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【ヨミ】フクギョウ 副業

副業とは、本業とは別に副次的に行う仕事のことです。2018年には、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を整備し、今後副業を推進することを発表しました。最近では、アルバイトに加え、プログラミングやライティング業務など、在宅で行える副業も増えています。(2016/11/30掲載)
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1. 副業とは?

副業は、「兼業」「複業」「サイドビジネス」など、形態によってさまざまな呼び方がありますが、基本的にはどれも同じような意味を持っていると考えてよいでしょう。最近はフリーランスを本業として働くケースも増えているため、「副業」という言葉自体が当てはまらない人も出てきていますが、正社員の場合は、正社員として所属している企業以外から収入を得ることを「副業」といいます。

以前、副業は一般的に「してはいけない」ものと認識されてきました。しかし、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成した2018年は「副業元年」とも呼ばれ、近年は副業をすることがオープンになりつつあります。とはいえ、「副業」を行うことで「本業に影響が出る」「秘密が守れなくなる」という不安があるのも実情です。そのため、企業の中には副業の「許可制」や「全面禁止」といった方針をとるケースも少なくありません。副業について考えるべきポイントを見ていきましょう。

どこからどこまでが副業なのか~企業が注意すべき「副業」の基準

副業の基準を簡潔にまとめると、次のようになります。

〈副業の基準〉
  • プライベートなものではないか
  • 継続して行われるものか
  • 労働力を割いているか
  • 営利目的か

株取引やFX(外国為替証拠金取引)などの投資は、一般的に副業とはみなされません。また、定期的に労働力を提供する契約を結んでいる活動以外は、副業と考えられないことが多くなっています。「友人の結婚式のために、お金をもらって動画を作成してあげた」「パートナーからお金をもらってお弁当を作っている」など、プライベートなことなども副業とはいい難いでしょう。

ただし、注意が必要なのは、インターネットオークションなどを通じて定期的に利益を出している場合です。自分が不要なものを処分しているのであれば、定期的であっても副業とはみなされないかもしれませんが、プライベートの範囲を超えて、仕入れを行い、販売をはじめた場合は、副業とみなされるでしょう。

副業は禁止してもいいのか~全面的に禁止することは違法~

現在でも多くの企業が副業禁止の項目を就業規則に盛り込んでいますが、副業は禁止してもよいのでしょうか。

結論からいえば、全面的に禁止してしまう行為は違法です。なぜなら、労働時間以外の時間は、基本的に個人が自由に使ってよいからです。一企業が個人の自由な時間の使い方までコントロールすることは、原則として不可能なのです。

労働契約の基本的な考え方は、「労働時間/労働力と賃金の交換」です。労働者は、自分の労働時間や労働力を商品として提供し、その対価を得ていることになります。そのため、この考えに基づけば、企業側が労働時間以外の活動に口を出すことはできません。プライベートの時間の使い方まで、企業が制限することは契約上、誤っているためです。では、どうして多くの企業の就業規則に「副業禁止」の項目が設けられているのでしょうか。

これは、労働契約が「労働力の提供」も含んでいることが背景にあります。確かに、労働契約を単なる「時間」と賃金の交換として見るなら、労働時間以外の時間に何をしてもよいという考えになりますが、「労働力」と賃金の交換としてとらえると、その期待される「労働力」を阻害するほどの副業は望ましくない、という考えになります。

また、守秘義務違反や競業避止義務などのルールに抵触する問題もあるでしょう。もし、従業員が「本業」の勤務先に副業を申請する必要がある場合は、トラブルを避けるために企業文化も踏まえて行ったほうがよいかもしれません。

ただ、現在は政府が副業を推進していることもあり、「副業を全面的に禁止する」ことは合理的な理由ないとほぼ認めらないため、注意が必要です。

2. 副業に対する新しい考えと働きやすい職場作り~なぜ政府は副業を推進するのか~

日本で「副業」が注目されだしたのは、2008年のリーマンショック以降、企業が従業員に給料を満足に支払えなくなった、事業自体がうまく回らなくなった、という事態が起こってからだとされています。

近年では、ICTの発展やワーク・ライフ・バランスの広まりとともに「働き方改革」が進み、その一環として「副業」を認める企業が増えてきました。フリーランスとして働く人も多くなっています。このような本業以外の仕事について、整理していきます。

副業・兼業・フリーランスという働き方

「副業」は本業以外の仕事のことを意味します。「兼業」は、副業とほとんど同じ意味ですが、副業よりもさらに本格的なものを指します。また「フリーランス」とは、個人事業主として複数の企業と契約を交わし、対価を得る働き方をいいます。政府の報告書によれば、現在、日本では約300~340万人ものフリーランサーがいるといわれています。

