所定外労働免除社員の給与算出方法
育休から復帰する社員から、時短勤務で、且つ所定外労働免除の申し出を受けています。所定労働時間:8.0時間 → 7.0時間
当社の給与体系は以下の通りで固定残業代が含まれております。
例)月給:240,000円
内訳:基本給:184,954円 + 固定残業代:55,046円
育休から復帰後、時短、且つ所定外労働免除の場合、この固定残業代をどのように考え計算すれば、不利益にならないようにできますでしょうか?
ご教示たいだきたくよろしくお願いいたします。
基本給を7/8時間で案分するのは問題ないと思いますが、固定残業代については、そもそも所定外労働免除なのに発生させていいのか矛盾を感じており、どのようにすべきか迷っております。
とはいえ、なくすことは不利益になると思われ、例えば他の名目(時短調整手当)として支給するとかが適切なようにも思いますが、計算の考え方も含めご教示いただけますと幸甚です。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/29 19:58 ID:QA-0153264
- タヌーキーさん
- 愛知県/電気・ガス・水道・エネルギー(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.基本的な考え方
時短勤務や所定外労働免除により、実質的に残業が発生しないことが確定している場合、固定残業代として支払うことには合理性がなくなるため、原則として「固定残業代」として支給するのは不適切です。とはいえ、育児休業後の復職で給与が大きく下がると「不利益変更」に該当する可能性があり、注意が必要です。
2.不利益変更を避ける方針
(1)正当な方法
固定残業代は廃止し、その分を別の手当名目で支給する(例:時短調整手当)
支給額は、復帰前の給与水準に大きな差が出ないように調整
3.実務上の対応方法(例)
現行給与
月給:240,000円(基本給184,954円 + 固定残業代55,046円)
所定労働時間:1日8時間
時短勤務後(1日7時間勤務)の計算例:
(1) 基本給の調整(7/8に案分):
184,954円 × 7 ÷ 8 = 161,827円(時短勤務後の基本給)
(2) 固定残業代は廃止。ただし不利益を避けるため、調整手当を支給:
例:「時短勤務調整手当」として支給
支給額例:55,046円(固定残業代と同額)もしくは必要に応じて調整
(3) 給与支給額の例:
月給:216,873円(内訳:基本給161,827円 + 時短勤務調整手当55,046円)
4.就業規則や労働条件通知書の対応
「時短勤務調整手当」や類似の名称での手当支給には就業規則の定義・規定が必要です。
労働条件通知書にも明記することで、労使間での合意を明確にします。
名称は「調整手当」「育児支援手当」など、残業と関係ないことが明確な名称にしてください。
5.注意点
項目→説明
固定残業代のまま支給→残業がないのに「固定残業代」として支給するのは、違法と判断されるリスクがあります。
手当として支給→実態に合う名称で支給すれば、問題ありません(不利益変更も避けられる)。
賃金規程の整備→新たな手当を設ける場合は、就業規則や賃金規程に定義を追加しておくことが望ましいです。
6.まとめ
固定残業代は廃止すべき(実態に合わないため)。
同額相当を「時短勤務調整手当」などの名称で支給する。
不利益変更を避け、合理的な賃金体系として整備する。
就業規則・労働条件通知書の整備も忘れずに
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/30 09:14 ID:QA-0153277
相談者より
お世話になっております。
詳細なご説明をありがとうございました。
やはり、復帰後に大きな減額とならぬような配慮は考慮すべきとのこと理解いたしました。
名目をどうするか検討し取り進めたいと思います。
投稿日:2025/06/11 09:54 ID:QA-0153814大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答させていただきます。
まず、所定外労働免除であれば、残業を行うことが予定されていない訳
ですから、残業を行うことを前提とする、固定残業代の支給を停止しても、
不利益変更には通常は、該当いたしません。
残業が予定されていない状態で固定残業代を支払う事も不合理に思います。
一方、本人からすると、今まで支給されていた固定残業代が無くなりますと、
不利益と受け取られる可能性もありますし、仮に、多くの社員が残業を行って
いない状況にもかかわらず、固定残業代の支給を受けている場合は、
不利益変更問題に発展する可能性もゼロではありません。
上記より、固定残業代は停止し、ご記載の通り、他の名目で手当を支給する
ことが最も適切かと存じますが、手当は賃金規程に明記する必要がありますの
で、規定に時短調整手当が無ければ、実務的には、固定残業代の名目で支払うこ
とになります。
では、手当を支給する場合の手当金額ですが、現行、貴社の会社規定で
定めがない状況の場合は、現行の総額給与を活かした考え方が最も適切です。
・現行の固定残業代が●時間相当分であれば、7/8の時間を算出します。
・7/8の時間に対して、7/8の新たな基本給から、手当額を算出します。
精緻には、基本給を7/8にしているので、残業単価も下がりますので、
単純に現在の固定残業手当を7/8で計算しますと、手当としては支払い過ぎと
なります。
なお、今後につきましては、以下の対応を行うことをお勧めいたします。
↓ ↓ ↓
時短社員(育児・介護を理由とするかは問わない)については
固定残業代を支給しない旨を就業規則等に明記する。
(時短調整手当で調整を行うことも勿論、可能です。)
休業明けの従業員については、原職復帰(固定残業代の支給あり)ができること
を前提に、時短勤務を希望する場合には、固定残業代の支給を受けられないこと
を説明した上で、従業員に働き方を選択させ、その選択を内容とした申出書を作
成する。
上記の対応を行うことで、社員の同意の元、固定残業代の支給が停止されます。
よって、不利益変更問題含め、法令違反問題への発展を防止できます。
投稿日:2025/05/30 09:24 ID:QA-0153278
相談者より
お世話になっております。
詳細なご説明をありがとうございました。
