副業時の社会保険や割増賃金について
従業員が副業をする(した)場合の社会保険や割増賃金について、ご相談させていただきます。
例
本業(弊社) 入社日:2020年10月1日
勤務時間:週5日(月~金)、1日8時間
給料:月40万円
副業(弊社と資本関係のない会社) 入社日:2025年4月1日
勤務時間:週2日、1日4時間
給料:月5万円
・社会保険
例の場合、本業である弊社だけで社会保険に加入し、標準報酬月額も弊社給料のみでの判断の認識でよろしいでしょうか。
二以上事業所勤務者に該当し、副業先の給料を合算した金額が標準報酬月額になりますでしょうか。
・割増賃金
先に雇用契約を締結している弊社で1日8時間・週40時間勤務している場合、例のように副業先が別法人や別事業主である場合は、労働時間の合算(通算)は不要でしょうか。
別法人や別事業主であっても労働時間の合算(通算)が必要で、割増賃金の支払いが必要な場合、後に雇用契約を締結している副業先が支払うものでしょうか。
投稿日:2025/05/22 17:23 ID:QA-0152749
- Take3さん
- 愛知県/その他業種(企業規模 11~30人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
・社会保険は二以上勤務の対象ではありませんので、本業だけで
完結してください。
・割増賃金の合算は原則として、不要です。
割増賃金を支払うのは、後契約の副業先ということになります。
投稿日:2025/05/22 19:06 ID:QA-0152762
相談者より
小高 様
お世話になっております。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/26 10:45 ID:QA-0152915大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.社会保険の取扱いについて(健康保険・厚生年金)
(1)結論
原則として、本業である「弊社」でのみ社会保険に加入し、
標準報酬月額も弊社からの報酬(40万円)を基準に決定されます。
【理由】
健康保険・厚生年金保険は、原則として「主たる勤務先で加入」します。
本件では、勤務時間・日数ともに明らかに本業が主たる事業所です。
副業先(週2日、1日4時間)では、加入要件(一般的には週20時間以上など)すら満たしていない可能性が高く、二以上事業所勤務者には該当しません。
【補足】「二以上事業所勤務者」とは?
両方の勤務先で社会保険の加入要件を満たしている場合に、2つの事業所で働いていることを届け出て、報酬を合算して標準報酬月額を算定します(「選択的届出」)。
本件では副業先の勤務条件が軽微なため、対象外です。
2.割増賃金(労働時間の通算)について
(1)結論
ご提示のように、副業先が「弊社と資本関係のない別法人」であれば、労働時間の通算は不要(割増賃金も不要)となります。
【労働基準法上の考え方】
パターン→労働時間通算の要否
同一事業主・同一法人(例:本社+支社)→通算が必要
資本関係あり・人事的統制がある(例:親会社+子会社)→通算の可能性あり(支配関係次第)
資本関係も人事的つながりもない別法人→通算不要(別個の雇用契約とみなされる)
【補足】例外的に通算が必要なケース
以下のような場合は、別法人であっても形式的分離と判断され通算されることがあります。
2社間で出退勤管理を共有している
片方がもう一方の就業に実質的に関与・支配している
勤務命令が一体的に出されている
本件は「完全に独立した副業(本人が自己判断で契約)」であるため、該当しません。
【誰が割増賃金を支払うべきか?】
仮に通算が必要となった場合
原則として、後から契約した側(副業先)が、時間外相当の割増賃金を支払う必要があります。
理由:すでに所定労働時間を満たしていた者を雇用した責任を後の雇用主が負うためです。
3.まとめ
区分→回答内容
社会保険→弊社のみで加入。標準報酬月額も弊社給料のみを基準とする。副業先の報酬は対象外。
割増賃金→資本関係のない別法人のため労働時間通算は不要。割増賃金支払い義務もなし。
以上です。よろしく、お願いいたします。
投稿日:2025/05/22 20:46 ID:QA-0152769
相談者より
井上 様
お世話になっております。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/26 10:46 ID:QA-0152916大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、副業の勤務内容ですと、社会保険の加入要件を満たしておりません。それ故、御社のみの加入で標準報酬月額の計算も御社給与のみ対象とされます。
一方、労働時間につきましては、異なる会社やごく短時間の勤務等であっても通算されますが、御社で先に法定労働時間での勤務で雇用契約を締結されているという事でしたら、副業先で発生した時間外労働等の賃金支払を御社側でされる義務までは生じません。
投稿日:2025/05/22 22:08 ID:QA-0152780
相談者より
服部 様
お世話になっております。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/26 10:47 ID:QA-0152917大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答させていただきます。
社会保険のに二以上事業所勤務者について・・・
↓ ↓ ↓
本ケースの場合、該当いたしません。
両方の勤務先で社会保険の加入条件を満たしていると、
それぞれの職場で社会保険への加入義務が発生します為、
二以上の手続きが必要ですが、本ケースでは、副業先では
社会保険の加入要件を満たさない雇用契約です。
副業時の割増賃金について・・・
↓ ↓ ↓
割増賃金については、原則、後から労働契約を結んだ会社が
支払うこととなっております。つまり、本ケースでは副業先です。
しかしながら、後から労働契約を結んだ会社が割増賃金を支払わない、