政府が、副業や兼業、フリーランスという働き方を推奨する方向に舵を切ったのは、ICTの発展によって、仕事の内容が今後大きく変わることが予測されるからです。フリーランスや副業という就業形態を認めなかった場合、人材の流動性は低くなり、今の仕事をしながら新しいことに挑戦することができなくなってしまいます。政府には、人々にできるだけ新しい技術をキャッチアップしてもらい、挑戦できる社会を創るという意図があるのです。

労働時間の管理に関する最近の考え方

フリーランスや副業の推進の背景には、労働時間管理の考え方が変わってきたこともあります。

かつて労働者には、私生活を犠牲にして企業に貢献する、という考え方が強い傾向がありました。しかし、最近では労働者の健康やワーク・ライフ・バランスの注目高まり、心身ともに健全な生活を送ることが人々の目標になりつつあります。フレックスタイム制や裁量労働制を導入している企業が増えていることは、労働時間管理の考え方が会社主体から個人主体へと変化していることの象徴といえます。

副業をするにあたって、問題となりやすいのは労働時間の把握です。残業があっても1日の平均労働時間を8時間にしなくてはならないドイツや、1週35時間の法定労働時間が決まっているフランスなどと比べ、日本は残業などを含めると法律で許容される労働時間が長いという問題があります。その環境下で、副業をすると、さらに労働時間が長くなってしまいます。そのため、政府の報告書によると、今後は労働者の時間管理方法やストレスチェックなどの体制が、自由な働き方に適応できるよう整備を目指しているようです。

競業避止義務とは

副業を行う上で問題として挙げられるのが「競業避止義務」です。競業避止義務とは、競業となりうる他社での就業や、競業となる会社を起業することを制限するもので、企業が従業員に対して義務として課しているものです。自社独自のノウハウや情報を他社で利用されることを防ぐことが主な目的です。

ただ、競業避止義務は企業側に良い結果だけをもたらすものではありません。内閣府政策統括官の報告によれば、競業避止義務は労働者を雇用しにくくし、在職する社員の賃金コストがかかることに加え、雇用の流動性を減らし、イノベーションが起こりにくくなる可能性があるとしています。

企業側としては、自分たちが培ってきた経験を持ち出してライバル企業を応援したり、新たに似たような会社を設立されるのは困るのかもしれません。しかし、副業を推進することで、社員自体のスキルアップや人脈拡大が期待できます。「競業避止義務」の適応を緩やかにし、副業を推進することは、決して悪いことだけではないのです。

守秘義務とは

従業員が副業を行う際は、守秘義務に配慮しなければなりません。守秘義務とは、本業で得た情報やノウハウを外部に漏らさないことで、特に独自の技術やノウハウをもっている企業は、守秘義務を厳しく取り締まる傾向があります。社員が同業他社で副業を行ったことにより、自社の情報やノウハウが流出した場合、副業を許可した企業におよぶ影響は計り知れません。そのため、多くの企業が守秘義務に特化した契約書を社員と交わしています。

人手不足と副業の活用

昨今は少子高齢化の影響もあり、一部の業界では深刻な人手不足が叫ばれています。政府による副業・兼業の解禁の背景には、人手不足を解消しようという意図もあるようです。企業によっては賃金を上げているケースもありますが、それでも人が集まらない状況も発生しています。

そこで、例えばIT業界には、技術者の副業制限を緩和することによって、技術者のシェアリングを行っているところも多いようです。また、副業を許可することで自由な雰囲気を作り出し、副業を希望する人材を確保しようという流れもあります。

3. 副業と労働時間の考え方に対する最新の傾向~より自由になる労働者~

10年前と比較すると、副業を希望する労働者は増えています。2007年には、副業を希望している人は300万人程度でしたが、2017年には400万人近くまで増加。また、実際に副業をしている人も、100万人から130万人程度まで上昇しました。

一方、副業を認めている企業は現在28%程度にとどまっています。副業を禁止している企業が挙げる主な理由としては、「長時間労働の抑制」「労働時間の管理が困難になる」「情報漏洩のリスク回避」などがあります。反対に副業を容認している企業は「社員の収入増」「社員のスキル向上」「イノベーションの創発」などを許可の理由に挙げています。

これからは、企業が労働時間の使い方を労働者の裁量に任せる方向へとさらに進んでいくでしょう。副業に取り組む人も、今後さらに増えていくと考えられます。

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