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HRペディア 掲載日:2021/11/04

【ヨミ】パートタイムユウキコヨウロウドウホウ パートタイム・有期雇用労働法

パートタイム・有期雇用労働法とは、正社員とパート・有期労働者の間の不合理な待遇差をなくし、どのような雇用形態でも納得して働けることを目指して制定された法律です。

1.パートタイム・有期雇用労働法の概要

パートタイム・有期雇用労働法は、前身の「パートタイム労働法」の改正によって生まれた法律です。2020年4月に大手企業を対象に施行され、2021年4月からは中小企業も対象となりました。なぜパートタイム労働法が生まれ、パートタイム・有期雇用労働法へと改正されたのか、その背景について解説します。

パートタイム・有期雇用労働法の歴史

パートタイム・有期雇用労働法の原点は、1993年のパートタイム労働法制定にまでさかのぼります。パートタイム労働法は、正式名称を「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」といいます。パートタイム労働者の果たす役割の重要性が増したことを背景に、適正な労働条件の確保、雇用管理の改善などに関する措置を講ずることにより、正社員との均衡のとれた待遇の確保などを図り、能力を有効に発揮できることを目指して制定されました。

パートタイム労働法の制定と同時期にあたる1994年には、国際労働機関(ILO)にてパートタイム労働条約(第175号)(正式名「パートタイム労働に関する条約」)が採択されています。ILOの主な活動内容は、労働条件改善のために国際労働基準を設定することです。

パートタイム労働条約では、フルタイム労働者とパートタイム労働者の違いは労働時間だけであり、労働時間に応じて権利や社会保障、労働条件など均等な待遇保障をするために適切な措置をとるよう義務付けています。
※2021年9月現在、日本ではパートタイム労働条約を批准していません。

2014年4月にはパートタイム労働法が改正され、2015年4月から施行されました。主な改正ポイントは四つで、正規雇用者との差別的取扱いが禁止されるパート労働者の対象範囲の拡大、「短時間労働者の待遇の原則」の新設、雇い入れ時の事業主による説明義務、事業主による相談対応の体制整備の義務です。

その後、どんな雇用形態でも労働者が納得して働けるよう、2018年7月に働き方改革関連法が公布され、2020年4月の法改正に伴い「パートタイム・有期雇用労働法」(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)が施行されました。中小企業は2021年4月に施行されています。

それまではパートタイマーは「パートタイム労働法」、有期雇用労働者については労働契約法によってそれぞれ定められていました。2020年の法改正に伴い、パートタイム労働者と有期雇用労働者に関するルールの統一、考えの整備がなされています。

パートタイム・有期雇用労働法施行の背景

パートタイム・有期雇用労働法が施行された背景を理解するにあたって、まずはパートタイム労働者の現状を見ていきます。

厚生労働省が発表した「平成28年パートタイム労働者総合実態調査の概況(以下、2016年の厚生労働省の調査」を見ると、平成23年にパートを雇用している事業所の割合は66.1%であったのに対して、平成28年には69.1%まで上昇しています。また、正社員のみ雇用している事業所の割合は平成23年では25.0%、平成28年には20.4%まで減少し、雇用形態の多様化が進んでいることがわかります。

出典:2016年の厚生労働省の調査 p.5

一方で、正社員とパートタイム労働者の待遇面を見ると、同じ職務であっても、パートタイム労働者は昇給や人事評価、各種手当、賞与、退職金などさまざまな面で正社員との差が大きいことが明らかになっています。

出典:2016年の厚生労働省の調査(p.21)

これらの調査結果からわかる通り、企業におけるパートタイム労働者の割合は増加傾向にありますが、正社員と同等の職務を担っている場合においても、雇用形態の違いによって待遇面に大きな差が生じているという実情があります。

正社員以外の雇用形態で就労している人の中には、介護や育児などの事情から、自らの意思やスキルに関係なく働き方が制限されている場合も少なくありません。

こうした背景を踏まえ、正規社員と同様の職務・スキルであれば、正当に評価・均衡待遇を行うべきという「同一労働同一賃金」の考え方が求められるようになりました。また、就労条件の曖昧さが不公平感を生んでいる場合もあることから、条件の明確な提示と説明義務を果たす必要性も生じています。さらに、短時間労働者を企業にとって必要な人材であることを認め、希望に応じてキャリアアップできる機会を設けることも必要です。

政府はこれらを企業に対して明確に義務付ける必要があると捉え、今回の法改正および施行に至りました。

パートタイム・有期雇用労働法の対象は?

