シフト制勤務における労働時間帯変更に関するご相談
お世話になっております。
弊社は飲食店を運営しております。
その中で従業員のシフトに関する件で、アドバイスをいただきたくご相談申し上げます。
弊社では、深夜、日中、夕方と勤務を時間帯別に分けたシフト制で運営をしております。
先日、日中勤務の従業員がコロナやインフルエンザの影響で体調を崩し、約1か月の休養を取ることとなりました。
これにより日中勤務の人員が不足し、緊急対応として通常深夜勤務の従業員に、まだ確定していないシフト(2週間後の予定分)で
一時的に日中勤務をお願いしたのですが、ご家庭の都合を理由に難しいと断られてしまいました。
幸い今回のケースでは他の従業員や自身も調整して乗り切ることができましたが、
同様の事態が再度起きた際、会社として従業員に強制的に勤務時間帯を変更してもらうことは可能なのか、
あるいは社員の合意を得ない限り変更は難しいのか、専門的な見地からご教示いただけますと幸いです。
弊社の就業規則には以下の記載がございますので、それも関連してお尋ねさせていただきます
「業務の都合その他やむを得ない事情により、始業・就業時刻を繰り上げ、又は繰り下げることがある。この場合は前日までに通知する。」
また、個々の従業員との雇用契約書については、勤務時間に関する詳細な内容は記載されておらず、
「シフト制、所定労働時間8時間」とのみ記載されています。
従業員の間では1~2時間程度の時間変更については了承いただいているものの、
今回のように4時間以上の大幅な時間帯変更となると、納得が得られにくい状況と認識しております。
以上の現状を踏まえ、以下の2点についてご教示いただけますと幸いです
・会社側に「就業規則」の規定がある場合でも、大幅な勤務時間の変更(例:深夜→日中)は従業員の合意が必須でしょうか?
・緊急事態時において会社都合で勤務時間の変更を働きかける際、法的な観点で留意すべき点や、
従業員との合意形成における具体的手法についてご教示いただければと思います。
お忙しいところ恐縮ではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
投稿日:2025/11/04 17:34 ID:QA-0160196
- 初心者ですさん
- 東京都/広告・デザイン・イベント(企業規模 51~100人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
問題点は、雇用契約書にあるかと存じます。
雇用契約書には、シフト制の記載のみでは足らず、勤務条件としてあてはまる
シフト勤務時間帯(開始・終了時間)を全て明記する必要がございます。
その上で、日中の時間帯についても業務指示する場合があるとしていれば良い
ですが、何ら具体的な時間帯の明記がない以上は、今までの業務慣習が優先され、
深夜勤務にずっと従事していた従業員を、日中の時間帯に勤務させることは、
例え就業規則の規定があったとしても、(本人の合意が無い限りは)難しい
と言えるでしょう。
まずは雇用契約書の見直しを行い、就業可能性のある勤務パターンを全て、
明示した上で、雇用契約を結ばれることが重要です。
投稿日:2025/11/04 18:09 ID:QA-0160199
相談者より
ありがとうございます。
大幅な時間変更は難しいことと
雇用契約書の内容を見直す必要を理解いたしました。早急に改善いたします。
投稿日:2025/11/18 12:53 ID:QA-0160815大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.前提整理:就業規則と労働契約の関係
ご提示の就業規則には
「業務の都合その他やむを得ない事情により、始業・就業時刻を繰り上げ、又は繰り下げることがある。この場合は前日までに通知する。」
との定めがあります。
この規定は一般的な「小幅な時間変更(例:1~2時間程度の前後)」を想定したもので、法的には「勤務時間帯の変更権限(労働契約法8条上の就業規則による労働条件変更)」を会社に一定程度認める趣旨と解されます。
ただし、深夜勤務→日中勤務といった「勤務帯そのものの変更(4時間以上・昼夜逆転)」は、単なる始業終業時刻の繰上げ繰下げを超え、「労働契約上の労働条件の重要な変更」にあたるため、原則として本人の同意が必要とされます(労契法第8条、10条参照)。
2.判例・通達上の整理
(1) 労働契約法第8条
労働契約の内容は、労働者及び使用者が合意して決定しなければならない。
したがって、労働時間帯が労働契約の実質的要素(生活設計・家庭責任・通勤手段など)に直結する場合、使用者の一方的な変更は許されません。
(2) 判例の傾向
「日勤→夜勤」等のシフト帯変更は、「生活リズムや家庭環境に重大な影響を及ぼすため、本人の同意なく一方的に行うのは無効」とした例が多数(例:川崎製鉄水島製鉄所事件・岡山地裁昭49.6.19)。
一方、短時間の繰上げ・繰下げ(30分~2時間程度)は、業務上の必要性と就業規則の定めがあれば有効と判断されやすい傾向(大和銀行事件・大阪高裁昭56.3.24等)。
結論として、
深夜勤務を日中勤務へ変更するような勤務帯の大幅転換は、原則として労働契約上の重要部分の変更であり、従業員の合意が必須です。
