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【ヨミ】ストレスチェック ストレスチェック

「ストレスチェック」とは、自分のストレスがどの程度かをチェックする簡単な検査のことです。「労働安全衛生法」が改正され、2015年から労働者が50人以上いる事業所では年一回のストレスチェックが義務化されました。ストレスチェックの目的は、労働環境を改善し、ストレスに起因するうつ病などの精神疾患や過労死などを予防することにあります。(2014/6/9掲載)
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1. ストレスチェックとは?

ストレスチェックは、アンケート式の簡単なテストで構成され、その点数によっては医師との話し合いが推奨されるなどの対応がとられます。まずは基本的な事項から見ていきましょう。

ストレスチェック制度の基礎知識

ストレスチェックが義務付けられている事業所

現在、ストレスチェックの実施が義務付けられているのは「50人以上の労働者がいる事業所」です。

ここで理解しておきたい二つの言葉があります。一つ目は「事業所」です。企業全体で何人の労働者が所属しているかではなく、支店や派遣先といった「事業所」ごとで基準を定めているのです。そのため、労働者の総数が多い企業でも、それぞれの事業所が50人未満であれば、実施の義務は発生しません。

二つ目は「労働者」の定義です。ストレスチェックでは「契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者」は対象外とされています。この定義に従えば、おおむね1日5時間労働の正社員なども、義務の対象から外れる可能性があります。

わかりやすく説明すると、「フルタイムの正社員が50人以上いる事業所」がストレスチェックの実施義務がある事業所ということになるでしょう。

ストレスチェック実施の時期は決まっていない

ストレスチェックの実施日は、1年に1回という決まりがある以外は、特に時期の定めはありません。そのため、入社する人数が多い4月に行うこともできます。ただし、新入社員や中途社員が入社したばかりで、あまり自社について知らないタイミングでストレスチェックを行っても、あまり意味がないでしょう。

ストレスチェックの主体は労働者

ストレスチェックの結果は、事業所の課題を明確にする「集団分析」で活用できますが、主体はあくまでも労働者自身です。ストレス値が高い労働者が多い場合、企業や人事担当者は対応に追われることになるでしょう。しかし、それはむしろ自社の課題を改善できるチャンスだと捉え、前向きに対応した方が得るものも多いはずです。働きやすい職場は、労働の効率もあがるといわれています。

具体的な質問例

ストレスチェックで実際に行われる質問の例を、厚生労働省があげている例からいくつか見てみましょう。

(1)あなたの仕事についてうかがいます。最も当てはまるものに〇を付けてください。
1. 非常にたくさんの仕事をしなければならない ----------------------1 2 3 4
2. 時間内に仕事が処理しきれない  ----------------------------------1 2 3 4

(2)最近 1ヵ月間のあなたの状態についてうかがいます。最も当てはまるものに〇を付けてください。
1. 活気がわいてくる -------------------------------------------------1 2 3 4
2. 元気がいっぱいだ -------------------------------------------------1 2 3 4

(3)あなたの周りの方々についてうかがいます。最も当てはまるものに〇を付けてください。 次の人たちはどのくらい気軽に話ができますか?
1. 上司 -------------------------------------------------------------- 1 2 3 4
2. 職場の同僚 ------------------------------------------------------- 1 2 3 4

※(1)は、1を「そうだ」、4を「ちがう」とする選択式。(2)は、1を「ほとんどなかった」、4を「ほとんどいつもあった」とする選択式。(3)は、1を「非常に」、4を「全くない」とする選択式。

なぜストレスチェック制度は導入が義務付けられたのか? ~ストレスチェック制度導入の背景~

ストレスチェック制度は、労働者の心身の健康を保つために導入された制度です。導入の背景には、日本社会でうつ病や過労死が増加したことがあります。

うつ病などの精神障害による労災の認定件数は、2014年度は1,307人でしたが、2018年度は1,461件に増えています。自殺の労災認定も、200人前後と依然高い状態にあります。このように労働災害の防止に向けた解決すべき課題は数多くあります。

精神障害の補償状況
出典:厚生労働省 「精神障害に関する事案の労災補償状況」

ストレスチェックは、こうした課題の解決につながる一歩を踏み出したともいえます。ストレスチェック制度の適切な実施に加え、独自に職場のストレスを減少させる取り組みを積極的に進めるとより効果的でしょう。

2. ストレスチェック制度の運用方法

次に具体的なストレスチェック制度の運用方法について解説していきます。

ストレスとは何か~ストレスチェックで測る指標~

ストレスとは、心にかかる精神的な圧力や負担のことです。特に職場では、人間関係などの人間社会的なストレスや、働き方に起因するストレスがあります。ただ、同じ原因であっても、人によってストレスの感じ方は違うため、実際に感じるストレスの度合いは異なります。

ストレスチェックで主に測る項目は、以下の三つの要素です。

A. 仕事のストレス要因
B. 心身のストレス反応
C. 周囲のサポート

「A. 仕事のストレス要因」は仕事に起因するストレスの原因、「B. 心身のストレス反応」はそれに対する自分の反応、「C. 周囲のサポート」は仕事をするときに上司の手助けがあるか、周囲と協力してやれているか、家族の支援はあるかという点を見ています。

ストレスチェックで「高ストレス者」と判断される人は、チェックの結果、高いポイントとった人です。「高ストレス者」だと判断された場合は、医師との面談指導などが推奨されています。

ただし、従業員から「自分のストレスを正しく測れている実感がない」という声が出ることもあります。その場合は自社独自のストレス測定をするために、外部ベンダーと相談することも一つの手段です。

