転職先の制限
いつもお世話になっております。
「転職先の制限」に関して質問させていただきます。
(状況)
現在、あるプロジェクトで下記のようなスキームで業務を行っております。
・エンドユーザ(A社)
・エンドユーザとSIer(B社)がシステム運用業務を契約している。
・弊社がB社とさらに業務委託契約を受けており、5名が客先に常駐し
B社のプロジェクトマネジャーの下で業務を行っている。
このような状況で、このプロジェクトにいる弊社の1名が退職し、ある派遣会社(D社)を
経由して派遣社員としてA社に勤務することになりました。しかも業務は弊社にいた時と
全く同じです。退職した者の退職理由は待遇面(賃金)に対する不満で、弊社としては
彼の能力と立場から最大限の評価をしておりましたが、慰留はできませんでした。
このような状況で、残った4名が同じようなことになることを危惧しており、その
対応に苦慮しています。B社の危機感も大きく、残った4名に対して、業務と関連の
ある会社には転職しない旨の念書を取れと要求されています。
職業選択の自由が保証されている中で、このような念書又は誓約書を提出させて
縛ることは法的に許されるものなのでしょうか?
お忙しい中お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
投稿日:2015/12/07 08:30 ID:QA-0064403
- Y&Cさん
- 兵庫県/情報処理・ソフトウェア(企業規模 1~5人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、ご認識の通り、労働者には職業選択の自由が保障されていますので、退職する事自体を止める事は困難といえます。
また情報漏洩等を念頭に置かれた同業他社への転職禁止についても、念書や誓約書を書かせる事自体は禁止されていませんが、管理職等で保護に値する経営上重要な情報に通じている者以外であれば、転職禁止が認められない可能性が高くなります。
当事案の場合ですと特殊な事例であって禁止目的が異なりますが、このような場合の対応としましては、やはり転職先の制限を設けるのではなく、転職によって御社及び取引先に損害をもたらした場合に賠償責任が発生するといった内容を盛り込んだ誓約書を取っておかれるのが妥当といえるでしょう。
但し、いずれにしましても損害賠償が認められるか否かについては事案毎に判断されますので、転職防止に繋がる効果はさほど期待できないかもしれません。
ちなみに通常であれば御社社員を辞めて身分の不安定な派遣社員として同じ業務に従事するといった事は考え難いものといえます。
従いまして、根本的な対策としましては、今一度処遇内容について検討を行い、賃金以外の要素(評価や人間関係等)についても精査された上で、具体的な対応を図られる事が必要といえるでしょう。
投稿日:2015/12/07 11:32 ID:QA-0064411
相談者より
服部さま
大変お忙しい中、ご回答いただきありがとうございました。
さらなる質問で恐縮ですが、2点ほどあります。
①損害賠償の意味ですが、今回は退職した人の分の利益及び売上が減少しますが、この場合も損害賠償の対象になるのでしょうか?
②もし、2,3人とこの退職者に続くと、B社の売上利益に対する損害も大きくなり、B社から損害賠償を求められることがあるのでしょうか?
以上、よろしくお願いします。
投稿日:2015/12/07 16:07 ID:QA-0064421大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
合理性な理由がない限り、職業選択の自由がありますので、転職先を制限することはできません。
合理的な理由とは、社員の地位、職務内容、制限地理等で判断されます。どういうことかといいますと、会社として、外部に漏れたら、損害を被ってしまうほどの、機密情報を社員の転職については、ある程度の制限をかけられるということです。
ただし、一定の歯止め効果としては、就業規則等に競業避止等の規定を記載しておくことです。
また、待遇面で派遣会社に負けないよう、賃金、労働時間、福利厚生等トータル的に見直す必要があるかもしれません。
投稿日:2015/12/07 13:02 ID:QA-0064419
相談者より
小高様
お忙しい中、ご回答いただきありがとうございます。
さらなる質問で恐縮ですが、下記の質問にお答えいただけたら幸いです。
競業禁止に関する誓約書ですが、退職時に秘密保持誓約書として「貴社退職後2年間にわたり、自己のため、または貴社と競業する事業者その他第三者のために使用、または、他に漏らさないことを約束致します。」というものを取っていますが、今回のようにこれまで長年従事した顧客で全く同じ仕事を行く場合もこれは適用できるものなのでしょうか?
以上、よろしくお願いします。
投稿日:2015/12/07 16:15 ID:QA-0064422大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
合理性
競業への就業制限は合理性が重要です。営業情報や経営情報などの機密を利用して、事業への損害を与えるようなものであれば、損害賠償も可能になるでしょう。しかし今回の事例は単にマンパワーが移動しただけとも取れます。そうなりますと憲法の職業選択の自由が優先となる可能性はあると思います。もちろん御社での業務を通じて身に着けたスキルが生かされることではあると思いますが、機密とスキルは位置付けが異なり、スキルのような俗人的なものまで縛るのは現実も問題として難しいのではないでしょか。これは裁判にまで及ばないと今ここで判断はつきかねます。
現実的対策は就業制限より、雇用条件見直しではないでしょうか。御社の社内基準ではなく、現実に派遣社員の方が条件が良いようであるなら、あらためて給与またはボーナスなど含め、検討される余地はあるかも知れません。
投稿日:2015/12/07 21:02 ID:QA-0064427
相談者より
増沢様
ご回答いただきありがとうございます。
就業制限に関する合理性の意味がある程度理解することが出来ました。ご指摘されているように、雇用条件に関する検討を進めてみます。
投稿日:2015/12/08 10:03 ID:QA-0064436大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
こちらこそご返信感謝しております。
再度ご質問ないように回答させて頂きますと‥
①損害賠償の意味ですが、今回は退職した人の分の利益及び売上が減少しますが、この場合も損害賠償の対象になるのでしょうか?
‥ それは通常の退職でも同様といえますので、単に利益や売上の減少のみでは認められないものといえます。やはり退職者が顧客の引き抜きを行う等故意に損害を発生させたと考えられる場合に限られるものといえるでしょう。
②もし、2,3人とこの退職者に続くと、B社の売上利益に対する損害も大きくなり、B社から損害賠償を求められることがあるのでしょうか?
‥ そうした点については御社とB社との間で締結されている業務委託契約の内容によります。通常であれば、業務遂行の大きな妨げになりますので、早急に代替要員を手配出来なければ損害賠償請求の対象とされる可能性が高いといえるでしょう。
ちなみに、①②共にかなり特殊かつ複雑な事案になりますので、この場でより具体的なな回答を差し上げる事が出来かねる点はご了承下さい。もし今後大きなトラブルに発展するようでしたら、労務問題及び民事トラブル双方に精通した弁護士にご相談されて対応を図る事をお勧めいたします。
投稿日:2015/12/07 22:37 ID:QA-0064429
相談者より
服部様
度々の質問にご回答いただきありがとうございます。
アドバイスをいただいたように拗れたときは専門家に相談することとします。また、そうならないように雇用条件などを再検討しようと思います。
投稿日:2015/12/08 10:06 ID:QA-0064437大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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