフ・バランスの実現

通勤せずに働くことができれば、家族とのコミュニケーションの時間が増え、育児・介護などにもゆとりをもって対応できます。自分の時間が増えるので、資格取得などの自己啓発や趣味に取り組めるようになるなど、ワーク・ライフ・バランスの実現に役立ちます。

(2)通勤にかかる負担の軽減

交通渋滞や満員電車など、毎日の通勤は従業員にとって身体的・精神的負担を伴います。通勤による疲労が重なると、業務上のミスにつながる可能性もあるでしょう。往復の通勤時間が軽減されれば時間を有効活用できるようになり、仕事への余裕も生まれます。

(3)スキル・経験を生かした多様な働き方を実現

テレワークでは時間と場所に縛られず、結婚や出産、介護などと両立した多様な働き方を実現できます。キャリアを中断せず、スキルや経験を生かすことが可能です。

4. テレワーク導入におけるデメリット

多くのメリットや社会的な意義を持つテレワークですが、導入時に注意しておくべきデメリットもあります。

労務管理が難しい

独立行政法人労働政策研究・研修機構がまとめた「情報通信機器を利用した多様な働き方の実態に関する調査結果」(2015年)によると、多くの企業がテレワーク実施時の課題として「労働時間の管理が難しい」ことを挙げています。特に、在宅・モバイルワークの管理に苦慮している様子がうかがえます。

テレワークを導入する場合、適切に労働時間管理を行わなければなりません。例えば、PCの使用時間から始業・終業時刻を記録するなど、客観的に管理する方法を検討する必要があります。

中抜け時間がある場合は、本人の報告をもとに休憩時間として扱う、または時間単位の有給休暇として扱うなど、厚生労働省のガイドラインに基づいて導入・実施を検討することが大切です。

情報セキュリティーの課題

労働政策研究・研修機構による同調査を見ると、多くの企業が、テレワーク、特にモバイルワークにおける課題・問題として情報セキュリティーの確保を挙げています。社外から社内システムにつながることは利便性がある半面、情報漏えいやサイバー攻撃など、さまざまなリスクを抱えることになります。

テレワーク導入前に企業内のセキュリティーに万全を期すとともに、万一の事態を想定した対応策の整備、訓練が重要となります。また、テレワークを行う従業員に対してセキュリティー面での教育・啓蒙活動も継続して行っていく必要があります。

不公平感が生まれることがある

テレワークを導入することで、立場の違う従業員の間に不公平感が生まれることがあります。オフィスに出社しなければならない従業員は、通勤に時間を費やす必要がないテレワークを「うらやましい」と感じているかもしれません。「家にいる」イメージだけで、在宅勤務は楽でいいという印象を持っている人もいるでしょう。逆に、テレワークで働く従業員は、「情報がリアルタイムで手に入らない」「出社している人から仲間外れにされる」など、孤立感から不満を抱くことも考えられます。

テレワークの導入目的やメリットを従業員に伝えた上で、働き方をオープンにする必要があります。コミュニケーションを頻繁に取れるツールや仕組みを整える必要もあるでしょう。

テレワークを導入しにくい業界・職種がある

テレワーク導入が難しい業界・職種があります。具体例を挙げると、接客・販売業、製造業、医療・福祉業といった現場での業務が必要となる職種です。しかし、業務内容を細かく見直せば、一部の業務をテレワークで実行することは可能です。例えば、付随する事務作業を切り出してテレワークで対応する、WEB会議を利用する、といった方法があります。

また、テレワークはオフィスの外で働くことによって、情報漏えいや不正アクセスといったリスクが生じるため、導入に慎重になるべき業界・職種があります。具体的には、機密性の高い書類をやり取りする弁護士や行政書士といった専門職や、個人情報を取り扱う公務員は、テレワークに切り替えるのが難しい職種です。

紙の書類や印鑑を前提に業務を組み立てている場合は、電子署名を活用するなど社内の仕組みを見直す必要があります。セキュリティーの重要度に合わせて、どの業務であればテレワークでも対応できるのか、線引きを明確にすることが重要です。

コミュニケーションが難しくなる

テレワークの導入によって、これまではスムーズだったコミュニケーションが難しくなることがあります。例えば、問題が生じた場合、早急に関係者に連絡を取りたくても、相手が離席中や移動中で連絡が取れず、トラブルが大きくなってしまう可能性も否定できません。

