週2勤務の夏季休暇取得について
お世話になります。
弊社では正社員に7~9月の間で2日の夏季休暇を付与しておりますが、
週2勤務の嘱託労働者へ夏季休暇を与えない場合は不当な扱いとなりますでしょうか。
労働契約書の休日についての記載は以下の通りです。
勤務日:週2日(曜日の定め無し)
休日:土曜日、日曜日、国民の祝祭日、年末年始(12/30~1/4)、その他会社が必要と認めた日
ご教示をお願いいたします。
投稿日:2025/07/02 15:05 ID:QA-0154794
- ロムさん
- 神奈川県/家電・AV機器・計測機器(企業規模 11~30人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
週2勤務ということですので、同一労働同一賃金の観点からも、
不合理な扱いとはならないでしょう。
ただし、会社として、なぜ週2勤務の嘱託労働者へ夏季休暇を与えないのか
説明できるようにしてください。
投稿日:2025/07/02 18:31 ID:QA-0154817
相談者より
ご回答くださりありがとうございます。
該当者へ説明できるようにいたします。
投稿日:2025/07/03 10:46 ID:QA-0154856参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
嘱託労働者(週2勤務者)に夏季休暇を一切付与しないことが必ずしも違法や不当扱いに直結するわけではありませんが、
合理的な理由がない場合は「不合理な待遇差」と評価されるおそれがあります。
つまり、「正社員にはあって、嘱託社員には全くない」という対応は、パート・有期労働法(通称:同一労働同一賃金)に基づく不合理な待遇差に該当する可能性があるため、慎重な判断が必要です。
2.背景:パートタイム・有期雇用労働法(2020年施行)
会社は、正社員と有期・短時間労働者との間で待遇差(休暇・手当など)を設ける場合、職務内容、責任、配置変更範囲等に照らして「不合理でないこと」が求められます(第8条)。
夏季休暇は、労基法上の「年次有給休暇」ではなく、会社が任意に付与している「特別休暇」です。
任意の制度であっても、正社員に与えて嘱託等に一切与えない場合には、説明責任を問われることがあります(→最高裁判例「メトロコマース事件」等)。
3.ポイントごとの検討
(1)夏季休暇は就業規則や慣行で運用されている制度
正社員に「7~9月に2日」の夏季休暇を与えている場合、それが制度として継続しているなら、慣行や就業規則に準じた取り扱いとされます。
よって、他の雇用形態にも全く付与しない場合には、待遇差の合理性が問われることになります。
(2)嘱託社員が「短時間勤務・限定業務」の場合の判断
嘱託社員の勤務日数・職責・業務内容・異動の有無などに照らして、
→ 正社員と大きく異なるなら、同一の休暇制度がないことも一応の合理性があるとされる可能性もあります。
ただし、「週2日勤務だから休暇不要」というだけでは不十分です。
→ 週2日しか働かない人にとっても、休暇を取れる権利がゼロなのは厳しすぎると評価されることがあります。
4.実務上の対応案
以下いずれかの対応が、実務的・法的にもバランスの取れた方法です。
(1)対応案1:嘱託社員にも按分で付与
例)「正社員:月20日勤務で2日」→「週2勤務(約月8日)なら0.8日程度」
→ 1日または半日付与でも「不合理な差がない」と説明しやすくなります。
(2)対応案2:夏季休暇の趣旨を明確化し、嘱託に適用除外の理由を明示
例えば、夏季休暇を「繁忙期労働に対する慰労」などの目的としており、
嘱託社員は「繁忙業務に従事しておらず、業務負担が軽い」などの合理的な理由があれば、付与しない運用も可能です。
その場合も、規程や契約書での記載、社内説明が重要です。
5.契約書の記載との整合性
ご提示の契約書記載:
「休日:土日祝、年末年始、その他会社が必要と認めた日」
ここに「夏季休暇」が明記されていないため、明示的な契約上の義務は発生していませんが、
会社が慣行・制度として夏季休暇を運用しているなら、差別的な運用は避けたほうがよいでしょう。
6.まとめ
観点→回答
嘱託社員に夏季休暇を全く付与しないことは違法か?→×(ただし、合理性の説明が求められる)
不合理な待遇差と評価される可能性は?→〇 制度趣旨・業務内容等に照らして判断
推奨対応→按分付与 or 除外理由の明文化・説明
以上です。よろしくお願い申し上げます。
投稿日:2025/07/02 18:41 ID:QA-0154819
相談者より
ご回答くださりありがとうございます。
対応案を参考にさせていただきます。
