企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】ノーワーク ノーペイノゲンソク ノーワーク・ノーペイの原則

労働契約法第6条が定める労働契約は、労働者による労務の提供と、使用者による賃金の支払との“双務契約”です。したがって労務の提供が履行されず、それが労働者の責任に帰する場合は、対応する賃金の支払義務も原則として生じません。これを「ノーワーク・ノーペイの原則」といいます。つまり「労働無くして給与無し」――給与計算の基本原則となる考え方を示した言葉です。
(2015/10/28掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ノーワーク・ノーペイの原則のケーススタディ

労働提供がなければ賃金の支払義務もなし
遅刻や欠勤はもちろん、自然災害にも適用

「ノーワーク・ノーペイの原則」とは、労働者が欠勤や遅刻で仕事をしなかった日や時間については、会社にその分の賃金を支払う義務は発生しない、という原則を意味します。なぜ仕事をしなければ賃金を支払う必要がないかというと、それは上述のとおり、労使の合意によって締結した労働契約に“双務性”があるからです。労働者には、労務の提供を行った場合にのみ、その労働の対価=賃金の支払を使用者に請求する権利が発生します。したがって、仕事をしていない場合には原則、請求権は生じないとされているのです。

たとえば、勤務先の始業が午前8時30分なら、毎日その時刻までに出社して、タイムカードに打刻すればいいと思う人がいるかもしれません。しかし準備や着替えで、所定の場所に着くのが8時35分になったとしたら、厳密には5分の遅刻です。週に換算すると、それだけで25分、月間では実に105分も不就労の状態に。ノーワーク・ノーペイの原則に照らせば、その時間分の賃金を減額しても、法律的に問題はないわけです。

ただし、ノーワーク・ノーペイの原則に照らして賃金を減額することと、遅刻に対するペナルティーとして遅刻した時間分以上の減額を科すこととは、区別して考えなければいけません。ペナルティーとしての賃金減額を行うためには、就業規則の懲戒などの項目に減給に関する事柄を規定しておく必要があります。

ノーワーク・ノーペイの原則を適用するには、労働者が労務を提供できなかった原因が、上記の遅刻や欠勤のように「労働者の責任である」か、もしくは自然災害で出勤できないケースなど、「労働者と使用者のどちらの責任でもない」ことが、必要条件となります。

では、この原則が適用されない“例外”には、どのようなケースが想定されるでしょうか。仮に会社や上司から理由もなしに自宅待機を命じられた場合、不就労の原因は労務の受け取りを拒否している「使用者側の責任である」ため、ノーワーク・ノーペイの原則は適用されません。したがって労働者は、通常と同じく賃金の請求権を有することになるのです。

“例外”はもう一つあります。それは年次有給休暇です。労務の提供が無いにもかかわらず、法律によって賃金が保障される制度であり、わかりやすい例外の形だと言えるでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

現物支給
「現物支給」とは、賃金などを、金銭(通貨)で支払う代わりに、物品や物品に相当する金券・證券、自社商品を値引き購入できるなどの権利、その他の経済的利益をもって支給することをいいます。労働基準法では原則として、賃金の現物支給を認めていませんが、労働協約などで特にその旨が定められていれば、例外的に賃金の現...
就業規則
賃金、労働時間、休日・休暇などの労働条件や、服務に関する事項など、労働者が守るべき規律について、定めた規則の総称をいいます。
バンド型賃金制度
「バンド型賃金制度」とは、職務別あるいは役割別に一定の賃金範囲=バンド区分を設定し、社員それぞれの賃金の額を、本人が属するバンドの範囲内で評価に応じて変動させる賃金制度のことです。バンド(band)は「帯」の意味で、上限額から下限額まで幅をもたせた帯状の賃金構造を指します。成果主義型の給与体系を設...

関連する記事

「働き方改革」推進に向けての実務(1)同一労働・同一賃金など非正規雇用の処遇改善
ここでは「働き方改革」の代表的な施策についてその目的・課題と実務上のポイントを整理する。
2017/03/31掲載よくわかる講座
勧告・指導、改善状況の実態は?労働基準監督署による企業監督事例(下)
労働基準監督署が実際に行った勧告や指導内容、改善状況を事例で紹介しています。
2007/02/05掲載人事・労務関連コラム
「2010.4 改正労働基準法」施行を前に、 人事担当者が考えておくべき「人事管理システム」とは?
来る2010年(平成22年)4月1日、いよいよ「労働基準法の一部を改正する法律」(改正労働基準法)が施行される。長時間労働を抑制し、働く人の健康確保や仕事と生活の調和を図ることを目的としたこの法律。
2009/06/30掲載注目の記事

関連するQ&A

管理監督者の休日出勤における賃金
年俸制の管理監督者の賃金の考え方について教えてください。 管理監督者の時間外労働・休日労働の割増賃金の支給義務は労基法第41条により適用除外となっていることは理解していますが、割増賃金を除く1.00の賃金は支給する義務はありますでしょうか? 労基法第24条の賃金の支払については適用除外されている...
半日有休で遅刻し、半日勤務に満たない場合の対応
いつもお世話になります。 以下、ご質問です。よろしくお願いします。 当社で半日有休を申請しながら、申請日2日間とも1時間遅刻をした者がおります。 ですので、所定8時間の場合、通常は、 4時間の労働時間賃金 + 4時間の労働時間賃金 = 1日分の労働時間賃金 4時間の有給休暇賃金 + 4時間の有給...
入社時の賃金計算について
いつもお世話になっております。 弊社では、当月分の賃金を毎月15日に支給(実質15日分の前払)しておりますが、賃金計算の関係で、1日入社以外は当月の賃金を支給することが出来ません。 たとえば、5日入社の場合翌月15日に1ヶ月と25日分を支給することになるのですが問題ないでしょうか? 入社時については...
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
人事・労務の専門家が親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ 人事制度 ]
分類:[ 報酬 ]
インターンシップを効果的に実施するポイントと 外部ソリューション活用のヒント

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

シェアNo.1採用管理システムi-web

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ


新卒採用向け「採用管理システム」導入のポイント~競争力を持った採用活動の実現に向けて~

新卒採用向けの「採用管理システム」。導入する際に押さえておくべきポイントと選び方のヒントを解説



インターンシップを効果的に実施するポイントと外部ソリューション活用のヒント

インターンシップの効果的な実施について、種類や取り組み事例、外部サービス活用のヒントをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。