また、メールなどの書面だけでは、相手との心理的な距離が遠くなることも懸念されます。テレワーク導入時は、対面でコミュニケーションが取れるWEB会議を採用する、定期的な社内勉強会や研修、社内外活動を実施するなど、コミュニケーション不足にならないための施策を検討することが必要です。

モチベーションを自己管理するのが大変

コミュニケーションに関連するテレワークの課題として、テレワーク従事者のモチベーション管理があります。オフィスから離れて仕事をすることで、ON/OFFの切り替えができず、生産性が低下する可能性があります。また仕事の結果を評価する人が周りにいないことも、モチベーションを下げる原因になります。

企業が気を配るべきモチベーション管理の方法として、まず就業環境のチェックがあります。テレワーク従事者が集中できる環境が自宅に整っているかどうかを確認しましょう。机や椅子、照明などの設備は生産性に大きく影響します。通信環境が整っていなければストレスがたまり、モチベーションが低下することもあるでしょう。環境を整えるため、「テレワーク手当」などで支援するのも一つの方法です。

さらに「適度に休憩を取る」「集中して作業する時間を決める」など、テレワークの知見をシェアしましょう。管理する上司にも、部下が行った業務を頻繁に褒める評価するなど、密なコミュニケーションが求められます。

「さぼっている」と誤解される

テレワークが通常の業務と異なるのは、成果を出すまでのプロセスがほかのメンバーや上司には見えづらい点です。例えば業務に追われて、半日メールに返信できなかっかたら、「仕事をちゃんとしているのか」と懸念されるかもしれません。相手が何をしているのかわからない状況で生まれる懸念や不安を払拭し、チーム内に信頼関係を築くのがテレワークをスムーズに運用するコツです。そのためには、互いの作業スケジュールや業務量を可視化しすること、他お互いを信頼した上でコミュニケーションを重ねることが重要です。

5. テレワークが推進される背景

テレワークは1970年代にアメリカで発祥した働き方で、交通量の増加による道路混雑や大気汚染の問題が発端といわれています。日本においては1980年代から実験的に導入され始め、ノートPCの普及などによって浸透しました。

働き方改革

企業のテレワーク導入を後押しするきっかけになったのは、政府が進める働き方改革です。「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金」などの法改正を進め、少子高齢化に向けて誰もが働きやすい環境を作ることを狙いとしています。

働く時間・場所を問わないテレワークは、日本の労働人口の減少に歯止めをかける効果が期待されています。テレワークが当たり前になることで、これまでは住んでいる場所や働く時間の問題で就業できなかった人々にも、就業の機会が生まれます。

2020年東京オリンピック

2020年7月に予定されていた東京オリンピックに向けて、総務省や厚生労働省、経済産業省などが協力し、2017年より「テレワーク・デイズ(※)」の取り組みが行われてきました。東京オリンピックを想定し、首都圏の交通機関の混雑緩和を目的に、企業に対してテレワーク導入を推進するというものです。

2019年7月から約1ヵ月間実施された「テレワーク・デイズ2019」には2200団体が参加し、企業にテレワークの勤務形態を広げるきっかけとなりました。

※初回の2017年では「テレワーク・デイ」という一日だけのイベントでした。

新型コロナウイルスの感染拡大

2020年に入り感染が広がった新型コロナウイルス感染症は、多くの企業がテレワーク体制へと移行する引き金となりました。東京都が4月に行った調査によれば、4月の時点で都内企業のテレワーク導入率は62.7%。これは、新型コロナウイルスの感染が懸念され始めた3月時点の24%と比較し2.6倍になり、高い導入率を記録しました。

総務省の「令和元年版 情報通信白書」によれば、2018年でのテレワーク導入率は19.1%。新型コロナウイルスの感染拡大防止をきっかけに、全国で多数の企業がテレワークを推し進めることになっています。今後も、テレワークが働く選択肢の一つとして企業に根付くことが期待されます。

6. テレワーク導入に関する主な助成金

政府によるテレワーク推進が強化され、導入企業に対してさまざまな助成金制度が設けられています。代表的なものを紹介しましょう。

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

厚生労働省が実施している助成金制度です。テレワークを新規導入・継続活用する中小企業に対し、費用の一部を助成します。以前は「時間外労働等改善助成金」という名称でしたが、2020年4月より「働き方改革推進支援助成金」に変更されました。