そうですね。規程にて予め決めごとを示しておく、労使間で同意を取っておくことはトラブル回避のためにも必要ですね。併せて取り進めたいと思います。
投稿日:2025/06/11 09:59 ID:QA-0153815大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
所定労働時間免除者には、
固定残業代を支給しないという事自体は
不合理とも言えませんが、
その場合にはその旨就業規則に明記しておく
必要があります。
残業してもしなくても支払うのが固定残業代
という立て付けがあるからです。
何も記載がない場合には、
育児短時間勤務の際に提示する賃金について
本人が納得して合意するかどうかです。
投稿日:2025/05/30 12:58 ID:QA-0153292
相談者より
お世話になっております。
ご回答をありがとうございます。
おっしゃる通り、いずれにしても働き方や設定の賃金について本人としっかり確認し、合意の上取り進めたいと思います。
投稿日:2025/06/11 10:01 ID:QA-0153816大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、就業規則で特段の定めが無い限り、所定外労働免除申し出の時点で固定残業代支給無となる旨に同意を得られていなければ支給されるべきといえるでしょう。
つまり、固定残業代に関しましては、実際の勤務状況に関わらず定額で毎月支給されるものになりますので、当人も出勤されている以上は満額支給されるものと考えている可能性がございます。確かに理屈の上では不合理ですが、不支給とされる明確な根拠規定が無く事前に説明もされていなかったという事でしたら、そのまま支給されるのが妥当と考えられます。
当事案に限らず、残業の可能性が極めて低い場合等では固定残業代の取り扱いの判断に迷う事になりますので、今後については勤務態様に応じて減額又は不支給とされる規定内容等について検討される事をお勧めいたします。
投稿日:2025/05/30 21:28 ID:QA-0153322
相談者より
お世話になっております。
ご回答をありがとうございます。
この機に規程や、社員への説明などしっかりと整備も進めて参ります。
投稿日:2025/06/11 10:13 ID:QA-0153818大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
本人から、所定外労働の免除を申出てきた以上、時間外労働はないということになりますから、固定残業代の支給を停止しても差し支えはなく、逆にいえば、時間外労働がないにもかかわらず固定残業代を支払うというのは、合理的ではないといえます。
ですが、時間外労働がなくても一定の金額を支払うのが固定残業代の目的でもありますから、不利益と受け取られる可能性も否定はできませんし、他の従業員が残業の有無にかかわらず、固定残業代の支給を受けているとなれば、時間勤務者だからという理由に説得力はないでしょう。
固定残業代そのものを廃止し、調整手当という形で何らかの手当を支給することで給料の目減りを防ぐという方法も考えられなくはないですが、これも見方を変えれば不公平感は拭えず、他の従業員と同様、固定残業代はそのまま支給するとするほうが、リスク回避のためにもよろしいのではないかと考えます。
本人とよく話し合い、互いが納得するかたちで着地すればよろしいでしょう。
投稿日:2025/05/31 09:46 ID:QA-0153335
相談者より
お世話になっております。
ご回答ありがとうございます。
仰る通り、本人と働き方も含め面談機会を持ちますので、いずれにしてもしっかりと納得の上取り進めるよういたします。
投稿日:2025/06/11 10:14 ID:QA-0153819大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご相談内容について回答いたします
育休復帰後の時短勤務での給与計算は、法律で定められているわけではありませんため、就業規則や賃金規定に定められた内容での運用となります。
時短勤務を行う従業員については、残業することが予定されていないことから、残業することを前提とする手当である固定残業代を支払わないということは、不利益取扱いには該当しないと考えることができます。
例えば、就業規則等に、時短社員については固定残業代を支給しない旨を明記し、その上で従業員に働き方を選択させ、申出書を提出させることにより、少なくとも、従業員との合意のうえで固定残業代が支給されないこととなるため、不利益扱いとされるリスクは低く抑えることができると考えられます。
しかしながら、固定残業代が生活給の一部である実態からすれば、一切支給しないというのは、時短勤務者にとっては大きな不利益と受け取られ、また短時間勤務の利用を妨げているという批判を受けかねません。
そうすると、固定残業代から「時短調整手当」等に切り替えて支給することで、育児休業から復帰した社員が、時短勤務によって収入が減少することを補填し、かつ固定残業代相当分を実質的に保証するための手当とすることが適切であると考えられます。
時短調整手当の支給額については、全額支給ですと、従業員間の公平さに欠ける、という不満も出るでしょうから、やはりフルタイムで働く時間と時短で働く時間の比率を目安として支給することが妥当な額であると考えます。
なお、時短調整手当等を新設して支給する際には、時短勤務者に対して時短調整金等を支給する根拠や、支給要件、支給額(計算方法)を就業規則に明記されることを推奨します。
投稿日:2025/06/06 10:49 ID:QA-0153636
相談者より
お世話になっております。
ご回答ありがとうございます。
社員目線で配慮する考え方も、今回のことだけでなく今後のことを考えても重要かと思います。皆さまからの回答を参考に、今回の進め方と併せて今後のことの整備も進め、必要に応じ、今回の賃金設定についても見直しを加えていきたいと思います。
投稿日:2025/06/11 10:18 ID:QA-0153820大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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