妊娠中の時短勤務について
妊娠中の社員から、担当医より時短勤務を勧められていると申出がありました。どのような手続きを取るのが良いでしょうか。
また、時短になった分は無給(時間単価を計算してマイナスする)で良いのでしょうか。
就業規則には妊娠中の時短勤務についての記載はありません。
なお、時短勤務となった場合に注意すべき点があれば教えていただけるとありがたいです。
投稿日:2025/05/15 11:39 ID:QA-0152343
- にしたんさん
- 京都府/販売・小売(企業規模 301~500人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答させていただきます。
以下、男女雇用機会均等法第13条関係で定める、
母性健康管理措置に該当するものと思案いたします。
↓ ↓ ↓
妊娠中及び出産後の女性労働者が、健康診査等を受け、医師等から指導を受けた
場合は、その女性労働者が、その指導を守ることができるようにするために、
事業主は、勤務時間の変更や勤務の軽減等の措置を講じなければなりません。
上記より、たとえ就業規則に定めがなくとも、事業主は勤務時間について、
軽減等を図る必要があります。
まず、申出(口頭)ではなく、担当医からの意見を書面でもらってください。
母健連絡カードというものがありますので、そちらへの医師記入で足ります。
上記の上で、時短勤務を会社として許可するのが適切な流れとなります。
時短になった分の給与の減額方法については、具体的に法令に定められては
おりませんので、通常の遅刻早退減額と同じように処理するのが、事務手続き的
には最も負担がないのではと思います。
なお、時短勤務と認める以上、時短勤務時間帯以上の勤務が生じないよう、
本人の勤怠をチェックするととともに、上長への事前周知をいただければと
思います。
投稿日:2025/05/15 13:11 ID:QA-0152353
相談者より
早々のご回答、ありがとうございます!
大変分かりやすく教えていただき助かりました。
まずは、本人へ「母健連絡カード」(今回の件で初めて知りました)を提出するよう伝え、時短勤務の体制を整えたいと思います。
投稿日:2025/05/15 14:46 ID:QA-0152377大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
医師の指導に基づく時短勤務への対応→法的義務あり(労基法65条の3)
時短分の賃金支払い→無給可。ただし不利益取扱いに注意
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
妊娠中の社員が医師の指導に基づき時短勤務を申し出た場合、会社はこれに対応する法的義務があります。
就業規則に定めがなくても、無給扱いにしてよいかどうかは、扱い方次第でトラブル防止の観点から慎重に検討すべきです。
2. 関連する法令
労働基準法第65条の3(母性健康管理措置)
妊産婦が保健指導又は健康診査を受けた結果、医師等の指導に基づき、勤務時間の変更や休業等が必要となった場合、使用者はこれに対応しなければならない(=義務)。
3.具体的な手続きフロー
(1)医師の指導事項書の提出を依頼
「母性健康管理指導事項連絡カード」などに記載された医師の指導を受け取る。
フォーマットは厚生労働省サイトにもあり(社員の自己申告だけでなく、医師の指示が必要)。
(2)本人と勤務形態について協議
どのような時短措置が必要か(例:1日6時間、通勤緩和など)。
実施期間も確認。
(3)社内の同意手続き・労務記録の対応
(4)勤務時間変更通知書などを作成(労働条件の変更となるため)。
(5)勤怠管理システムの設定調整。
(6)必要に応じて、給与体系も見直し。
4. 時短勤務分の賃金について
原則→働いた分に応じた賃金支払いでOK(=時短分は無給可)