かつ、先に労働契約を結んだ会社が、従業員の労働時間が、
後から労働契約を結んだ会社で法定労働時間以上に達するという認識が
事前にある場合は、先に労働契約を結んだ会社が割増賃金を支払うこと
となります。
その為、会社としては、副業先の労働時間も把握する必要があります。
過重労働などの安全配慮義務の範囲は、副業先の勤務状況にも及びます。
また、労働基準法が定める残業時間の上限規制についても通算時間が
適用されますので、注意が必要です。
貴社で副業に関する規定(ルール)が無ければ、規定していただいた後に、
個々の社員の副業可否判断をしていただくことをお勧めいたします。
投稿日:2025/05/23 07:53 ID:QA-0152787
相談者より
米倉 様
お世話になっております。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/26 10:48 ID:QA-0152920大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
労働時間の通算
割増賃金(労働時間の通算)について、以下、回答させていただきます。
(1)労働基準法第38条第1項は、「労働時間は、事業場を異にする場合において
も、労働時間に関する規定の適用については通算する」としています。この
うち、「事業場を異にする場合」については、「事業主を異にする事業場に
おいて労働する場合も含まれる」と解されています。このため、本件であれ
ば、労働時間の通算が必要になると考えられます。
(2)労働時間の通算方法については、厚生労働省により以下の2つの方法が提
示されています。ご参考になれば幸いです。
1)原則的な方法
副業・兼業における労働時間の通算について
(労働時間通算の原則的な方法)(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001079959.pdf
(ポイント)
●手順1:所定労働時間の通算 ⇒先に契約をした方から、後に契約をし
た方の順に通算。
手順2:所定外労働時間の通算⇒実際に所定外労働が行われる順に通
算。
●通算の結果、1週40時間、1日8時間を超える労働(法定外労働)に
該当する場合、36協定による労働時間の延長や、割増賃金の支払いが
必要。
●イメージ
・使用者A(先契約・先労働):1)所定労働時間3時間、3)所
定外労働3時間。
・使用者B(後契約・後労働):2)所定労働時間3時間、4)所
定外労働2時間。
・原則どおりに1)~4)の順で足し合わせると「合計11時間」。
・3)のうちの1時間と4)の2時間の合計3時間が法定外労働
(1日8時間を超える労働)に該当。
・AとBはそれぞれ、36協定の締結、届出、割増賃金の支払いを行う
必要あり。
2)簡便な方法
副業・兼業における労働時間の通算について
(簡便な労働時間管理の方法「管理モデル」)(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001086159.pdf
(ポイント)
●副業・兼業時の労務管理における労使双方の手続上の負荷を軽くするた
めのもの。
●「管理モデル」で定めた労働時間の上限を超えない限り、他の使用者の
事業場の実労働時間を把握することなく、労働基準法を守ることができ
る。
●労働者が使用者A(先契約)の事業場と使用者B(後契約)の事業場
で、副業・兼業を行う場合、使用者Aでの「法定外労働時間」(1週40
時間、1日8時間を超える労働時間)と、使用者Bでの「労働時間」を
合計して、単月100時間未満、複数月平均80時間以内となるように、各々
の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定。
●労働時間の上限設定
手順1:使用者Aの法定外労働時間と使用者Bの労働時間の合計の範囲
を決定。
手順2:手順1の合計の範囲内かつ、それぞれの事業場の36協定の範
囲内で、それぞれの労働時間の上限を決定。
●具体例
例:合計1か月80時間まで
使用者A:法定外労働時間⇒例:1か月45時間を上限。
使用者B:労働時間全体※⇒例:1か月35時間を上限。
※ 使用者Bは労働時間全体を法定外労働として取り扱う。
●管理モデルの導入後、使用者Bは、使用者Aでの実際の労働時間にかか
わらず、自らの事業場の「労働時間全体」を「法定外労働時間」とし
て、割増賃金を支払う。
●これにより、使用者Aおよび使用者Bは副業・兼業の開始後、それぞれ
あらかじめ設定した労働時間の上限の範囲内で労働させる限り、他の使
用者の事業場での実労働時間の把握を要することなく、労働基準法を守
ることができる。
投稿日:2025/05/23 18:39 ID:QA-0152866
相談者より
服部 様
お世話になっております。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/26 10:48 ID:QA-0152921大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
社会保険に関しては、御社でのみ加入、標準報酬月額も御社の給与のみで計算すれば大丈夫です
割増賃金に関しては、2事業所で働いた場合も労働時間は通算されますが、御社で1日8時間働いた後に副業先会社で働けば、週2日といえどもその働いた時間はすべて時間外労働となり、後に労働契約を結んだ副業先会社が支払わなければならず、御社に支払義務はありません。
投稿日:2025/05/24 10:54 ID:QA-0152872
相談者より
オフィスみらい 様
お世話になっております。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/26 10:48 ID:QA-0152922大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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