ストレスチェック制度の実際の流れ

次に、ストレスチェックの流れを見ていきます。簡単な流れとしては、対象者全員がストレスチェックを受け、その中からストレスが高い人に対して面談指導を行い、しかるべき対応をするという流れになります。その際、事前に担当者間で個人情報やプライバシーの保護、実施時期、データの保管方法などについて話し合っておくことが重要です。

ストレスチェックの流れ
  1. 事前準備
  2. 質問票(ストレスチェック用紙)の配布、記入
  3. 集計(ストレス状況の評価)
  4. 回答者本人へ教える
  5. 回答者本人からの面接指導の依頼
  6. 医師による面接指導
  7. 労働環境や就業上の対応の実施

回答を集計した時点で、その結果をグループ化して分析し、労働環境の改善に生かすなどの取り組みも重要です(匿名で処理することが前提)。実際に改善につながれば、職場への定着という効果も期待できます。

ストレスチェック実施後の対応ポイント

厚生労働省の「ストレスチェック制度導入マニュアル」から対応ポイントを見ていきましょう。

(1)労働基準監督署に実施状況を報告する
ストレスチェックの実施状況と希望者に行った面接指導の実施状況は、労働基準監督署に報告する必要がある

(2)ストレスチェックの結果、「医師による面接指導が必要」と判断された人のうち、希望した人に対しては、医師に面接指導を依頼する

(3)面接指導した医師から、必要な処置の内容について意見を聴き、労働時間の短縮などの措置をとる

(4)面接指導の結果は事業所で5年間保存する必要がある。その際、「実施年月日」「労働者の氏名」「面接指導を行った医師の氏名」「労働者の勤務の状況、ストレスの状況、その他の心身の状況」「就業上の措置に関する医師の意見」を含めるようにする。
対応の注意点

ストレスチェック制度では、実施後の対応をなるべく速やかに行うよう時期が定められています。この点に注意し、労働者へも事前に通知しておくとよいでしょう。

  • 労働者からの面談指導の申し出:結果の通知から1ヵ月以内
  • 面接指導の実施:労働者から面接指導の申し出があってから1ヵ月以内
  • (面接指導を行った)医師からの意見聴取:面接後1ヵ月以内
ストレスチェック結果の取り扱いについて

ストレスチェックを実施する際は、個人情報とプライバシーの保護に気をつけなければなりません。

ストレスチェックの結果は、回答者本人と実施担当者以外に知らせてはいけません。回答者が面接指導を希望した場合のみ、上長などに面談実施の旨を知らせます。回答内容などを労働者同士で共有する場合も、最低限の情報や人数に限らなければなりません。ストレスチェックにかかわる人には、守秘義務が課され、これを破った場合は刑罰の対象になります。

回答内容・面接指導の結果による「不利益取り扱いの防止」

正直に答えたことで、労働者に不利益がないようにしなければなりません。「不利益」とは、面接指導の結果を踏まえて解雇、もしくは雇い止めにすることなどを指します。特にストレスチェック制度は、事業者が次のような「不利益」を労働者に与えることが禁止されています。

(1)医師の面接指導を受けたいという労働者や、受けたくない労働者に、不当な目的にもとづく配置転換などを行うこと
(2)ストレスチェックを受けない労働者や、事業主に教えようとしない労働者に同様の不利益を与えること

高ストレス者の定義の仕方と対応

高ストレス者とは、ストレスの自覚症状が高い人や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い人を指します。ストレスチェックの結果、「高ストレス者」と判断された場合には、医師の面接指導が必要です。では、「高ストレス者」には、どのような人が対象となるのでしょうか。

上述のように、ストレスチェックは「A. 仕事のストレス要因」「B. 心身のストレス反応」「C. 周囲のサポート」の三つの領域の質問に回答する形で進められます。高ストレス者は、この三つの領域の回答のうち、次のいずれかに当てはまる人だとされています。

(1)「B. 心身のストレス反応」領域の質問だけで、77点以上とった人
(2)「A. 仕事のストレス要因」と「C. 周囲のサポート」の合計が76点以上かつ、Bが63点以上

高ストレス者を選定する方法として、「素点換算表」を使う方法もあります。「素点換算表」は計算が複雑ですが、より正確にストレスの状況を把握できるという特長があります。

高ストレス者と判定された労働者の中には上長に知られたくないので、業務後の時間外に実施を希望するケースもあれば、現在の就業場所の環境が耐えられないので異動を希望するケースもあります。

こうした要望に対しては、面接指導の原則として、雇用している側が面談費用を支払うこと、また、時間は労働者側の希望を優先して、できれば業務時間内で行うことが大切です。勤務時間外になってしまっても、勤務時間として給与を出しつつ面接指導を行います。さらに、労働者側から異動の希望があった場合は、できるだけ対応し、周囲のストレスの元凶となる人物がいるのであれば、早めに指導や注意などを行うことが重要です。

3. ストレスフルな職場は生産性が低くなる! ~ストレスチェック制度を働きやすい労働環境づくりに生かす意味~

近年、働き方改革の一環としてワーク・ライフ・バランスの意識が高まり、ストレスマネジメント、アンガーマネジメント、コーピングなどの言葉も広まってきました。職場のストレスが高まることによって、企業が受けるダメージは多様かつ甚大であることはいうまでもありません。

ストレスチェックを導入することは、うつ病などの精神疾患の防止や労働環境の改善にもつながります。職場のどこにストレスの原因があるかを知り、労働環境を改善していくことで、労働者はいきいきと働くことができ、仕事の生産性も向上していくはずです。ストレスチェック制度の活用は、会社を変えるチャンスでもあるのです。

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