3.緊急時対応(感染症・災害・人員急減)における実務上の限界
(1) 「業務上やむを得ない事由」による一時的変更
コロナ等で急な欠員が生じた場合でも、一時的な臨時措置として「お願いベース」で時間帯変更を打診することは可能です。
しかし、強制的に命じることは困難です。命令した場合、労働契約違反・不当労働行為・懲戒無効などのリスクを伴います。
(2) 「使用者の指揮命令権」の範囲
使用者は「勤務日」「勤務時間」について合理的範囲での調整を命ずる権限を有しますが、その範囲は
就業規則や雇用契約書に「シフト時間帯の幅」が明示されているか
実務上、どの程度の範囲で変更が日常的に行われているか
労働者の生活・健康・家庭への影響の度合い
によって判断されます。
現状のように契約書で「シフト制・所定労働8時間」のみ明記され、時間帯別の明示がない場合でも、過去の勤務実態(深夜帯専属)から、黙示の契約内容として勤務帯が固定的に認識されていると評価される可能性が高いです。
4.会社側が取り得る対応策・留意点
(1)合意形成の原則
シフト変更の必要性を具体的に説明し、「協力依頼」として要請する。
家庭事情(育児・介護・通勤手段等)への配慮を示し、代替案(短期間・限定日数・手当上乗せ)を提示する。
書面やLINE等で「本人の同意」を明確に残しておく。
(2)制度設計上の工夫
就業規則の文言をより実務に即して改訂:
例)
→ 「業務上の必要により、勤務シフト又は勤務時間帯を変更することがある。この場合、労働者の生活上の事情を十分に考慮の上、原則として事前に合意を得るものとする。」
雇用契約書で勤務時間帯の幅を明記:
例)
→ 「シフト制(6:00~24:00の範囲内で8時間勤務)」等
緊急時対応マニュアルを整備し、「応援シフト・代替勤務手当」制度を設ける。
(3)代替的措置(合理性確保)
他店舗・他部署からの応援要請
店舗営業時間の一時短縮
時間外・休日勤務の募集(同意前提)
変更に応じた特別手当や振替休暇付与
5.まとめ(ご質問への直接回答)
ご質問回答要旨(1) 就業規則に「繰上げ繰下げ」規定がある場合でも、深夜→日中の大幅変更は可能か?原則不可。就業規則上の規定は軽微な変更を想定。勤務帯転換には本人の合意が必要。(2) 緊急時に会社都合で変更を働きかける際の留意点・手法合理的理由と誠実な説明を行い、同意書またはメール等で記録を残す。また、変更に応じた特別手当・短期間限定措置等のインセンティブ付与で合意形成を図ることが望ましい。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/04 18:44 ID:QA-0160202
相談者より
具体的な対応策もあげていただきありがとうございます。見直す点が見えましたので、いただいた内容をもとに改善いたします。
投稿日:2025/11/18 12:54 ID:QA-0160816大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、就業規則の規定内容につきましては、業務自体のやむを得ない時間変更等の際に臨時に適用されるものと解されます。
これに対し、従業員の病気等は普段から十分予見されうる事情であって、それを理由に他の従業員に勤務時間の変更を命じる事までは通常認められないものといえます。
従いまして、どうしても変更してもらいたい場合には、当然ながら従業員本人の自由意思に基づく同意を得られる事が必要になります。
その際の手法としましては、後にトラブルを生じさせない為にもきちんと書面にて記録を残しておかれる事が必要です。具体的には、変更日時や理由等が記載された同意書を作成された上で本人の署名捺印を頂くべきといえます。
尚、就業規則と同様に雇用契約書においても始終業時刻の記載は法令上必須とされていますので、現行契約書の内容のみですと明らかに不備があるものといえます。これを機会に可能性のある時間帯は全て記入された上で、示された就業規則の例外規定も付け加えられる事をお勧めいたします。
投稿日:2025/11/04 20:09 ID:QA-0160207
相談者より
ありがとうございます。
雇用契約書の内容不備については早急に改善いたします。
いただいた内容も踏まえてトラブルにならないよう今後同じようなことが起きた場合も備えた制度も整えていきます。
投稿日:2025/11/18 12:58 ID:QA-0160818大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
具体的にどのような3交代制のシフトになっているのか、
などにもよりますが、
3交代制の場合には、不規則な生活となりかねませんので、
シフトをきっちり守ることが求められます。
また、個人的都合で、夜専門などとして雇入れてるケースもありますので、
従業員さんにどの時間帯が可能であるのかを再度ヒアリングした方がよろしいでしょう。
3つの時間帯がありますので、
制的に勤務時間帯を変更してもらうことは、離職にもつながりますので、
避けた方がよろしいでしょう。
投稿日:2025/11/04 20:34 ID:QA-0160208
相談者より
ありがとうございます。
