パートタイマーの年次有給休暇取得時の賃金計算について
いつもお世話になっております。
弊社ではこれまでパートタイマーの年次有給休暇取得時の賃金計算は以下の計算式で行ってきました。
「契約書で定めた一日の所定労働時間×時給」
しかし、パートタイマー就業規則では「平均賃金を支給する」という表記がされていることが発覚しました。
これにより、次月度計算分の給与より就業規則どおりの計算と支給を行うとして、通達が配信がされました。
その後、まだ平均賃金による計算は実施されていないのですが、複数名において現時点での過去実績をもとに、平均賃金を算出したところ
いずれも運用変更前の方が一日あたりの支給額が高いことも判明しました。
※契約内容と実績によっては運用変更後の方が高い者も僅かながらいると考えております
このような場合、元から就業規則に記載されていた内容に準ずる形とはいえ、今回の変更は不利益変更に該当しますでしょうか。
何卒よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/04/04 10:45 ID:QA-0150457
- 岩塩さん
- 神奈川県/販売・小売(企業規模 501~1000人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、御社側の不手際によるものですので、労働者の不利にならないよう取り計らうべきといえます。
従いまして、既存の従業員に関しましては、変更前後で有利な支給額となる方を適用されるのが妥当といえるでしょう。
投稿日:2025/04/04 11:09 ID:QA-0150462
相談者より
ご回答いただきありがとうございます。
「変更前後で有利な支給額となる方を適用」とのことですが、該当人数が多い計算方法を全員に適用という認識でよろしいでしょうか。
投稿日:2025/04/04 16:28 ID:QA-0150490大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
必ずしも平均賃金の方が安いとも
いいきれませんので、不利益変更とも言い切れません。
ただし、毎月平均賃金計算は手間が増えますので
むしろ就業規則を変更する事をおすすめします。
投稿日:2025/04/04 12:56 ID:QA-0150474
相談者より
ご回答ありがとうございます。
仰るとおりで、就業規則の改定を提案したのですが却下されたため、この度ご相談させていただいた次第です。
投稿日:2025/04/04 16:29 ID:QA-0150491大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
有給の計算方法について
有給の計算方法が、就業規則と実態が異なっていた場合、
・長期間、反復・継続され定着している
・その制度を従業員が承知していている
・経営者が明示または黙示的に是認している
上記のような場合には、実態が「労使慣行」として認められる場合もあります。
会社からは「就業規則通りの運用に変更する」ことが通知されていますので
労使慣行の要件の一つがなくなり、今後は就業規則通りに計算することになります。
計算方法によっては有利になる場合もありますので、必ずしも不利益変更とは言えないとは思いますが、金額が大きく異なるような場合は、経過措置や猶予期間を置いたり、個別に従業員に説明するなどの対応もご検討いただければと思います。
投稿日:2025/04/04 16:54 ID:QA-0150498
相談者より
ご回答いただきありがとうございます。
今後の運用の参考とさせていただきます。
投稿日:2025/04/04 19:04 ID:QA-0150518大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問のケースでございますが、会社側の
事務錯誤として、取り扱うべき事項となります。
よって、事務担当者は、とても大変な作業かとは思いますが、
過去に遡り、就業規則にあてはめて計算した場合の結果を算出し、
支払不足があるようでしたら、追加支給を行うことが求められます。
但し、精算対象者については、特段請求がない限り、退職者は含まず、
在職者の方へ、精算を行えば実務上は、宜しいかと存じます。
投稿日:2025/04/04 17:08 ID:QA-0150504
相談者より
ご回答いただきありがとうございます。
就業規則との相違は現時点で判明しているだけでも10年以上経過しております。
加えて、今回の検証を踏まえると不足が発生するケースは僅少であると考えます。
上記を踏まえ、今後の運用の参考とさせていただきます。
投稿日:2025/04/04 19:06 ID:QA-0150519大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事下さいまして感謝しております。
ご質問の件ですが、該当人数が多い計算方法を全員に適用では不利を受ける労働者が生じてしまいますので、個々の労働者におきまして有利な方法を各々採られる事が必要になります。
投稿日:2025/04/05 18:58 ID:QA-0150530
相談者より
再度のご回答をいただきありがとうございます。
参考とさせていただきます。
投稿日:2025/04/07 10:20 ID:QA-0150550大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
