事務所など、どこでも昼食をとれるよう配慮するべきか
2025年8月1日から弊社の工場では、食堂でしか食事することを制限されます。事務所・現場など遠い場合は片道5分程度かかります。移動を含めると45分しっかり取れないという声があります。
ただし、休憩の過ごし方や場所は特に指示指定はしていないので、食堂で過ごす人、ロッカーでスマホを見ている人、トイレで歯磨き、メイクに時間をかける人、それぞれです。
自席・または食堂以外での食事をできるようにするためにはどのように訴えれば改善されるようになるのでしょうか、ご相談します。
労組には相談したのですが、少し様子を見て再度、会社側と議論をしたいと言われました。
投稿日:2025/07/14 09:15 ID:QA-0155368
- ほっしゃんさん
- 大阪府/機械(企業規模 501~1000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
本件は、労働者の休憩の自由利用の原則と、会社側の施設使用ルールが衝突している問題です。以下の視点から整理し、会社への働きかけ方をご提案します。
1.法的視点:休憩時間の「自由利用原則」
労働基準法 第34条 第3項では、休憩時間は「自由に利用させなければならない」と定められています。
つまり、会社が「休憩中は食堂でしか食事してはならない」と一方的に制限する場合、自由利用の侵害に該当するおそれがあります。
ただし、休憩中の施設利用に関しては一定の制限(衛生・安全・業務効率上の理由など)を設けることは可能
その場合でも、「合理性」と「必要性」が求められる
2.あなたの主張を整理すると、以下の要点があります:
(1) 食堂までの移動時間が片道5分程度かかる
正味の休憩が減ってしまい、実質的に「45分の休憩時間」が確保されない状況
法的な「自由利用」が阻害されている可能性あり
(2) 他の従業員は休憩中に様々な過ごし方をしており、「食堂縛り」は一部にしか適用されていない(例:歯磨き・メイク・スマホ利用)
(3) 休憩の取り方は個人の自由であるべきなのに、食事だけを制限するのは合理性に欠ける
3.改善に向けたアプローチ(会社側への訴え方)
(1)「合理性」の確認と問題提起
例:「休憩時間は法律上、自由に利用できるものとされていますが、食堂に限定されることによって移動を含めると実質的に45分の休憩が取れていません。体力回復や食事の摂取に支障が出ています。移動時間を含める場合、会社側の意図と現実にズレが生じているように感じます」
→ 自由利用原則の観点から、会社の意図が過剰であることを理論的に訴える
(2) 提案型の対話に切り替える
「安全や衛生の観点で食堂を推奨するのは理解できます。ただ、移動が負担となる従業員もいますので、自席などでの飲食を希望する人には選択の自由を認めていただけないでしょうか。」
→ 「制限の緩和」や「選択肢の拡大」を提案し、ゼロイチで議論しない
(3)具体的な代替案を提示する
事務所スペースの一部を「簡易飲食可能スペース」にする
「食事エリアでの飲食マナー指導」などと引き換えに自席での飲食を認める
特定条件(匂いの強いものNG等)で自席飲食をOKとする制度
(4) 労組との連携の継続
「労基法の観点から見ても、会社の制限が適切かどうか再検討する必要があると思います。様子見ではなく、問題提起を続けながら段階的な改善を目指しませんか?」
→労働者の声をまとめて「労使協議の場」で継続議論できるように促す
4.結論:訴える際の軸
(1)法的根拠(休憩の自由利用)
(2)実質的な不利益(移動による休憩時間の減少)
(3)合理性の欠如(他の行動は自由なのに食事だけ制限)
(4)提案型の解決策(選択肢の提示)
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/14 09:37 ID:QA-0155371
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
現在は食堂以外で食事することが許容されているところ、来る8月1日からは昼食の場所は食堂のみに限定されるということかと思います。
会社は、「職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営体制を確保するため、その物的施設を許諾された目的以外に利用してはならない旨を、一般的に規則をもって定め、又は具体的に指示、命令することができ」る権限(施設管理権といいます)を有しています(国鉄札幌運転区事件:最三小判昭和54年10月30日)。
今般、昼食の場所を食堂に限定する理由の説明が会社からありましたでしょうか。理由の説明が無いようであれば、現在の運用を変更するからには、何らかの理由があると思いますので、その点の説明を求めてはいかがでしょうか。
説明の内容によっては、「職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営体制を確保する」目的がなく、昼食の場所を食堂に限定することに必要性が必ずしもないかもしれません。
投稿日:2025/07/14 09:55 ID:QA-0155373
相談者より
回答ありがとうございました。
会社側から説明がありました?との事ですが
一応、ありました。
弊社の工場では2つ部署があり、1つは最近、建物の改装し新しくしました。
1つの部署は古いままです。
理由としては建物が新しくなり汚したくないのと食堂で昼食を取ることでコミュニケーションの活性化になるためだと説明を受けました。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/14 11:14 ID:QA-0155377大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
主張ポイントを3つ提起させていただきますが、
そもそも論、何故、食堂以外で食事をすることができないのか、
理由を明確にすべて洗い出してみていただくことをお勧めいたします。
理由如何で、会社側にも一定の労務リスクがあるものと思案する問題です。
1.休憩時間の自由利用の原則(労働基準法第34条)