パートタイム・有期雇用労働法の対象となるのは、短時間労働者(パートタイマー)および有期雇用労働者です。「短時間労働者(パートタイム労働者)」とは、1週間の所定労働時間が、同一事業主に雇用される通常の労働者に比べて短い労働者を指します。パートタイム労働法では同一事業所内でしたが、法改正に伴い、同一事業主単位での判断に変更されました。

通常の労働者とは、正規型の労働者および無期雇用フルタイム労働者のことです。正社員以外には、契約社員、嘱託社員、嘱託、準社員、アルバイト、パートなどさまざまな名称がありますが、これらの呼び名と「対象になるか否か」は関係ありません。所定労働時間が通常の労働者より短ければ、短時間労働者の対象となります。

また「有期雇用労働者」とは、1年や半年など事業主と期間を定め労働契約をしている労働者を指します。

パートタイム・有期雇用労働法の対象者
●短時間労働者(パートタイマー)……1週間の所定労働時間が、同一事業主に雇用される通常の労働者に比べて短い労働者
●有期雇用労働者……事業主と期間を定め労働契約をしている労働者

※「通常の労働者」とは、正規型の労働者および無期雇用フルタイム労働者のこと

※派遣社員においては「労働者派遣法」で整備されているため、パートタイム・有期雇用労働法の対象ではありません。

2. 条文のポイント

パートタイム・有期雇用労働法の条文を見ながら、不合理な待遇差異を改善する制度・規程の整備、待遇差異に関する労働者への説明義務など、特に留意すべきポイントを見ていきます。条文は短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律|e-Gov法令検索を参照しています。

均衡待遇規定:不合理な待遇の禁止(第8条)

事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

パートタイム・有期雇用労働法の第8条、第9条については、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との不合理な待遇差の解消を目指す「同一労働同一賃金ガイドライン(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)」にも大きく関係しています。ガイドラインでは、どのようなものが不合理か、また不合理でないのか、その考え方や具体例を示しています。

第8条では、同一企業内における不合理な待遇差の禁止を明確にしています。「均衡待遇規定」が整備され、裁判の際の判断基準にもなります。

<均衡待遇規定>
①職務内容②職務内容・配置の変更の範囲③その他の事情の内容を考慮して、不合理な待遇差を禁止する。
*職務内容…業務の内容+責任の程度

例えば基本給・賞与・各種手当・教育訓練・福利厚生などの待遇ごとで、その性質や目的に照らし合わせて適切と認められる事情を踏まえ、判断されるべき旨を明確化しなければいけません。これは短時間労働者・有期雇用労働者にかかわらず必須です。

2020年4月の法改正前は、パートタイム労働者・有期雇用労働者ともに待遇の全体について総合的に判断する規定でした。法改正後は諸々の待遇を個別に判断することが明確化され、事業主は待遇差が不合理ではないことを説明できる必要があります。

均等待遇規定:差別的取扱いの禁止(第9条)

事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。

第9条は、差別的取扱いの禁止について定めています。「均等待遇規定」について以下の通り整備され、裁判時の判断基準とされています。

<均等待遇規定>
①職務内容②職務内容・配置の変更範囲が同じ場合は、差別的取扱いを禁止する。
*職務内容…業務の内容+責任の程度

法改正前は、有期雇用労働者についての均等待遇規定はありませんでした。法改正に伴い、有期雇用労働者も規定されています。

なお、第8条の均衡待遇規定、第9条の均等待遇規定の法改正前・改正後をまとめると、以下のように変わっています。

1)均衡待遇規定(第8条)を明確化
2)均等待遇規定(第9条)の対象に有期雇用労働者を加える
3)待遇ごとのガイドラインを策定(第15条)

