割増賃金計算の端数処理について
	残業代の計算方法についてご教示ください。
 厚生労働省では、割増賃金計算の端数処理について、
 「1か月における時間外労働、休日労働および深夜業のおのおのの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること」
 については労働基準法第24条・第37条違反として取り扱わないとされていますが、以下のような計算で間違いないでしょうか?
 
 ・始業9:00~終業17:10(所定7時間10分)
 ・月給者で、時間単価が2,000円
 ・一賃金締期間において終業時刻後の残業が2回、法定休日出勤が1回、それ以外の日は残業なし
 
 <計算>
             残業時間     合計 うち法内 うち法外 うち深夜 法定休
 残業1日目 17:10~20:20  3:10  0:50  2:20
 残業2日目 17:10~22:15  5:05  0:50  4:00   0:15
 法定休日  9:00~11:05   2:05                2:05
 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 合計            10:20  1:40  6:20  0:15   2:05
                 ↓    ↓   ↓   ↓    ↓
               10:00  2:00  6:00  0:00   2:00
 残業代24,400円支給
  法定内 @2,000×2:00=4,000円
  法定外 @2,500×6:00=15,000円
  深夜 支給無し
  法定休 @2,700×2:00=5,400円
 
 「おのおのの時間数」ということは、上記のように、法定内・法定外・深夜・法定休日それぞれ算出した時間数の合計を端数処理して良い、という認識で宜しいでしょうか?
 このような計算だと深夜残業が0円なので、何となく腑に落ちない気がします。
 もし、私の解釈が間違っているようでしたら、その点をご指摘いただければありがいです。
 何卒ご教示の程お願いいたします。    
投稿日:2025/05/21 15:20 ID:QA-0152658
- いちにいさん
 - 宮城県/その他業種(企業規模 1~5人)
 
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご提示の端数処理→労基法上の範囲内で妥当です。特に違法性はありません。
                ご質問いただきまして、ありがとうございます。
 次の通り、ご回答申し上げます。
 
 1.ご質問の要旨(整理)
 時間外労働・休日労働・深夜労働のそれぞれの合計時間について、端数処理(30分未満切捨て・30分以上切上げ)が許容されていることは理解済み。
 ご提示の計算例では、深夜労働が実際には15分発生しているが、「深夜労働時間 0:15 → 0:00(切捨て)」とした結果、深夜割増が発生しない。
 このような処理が妥当か、また違和感の原因は何か?
 
 2.厚労省通達の解釈
 厚生労働省の「労働基準法第37条関係の割増賃金に関するQ&A」や旧通達(昭和63年基発150号)では、以下のように述べられています:
 「時間外、休日及び深夜の各割増賃金について、1か月単位でまとめたうえで端数処理を行うこと(例:30分未満切捨て・30分以上切上げ)は、労基法第24条及び第37条違反として取り扱わない」
 つまり、
 (1) 1か月単位で
 (2) 割増の種類ごとに合計したうえで
 (3) それぞれ30分未満切捨て・30分以上切上げしてよい
 という趣旨であり、ご認識は正しいです。
 
 3.ご提示の計算は妥当か?
 ご提示の端数処理は、法的には以下の点で問題ありません。
 区分合計時間端数処理備考
 法定内残業1:402:00切上げ
 法定外残業6:206:00切捨て
 深夜残業0:150:00切捨て(支給なし)
 法定休日出勤2:052:00切捨て
 → よって、「深夜割増がゼロになる」こと自体は制度上許容されます。
 
 4. 違和感の正体と実務上の注意点
 「深夜勤務が発生しているのにゼロ支給とは、何となく腑に落ちない」
 という違和感は、企業の「公平性」や「コンプライアンス」重視の視点からくるものと考えられます。
 実務上のポイント:
 深夜労働(0:15)でも、1日単位で支給する方が納得感がある
  → 実務では、「端数処理せず1分単位で支給」する企業も多く、特に深夜手当は1分単位で支給することで従業員満足度が高まる傾向があります。
 労使協定や就業規則に端数処理方法を明記することが望ましい
  → 端数処理を行う場合は、就業規則または賃金規程に明記しておくことで、トラブルを避けやすくなります。
 端数切捨てを行う場合、1か月の労働時間数が多い従業員ほど損をする可能性がある
  → 公平性の観点から、「1分単位支給」に移行する企業も増えています。
 