休憩時間は労働から完全に解放されていることが必要で、場所や行動の制限
は原則としてできません。食堂でしか食事してはいけないとするのは、
休憩の自由利用を妨げている可能性があります。
食事場所を制限する場合は、合理性ある理由が必要であり、合理的な理由が
なければ場所の制限もできません。
2.実質的な休憩時間が短縮されている問題
社会通念上も、昼に昼食はするものと解釈されております。その上で、食堂まで
片道5分かかるということは、正味の休憩時間がとれておらず、法令で定める
休憩時間を取得できていないと法令違反の判断をされる可能性がございます。
3.不利益変更の可能性
これまで自由に食事していた場所を制限するのは、労働条件の不利益変更と見な
される可能性があります。よって、よほどの合理的理由が無い限り、変更の無効
を主張されケースが生じます。
投稿日:2025/07/14 10:29 ID:QA-0155374
プロフェッショナルからの回答
コメントありがとうございます
回答に対するコメントありがとうございました。
まず、
(1)これまで昼食によって会社施設が汚損された事実があるか
(2)従業員間のコミュニケーションに課題があるのか
を会社にご確認いただいてはどうかと思います。
(1)につきまして、著しく会社施設を汚損した(会社に損害が生じた)ような事例が無いようであれば、会社の施設管理権を及ぼす程度の問題ではなく、合理的な理由を欠くように思われます。昼食によって会社施設を多少なりとも汚損した事例がある場合であっても、まずは汚損しないよう注意喚起を行えばよいのであって、注意喚起を頻回に行ってなお汚損が続くようであれば、労使協議の上、昼食場所を限定するというプロセスを踏むのが望ましいと考えます。
(2)につきまして、休憩時間は自由利用が原則ですので、一人静かに過ごしたい方も一定数いらっしゃることを考慮すると、休憩時間を利用してコミュニケーションの活発化による生産性向上を図るといった会社施策を講ずるのは適切ではないと考えます。
上記の点について、会社と議論してはいかがでしょうか。組合があるとのことですので、組合に対して上記の具体的な論点を指摘して、会社と話し合うよう要求するのがよろしいように思います。
投稿日:2025/07/14 18:25 ID:QA-0155411
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、会社の考え方次第にもなりますが、同意見の複数名で改善提案をされる方がよいでしょう。
尚、こちらは会社の人事労務管理の立場からの相談に回答させて頂く主旨のコーナーですので、こうした従業員としての個人的な質問に関しましては控えて頂き、お近くの労働基準監督署に設置されている労働相談コーナー等へ尋ねられますようお願いいたします。
投稿日:2025/07/14 19:00 ID:QA-0155414
プロフェッショナルからの回答
就業規則?
以下、回答させていただきます。
(1)労働基準法第89条は就業規則の記載事項を定めています。その中で、第10
号において「前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適
用される定めをする場合においては、これに関する事項」とされています。
(2)「2025年8月1日から弊社の工場では、食堂でしか食事することを制限され
ます。」とのことですが、これは、上記の第10号に該当するようにも思われ
ます。
(3)仮に、該当するのであれば、労働基準法第90条により、使用者は、労働組
合若しくは労働者代表者から意見を聴取することが必要になります。
また、当該意見を付して「変更した就業規則」を労働基準監督署に届け出
ることも必要になります。
(4)一方、就業規則の不利益変更については、労働契約法第10条によって規律
されます。
[第10条]
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合におい
て、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更
が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更
後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の
就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、
労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定める
ところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び
使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合
意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限
りでない。
(5)この10条を踏まえつつ、使用者側と話し合うことが重要であると考えられ
ます。
その際、労働者の受ける不利益(事務所・現場など遠い場合は片道5分程
度かかります。移動を含めると45分しっかり取れないという声があります)
について説明をなされるとともに、使用者側の必要性についても耳を傾ける
ことが肝要であろうかと思われます。
また、今回の使用者側の意向が、同業他社において一般的なものなのかな
ど社会的相当性について意見を交わすことが必要ではないかと思われます。
先例や参考例があるのかお尋ねされてもよいかと思われます。
(6)なお、業務命令としての扱いとなったとしても、権利濫用の有無につい
て、上記(5)を活かしつつ話し合うことができるのではないかと思われま
す。
投稿日:2025/07/14 21:27 ID:QA-0155418
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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