医師の指導に基づく時短勤務は、会社の義務として対応すべき事項ではあるものの、
その分の賃金を支払う義務までは法律上課されていません。
したがって、時短分の給与は支払わなくても法的には問題ありません。
ただし、差別的扱いに注意
妊婦に不利益な扱い(降格、解雇、減給など)をした場合、男女雇用機会均等法などに抵触する可能性があります。
実務では「フルタイムと同じ給与を継続する企業」もあります。
福利厚生として位置づける場合や、短期間の対応である場合などは、賃金を維持する判断も検討に値します。
5. 注意点・アドバイス
就業規則に「母性健康管理」に関する記載がない点
就業規則に該当規定がない場合でも、法令上の義務があるため、現状の対応は必要です。
可能であれば、今後のために次の内容を就業規則または別途社内規定に明記することをおすすめします。
・妊娠・出産に関する医師の指導に基づき、勤務時間の変更や休業等が必要となった場合、本人の申出に基づき適切な措置を講ずる。
・当該措置は、母性健康管理指導事項連絡カード等により医師の指導内容を確認した上で、労使協議のもと決定する。
6.まとめ
項目→内容
医師の指導に基づく時短勤務への対応→法的義務あり(労基法65条の3)
時短分の賃金支払い→無給可。ただし不利益取扱いに注意
就業規則に定めがない場合→法令に基づき対応すべき。今後は明記を推奨
必要な手続き→医師の指導確認 → 本人と協議 → 労働条件通知書等の整備
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/15 13:14 ID:QA-0152354
相談者より
早々のご回答、ありがとうございます!
わかりやすくまとめていただき、助かりました。
これを機に、就業規則の見直しも進めたいと思います。
投稿日:2025/05/15 14:49 ID:QA-0152378大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
妊娠中の女性社員が、医師から時短勤務を勧められたのであれば、事業主は、勤務時間の短縮等の措置を講じなければならず、また、就業規則に定め如何にかかわらず軽減措置を取る必要がありますので、医師の意見書のもと、時短勤務を検討することになります。
時短になった分は賃金を支払う必要はなく、遅刻や早退時に減額するのと同じ考え方で差し支えはございません。
育児短時間勤務制度の利用を理由とする不利益取り扱いは禁止されておりますが、労働時間短縮に比例した賃金減額については、賃金支払いにおける「ノーワーク・ノーペイの原則により、比例減額であれば不利益な取り扱いにはなりません。
短時間勤務制度は、原則として6時間勤務のパターンを必ず設けなければなりませんが、この勤務パターンと合せて、例えば、7時間勤務や隔日勤務、週3日勤務といった複数のパターンを設けることもできますので、そこは、当該女性社員とよく話し合った上で、本人にとって最善の策を講じてあげればよろしいでしょう。
投稿日:2025/05/15 14:03 ID:QA-0152371
相談者より
早々のご回答、ありがとうございます!
母体の安全を一番に、勤務パターンも今後の状況をみつつ決めていきたいと思います。
投稿日:2025/05/15 14:55 ID:QA-0152383大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
会社には、母性健康管理義務があります。
妊産婦から母健連絡カードあるいは、口頭でも、時短勤務の申し出があった
場合には、会社は対応する義務があります。
無給でもかまいません。
就業規則では、一般的には、「母性健康管理」などとして規定し、
その中で、時短については、無給とするなどと規定しています。
投稿日:2025/05/15 14:57 ID:QA-0152385
相談者より
ご回答ありがとうございました!