 5. 結論
 観点→回答
 ご提示の端数処理→労基法上の範囲内で妥当です。特に違法性はありません。
 「おのおのの時間数」の意味→割増賃金の種別ごとの月合計時間です。時間帯や日ではありません。
 深夜手当ゼロの違和感→法的には問題なし。ただし、従業員の納得感や公平性を考慮して運用するのが望ましいです。
 推奨運用→少額でも1分単位支給が現代のトレンド。特に深夜割増は切捨てない企業も多いです。
 
 以上です。よろしくお願いいたします。                
投稿日:2025/05/21 16:56 ID:QA-0152679
相談者より
早速のご回答ありありがとうございました。
投稿日:2025/05/22 08:38 ID:QA-0152713大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
                ご質問について、回答いたします。
 
 ご質問者様、記載の通りです。
 
 なお、仮に対象時間が 
 0:15 の時は、0:00となりますが、
 0:30 の時は、1:00となります。
 
 切り捨ての時もあれば、切上げの時もある、
 統一されたルールで運用することになります。
 
 なお、ご記載の端数処理計算を行う際は、会社規程内に
 端数処理についてを明記しておく必要がございますので、
 ご留意ください。                
投稿日:2025/05/21 17:07 ID:QA-0152680
相談者より
早速のご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/22 08:38 ID:QA-0152714大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
                ご認識のとおり、おのおのの時間数ということになっています。
 
 ただし、深夜については、0.25加算についてのみです。
 時間外深夜のケースと8時間労働以内の深夜のケースがあるからです。
 
 ですから、
 法外残業について、6:20が6:35になれば、7hということになります。                
投稿日:2025/05/21 17:21 ID:QA-0152682
相談者より
早速のご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/22 08:38 ID:QA-0152715大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
 - 大阪府/その他業種
 
                ご認識どおりで大丈夫です。
 
 「それぞれの時間数」とは、法定内・法定外・深夜・法定休日の種別ごとの月の合計時間をいいます。
 
 結果として深夜残業はゼロということにはなりますが、それぞれの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合は30分未満は切り捨てることもできるとしている以上、ここは割り切るしかありません。
 
 ただし、腑に落ちないということであれば、あくまでこのような取扱いも認められているということであって、義務ではありませんので、正規どおり計算することで差し支えはなく、公平性は担保できるでしょう。                
投稿日:2025/05/22 07:13 ID:QA-0152701
相談者より
早速のご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/22 08:38 ID:QA-0152716大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
                ご利用頂き有難うございます。
 
 ご相談の件ですが、おのおのという文字通りの意味になりますので、ご認識の通り各種類毎の合計金額で端数処理される扱いとなります。
 
 但し、あくまで計算の簡素化を主旨とする例外措置になりますので、任意で原則通り実残業時間数に近い計算で対応される事でも差し支えございません。                
投稿日:2025/05/22 19:02 ID:QA-0152760
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/23 10:59 ID:QA-0152827大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご相談内容について回答いたします
                「「おのおのの時間数」ということは、上記のように、法定内・法定外・深夜・法定休日それぞれ算出した時間数の合計を端数処理して良い、という認識で宜しいでしょうか?」とのご相談内容について
 
 通達(昭和63年3月14日基発150号)にあるように、「1か月における時間外労働,休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に,30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。」については、労働基準法第24条及び第37条違反としては取り扱わないとされています。
 
 ここで言う「時間外労働」とは、事務簡便を目的としたものとする通達の趣旨から「法定外」を指すことになりますので、「法定内」は通常の労働時間として端数処理は行いませんが、それ以外はご認識の通りとなります。
 
 
 「このような計算だと深夜残業が0円なので、何となく腑に落ちない気がします。」とのご相談内容について
 
 この端数処理は、事務簡便を目的としたものと認められるもので、常に労働者に不利になるものとはいえないことから、あくまで労働基準監督署が労基法24条および労基法37条違反と取り扱わないとしたものです。
 
 必ずこうした端数処理を行わなければならいものではありませんし、端数処理をすることにより労働者の割増賃金請求権を消滅させることまで適法としているわけではありませんので、時間通りの労働時間に応じた処理で構いませんし、むしろ推奨される方法となります。                
投稿日:2025/05/22 23:24 ID:QA-0152782
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/23 10:59 ID:QA-0152828大変参考になった
    回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
    回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
    ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
    
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