本来、平均賃金で支給すべきところ、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金で支払ってきたということですから、それがそのまま永年の慣行として、労働条件を形成してきたということになりますので、就業規則の規定どおりに変更するということであっても、不利益変更に相違はなく、労働者の同意が必要になりますが、問題は、労働者がすんなり同意してくれるかです。
一般的には、平均賃金で支払うとした場合は、パート従業員が多ければ計算に手間もかかり、時間も取られるという煩わしさはついて回るため、ほとんどの場合は通常の賃金で支払われているというのも事実です。
通達が配信がされた以上は、基本的にはそれで対応するしかないでしょうが、パート従業員には丁寧に説明したうえで、同意を得る努力が必要です。
投稿日:2025/04/06 07:38 ID:QA-0150536
相談者より
ご回答ありがとうございます。
ハレーションに充分注意して対応して参ります。
投稿日:2025/04/07 10:21 ID:QA-0150551大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご相談内容に回答いたします
就業規則の記載内容に基づく運用に変更する場合でも、実質的に従業員にとって賃金が減少する場合は、不利益変更とみなされる可能性があります。
就業規則では「平均賃金による支給」と定められていたが、実際には「契約書で定められた一日の所定労働時間 × 時給」で計算していたとのことですので、ある意味で「黙示的な労使合意により就業規則と異なる取扱いが継続されていた」と解釈される可能性があります。
また長期間にわたって「通常の賃金」で支給してきた実績があるため、労働者から見れば「慣行化された条件の変更」と捉えられ、就業規則の記載通りの運用に戻すという理由であっても不利益変更と捉えられる可能性があります。
就業規則通りの「平均賃金を支給する」という取り扱いに戻すには、そうすることについての合理的な説明が必要となるでしょう。
その上で緩和措置として一定期間、調整給を支払うなどを検討されることをお勧めします。
一方で「契約書で定められた一日の所定労働時間 × 時給」という扱いをされたことで本来の就業規則の規定である「平均賃金」よりも低い金額が支払われていた方がいる場合については、その差額の支払いが必要になるでしょう。
就業規則の記載内容に基づく「平均賃金」に戻すことともに、実態に即して就業規則を変更し「契約書で定められた一日の所定労働時間 × 時給」とすることも検討に入れて、従業員の方々の納得感や業務の効率性を考慮して決定されてはいかがでしょうか。
投稿日:2025/04/07 08:15 ID:QA-0150543
相談者より
ご回答ありがとうございます。
ご認識の内容に一部誤りがございますので訂正させていただきます。
>契約書で定められた一日の所定労働時間 × 時給
契約書をはじめ、その他書類でも上記の計算方法を行う旨は特に記載されておりません。
私の前々々任者あたりから約10年に渡り、規程と異なった計算がされてきている次第です。
以上を踏まえ、参考とさせていただきます。
投稿日:2025/04/07 10:25 ID:QA-0150552大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
労使慣行と就業規則
就業規則では「平均賃金を支給する」としている一方で、10年以上にわたって「通常の賃金(契約書で定めた一日の所定労働時間×時給)」が支給されてきたとのことです。現状においては、概して、次の可能性があると認識されます。但し、いずれが正当であるかは言い切ることができませんので、これら可能性を視野に入れて、幅広に対応していくことが肝要であると認識されます。
(1)労使慣行「通常の賃金による支給」は、当事者間の黙示の合意を介して、
若しくは、「事実たる慣習」(民法第92条)として労働契約の内容となって
いる。
(2)上記(1)とは反対に、労働契約の内容となっていない。このため、労働
条件は「平均賃金を支給する」のまま。
そして、今回、改めて、「平均賃金を支給する」ことにするのであれば、
(3)上記(1)の場合、「通常の賃金」から「平均賃金」への変更は有効とな
りうるのかという論点があろうかと思われます。
(4)また、上記(2)の場合、労働条件に変更はないことになりますが、本来
支給すべきであった「平均賃金」と実際支給してきた「通常の賃金」との差
額についてどのように対応するのかという論点があろうかと思います。
複数の可能性(上記(1)、(2))を念頭に置き幅広に対応していくうえで、まず、上記(3)については、「通常の賃金」から「平均賃金」への変更は不利益変更に該当しうると考えられます。このため、労働契約法第10条(就業規則による労働条件の不利益変更)に則り、今回の変更が「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況等に照らして合理的なものである。」ことを確認し、必要に応じて、適宜、経過措置、代替措置、緩和措置に当たることが重要であると認識されます。
また、上記(4)については、実際支給した「通常の賃金」が本来支給すべきであった「平均賃金」を下回っている「従業員」のみを対象にして、消滅時効期間を踏まえ、過去3年間に遡って差額を支給することが考えられます。なお、これら従業員にとって今回の変更は有利に働くことになると思われますので、差額支給しないことについて個別に理解・同意を得ていくことも考えられます。
投稿日:2025/04/09 23:10 ID:QA-0150731
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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