第8条と第9条のいずれにおいても、短時間労働者と有期雇用労働者ともに「規定あり」に改正されているため、判断基準の明確化が必要になっています。

賃金の決定方法(第10条)

事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者を除く。次条第二項及び第十二条において同じ。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)を決定するように努めるものとする。

第10条では、通常労働者との均衡を踏まえながら、職務内容や成果、意欲、能力、経験などを勘案して賃金を決定することが努力義務とされています。ここには手当などは含まれません。ただし通勤手当については、名称は「通勤手当」であっても職務の内容に深く関連して支払われたものであれば、第10条の努力義務の対象範囲に含まれます。

また、どの要素に対して勘案するかは事業主が決定しても問題ありません。ただし、説明を求められた場合はそれに応じる義務がある点に注意が必要です。

教育訓練の実施(第11条)

事業主は、通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、当該通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容同一短時間・有期雇用労働者が既に当該職務に必要な能力を有している場合その他の厚生労働省令で定める場合を除き、職務内容同一短時間・有期雇用労働者に対しても、これを実施しなければならない。
2 事業主は、前項に定めるもののほか、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験その他の就業の実態に関する事項に応じ、当該短時間・有期雇用労働者に対して教育訓練を実施するように努めるものとする。

第11条において事業主は、通常の労働者と職務が同じパートタイム・有期雇用労働者に対しては、職務遂行に必要な能力を付与するための教育訓練である場合、通常の労働者と同様に実施しなければなりません。職種転換などのキャリアアップ施策に関しては、職務内容を問わず、それぞれに応じて実施することが努力義務となっています。

なお、第9条の対象者以外のすべてのパートタイム労働者については、通常の労働者との均衡を踏まえつつ、職務の内容や成果、意欲、能力および経験などに応じて教育訓練を実施することが努力義務とされています。

福利厚生施設(第12条)

事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、その雇用する短時間・有期雇用労働者に対しても、利用の機会を与えなければならない。

第12条では、福利厚生施設の中で給食施設(食堂など)、休憩室、更衣室などを通常労働者が利用している場合、パートタイム労働者・有期雇用労働者に対しても同様に利用機会を与えることが義務付けられています。

ここで定められている施設は、「健康の保持または業務の円滑な遂行に資するものと定められているもの」と厚生労働省令で定められているものが対象です。

通常の労働者への転換(第13条)

第13条において事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、当該パートタイム労働者・有期雇用労働者に対して、以下のいずれかを実施する義務があります。

一 通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間・有期雇用労働者に周知すること。
二 通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間・有期雇用労働者に対して与えること。
三 一定の資格を有する短時間・有期雇用労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。

通常の労働者を募集する場合や新たにポストを配置する場合において、その募集内容をパートタイム労働者・有期雇用労働者にも周知し、応募機会を提供すること、また、通常の労働者へ転換するための試験制度を設けることについて定められています。

ここでの注意点は、転換の要件としての勤続期間や資格などが必要以上に厳しいものである場合、義務を履行しているとみなされないケースがあることです。ただし、パートタイムから契約社員、そして正社員へと段階的なステップを経て正規型の労働者へと転換する仕組みが構築されている場合は、第13条が履行されているとみなされます。

「短時間正社員」への転換措置の場合も、第13条の履行とみなされます。この場合は希望に応じて「短時間正社員」への転換の後、「正規型のフルタイム労働者」へ転換できるよう制度を整備するのが望ましいでしょう。

なお、健康診断やストレスチェックの実施については、労働安全衛生法にて定められています。

労働条件に関する文書の交付義務等(第6条)

事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間・有期雇用労働者に対して、労働条件に関する事項のうち労働基準法第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの(次項及び第十四条第一項において「特定事項」という。)を文書の交付その他厚生労働省令で定める方法(次項において「文書の交付等」という。)により明示しなければならない。
2 事業主は、前項の規定に基づき特定事項を明示するときは、労働条件に関する事項のうち特定事項及び労働基準法第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものについても、文書の交付等により明示するように努めるものとする。

