雇用継続の返事がない社員の取り扱いについて
いつも本サイトで人事に関する知識を学ばせていただいており、ありがとうございます。
さて、現在抱えている問題でご教授いただければ幸いです。
在籍出向していた社員が平成29年12月31日で出向契約が終了となり、出向元(弊社)へ戻ってきます。
この出向契約というのが、ご説明するとややこしいのですが、弊社はとあるメーカーの代理店をしている会社であり、メーカー側に出向型の研修制度というものがあり、それを利用しておりました。
(営業業務に関する研修・教育などを出向先で行って育成する)
その研修制度には定期的に営業成績の基準があり、それを達成できなかった者は出向契約が終了するというものです。(有期契約で成績基準を達成すれば出向契約をその都度交わす)
この度、その営業成績の基準を達成できなかったために帰ってくる社員がいるのですが、
素行も悪く、営業成績も平均よりも遥かに劣る数字でメーカー側の担当者達からも
「続けるのはやめたほうがいい。」
「ここまでやってきて、その程度の結果なら向いていない。」
などとかなり厳しい評価を本人にも伝えており、今後について弊社で引き続き雇用継続をするのか、もしくは退職をするのかという意思確認をしたところ、じっくり考えますという事でしたが、未だに回答もないままになっております。しかも出向先で有給が残っていたので本人は年末まで有給を使用しており、出向先へも出社してきません。
(回答があれば、再度雇用契約書を改めて取り交わす約束をしているので書面手続きを行う予定でした。)
このままですと、年が明けてからも回答がなさそうです。
回答もなく、出社もしてこない場合の状態がわからないことだらけです。
むしろ、明確な意思表示がないまま、当たり前のように出社してきそうなぐらいの社員です。
・そもそも雇用契約として成立している状態なのか?(本人の意思が不明)
・なにも回答がなければ、解雇は難しいにしても相応の懲罰を与えることは可能か?
・回答期日を設けた督促状を送り、期日までに回答ない場合は退職扱いとすることは可能か?
・出社してこない場合、無断欠勤とすることができるのか?
・給与を支払わなければならないのか?(再締結の雇用契約前後で給与条件は異なる)
正直、こうなると退職していただきたいというのが本音です。
引き続き、働きたいとの意思表示があったとして退職勧奨を行うつもりです。
人事労務に関する知識が乏しく、ご質問内容も分かりづらい点が多々あるかとは存じますが、
なにとぞご教授下さいますようよろしくお願いを申し上げます。
投稿日:2017/12/26 20:34 ID:QA-0074163
- たわわさんさん
- 大阪府/保険(企業規模 1~5人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
出向解除絡みで、実質、無断欠勤の社員への連絡
▼ 確かに、説明が欠落して状況把握が十分し難く、回答精度は落ちるのは避けられませんが、当方なりに、欠落部分を次の通り推測した上で回答致します。
▼ 現在、出向元である御社と本人との雇用契約は、「期間の定めのない雇用」、所謂、正社員(定年までの雇用保証)だと推測します。
▼ 出向に関する法の定めは多くありません。労働契約法14条の権利濫用の禁止ぐらいのものです。ご説明では、
① 出向目的である研修に関しては、所謂、箸棒組の烙印を押されている。
② 出向解除後、御社での雇用関係は「再度雇用契約書を改めて取り交わす約束」と謂われているが、元々、期間の定めのない雇用ではなかったのか?
③ 現在、有休取得中とのことだが、取得終了と同時に出向解除の命令を手交、或いは、送付する予定なのか?
