定年再雇用時に給与が下がる理由を教えてください。
平素は大変お世話になります。標題の件、インターネットにて調べてみたのですが、「雇用形態の変更と契約の見直しが入るため」や「正社員として継続した際にも、再雇用時に改めて取り決めてよい」などのコメントは多々あるのですが、ほどんどの社員が再雇用前の業務と同じことをしているにも関わらず給与が下がる理由に理解と納得ができていません。また、昨今はジョブ型や成果貢献給などのワードが主流となっていますので相反していると感じます。お手数かけますが、課員が理解と納得できるようなコメントをご教授いただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
投稿日:2025/08/04 16:57 ID:QA-0156302
- 〇〇さん
- 大阪府/商社(専門)(企業規模 501~1000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
業務内容も、役職など責任の程度も同じで、
かつ配置転換の可能性も変りないとなると、同一労働同一賃金の観点から、
給与も同一である必要があります。
ただし、再雇用前に退職金の支給があった、高年齢雇用継続給付等が受給できる
などがあるとその他の要因として、賃金が下がることもありえます。
いずれにしましても、
一般論ではなく、個別の事例で賃金減額に合理性があるかないかは、
判断することになります。
投稿日:2025/08/04 18:22 ID:QA-0156321
相談者より
早々のご回答ありがとうございます。先ずは精読させていただきます。取り急ぎ拝受のご報告まで。
投稿日:2025/08/05 16:27 ID:QA-0156391大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.総論:「給与が下がる=合理的な待遇見直し」
再雇用時の給与引下げは、単なるコスト削減ではなく、雇用形態・労働契約内容の変更に伴う「待遇の見直し」として行われているのが一般的です。
その根拠は、以下の通りです。
(1) 雇用形態・労働条件の変更
再雇用後は、定年後の新たな有期契約となり、雇用契約そのものが変わります。
定年前の「無期正社員」とは異なり、再雇用は多くの場合「有期契約」「嘱託社員」「短時間勤務者」など、雇用形態・法的立場・就業規則の適用範囲も変化します。
これにより、例えば以下のような点で労働条件が変わることが多く、それに応じて賃金も見直されるのが一般的です。
項目→定年前→定年後(再雇用)
雇用形態→無期・正社員→有期・嘱託等
勤務時間→フルタイム→短縮勤務も可
業務責任→管理職・評価責任あり→一般職、裁量減
処遇制度→年功や職能、役職給→時間給や職務給中心
(2)賃金制度の設計目的の違い
正社員時代の給与は、「将来の成長」や「会社への長期的貢献」も含めた期待値ベースで設計されていることが多いです(いわば「積立型」)。
一方、再雇用後は、実際の業務内容や労働時間・責任範囲に即した対価(ジョブベース)として見直されます。
→つまり、「同じ仕事をしているように見えても、評価軸や責任の所在が異なる」ため、給与水準が異なることになります。
(3) 高年齢者雇用安定法に基づく「再雇用の位置づけ」
高年齢者雇用安定法により、企業には希望者全員を65歳まで雇用する義務がありますが、賃金水準の維持義務はありません。
国も「高年齢者の再雇用では、賃金を下げる代わりに雇用の場を確保する」ことを是としています。
そのため、以下のような行政指針もあります。
※厚生労働省パンフレットより
「定年後再雇用に際し、職務内容、責任、勤務時間などが変わる場合には、合理的な範囲で賃金を見直すことが可能です」
(4) 社会保障面の負担・給付とのバランス
高年齢者には、雇用保険の高年齢雇用継続給付など、賃金が下がることによって受けられる補填制度があります。
また、健康保険料・年金保険料などの負担も減ることが多く、手取りではさほど変わらないケースもあります。
2.社員向けに伝える際のコメント(例文)
以下のような言い回しで伝えると、過度な不満を抑えつつ、制度上の趣旨や公正性を理解してもらいやすくなります。
・社内向け説明コメント例
定年後の再雇用においては、雇用形態が「正社員」から「有期雇用の嘱託社員」等に変わるため、契約上の労働条件も見直すことになります。
当社では、業務内容の継続性を尊重しつつ、勤務時間や責任範囲、評価制度の違いを踏まえたうえで、再雇用時の給与水準を設定しております。
また、高年齢雇用継続給付など国の制度を活用することで、手取り額への影響を軽減できる場合もあります。
今後も、本人の経験や貢献に見合う処遇を心がけてまいります。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/04 19:27 ID:QA-0156325
相談者より
早々のご回答ありがとうございます。先ずは精読させていただきます。取り急ぎ拝受のご報告まで。
投稿日:2025/08/05 16:28 ID:QA-0156392大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、法令上で定められている理由等はございませんが、一般論として申し上げるとすれば、業務内容が変わりない場合ですと加齢によるパフォーマンスの低下を加味して減給されるのが主な理由といえます。
勿論、定年に達したからといって直ちにパフォーマンスが低下するとまではいえませんが、定年前の段階も含めまして多少なりとも加齢による影響は避けられるものではないですし、大幅な減給でもない限りは全く否定されるべき措置ではないものといえるでしょう。
投稿日:2025/08/04 19:28 ID:QA-0156326
相談者より
早々のご回答ありがとうございます。先ずは精読させていただきます。取り急ぎ拝受のご報告まで。
投稿日:2025/08/05 16:28 ID:QA-0156393大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
年功性の強い賃金体系
以下、回答いたします。
(1)いわゆる「同一労働同一賃金」については、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」において、次のように定められています。