主にテレワーク用の通信機器の導入・運用に対し支援が行われます。シンクライアント端末や、VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)装置、WEB会議用機器や社内のPCを遠隔操作するためのソフトウエアといった、テレワークを安全に実施するためにかかった費用が助成の対象になります(対象となる通信機器には条件があります)。

ほかにも、テレワーク実施に際して行った労務管理担当者に対する研修、従業員に対する研修、就業規則と労使協定の作成・変更、外部専門家を招いてのコンサルティングにかかる費用も助成の対象です。2020年4月1日以降の申請からは、派遣労働者がテレワークを行う場合も助成金の支給対象になりました。

支給される金額は、対象経費の合計額に補助率をかけ、さらに一人当たり/企業当たりの上限額に基づき計算されます。

厚生労働省|働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

時間外労働等改善助成金(テレワークコース)の申請は、2020年12月1日まで受け付けています。条件に該当する中小企業のテレワーク推進を後押しする制度です。

ふるさとテレワーク推進事業

ふるさとテレワーク推進事業は、総務省が取り組む支援制度です。サテライトオフィスなどを地方に設けることで、地方と都市部との仕事・人の流れを活発化することを目的としています。1年に1回、公募事業に提案書を提出し、書類審査・外部有識者の評価を経て候補企業が選定されます。

公募対象は、地方公共団体や民間企業などですが、拠点地域については、例えば首都圏であれば首都圏整備法に基づく「既成市街地」および「近郊整備地帯」以外というように、地域制限が設けられています。

このほか、対外的な戦略・計画などにふるさとテレワークにかかわる取り組みの推進を記載していること、総務省のサイト「ふるさとテレワーク ポータルサイト」に情報を掲載して積極的な活動をしていることなども要件に挙げられています。

補助対象はテレワーク環境の整備費用であり、施設の建設や運営費用などは対象外です。補助金額は、補助の対象となる事業・対象者によって上限3,000万円が交付されます。

7. テレワークの導入状況

テレワーク導入企業は増加傾向

政府の推進もあり、テレワークを導入する企業は増加傾向にあります。総務省の「平成30年通信利用動向調査の結果」によると、テレワークを導入している企業の割合は19.1%となっており、前年の13.9%から上昇しています。また、「導入予定がある」と回答している企業が7.2%存在しており、今後も導入企業の増加が見込まれています。

同調査によると、テレワークの導入目的で最も多いのは「定型的業務の効率性(生産性)の向上」(56.1%)で、次に「勤務者の移動時間の短縮」(48.5%)と続きます。テレワークの効果については、「非常に効果があった」「ある程度効果があった」が合計81.6%におよんでいます。

レノボ・ジャパン株式会社が行った「テレワーク利用実態調査」を見ると、テレワーク導入企業の勤務環境満足度は未導入企業の約2倍となっており、労働者側の満足度にも大きな開きが出ていることがわかります。

これらの結果から、テレワークは企業・労働者の双方にとって満足度の高い勤務形態と認識されていることがうかがえます。

8. テレワークの導入方法

テレワークの導入に際しては、事前に整備しておくべきことがあります。大きくは「社内規程」「システム」「仕事スペース」の三つです。

テレワークのための社内規定の整備

テレワークのために整備する規程は、「情報セキュリティーポリシー」「労務管理」「評価制度」に分類できます。

情報セキュリティーポリシー

テレワークは社外で業務を行うため、情報漏えいのリスクが高まります。社内端末の貸出、私用端末の利用可否、セキュリティーソフトのインストール、情報ファイルの取り扱い、そのほか書類やデータの持ち出し可否について、セキュリティーに配慮したルールを取り決める必要があります。

労務管理

労務管理では、テレワークを行う従業員の始業・終業時刻を確認します。業務内容や就業時間の変更により給与や手当が変わる場合は、就業規則も変更します。オフィスとは異なり、働いている姿を確認できないテレワークでは、わかりやすく運用しやすい方法で労働時間を管理する必要があります。必要に応じて勤怠管理ツールを導入すると、よりスムーズな運用が可能です。