▼ 御社での雇用関係が有効に存在しており、懲戒解雇に関する十分な事由がるにも拘わらず、連絡が取れない場合には、次のステップ例を参考に、然るべき措置をご検討されては如何でしょうか。
▼ ステップ例
● 御社の就業規則に「14日以上の無断欠勤の場合懲戒解雇」と定められていれば、懲戒解雇事由に該当することは明らかでですが、問題はその手続きです。ご指摘のように、民法97条は、意思表示はその通知が相手方に到達したときに効力を生じるとしています。
● 「到達」したかどうかは、了知し得たかどうか、即ち、知りうる状態に置かれたかどうかから判断されますので、郵便が届いたときに本人がたまたま不在であってもよい訳です。然し、失踪して行方不明の場合には、解雇の意思表示が到達したことにはならないでしょう。
● このような場合、厳密な手段を踏むとすれば、法的に相手方に到達したものとみなす制度、民法98条に定める「公示送達」の手続きを簡易裁判所に対してとることになります。公示送達に関する民事訴訟法(平成8年法律第109号)の規定に従い、裁判所または市役所、区役所、町村役場等の掲示場への掲示、官報への掲載をしてもらうことになります。
● 実際には、家族との連絡が可能であれば、家族と相談の上、解雇を了解して貰うような解決例も多いようです。
▼ 一足飛びに、懲戒解雇へジャンプしましたが、勿論、本人連絡、出勤督促の手段として講じる手段として頂くのが本旨です。
投稿日:2017/12/27 12:05 ID:QA-0074165
相談者より
早速のご回答ありがとうございます。
ご説明しづらい点が多く申し訳ございません。
文中①はおっしゃるとおり、出向先においても弊社でも著しく評価は低く、関係する周囲の人間が非常に問題がある社員と認識しております。
②ですが、この研修制度が出向契約と同時に期間の定めのない雇用契約を締結することが条件であり、また給与条件も優遇されている内容でした。
(出向先からの支援給付が当社へ有り)
しかし、出向契約(研修)が終了すれば、その雇用契約と同条件での雇用は本人の能力も低く、極めて困難であったため、出向契約が終了した場合は労働条件を見直して再度、雇用契約書を取り交わす覚書を双方記名捺印の上、取付けていたという状況です。
③ですが、出向解除命令は特に書面で交付するということは予定しておりませんでした。
無断欠勤については就業規則で1週間以上の無断欠勤の場合は懲戒解雇と定められています。
法的には14日以上の方がよいのでしょうか?
その後の手続き等についてもご丁寧にご教授いただきありがとうございます。
投稿日:2017/12/27 13:03 ID:QA-0074166大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
出向解除絡みで、実質、無断欠勤の社員への連絡 P2
世間的通念では、解雇事由としての無断欠勤は、2週間超と云った処でしょう。事実、通達では、就業規則に特に解雇事由が規定されていない場合には、原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合は即時解雇できるとされています。
投稿日:2017/12/27 20:19 ID:QA-0074169
相談者より
ご教授いただきありがとうございます。
就業規則を2週間以上に変更するようにしておきます。ありがとうございました。
投稿日:2017/12/28 09:25 ID:QA-0074174大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、出向先で業務成績等が芳しくないからといって、直ちに出向元での御社で雇用契約終了云々のお話しをされるのは妥当ではございません。
何故なら、当初雇用契約を締結されたのは御社のはずですし、それ故出向先は出向期間中一時的に雇用関係が発生しているものに過ぎず、主たる当人との雇用関係はあくまで御社との間に存在しているといえるからです。仮に長期に渡って出向先で勤務されていたとしましてもこうした点については変わりございません。
従いまして、退職の意思表示のない現状につきましては当然ながら当人との雇用関係は継続している事になります。まして有休を消化中ということであれば正当な休暇取得ですので、その間に出社を求める事も出来ないですし、有休消化後についてはむしろ出勤してこられるのが当たり前の状況といえます。
対応としましては、まず出向元である御社にて今一度きちんと業務の改善指導を行い、配置転換も含めてしかるべき職場で就労させるべきといえます。
そういった形で少なくとも数か月程度は様子を見て頂き(※その間も随時必要な改善指導は怠らず、かつ記録に残しておく事も必要)、其れでもなお改善の見込みがないようであれば改めて退職勧奨をされるといった措置が妥当といえるでしょう。
投稿日:2017/12/27 21:53 ID:QA-0074173
プロフェッショナルからの回答
解雇プロセス
貴社の指示で出向した以上、出向終了でそのまま解雇は無理でしょう。今回は連絡不通という点での懲戒に検討となると思います。無断欠勤は2週間必要ですが、その間に連絡を取る努力も必要なので、訪問、配達証明、内容証明など手順を踏むと2週間程度すぐ経ってしまいます。
しかし音信不通であれば、もっとも現実的的には解雇しやすいと思われますので、本人との連絡と説得をまず行う必要があります。
本人のパフォーマンス不足で解雇に至るには、ハードルの高い通常の解雇プロセスが欠かせません。業務不良についての指導、改善誓約、結果確認などを積み重ねた結果の解雇なので、簡単ではありませんが指導を粘り強く行うことが欠かせません。その指導証拠はすべて記録される必要があります。
投稿日:2017/12/28 11:56 ID:QA-0074180
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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