(不合理な待遇の禁止)
第八条 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。
(2)再雇用社員(有期雇用労働者)が「再雇用前の業務」(正社員・通常労働者としての業務)と同じことをしているにも関わらず給与が下がるとのことです。この場合、その適否については、上記(1)の「職務の内容」、「職務の内容及び配置の変更の範囲」、「その他の事情」のうち、「職務の内容及び配置の変更の範囲」や「その他の事情」が重要になると考えられます。
(3)そして、基本給に関しては、「その他の事情」として以下のような裁判例があります。(五島育英会事件 平成30年4月11日 東京地裁判決)
※我が国においては,終身雇用制度を背景に,雇用の安定化や賃金コストの合理化を図るという観点から,伝統的に年功性の強い賃金体系が採られており,このような賃金体系の下では定年直前の賃金が当該労働者のその当時の貢献に比して高い水準となることは公知の事実である。このように,年功的要素を含む賃金体系においては就労開始から定年退職までの全期間を通じて賃金の均衡が図られていることとの関係上,定年退職を迎えて一旦このような無期労働契約が解消された後に新たに締結された労働契約における賃金が定年退職直前の賃金と比較して低額となることは当該労働者の貢献と賃金との均衡という観点からは見やすい道理であり,それ自体が不合理であるということはできない。
(4)「昨今はジョブ型や成果貢献給などのワードが主流となっていますので相反していると感じます」とのことですが、仮に、正社員、再雇用社員を問わず、こうした制度が貫徹されるのであれば、「再雇用前の業務と同じことをしているにも関わらず給与が下がる」という状況は相当程度希薄化するものと思われます。
投稿日:2025/08/04 22:40 ID:QA-0156335
相談者より
早々のご回答ありがとうございます。先ずは精読させていただきます。取り急ぎ拝受のご報告まで。
投稿日:2025/08/05 16:29 ID:QA-0156394大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
以下がポイントになります。
|再雇用前の業務と同じことをしているにも関わらず給与が下がる理由に
|理解と納得ができていません。
何ら差が無ければ、理解と納得も得られないのは当然です。
通常、給与が下がる以上、全てが一緒ということはあり得ませんので、
社内で、以下の視点に立って、再雇用前・再雇用後の違いを明確にし、
違いがあるから、給与が変更となるという流れを作成ください。
・従事する業務レベル
・勤務時間、勤務日数
・指導責任・管理責任などの責任範囲
責任範囲が異なる際は、以下のような説明をサンプルとして記載します。
↓ ↓
再雇用後は、現在の業務範囲・責任・勤務形態を踏まえて合理的に設定していま
す。同じ仕事に見えても、再雇用後は、指導責任や管理責任が無くなります。
近年主流のジョブ型においても、担っている役割の重さに応じた報酬設計が
基本であり、現在の制度はその考え方に則ったものとなっています。
投稿日:2025/08/05 07:51 ID:QA-0156342
相談者より
早々のご回答ありがとうございます。先ずは精読させていただきます。取り急ぎ拝受のご報告まで。
投稿日:2025/08/05 16:29 ID:QA-0156395大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
法律を根拠とする理由といったものはありませんが、しいていえば、加齢に伴うパフォーマンスの低下ということになるでしょう。
そうはいっても、定年再雇用と同時にいきなりパフォーマンスが低下するわけではございませんが、その先2年、3年と雇用を継続していく上においては、個人差はあれど相対的にはパフォーマンスの低下は避けられないでしょうから、総合的に判断しての処置だと考えられます。
高年法が求めているのは、継続雇用制度の導入であって、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けているものではなく、事業主の合理的な裁量の範囲での条件を提示していれば、労使間での合意が成立せず、結果的に労働者が再雇用を拒否したとしても、法に違反するものではありません。
大幅な給与減額にでもならない限りは、裁量の範囲内といえるでしょう。
投稿日:2025/08/05 09:54 ID:QA-0156353
相談者より
早々のご回答ありがとうございます。先ずは精読させていただきます。取り急ぎ拝受のご報告まで。
投稿日:2025/08/05 16:29 ID:QA-0156396大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
ポイントは;
>ほどんどの社員が再雇用前の業務と同じことをしている
かどうかです。ここが「おおむね」などあいまいですと、判断はできません。
確実に同一業務、同一条件(出勤日/時間、出張や移動他)、同一評価(数値目標など)なのに、年齢だけを理由とする条件低下は合理性がありません。社員が不満に思ったり訴訟にエスカレートすることもあり得ます。
一方、業務や評価、目標が同一かどうかあいまいな職場の場合、このポイントの瑕疵が崩れるため、定年再雇用なので普通はパフォーマンスが下がるから程度の理由で通じてしまっているというのが実態かと思います。
絶対的人手不足が言われる中、年齢だけを基準に対策をするのはきわめて不効率です。年齢に関係なく業務能力で中高年人材も活用することで、ひたすら人口減が進むわが国でも、労働力確保ができている企業もあります。
投稿日:2025/08/05 10:01 ID:QA-0156355
相談者より
早々のご回答ありがとうございます。先ずは精読させていただきます。取り急ぎ拝受のご報告まで。
投稿日:2025/08/05 16:30 ID:QA-0156397大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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