離職につながる事や会社に対する不信感を持たれるようなことは無いように細心の注意を払っていきます。
投稿日:2025/11/18 13:00 ID:QA-0160819大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
情報提供
以下、情報提供させていただきます。
厚生労働省の『いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項』では、「シフトの変更」に関して以下のことが述べられています。
※シフトの変更に関するルール
基本的に、一旦シフトを確定させた後に当該シフト上の労働日や労働時間等を変更することは、労働条件の変更に該当します。 労働契約法第8条では、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」とされていることを踏まえ、確定した労働日、労働時間等の変更は、使用者及び労働者双方が合意した上で行うようにしてください。
こうした変更が円滑にできるようにするために、シフトの変更に関するルールとして、例えば、以下の事項について、あらかじめ使用者と労働者で話し合って、合意しておくことが考えられます。
・シフトの期間開始前に、確定したシフト表などにおける労働日、労働時間等の変更を使用者又は労働者が申し出る場合の期限や手続
・シフトの期間開始後に、使用者又は労働者の都合で、確定したシフト表などにおける労働日、労働時間等を変更する場合の期限や手続
※シフトの作成に関するルール
具体的な労働日、労働時間などをシフトにより定めることとする場合には、これらが労働条件の重要な要素となっていることに鑑み、シフト作成に関するルールとして、例えば、以下の事項について、あらかじめ使用者と労働者で話し合って定めておくことが考えられます。
・シフト表などの作成に当たり、事前に労働者の意見を聴取すること
・確定したシフト表などを労働者に通知する期限や方法
※なお、これらのルールについては、就業規則に定める等して、一律に設けることも考えられます。
(ご参考)いわゆる「シフト制」により就業する労働者の 適切な雇用管理を行うための留意事項 (厚生労働省)
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000870905.pdf
投稿日:2025/11/04 20:35 ID:QA-0160209
相談者より
ありがとうございます。
いただいた点についての定めが就業規則上なかったので、追記する予定です。
投稿日:2025/11/18 13:01 ID:QA-0160820大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
雇用契約において、どのような取り決めがなされているかです。
単に、「シフト制、所定労働時間8時間」とのみの記載では、不測の事態に対応することはできません。
勤務時間帯が深夜、日中、夕方にわかれているのであれば、考えられるすべての時間帯を列記したうえで、「業務の都合その他やむを得ない事情等により、シフト確定後であっても、会社は勤務時間帯の変更をお願いすることがある。」といった体で記載しておくことです。
ただし、本人が同意すれば契約書に記載がなくても、差支えはありません。
労働契約は、双方の合意により成立するものです。
投稿日:2025/11/05 07:37 ID:QA-0160211
相談者より
ありがとうございます。
スタッフの善意に頼りすぎていましたので
トラブルが起きにくい制度の再設計と、
スタッフに還元できるような制度も見直していきます。
投稿日:2025/11/18 13:03 ID:QA-0160821大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
雇用契約の勤務時間帯(時刻)は必須事項のため、現契約が不十分ということになります。
1.就業規則があっても、勤務時間帯を大幅に変えるには個別同意が必須です。
2.何により働く立場からすれば、ここまで大きな変更があれば、そのそも勤務をしたかどうか、根本的労働条件が異なるため、すべてにおいて個別同意が必要となります。
逆に個別同意が取れれば、大きな条件変更は可能になります。とはいえ、給与などで大きく優遇がなければ、普通は合意は難しいように思われます。昨今は飲食店などでの人材獲得が非常に難しくなっており、当然他社との条件競争になります。地域の同業他社時給・月給と比較するのは、まず一番留意すべきものと思います。
投稿日:2025/11/05 09:29 ID:QA-0160219
相談者より
ありがとうございます。
雇用契約書の内容については早急に改善いたします。
また個別同意については信頼関係だけでは難しいとも理解できましたので、スタッフに還元できるような制度や賃金の見直しなど計画していきます。
投稿日:2025/11/18 13:05 ID:QA-0160822大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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