深夜割増について
当社のパートタイマー就業規則についてご教示いただきたいことがあります。
現在、全体的に見直しを行っているところですが、
①就業時刻については、様々な形態があるため「所定労働時間は雇用契約書において定める」と記載されている
②「深夜に就業した場合は、実際の深夜割増金額に見合った時間数を振替休みとする」と記載されている
①については、基本的に始終業時刻は就業規則に記載しなければならないものと認識しておりますが、これによらず合法的な記載方法があればご教示願います。
②については、深夜割増賃金を支払うことは法定事項であり、深夜労働時間分をほかの日に振替えて休ませること自体が違法なのではと思っています。
仮に振替休みとすることが合法的に可能なのであれば、具体的な計算方法を示し、それに基づき休みを与える時間数を算出すること等を記載するべきと思っておりますがいかがでしょうか。
以上、よろしくお願い致します。
投稿日:2025/07/18 15:46 ID:QA-0155677
- こんささん
- 北海道/建築・土木・設計(企業規模 11~30人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.ご質問(1):「所定労働時間は雇用契約書に定める」との規定は適法か?
(1)結論:条件付きで適法
就業規則に具体的な始業・終業時刻等が記載されていない場合でも、「個別に雇用契約書で定める」旨が明記されていれば適法とされる運用は可能です。
(2)背景と根拠
労働基準法第89条では、就業規則に以下の内容を記載すべきとされています。
「始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇及び交代制勤務をさせる場合における就業時転換に関する事項」
ただし、厚生労働省の通達等において、以下のような柔軟な記載も認められています。
「所定労働時間、始業・終業時刻は雇用契約書に定める」とし、
個別契約において明確に定める場合には、規則本文に具体的時刻を記載しなくても差し支えない。
(3)実務上の記載例(規則案):
第○条(所定労働時間等)
パートタイマーの始業・終業時刻、休憩時間および所定労働日・労働時間は、業務の都合その他により個別に定めるものとし、雇用契約書に記載された内容による。
2.ご質問(2):「深夜割増相当を休暇で与える」という取扱いの適法性
(1)結論:違法の可能性が極めて高い
深夜割増賃金の支払いは労働基準法第37条第4項により強行規定とされており、
たとえ労使合意があっても、金銭以外での代替(=休暇での補填)は原則認められません。
(2)理由:労基法37条4項抜粋:
使用者は、午後10時から午前5時までの時間帯に労働させた場合は、当該労働時間について、通常の賃金の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
→ この「支払わなければならない」は、休暇での代替を認めていないというのが厚生労働省および裁判例上の解釈です。
3.よくある誤解との比較:
代替措置→適法性→備考
割増賃金を休暇で代替する(代償休日)→ 違法→金銭での支払いが原則。休暇での代替不可。
所定休日の出勤に対して代休を付与(代休制度)→合法だが、割増賃金の支払い義務は残る→代休は「休暇」、割増支払い義務は別
振替休日制度→ 合法(事前に休日を振替えた場合)→労基法35条の範囲内で運用可
4.「振替休み」のような制度をどう扱えばよいか?
深夜労働に対応して休暇を追加付与する制度を設けること自体は可能です(福利厚生としての付与)。
ただしそれは割増賃金の支払いとは別に行う必要があります。
5.実務的対応案:
就業規則記載例(適法にするための例):
第○条(深夜労働に対する割増賃金)
労働者が午後10時から午前5時までの間に労働した場合は、労働基準法第37条に基づき、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払う。
2 会社は、深夜に連続して勤務する労働者の心身の負担軽減を目的として、福利厚生の一環として、深夜勤務の頻度に応じた特別休暇(〇〇休)を付与することがある。付与の基準、日数等については別途定める。
6.まとめ
項目ご相談内容回答概要
(1)就業時刻を雇用契約書に委ねる就業規則で個別契約への委任を明記すれば可能記載例あり
(2) 深夜労働分を「振替休み」にする割増賃金の代替としての休暇は違法割増賃金は必ず支払う必要あり。福利厚生としての休暇付与なら可能
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/18 17:06 ID:QA-0155682
相談者より
詳細に渡るご回答、ありがとうございました。
今後、プロの目でも見ていただきながら改正作業を進めて参ります。
投稿日:2025/07/22 08:06 ID:QA-0155709大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
1について・・・
就業規則に、始業および終業の時刻を規定することは法令上、規定が必要な、
絶対的明示事項ですので規定が必要です。
今回のケースにおいては、原則ルールと、個別対応の余地を記載すると、
良いでしょう。以下は、参考までに。
・ 所定労働時間は、1日8時間・週40時間とする。
・始業・終業の時刻は、原則として以下の通りとする。
始業:午前9時 終業:午後6時(休憩1時間)
・ただし、業務の性質または事業場の都合により、勤務時間帯は個別に
定めることがある。この場合は雇用契約書・勤務シフト等で別途定める。