投稿日:2025/07/03 10:51 ID:QA-0154858大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
同一労働同一賃金
以下、回答させていただきます。
(1)「パートタイム・有期雇用労働法」第8条において、「不合理な待遇の禁
止」が定められています。
(2)そこでは、「事業主は、雇用するパートタイム・有期雇用労働者の基本
給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、その待遇に対応する通常の労働
者の待遇との間において、パートタイム・有期雇用労働者と通常の労働者の
職務内容、職務内容・配置の変更範囲(人材活用の仕組みや運用など)、そ
の他の事情のうち、その待遇の性質及び目的に照らして適切と認められるも
のを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。」とされてい
ます。
(3)上記(2)の「待遇」については、「休暇」を含むとされています。
(4)夏季休暇に関係した裁判例として以下のものがあります。
日本郵便(佐賀)事件・最一小判令和2・10・15
※ Y社において、郵便業務を担当する正社員に夏期冬期休暇が与えら
れているのは、年次有給休暇や病気休暇等とは別に、労働から離れ
る機会を与えることにより、心身の回復を図るという目的によるも
のであると解され、夏期冬期休暇の取得の可否や取得し得る日数は
上記正社員の勤続期間の長さに応じて定まるものとはされていな
い。
※ 郵便の業務を担当する時給制契約社員は、契約期間が6か月以内
とされるなど、繁忙期に限定された短期間の勤務ではなく、業務の
繁閑に関わらない勤務が見込まれているのであって、夏期冬期休暇
を与える趣旨は、時給制契約社員にも妥当するというべきである。
※ そうすると、正社員と時給制契約社員との間に職務内容、配置の
変更範囲その他の事情につき相応の相違があること等を考慮して
も、両者の間に夏期冬期休暇に係る相違があることは、不合理であ
ると評価することができる。
(5)本件について、上記(4)を手掛かりにして考えてみると、次のような論
点が浮かび上がってきます。
1)夏季休暇の趣旨・目的は何か。「労働から離れる機会を与えることに
より、心身の回復を図るという。」というものなのか。
2)仮にそうであるならば、「当該趣旨・目的は、週5日勤務の労働者には
当てはまり、週2日勤務の労働者には当てはまらない」という考え方は、
合理的であるのか。
投稿日:2025/07/03 00:11 ID:QA-0154830
相談者より
ご回答くださりありがとうございます。
大変参考になりました。
投稿日:2025/07/03 10:56 ID:QA-0154859参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
ご質問に記載のケースにおいては、正社員と週2日勤務の嘱託社員の間では、
明かな労働契約内容の格差があり、週5日勤務と、週2日勤務の条件格差は、
社会通念上も大きなものと捉えることができます。
上記、格差の立証は容易なものより、嘱託社員に対し、夏季休暇を与えないこと
が不合理(不当)とみなされることはないでしょう。
但し、雇用契約上、夏季休暇の付与を約束していればこの限りではありません。
ご不安なようでしたら、今一度、労働条件通知書等をご確認ください。
また、今後も見据え、会社規程において、夏季休暇を付与する範囲を明確に
定めていなければ、明確に定めていただくことは必要かと思案いたします。
投稿日:2025/07/03 07:54 ID:QA-0154837
相談者より
ご回答くださりありがとうございます。
大変参考になりました。
規程を見直し付与範囲を明確化したいと思います。
投稿日:2025/07/03 10:58 ID:QA-0154860大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
不当な扱いにはなりません。
曜日の定めのない週2勤務の労働者に夏季休暇を与えることに、合理的な理由は見当たりません。
投稿日:2025/07/03 08:58 ID:QA-0154845
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/03 10:59 ID:QA-0154861参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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