事業主がパートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる際、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」を文書などで明示する必要があります。これに違反した場合は行政指導となり、それでも改善が見られない場合は同法第31条に基づき、パートタイム・有期雇用労働者1人につき10万円以下の過料の対象となります。

なお、労働基準法第15条1項では、パートタイム・有期雇用労働者を含む労働者・事業主間の労働契約の締結時、労働条件を明示するよう定めています。「契約期間」「有期労働契約を更新する場合の基準」「仕事をする場所と仕事の内容」「始業・終業の時刻や所定時間外労働の有無、休憩時間、休日、休暇」「賃金の決定・計算・支払の方法」「賃金の締切・支払時期」「退職に関する事項」などは書面の交付などで明示が義務付けられ、これに違反した場合、事業主に対し30万円以下の罰金が処せられます。

就業規則の作成・変更(第7条)

事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする。
2 前項の規定は、事業主が有期雇用労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとする場合について準用する。この場合において、「短時間労働者」とあるのは、「有期雇用労働者」と読み替えるものとする。

事業所ごとに常時10人以上の労働者を使用する事業者は、労働基準法第89条に基づき、就業規則を作成して労働基準監督署長に届ける必要があります。就業規則の作成・変更については、労働者の過半数で組織される労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の意見を聞かなければなりません。

パートタイム・有期雇用労働者のみに該当する労働条件を定める場合は、対象となる労働者に必要な要素を盛り込み、適した就業規則を作る必要があります。パートタイム・有期雇用労働者に関連した事項を含む就業規則を作成・変更する際、雇用するパートタイム労働者の過半数を代表すると認められる者の意見を聞くことが、第7条において努力義務とされています。

労働者に向けた待遇に関する説明義務(第14条)

第14条において、事業主には以下の説明義務、およびそれに伴う不利益取扱いが禁止されています。

事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、第八条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項(労働基準法第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項及び特定事項を除く。)に関し講ずることとしている措置の内容について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。
2 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに第六条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。
3 事業主は、短時間・有期雇用労働者が前項の求めをしたことを理由として、当該短時間・有期雇用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

第14条第1項において、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れ時・契約更新時には、事業主は法第8条から第13条までの規定に基づき実施する、雇用管理の改善などに関する措置の内容を説明することが義務付けられています。

説明方法は、基本的には資料などを活用して口頭で説明することとされています。または、説明すべき内容が網羅されていて、容易に理解できるような資料を交付するといった方法でも構いません。

第14条第2項では、パートタイム・有期雇用労働者から説明を求められた場合、事業主は当該パートタイム・有期雇用労働者と通常の労働者との間で異なる待遇差の内容および理由、決定する際の考慮事項を説明することが義務付けられています。複数回にわたって説明を求められた場合でも、その都度応じる必要があります。

加えて、第14条第3項では、説明を求められたことなどを理由にパートタイム・有期雇用労働者に対して不利益な取扱いをすることを禁止しています。

行政による事業主への助言・苦情の自主的解決・紛争解決の援助(第18条・22条・24~25条)

厚生労働大臣から委任を受けた都道府県労働局長は、パートタイム・有期雇用労働者の雇用管理の改善などを図るために必要と認めたときは、事業主に報告を求め、助言、指導、勧告をすることができます(第18条第1項)。

また、事業主は、短時間・有期雇用労働者から苦情の申出を受けたときは、自主的な解決を図るように努めなければいけません(第22条)。

この他、パートタイム・有期雇用労働者と企業の双方または一方が都道府県労働局長に紛争の解決を求めた場合には、必要な助言や指導・勧告ができるとしています(第24条第1項)。

さらに紛争の当事者であるパートタイム・有期雇用労働者、企業の双方もしくは一方から調停の申請があった場合、都道府県労働局長が必要と認めるときには「均衡待遇調停会議」で調停を実施するとしています(第25条)。