評価制度

テレワークの頻度がフルタイム、あるいは週の半分以上となる対象者がいるなど組織への影響が大きい場合、評価制度の見直しが求められます。テレワークでは、業務のプロセス評価が困難です。そのため、従業員ごとに達成目標を数値化し、達成率や成果の評価に重きを置く必要があります。

テレワークの導入は、経営層をはじめ、人事・総務部門、経営企画部門、情報システム部門、そして現場の各部署が連携して行うプロジェクトです。

従業員数が多い企業では、全てを一度に変更するのに大きな労力がかかります。まずはチームごと、部署の一部など小さな範囲で試験的に進めるスモールスタートを切るのも良い方法です。トライアルを実施する過程で現場のヒアリングを行い、改善点を制度に取り入れていくと運用に乗せやすくなります。

テレワークを実現するシステムの整備

テレワークのシステムを整備する際は、既存のICT(情報通信技術)が活用できるかどうかを確認し、必要に応じて自社の業態に適したテレワーク環境を構築します。大きくは、利用する端末の整備とテレワーク環境の整備とに分けて検討します。

利用する端末の種類

ファットクライアントPC

ハードディスクに各種データやツール・アプリなど必要な機能を保存できるPCで、オフラインでも利用できます。一般に社内用のPCにはこのタイプが用いられています。

シンクライアントPC

端末内にデータを保存せず、サーバーにアクセスして作業するPCです。データの持ち出しや保存ができないため、セキュリティーを確保しやすいというメリットがあります。

BYODのPC

BYOD(Bring Your Own Device)は私物の端末を業務に使うことをいいます。端末に情報が残らないようにするなど、セキュリティー対策を施すことが必要です。

スマートフォン・タブレット

移動中でも業務を遂行できる点がメリットです。ただし、紛失や盗難に備えて、アクセス制限や遠隔でデータ消去できる仕組みを同時に検討するなど、セキュリティー対策を講じる必要があります。

テレワーク環境の整備

セキュリティーを確保したテレワーク環境には、以下の四つのタイプがあります。それぞれの特徴を押さえ、自社に適した環境を選びましょう。

リモートデスクトップ方式

オフィスに設置されたPCに社外の端末からアクセスし、遠隔で閲覧・操作する仕組みで、オフィスのPCと同様の操作が可能です。社外の端末にデータが残らないため、情報漏えいが起こりにくいというメリットがあります。ただし採用するシステムによっては、オフィスのPCの電源を常時オンにしておく必要があります。

仮想デスクトップ方式

サーバー内にユーザーごとの仮想デスクトップを構築し、手元の端末からアクセスして操作する方式です。サーバー側がPCを一元管理できるので、従業員が勝手にソフトウエアをインストールすることを防げるほか、手元の端末には情報が残らないので安全性に優れています。ただし、サーバーに依存する方式のため、作業内容によっては回線速度に影響が出る、サーバーが停止した場合に業務が止まる、といったデメリットがあります。

クラウド型アプリ方式

WEB上のクラウド型アプリにアクセスして作業する方式です。アプリはクラウド上に置かれるため、場所や端末を問わず、同じ環境で作業ができます。作業内容はクラウド上に保存されますが、アプリによってはデータのダウンロードが可能なものもあるので、制限機能に留意する必要があります。

会社のPCを持ち帰る方式

PCを社外に持ち出し、VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)などを経由して業務を行う方式です。使い慣れたPCをそのまま利用できることや、導入コストを抑えやすい点がメリットです。ただし、この方式を採用する際は社員に対して十分な情報セキュリティー対策の研修を行い、私的利用の制限など徹底して周知する必要があります。

※VPN……社内のネットワークに社外からつなぐことができる技術の一種

テレワークに向けた仕事スペースの整備

従業員が実際に作業をするテレワークのスペースの整備も重要な課題です。

自宅内に業務に集中できる空間はあるかどうか、作業に適したデスクや椅子があるかどうかを確認しましょう。必要に応じて、テレワークの環境を整えるための「テレワーク手当」や、通信費の補助を支給します。

テレワークを開始する従業員には、円滑に業務を実施するためのガイダンスを行いましょう。始業・終業時刻といった労務管理の方法、情報セキュリティー対策の知識などが主な内容です。