2について・・・
↓ご認識の通りです。深夜割増賃金の支払いに代えることはできません。
|深夜割増賃金を支払うことは法定事項であり、深夜労働時間分をほかの日に
|振替えて休ませること自体が違法なのではと思っています。
投稿日:2025/07/18 18:23 ID:QA-0155685
相談者より
ご回答ありがとうございました。
今後、プロの目でも見ていただきながら改正準備を進めて参ります。
投稿日:2025/07/22 08:07 ID:QA-0155710大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、1につきましては、ご認識の通り始業終業時刻の記載は必須ですので、これに代わる記載内容で済ます事は出来ません。その上で、時刻が不定の場合ですと、現状考えられうる始終業時刻を全て記載され、かつ業務事情によって変更する可能性が有る旨付記されるとよいでしょう。
2につきましては、こちらもご認識の通り深夜労働を振替休日で処理される事は認められません。仮に勤務された時間分の休みを後日与えるとしましても、深夜労働の事実は消えませんので、同一賃金支払期間内で相殺出来るのは基本賃金部分のみとなり、深夜割増賃金部分の支払義務は生じる点に注意が必要です。
投稿日:2025/07/18 21:49 ID:QA-0155692
相談者より
ご回答ありがとうございました。
今後、慎重に改正準備を進めて参ります。
投稿日:2025/07/22 08:08 ID:QA-0155711大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
①ご認識どおり、始業・終業時刻は就業規則の絶対的必要記載事項ですから、これによらず合法的な記載方法といったものはありません。
所定労働時間が複数になるのであれば、考えられる始業・終業の時刻をすべて列記したうえで、「ただし、業務の都合そのたやむを得ない事情により、これらを繰り上げ、または繰り下げることがある。」としておけば、柔軟な対応が可能になります。
②「深夜割増金額に見合った時間数を振替休みとする」、といった取扱いは労基法上予定されておりません。
深夜労働に対しては、深夜労働割増賃金の支払いで対応するしかなく、同割増賃金を支払えばそれで深夜労働への対応は終了します。
投稿日:2025/07/19 08:27 ID:QA-0155700
相談者より
ご回答ありがとうございました。
今後、慎重に改正準備を進めて参ります。
投稿日:2025/07/22 08:10 ID:QA-0155712大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
基本となる「始業及び終業の時刻」
【御相談】
(1)基本的に始終業時刻は就業規則に記載しなければならないものと認識して
おりますが、これによらず合法的な記載方法があればご教示願います。
(2)深夜割増賃金を支払うことは法定事項であり、深夜労働時間分をほかの日
に振替えて休ませること自体が違法なのではと思っています。
【回答】
(1)について
「始業・終業の時刻等が勤務態様等により異なる場合」については、以下
の通達があります。仮に、下記2.の場合、就業規則では、「具体的には個
別の労働契約等で定める」旨の委任規定に加えて、「基本となる始業及び終
業の時刻」を定めることとされています。
通達(昭63.3.14 基発150号、平11.3.31基発168号)
1.同一事業場において、労働者の勤務態様、職種等によって始業
及び終業の時刻が異なる場合は、就業規則に勤務態様、職種等の
別ごとに始業及び終業の時刻を規定しなければならない。
2.しかしながら、パートタイム労働者等のうち本人の希望等によ
り勤務態様、職種等の別ごとに始業及び終業の時刻を画一的に定
めないこととする者については、就業規則には、基本となる始業
及び終業の時刻を定めるとともに、具体的には個別の労働契約等
で定める旨の委任規定を設けることで差し支えない。
なお、個別の労働契約等で具体的に定める場合には、書面によ
り明確にすること。
3.前二項の適用については、休憩時間及び休日につても同様であ
る。
(2)御認識の通りです。
因みに、別途、代替休暇については、「1か月60時間を超える法定時間外
労働を行った労働者」の健康を確保するため、引上げ分(25%以上→50%以
上)の割増賃金の代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与することができる
という制度があります。
投稿日:2025/07/20 09:50 ID:QA-0155707
相談者より
ご回答ありがとうございました。
今後、慎重に改正準備を進めて参ります。
投稿日:2025/07/22 08:12 ID:QA-0155713大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
1.ご呈示通り、具体的な勤務時間は必須事項なので、明確に時刻を記載するか、すべての職種の勤務時間を掲載するかです。
2.違法です。深夜割増分の振替対応はできません。
投稿日:2025/07/22 09:56 ID:QA-0155727
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/22 11:44 ID:QA-0155728大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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