3. パートタイム・有期雇用労働法に対応するための取り組み手順とは

パートタイム労働者・有期雇用労働者を雇用している事業者が、法律に対応するための基本的な取り組み手順は以下の通りです。

1.労働者の雇用形態を確認する
まず、正社員と比較して1週間あたりの所定労働時間が短いかどうか、次に雇用契約期間の定めがあるかどうかを確認します。該当者は全て表にまとめ、何に該当するのかを区分して、それぞれの総人数も計算しておくとわかりやすいでしょう。

2.待遇の状況を確認する
手順1でまとめた区分ごとに、手当などを含む賃金、福利厚生などの待遇について正社員と違いがあるかどうかを確認していきます。手順1で作成した一覧に追記していくと明確になります。

3.待遇に違いがある場合、理由を確認する
正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との待遇に違いがある場合、理由を確認します。働き方や役割などによっては、待遇に差が出ることもあり得ます。その違いが不合理なものになっていないか、精査しておくことが必要です。

4.違いの理由が不合理ではないと説明できるよう整理する
待遇に違いがある理由を明確に説明できるように整理します。具体的には、違いを設けている待遇(通勤手当・賞与・基本給など)と違いがある理由を一覧にして書き出すとよいでしょう。不合理ではないといい切れないものについては、その必要性について企業内で精査、検討が必要です。

5.法律違反が疑われる状況から早期の脱却を目指す
待遇の違いに不合理な点が懸念される場合は、迅速に改善する必要があります。不合理ではないといえる場合であっても、均衡・均等な組織運営に向けて、より良い方法を検討することが望ましいといえます。

6.改善計画を立てて取り組む
改善においては、労働者の意見にしっかりと耳を傾けながら取り組むことが大切です。スムーズに進められるよう、事前に計画を立てておくことが大事です。

また、パートタイム・有期雇用労働法第17条において、パートタイム労働者・有期雇用労働者を常時10人以上雇用する事業所は、パートタイム・有期雇用労働指針に定める事項その他の雇用管理の改善に関する事項などを管理する「短時間・有期雇用管理者」を選任するよう、努力義務が規定されています。こちらも忘れずに対応しなければなりません。

非正規雇用者の正社員化や処遇の取り組みについては、キャリアアップ助成金なども活用してみてください。

4. パートタイム・有期雇用労働法の罰則

パートタイム・有期雇用労働法では、第6条(労働条件に関する文書の交付等)への違反に対する過料が定められています。第6条においては、パートタイム労働者を雇い入れたときは「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」を文書の交付などにより明示する必要があります。これに違反した場合は、同法第31条に基づき、10万円以下の過料が課されます。

そのほかにも、労働局長からの助言・指導・勧告が実施される可能性や、労働者から損害賠償請求などで訴えられる可能性もあるため、違反の可能性や懸念がある場合は速やかに対応しなければまりません。報告拒否や虚偽報告に対しては過料、勧告に従わない事業主の公表が規定されています。

また、事業主への行政の助言・指導などの根拠や行政ADR(裁判外紛争解決手続)についても、規定が整備されています。民事裁判や労働審判は、労働契約法の規定を踏まえて行われます。

5. パートタイム・有期雇用労働法は企業の未来にもつながる

近年では、労働力人口の減少が深刻な問題となっています。その背景には少子高齢化や、出産・育児・介護などで一度離職した女性や高齢者などの社会復帰がスムーズに進んでいないことがあります。

たとえ社会復帰が叶っても、パートタイム労働者・有期雇用労働者として働く以外の選択肢を持てず、納得感を得られる働き方が実現していないケースも少なくありません。パートタイム・有期雇用労働法は、こうした現状を変えるための働き方改革の一環で法改正されました。

雇用形態による不合理な待遇差や差別的取扱いが是正されることは、それぞれの人材が能力を発揮する機会が増えることであり、組織の活性化につながっていきます。改正法の内容を十分に把握した上で、企業として働きやすい社内環境を整備することが求められます。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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