投稿日:2025/05/22 09:16 ID:QA-0152720大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご相談内容について回答いたします
「どのような手続きを取るのが良いでしょうか。」とのご相談内容について
妊娠中又は出産後の女性労働者が、健康診査等の結果、医師等からその症状等について指導を受け、それを事業主に申し出た場合には、事業主は医師等の指導に基づき、その女性労働者が指導事項を守ることができるようにするため勤務時間の短縮の措置を講じなければなりません。会社は申し出を拒否することができません。
具体的な措置の内容としては、勤務時間の短縮の場合、始業時間を遅くする、終業時間を早くする、休憩時間を長くする等により、勤務時間を1日1~2時間程度短縮することになります。
なお従業員の方から母性健康管理指導事項連絡カードが提出されて申出をされるケースでは医師等の指導が明確なため措置を講じやすいですが、このカードはあくまでも医師等の指導事項を事業主に的確に伝えるためのものです。
したがって、母健連絡カードの提出がない場合でも、女性従業員ご本人の申出等からその内容等が明らかであれば事業主は必要な措置を講じる必要があります。
また、その内容が不明確な場合には、事業主は女性労働者を介して医師等と連絡をとり、判断を求める等適切な対応が必要とされることにご留意ください。
「時短になった分は無給(時間単価を計算してマイナスする)で良いのでしょうか。」とのご相談内容について
妊娠中の時短勤務も、一般的な時短勤務と同じで、これまでより勤務時間が短縮される制度ですから、その短縮割合に応じて給与を減額されても問題はございません。
基本給以外に手当が支給されている場合は、その手当が時短勤務中も支給対象となるのか、賞与にはどのような影響があるのか、等も確認しておく必要があります。
「時短勤務となった場合に注意すべき点」とのご相談内容について
産前産後休業に入る前に時短勤務を行った場合、給与が減額されることにより、出産手当金と育児休業給付の給付額に影響がでる場合があります。
いずれも、産休や育休に入る前の一定期間の給与額をもとに給付額が算定されるため、フルタイムで勤務を続けた場合よりも給付される金額が少なくなる可能性があります。
また、育児中の報酬減額を対象とした養育期間特例も出生時点の保険料水準を基準としますので、妊娠中の時短勤務によって保険料水準が低下した場合には、その時短勤務開始前の保険料水準を基準とすることはできないことに注意をし、事前に従業員の方へお伝えしておくことが大切となります。
投稿日:2025/05/16 17:23 ID:QA-0152446
相談者より
ご回答ありがとうございました。
「時短勤務となった場合に注意すべき点」も詳しくご説明いただき、大変参考になりました。
投稿日:2025/05/22 09:18 ID:QA-0152721大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、母胎保護の観点からも制度に無くとも時短勤務を認められるべきといえます。
その際の給与ですが、ノーワーク・ノーペイの観点から時短分に応じて給与の減額をされる分については差し支えございません。
その上で、あくまで上記観点に伴う特例扱いの措置とされた上で、育休を取得されない場合ですと産後休暇から復職された際の扱いをどうされるかについても決められるべきですが、産後改めて担当医の判断を求められそれに基づき最終的に決定されるのが妥当といえるでしょう。
投稿日:2025/05/16 18:46 ID:QA-0152449
相談者より
ご回答ありがとうございました!
投稿日:2025/05/22 09:18 ID:QA-0152722大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
妊娠中といっても、症状は十人十色で、勝手に会社が決めつけることをしないというのが基本的な方針です。
時短はノーワークノーペイなので無給でかまいませんが、そのことは重要なので、時短勤務時には明確に説明の上、理解した分一筆取るくらいの慎重な進め方をすべきです。
業務内容は、本人希望と医師所見などで決めていきます。本人が大丈夫と言っておきながら、給与を減らしたくないために無理をしたり、逆に周囲からは平気そうに見えても、本人には辛い症状があることもあり得ます。この辺りを一般論や自分の経験、決めつけを行うことが一番のリスクですので、まずは本人の意思確認と、話し合いによる進め方を心がけることで、納得感のある対応ができるでしょう。
産休明けの予定なども併せて確認しておくと良いですが、生まれるまで、生まれてからもさまざまな予定外のケースがあり得ます。ここでも決めつけをせず、しっかり話し合いで進めて下さい。
投稿日:2025/05/19 23:15 ID:QA-0152531
相談者より
ご回答ありがとうございました!
時短分の無給については、時短勤務承諾の書面を作成し、そこに記載することにいたしました。
今後も医師の指示や本人の希望を聞きながら、対応したいと思います。
投稿日:2025/05/22 09:23 ID:QA-0152723大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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