企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】ストレスチェックセイド ストレスチェック制度

「ストレスチェック制度」とは、厚生労働省が推進する職場のメンタルヘルス対策の一環で、従業員数50人以上のすべての事業所に対して、労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師または保健師による検査(ストレスチェック)を義務づける制度のことです。事業者は、希望する従業員に検査を受ける機会を定期的に提供、検査結果を受けて従業員から申し出があれば医師による面接指導を実施します。必要な場合は作業の転換や作業時間の短縮など適切な措置を講じなければなりません。同制度を盛り込んだ改正労働安全衛生法案は2014年3月に閣議決定され、開会中の通常国会で成立する見通しです。
(2014/6/9掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ストレスチェック制度のケーススタディ

働き手が自分のストレス状態を把握
不調者の差別助長につながる懸念も

2014年4月8日、参議院本会議で「ストレスチェック制度」の導入を柱とする改正労働安全衛生法案が採決され、全会一致で可決されました。衆議院での可決を経て同法案が成立すれば、従来の健康診断と同様、従業員へのストレス検査の実施が法制化されます。

精神障害による労災の認定件数は12年度で475件と前年度から約46%増加し、3年連続で過去最高を更新しました。1998年の認定はわずか4件しかなく、ここ15年でじつに120倍近くにまで急増しています。こうした傾向に歯止めをかけるのがストレスチェック義務化のねらい。厚労省では、働き手自身に自分の心理的な負担の度合いを把握してもらうことで、メンタル不調の深刻化の予防に役立てたい考えです。

制度の主なポイントは以下の通りです。

(1)従業員50人以上の事業所では年1回、医師または保健師によるストレスチェックを受ける機会を
    希望する労働者に提供する

(2)事業所は検査結果を従業員に通知し、問題ありとの結果を受けた従業員の申し出があれば、
    医師による面接指導を実施する

(3)その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合は作業の転換や労働時間短縮など
    適切な就業上の措置を講じる

具体的にどのような検査を行うかについては、法案成立後に厚労省がガイドラインを示す予定ですが、現段階では「イライラしている」「ひどく疲れた」「不安である」といったストレス反応の有無や、「非常にたくさんの仕事をしなくてはいけない」などストレスの原因となる職場環境や仕事の負荷の程度に関する設問に、従業員本人が書面などで答える方式が想定されています。検査結果は従業員本人だけに知らされ、本人の同意がなければ、結果は企業に伝わらないしくみです。

ストレスチェックの法制化については、2010年に前民主党政権下で初めて浮上して以来、紆余曲折がありました。今回の改正案でも当初、厚労省はすべての企業と労働者に検査を義務づける方針でしたが、「結果が厳格に管理される保証がなく、企業に伝わると労働者の不利益が大きい」「中小企業には負担が大きい」などの批判を受けて、すべての労働者に検査を義務づける規定を削除、産業医がいない50人未満の事業場は努力義務にとどめる修正を加えています。

いずれにせよ、メンタル不調を抱える人やその予備軍のスクリーニングにつながって、差別を助長するようでは本末転倒といわざるを得ません。労使のトラブルを回避し、制度本来の趣旨に沿った効果をあげるためには、慎重かつ公正な検査体制の構築や、良心的で誠実な産業医、支援サービス業者との連携が必須といえるでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

従業員代表制
従業員の過半数で組織する労働組合がない事業所は、時間外労働に関する協定(いわゆる「36協定」)などの労使協定を締結する際、従業員の過半数を代表する者を従業員代表として締結することが定められています。また就業規則を作成・変更する際にも、従業員代表の意見を求めなければなりません。これを「従業員代表制」...
産業医
「産業医」とは企業と契約し、従業員が健康かつ快適に働けるよう指導・助言を行う医師のことです。労働安全衛生法により、50人以上の従業員が常駐する事業場では、産業保健や労働衛生などの専門的知識に通じた産業医を選任し、従業員の健康管理などにあたらせることが義務付けられています。産業医は、労働者の健康確保の...
EVP
EVPとは、Employee Value Propositionの頭文字をとった略語で、直訳すると「従業員価値提案」。つまり、企業が従業員に提供できる価値のことを指します。従来の「従業員は会社にどのような利益をもたらすか」という視点ではなく、「企業は従業員に何を提供できるか」という視点に立つのが、E...

関連する記事

人事マネジメント「解体新書」第85回 「ストレスチェック」義務化に伴う実務にどう対応するか 【前編】
「ストレスチェック」「面接指導」の実施などを義務付ける「ストレスチェック制度」。2015年12月1日より従業員数50人以上の企業(事業場)に対して実施されることになった。法施行に向けてどのような準備を行い、運用していけばいいのか。そのポイントを紹介していく。
2015/07/13掲載人事マネジメント解体新書
企業におけるメンタルヘルスの実態と対策
近年、メンタルヘルス不調者が増加し、メンタルヘルス対策が企業の大きな課題となっているが、実際に企業の取り組み状況はどうなっているのだろうか。
2010/10/08掲載人事・労務実態調査
社員の心の健康管理も会社の役割?「メンタルヘルス」対策の最新実態
企業のメンタルヘルス対策の実施状況や内容について、労務行政研究所の調査結果をもとに探ってみます。
2005/01/24掲載人事・労務実態調査
従業員のエンゲージメントを高めるソリューション特集

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

ANAの研修力 紀尾井カンファレンス

50音・英数字で用語を探す

新着用語 一覧

注目コンテンツ


従業員のエンゲージメントを高めるソリューション特集

従業員のエンゲージメントを高めるヒントとなるセミナーやサービス、ダウンロード資料をご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


「働きがい」が業績向上を実現する<br />
~成長する組織をつくる働き方改革~

「働きがい」が業績向上を実現する
~成長する組織をつくる働き方改革~

すでに関連法令も成立し、「働き方改革」への対応は待ったなしの状況といえ...


戦略人事の基盤となる「人事給与システム」<br />
導入を成功させるためのポイントとは?

戦略人事の基盤となる「人事給与システム」
導入を成功させるためのポイントとは?

給与計算業務や社会保険手続きなどの労務管理から、採用・異動・評価といっ...