営業日当の廃止について
当社では営業日当の廃止を検討しております。
日当は経費にあたるため、廃止しても労働契約法第9条の不利益変更にあたらないといった解釈で進めようとしています。
営業日当は3,000円/日、就業規則に記載はなく、長年の慣習で払われております。
廃止にあたり基本給への上乗せ等もありません。
問題ないでしょうか?
投稿日:2025/08/01 18:02 ID:QA-0156171
- 外資系営業まんさん
- 東京都/医薬品(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、実際に経費に当たるとされている支給内容であれば、いわゆる労働基準法上の賃金には該当しません。
その場合でも、経費分の労働者負担が増えるという観点から一種の不利益変更には当たるものといえますので、廃止の際は事情を丁寧に労働者側に説明する等によって合理性を担保されるべきといえます。
投稿日:2025/08/01 22:19 ID:QA-0156190
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
営業日当の廃止は、たとえ経費(実費弁償)扱いの性質を一部持つとしても、
実質的に「賃金」に近い性質で支給されていた場合は、
労働契約法第9条に基づく “労働条件の不利益変更” に該当し得ます。
したがって、
「就業規則に記載がない」・「経費扱い」であっても、
実務上恒常的・定額で支給されていた3,000円/日の営業日当を廃止する場合は、
慎重な対応が必要です。
→ 基本給への上乗せなどの代替措置なしで一方的に廃止すると、法的に争いになるリスクがあります。
2.解説
(1) 営業日当の法的性質
営業日当が交通費や実費精算ではなく、「一律定額」「業務の対価的性質」で支払われていた場合、
→ 実質的には 賃金(手当) として取り扱われます(裁判例多数あり)。
このような場合、「長年の慣行として支払ってきた」=黙示の労働契約に組み込まれていると解釈されます。
(2) 労働契約法第9条
使用者は、労働者との合意なくして、労働条件を不利益に変更してはならない。
したがって、支給を停止(廃止)するには原則として、労働者の個別同意が必要です。
就業規則等に明記されていなくても、支給実態により「労働条件化」されていれば、不利益変更に該当し得ます。
3.想定されるリスク
想定される対応→リスク評価→備考
一方的に廃止→高リスク→賃金減額とみなされ、労基署・訴訟トラブルの可能性あり
個別に同意取得→法的に安全→書面による同意推奨
給与等での代替措置あり→リスク低減→基本給・営業手当などへ組み入れで円滑に
4.対応のポイント・提案
現行支給の趣旨と実態(業務の対価 vs 実費精算)を明確化
全従業員に制度廃止の理由・背景を丁寧に説明
できれば、代替措置(例:固定営業手当の新設や基本給への組込)を検討
個別同意書を取得する(口頭や黙認ではなく、書面)
文案例:同意書(案)
【営業日当の廃止に関する同意書】
私は、〇年〇月〇日以降、営業日当(3,000円/日)が廃止されることに同意します。
廃止の理由、会社の説明を受け、内容を理解したうえで同意するものです。
氏名:
署名:
日付:
5.まとめ
項目→判断
営業日当の性質→実質的に「賃金」的手当とみなされる可能性が高い
一方的な廃止→労働条件の不利益変更に該当する恐れあり
安全な対応→(1)丁寧な説明 (2)代替措置の検討 (3)個別同意取得
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/01 22:30 ID:QA-0156192
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
以下がポイントとなります。
|日当は経費にあたるため、
経費に該当するのであれば、
労働関係法令上の問題が生じることはありません。
なお、以降は、ご参考までに。
経費に該当するものでなく、賃金に該当する場合は、
労働関係法令上の不利益変更問題が生じる可能性が生じます。
経費への該当可否について、ご不安な場合は、
税務の専門家である、税理士へお尋ねください。
投稿日:2025/08/02 09:35 ID:QA-0156205
プロフェッショナルからの回答
就業規則
以下、回答いたします。
(1)関係通達では、以下のことが定められています。
1)旅費に関する事項は、就業規則の強制的記載事項ではないから、就業規則中に旅費に関する定めをしなくても差し支えないが、旅費に関する一般的規定をつくる場合には労働基準法第89条第10号により就業規則の中に規定しなければならない。(昭25.1.20 基収3751号、平11.3.31基発168号)
2)労働基準法第89条第10号の事項は、労働協約あるいは規定がなくても、「当該事業場の労働者のすべてに適用される慣習等」として存在する事項をも包含するものと解してよい旨。(昭23.10.30 基発1575号、平11.3.31 基発168号)
(参考)労働基準法第89条第10号
前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項。
(2)以上を踏まえれば、御提示のあった「長年の慣習で払われてきた」営業日当については。労働基準法第89条第10号に基づき、就業規則において明記されるものであるとも考えられます。
(3)一方、「就業規則」は。「労働者の就業上遵守すべき規律及び労働条件に関する具体的細目について定めた規則類の総称」とされています(「労働基準法 下」厚生労働省労働基準局編)。上記(2)の場合、「長年の慣習で払われてきた」営業日当は後者の「労働条件に関する具体的細目」に該当するものと認識されます。
(4)他方、労働契約法第10条は、就業規則の変更による労働条件の不利益変更について定めています。「長年の慣習で払われてきた」営業日当の廃止についても、この規定が適用若しくは類推適用されることが考えられます。営業日当の額(3,000円/日)は労働者の生活において相当程度のものと認識されます。
(5)その際には、同法第10条に基づき、「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるのか否か」について、経過措置や代替措置の在り方を含めて検討がなされるものと認識されます。
投稿日:2025/08/02 22:06 ID:QA-0156210
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
営業日当の目的、性格や頻度、支払方法など実態によります。
実態によっては、
不利益変更となりますので、原則として、同意が必要となります。
特段の理由もなく、
ただ経費節減では、従業員のモチベーションにも影響するのではないでしょうか。
投稿日:2025/08/03 06:24 ID:QA-0156221
プロフェッショナルからの回答
日当とは労働の対価として支払う賃金とは違い従業員が立て替えた経費や雑費などを補填するものです。営業日当は長年の慣習であり就業規則への記載はなかったとのことですが、日当のルールは就業規則に定めるのが一般的です。
営業日当の廃止を検討しているとのことですがその目的に応じて廃止後の対応が必要となります。
営業日当の目的が交通費や従業員が立て替えた経費や雑費の補填であれば実費精算を行う必要があります。もし、外出先での残業代をカバーする目的であれば残業代の支払が必要となります。
営業日当の廃止は営業による外出時の経費精算及び残業代の支払を行うことに変更することで不利益変更にはならないと思います。
また、営業日当を廃止することで従業員より不満がでると思いますが、従業員が立て替えた経費及び残業代を支払うことを説明することで納得してもらえると思います。
投稿日:2025/08/03 20:16 ID:QA-0156224
プロフェッショナルからの回答
対応
日当が経費かどうか含め、社員にどう認識されているかですが、基本的には不利益変更となる可能性が高く、強行した場合のリスク対策には、しっかりした説明と個別同意、激変緩和措置などしておくべきでしょう。
この機に「日当」が経費処理であって、給与ではないことを明確に周知徹底し、慣習化している実態=あいまいな受け止め方と切り離す必要があると思います。
投稿日:2025/08/04 10:08 ID:QA-0156247
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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