柔軟な働き方を実現するための措置の短時間労働者の扱い
いつも参考にさせていただいております。
柔軟な働き方を実現するための措置で、時差出勤と養育両立支援休暇を選択しようと考えています。
この時差出勤については、短時間の有期雇用労働者についても適用しなければならないのでしょうか。
正社員やそれと同等の時間を働いている者については8時-17時のため、1時間は前後できるようにと考えています。(7時-16時、9時-18時)
ただ、短時間労働者については、基本の勤務時間が8時45分-14時で、9時-14時がコアタイムのため、時差をするにしても15分程度しかできません。中には、朝7時-9時の2時間勤務の方もいて、その方については時差出勤してもらうことができません。
この状態ですと、時差出勤は選択できないことになりますか?
また、時差出勤が選択できない場合、短時間勤務制度も同様に選択できないことになりますか?(短時間の有期雇用労働者の勤務時間が2時間なり5時間なりなので、ここから更に短くはできない)
お手数ですが、ご教授の程お願いいたします。
投稿日:2025/06/26 15:35 ID:QA-0154559
- tkhさん
- 埼玉県/教育(企業規模 11~30人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
短時間の有期雇用労働者に時差出勤を適用「しなければならない」という義務は原則ありません。ただし、育児・介護休業法などでの措置義務との関係では、「不合理な差別的取扱い」がないよう配慮が必要です。
時差出勤が事実上難しい場合は、「短時間勤務制度」の選択により対応することが可能です。該当者の勤務時間が既に十分短い場合、それ以上の短縮が難しいとしても、「制度があること自体」が措置に該当する可能性があります。
2.法的背景と柔軟な働き方支援措置について
育児・介護休業法による措置義務(育児期の柔軟な働き方支援)
育児休業等から復帰した労働者等に対し、企業には以下いずれかの措置を講じる義務があります(育介法第23条関連)。
時差出勤制度の導入
短時間勤務制度の導入(1日原則6時間)
フレックスタイム制度
テレワークの導入
所定外労働の制限 など
→ いずれか一つの制度を導入すれば良く、全労働者に一律に適用する必要はありません。
3.ご相談の状況に応じた対応の考え方
(1)短時間有期労働者にも「時差出勤」は適用しなければならないか?
→ 必ずしも適用する必要はありません。
法律は「柔軟な働き方を可能とする措置を講じること」を求めているに過ぎず、「どの制度を誰に提供するか」は企業の裁量に委ねられています。
ただし、「正社員だけに提供して、短時間有期労働者には全く提供しない」ような扱い方は、パートタイム・有期雇用労働法上の不合理な差別的取扱いに該当する可能性があるため、理由や配慮が必要です。
(2)短時間勤務制度も選択できないことになるか?
→ 制度として設けてあれば「選択可能」と評価される可能性が高いです。
たとえば、すでに2時間勤務の労働者に「さらに短くする」ことは現実的に無理であっても、「短時間勤務制度の選択肢を設けている」こと自体が法の趣旨に合致します。
実際に適用できる人がいない場合でも、制度としての導入・社内周知をしていれば、措置義務を果たしていると判断される余地があります。
4.対応上の実務的なアドバイス
対象→措置例→備考
正社員→時差出勤制度(7~9時出社)→コアタイム確保されていれば問題なし
短時間社員(例:8:45~14:00)→最小限の時差(15分程度)でも可。→制度があることが重要制度として選択肢を設けていればOK
極短時間勤務者(例:7:00~9:00)→制度対象外でも可。→ただし制度の案内・周知は行う既に短時間であり、育児配慮がなされている状況と説明できる
5.まとめ
制度を形式的にでも導入・周知していれば、全員が利用可能である必要はありません。
対象者に応じて、利用可能な制度を複数用意し、「選択肢がある状態」を作ることが求められています。
制度として導入したら、就業規則への明記および本人への説明・意向確認(できれば書面)を実施してください。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/06/26 17:13 ID:QA-0154565
相談者より
詳細なご回答をありがとうございました。
短時間労働者には必ずしも適用する必要はないとのことで安心しました。ただ、「不合理な差別的取扱い」がないように配慮とのことですので、短時間勤務制度ももう一度検討いたします。
投稿日:2025/06/27 11:04 ID:QA-0154614大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、そもそもコアタイムを設けられているフレックス制という事でしたら、現行制度で時差勤務自体が可能になっているものといえますので、既に制度化済みという事になります。
但し、御社の場合ですとコアタイムが9時-14時とかなり長時間に及んでいますので、フレックス制の観点から見ましてもこの点を改善されるべきといえるでしょう。
尚、極めて短時間の勤務をされている方の場合ですと、現実問題としまして制度化自体が困難といえますので、所轄の労働局の雇用・環境均等室等にご相談されてみる事をお勧めいたします。
投稿日:2025/06/26 22:29 ID:QA-0154583
相談者より
ご回答ありがとうございます。
書き方が悪くて申し訳なのですが、フレックス制ではありませんが、9時-14時に社員がいないと困る職業です。
労働局への相談とのアドバイスありがとうございます。一度尋ねてみようと思います。
投稿日:2025/06/27 11:07 ID:QA-0154615大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
短時間労働者に時差出勤を適用しなければならないというような義務はありません。
したがって、時差出勤を適用することが物理的に不可能であれば、対象外とすることで差支えはございません。
朝7時から9時までの2時間勤務の従業員に時差出勤をしてもらうことには合理的な理由は見当たりません。
投稿日:2025/06/27 09:11 ID:QA-0154598
相談者より
ご回答ありがとうございます。
義務がないとのこと、安心しました。この方向で進めていきたいと思います。
投稿日:2025/06/27 11:11 ID:QA-0154617大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
判断
職務内容が異なり、雇用条件も異なる社員なので、統一した短時間勤務の対象とする必要はありません。
一方、フレックスなのに、時間帯選択が事実上できていませんので、フレックス対象とか短時間勤務選択はできないと明示し、周知が必要です。こちらをあいまいにしておく方が人事的には大きなリスクだと思います。
投稿日:2025/06/27 10:51 ID:QA-0154611
相談者より
ご回答ありがとうございます。
統一した対象とする必要がないとのこと、安心しました。
私の書き方が悪く、フレックス制ではありませんが、今後の参考にさせていただきます。
投稿日:2025/06/27 12:28 ID:QA-0154628大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
-
翌日に跨ぐ勤務時間について 基本的な質問になるかと思いますが... [2005/11/10]
-
休憩時間は一時間だけで良い? まずはじめに弊社の勤務時間や休憩... [2020/06/29]
-
休日と休暇 休日と休暇の定義(違い)を詳しく... [2007/04/09]
-
勤務日の考え方についてご相談です。 日曜日 23:45-26:00 ... [2025/04/04]
-
時差勤務について 製造工場です。交替勤務でなく、1... [2006/10/12]
-
半休の場合の割増無の時間 派遣勤務者は、本社と勤務時間が異... [2017/06/26]
-
柔軟な働き方を実現するための措置(時差出勤)について 2025年10月1日から施行され... [2025/05/23]
-
早朝勤務者の短時間労働について 弊社では、事業のために土曜日の早... [2008/05/02]
-
特別休暇の申請について 追記 特別休暇についてですが、就業規則... [2019/10/31]
-
時差出勤について こんにちは。時差出勤について質問... [2022/06/01]
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
時差出勤導入の告知
時差出勤制度を導入した際に、そのルールを周知するための文例です。