自宅でのテレワークは一人で作業する場面が多いため、業務上の質問や不満を解消できるコミュニケーションの場をオンライン上に作ることも重要なポイントになります。

9. テレワークの浸透が多様な働き方の促進につながる

日本国内では、企業内でテレワークに対する体制の整備が進んでおらず、欧米諸国ほどテレワーク導入企業が増えていないのが現状です。深刻な人材不足に歯止めをかけるためにも、企業が主体となって社外で働ける環境を整備し、労働者が多様な働き方を選択できるようにすることが大切です。そのための手段として、テレワークについての知識を深め、導入を検討する必要があるといえるでしょう。

記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

あわせて読みたい

テレワークマネージャー
「テレワークマネージャー」とは、総務省が主導する「テレワークマネージャー相談事業」において、テレワークの導入を検討している企業・団体などに、アドバイスや情報提供を行う専門家のこと。テレワークの導入コンサルティング実績を持つ人材を総務省がテレワークマネージャーとして認定したもので、支援を必要とする企業...
ふるさとテレワーク
「ふるさとテレワーク」とは、都市部に拠点を置く企業が、地方に人材や仕事を移して行うテレワークのことで、地方の移転先や委託先で都市部にいるのと変わらない働き方を実現する取り組みをいいます。地方に整備したサテライトオフィスやテレワークセンター、個人宅などで働くことを前提として、都市部の人材を地方へ長期派...
インフォーマル・グループ
「インフォーマル・グループ」とは、組織や役職といった枠組みにとらわれず、好意的感情や関心などによって自然発生的に結びついた集団のことをいいます。一方、共通の目標を持ち、それぞれの役割や責任が明確化された公式な集団は「フォーマル・グループ」といいます。最近では経営学やリーダーシップ論にも応用され、組織...

関連する記事

「働き方改革」推進に向けての実務(4)テレワーク
注目が高まっている「テレワーク」がもたらす様々なメリットについて、具体的な実務と留意点をまとめた。
2017/03/31掲載よくわかる講座
【解説】働き方改革で導入が進む?「テレワーク」ガイドラインの変更点と実務対応
2017年度、厚生労働省が開催した「柔軟な働き方に関する検討会」で取り上げられた「テレワークガイドライン」(正式には「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン(案)」)についてご説明します。
2018/07/11掲載人事・労務関連コラム
人事マネジメント「解体新書」第47回 「テレワーク」1000万人時代に向けて(前編)
近年、ブロードバンドや情報セキュリティ技術の発達に伴い、ITを活用し、自宅や社外で働く「テレワーカー」が増えてきている。テレワーカーが1000万人を超えてきたと言われる現在、人事としてどのように在宅勤務へ取り組んでいけばいいのか?今回は、そのポイントを紹介して...
2011/07/04掲載人事マネジメント解体新書

関連するQ&A

テレワーク時の執務環境の確認について
現在テレワーク制度が無いものの、一時的にテレワークを実施しており、正式な規程を作成中でございます。勤務場所につきましては、サテライトオフィス契約が無い為、自宅・自宅に準ずる場所を原則とする予定です。 そこで、安全衛生の観点から以下の項目を記載しようとしております。 「会社は、テレワーク勤務者の安全衛...
テレワーク(在宅勤務等)について
いつもお世話になっております。 弊社においてテレワーク制度の導入プロジェクトが発足しました。 在宅勤務に限らず、サテライトオフィス勤務、フリーアドレス等様々な制度を検討しようと思っております。 導入目的の順位としては①多様な働き方による生産性向上②ワークライフバランスです。 そこで今回、現場の...
テレワーク時勤務時間の規則について
テレワークを導入することになり、始業・就業時間を変更することになりました。 現状、休憩時間を除き1日8時間 始業10時 就業19時で固定ですが、 テレワーク時は5時から22時の間で1日8時間勤務。コアタイムなし。深夜勤務・休日勤務は基本禁止し、所属長の許可制にする予定です。 その場合、就業規則をどの...
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

注目のキーワード解説をメールマガジンでお届け。

「よくわかる人事労務の法改正」ガイドブック無料ダウンロード

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


会社の新しい挑戦を支えるために<br />
人事戦略のよりどころとなる総合的な人材データベースを構築

会社の新しい挑戦を支えるために
人事戦略のよりどころとなる総合的な人材データベースを構築

第一三共株式会社は2025年ビジョン「がんに強みを持つ先進的グルーバル...