高齢者の再雇用と労働契約法について
お世話になります。
弊社では、63歳定年制で、65歳までは再雇用制度があります。再雇用の賃金は、定年退職時と比較すると相当低い設定となっています。
再雇用する場合で退職前と同じ労務を提供してもらう場合は、労働契約法の、有期と無期との間の不合理な労働条件の相違を禁止に抵触すると考えていますが、いかがでしょうか。
出来ることなら高齢者の人件費は抑制して、若い社員の採用を増やしたいのですが、ここがネックになっています。
高齢者法による特例措置などあれば有り難いのですが、よろしくご教授願います。
投稿日:2014/05/10 22:25 ID:QA-0058840
- su-soumuさん
- 島根県/公共団体・政府機関(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、同じ労務内容で有期・無期で賃金等に差が生じる場合ですと、労働契約法違反に該当する可能性が高いものといえます。
やはり再雇用時に処遇を下げる場合ですと、労働日数や労働時間を減らす事・責任レベルを引き下げる事といったように何らかの形で従前よりも業務内容を軽くされることが求められるものといえます。実際、殆どの企業でそのような対応をされているものといえるでしょう。
相当低い処遇設定であれば、それに見合った貢献しか期待されていないはずですので、今一度再雇用制度を現実に見合ったものに見直しされることをお勧めいたします。
投稿日:2014/05/10 23:45 ID:QA-0058841
相談者より
早速ありがとうございます。
もうひとつお聞きしたいことがありました。
再雇用職員へは扶養手当及び住居手当を支給していません。期間限定採用のため生活保障的な処遇は設けないという考え方で整理されていますが、これは労働契約法改正後では通用しないように思えますが、いかがでしょうか。
よろしくお願いします。
投稿日:2014/05/11 05:26 ID:QA-0058842大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度おこたえいたします
こちらこそご返事下さいまして誠に感謝しております。
「再雇用職員へは扶養手当及び住居手当を支給していません。期間限定採用のため生活保障的な処遇は設けないという考え方で整理されていますが、これは労働契約法改正後では通用しないように思えますが、いかがでしょうか。」
― 改正労働契約法に関しましては、未だ具体的なトラブル対応事例も殆どございませんので、確答は出来かねる件ご了承下さい。但し、文面内容を拝見する限りでは、扶養手当及び住居手当の不支給は不合理な労働条件の相違と判断される可能性が十分にございます。
不支給とされたい場合ですと、やはり業務内容や責任程度を見直しする事で対応されるべきといえるでしょう。
投稿日:2014/05/11 09:21 ID:QA-0058843
相談者より
ありがとうございます。
最近、日本郵政等で、労働契約法に関する訴訟がありましたが、社員と同じ仕事をしている臨時が、不合理な労働条件の違法性を訴えるというものでしたね。
このような裁判で、何らかの判断基準が追加されれば参考にしたいです。
投稿日:2014/05/11 21:17 ID:QA-0058848大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
労働契約法とは次元が違う。 合意不成立で継続雇用できなくても法違反とはならない
高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度では、 高年齢退職者に対する就業の機会確保が目的とされ、 再雇用条件についての合意が得られず、 結果的に労働者が継続雇用できなくなっても法違反とはなりません。 ご引用の労働契約法の、 有期と無期間の不合理な労働条件の相違禁止とは次元の異なる問題です。 尤も、 継続雇用の労働条件に就いて、 最低賃金法さえクリアすれば何でもありという訳ではなく、 高年齢者の生活安定などへの配慮などは必要ですが ( 高年令者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針参照)、 他の社員の活力を削ぐことがないよう、 在職老齢年金や高年齢雇用継続給付金の活用を含めた制度設計が必要です。 結果的には、 定年退職時に比べ、 相当低い水準になっている事例も多々見受けられます。
投稿日:2014/05/11 11:26 ID:QA-0058844
相談者より
ありがとうございます。
御回答のようにあって欲しい、という希望ですが、再雇用される側は、労働契約法違反と主張しかねないのが気掛かりです。
いずれ裁判で、明らかになっていくこととと思いますが、考え方について参考にさせていただきました。
投稿日:2014/05/11 21:25 ID:QA-0058850大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
業務内容
有期無期間の差別は、「同じ業務」であることが前提であり、再雇用者の業務が、それまでと全く変わらないのであれば、抵触の可能性はあります。しかし勤務条件だけでなく、役職、指揮命令系統が一切変わらない再雇用という条件は見たことがありませんので、組織上の位置付けや職務分掌を再定義し、現役時と全く完全な同一条件でなければ問題ないと考えられます。しっかり条件付けとご本人の確認を取られることが重要です。
投稿日:2014/05/11 13:38 ID:QA-0058846
相談者より
ありがとうございます。
再雇用の給与を上げることができないなら、業務内容等の見直しにより、高齢者の雇用と若年層の雇用の両立ができるよう検討したいと思います。
投稿日:2014/05/11 21:21 ID:QA-0058849大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
労働条件の相違が不合理と認められないような区別をする必要があります。
定年後再雇用者の労働条件を定める場合については、
労働条件の不利益変更に当たるものではなく、基本的には使用者が裁量的に定めることが
できますが、「労働条件が、具体的状況に照らしてきわめて過酷なもので、
労働者に同法の定める定年まで勤務する意思を削がせ、現実には多数の者が退職する等
高年齢者の雇用の確保と促進という同法の目的に反するものであってはならない」
とされています。(協和出版販売事件)
また、ご存知の通り改正労働契約法では、有期と無期の労働者の間に労働条件の相違がある場合に、
「当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び
当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を
考慮して、不合理と認められるものであってはならない」とされています。
よって、有期の定年後再雇用者の賃金等を定年前の正社員と異なる
労働条件とする場合には、その区別が不合理と認められないよう、
職務内容や配置変更の範囲等を正社員と区別する必要があると考えられます。
また、賃金の減額の程度についても合理性が求められますので、
減額の必要性に見合った減額幅から大きく逸脱することはできないと考えられますので
減額の必要性と程度については慎重に考える必要があります。
投稿日:2014/05/13 20:54 ID:QA-0058877
相談者より
丁寧なご回答、ありがとうございます。
ご意見を参考にさせていただき、現在の賃金について整理したいと思います。
投稿日:2014/05/14 08:16 ID:QA-0058879大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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