特例子会社
特例子会社とは?
特例子会社とは、企業が障がい者の雇用を促進する目的でつくる子会社のこと。障がい者雇用促進法は従業員56名以上の民間企業に対して、全従業員の1.8%以上は障がい者を雇うよう義務づけていますが、特例として、事業者が障がい者のために特別に配慮した子会社を設立し、一定の要件を満たした上で厚生労働大臣の認可を受ければ、その子会社の障がい者雇用数を親会社および企業グループ全体の雇用分として合算することが認められています。これを「特例子会社制度」といいます。
障がい者雇用は企業の社会的責任
重度のメンタルヘルス不調者も対象に
「特例子会社制度」は、1987年に障がい者雇用促進法に定められましたが、近年、障がい者雇用が企業の大きな社会的責任としてクローズアップされ、国の指導も強化される中で、あらためて注目を集めています。業務の特性上、障がい者に合わせた労働環境の改善が難しい企業などでは、特例子会社を設置することによってスムーズに雇用環境を整えることができるためです。
特定子会社としての認可を得るための主な要件は、以下の通りです。
〈親会社にかかる要件〉
・ 親会社が子会社の意思決定機関を支配していること
・ 子会社への役員派遣、従業員の出向等人事交流が密であること
〈子会社にかかる条件〉
・ 株式会社または有限会社であること
・ 従業員に占める障がい者数の割合が20%以上であること
・ 雇用障がい者数が5人以上で、そのうち重度身体障がい者および知的障がい者の割合が30%以上であること
・ 障がい者のための施設・設備を改善し、職業生活の指導をする指導員を配置する等障がい者雇用に特別な
配慮を行っていること
厚生労働省の調査によると、2010年6月時点で国内の283社が同制度を利用しています。06年からは障がい者雇用促進法の改正を受けて、身体障がい者や知的障がい者だけでなく、精神障がい者も制度の対象となり、特例子会社の障がい者雇用数にカウントされることになりました。うつ病治療などが長期化しているメンタルヘルス不調者についても、日常生活や社会生活への影響が深刻な人のための「精神障がい者保健福祉手帳」を取得していれば、特例子会社で、障がい者として雇用することができるのです。そのため、メンタルヘルスの不調で離職を余儀なくされたり、復帰と休業をくり返したりしている人々の就職支援策としても期待されています。
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