従業員の朝礼参加について
お世話になります。
弊社では始業前に朝礼を行っているのですが、ある正社員従業員が遅刻をしてきて朝礼に参加をしませんでした。
その理由を聞いたところ、「みなし残業者が10分早く出勤して朝礼に参加しないといけない明確な根拠と法的な見地も含めて提示してくれ」と言ってきました。
この従業員は9時~18時の就業時間で、20時間の固定残業代が含まれた処遇となっているのですが、始業前と就業後の残業については20時間を超えた分は1分単位で支給しています。
朝礼は8時50分から行っているのですが、コールセンターのためお客様対応があり、始業時間よりも前に朝礼を行っています。
従業員に「これは業務指示であり義務なので朝礼に参加してください」と伝えるだけでは納得しないと考えられます。
こういった場合、従業員が上記のように求めている内容について納得のいくような回答はどのようにすればいいか、アドバイスいただけると幸いです。
投稿日:2025/07/17 11:38 ID:QA-0155585
- ゆんたくさん
- 沖縄県/住宅・インテリア(企業規模 301~500人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
このようなケースは、固定残業代制度(いわゆる「みなし残業」)の誤解や不信感、そして始業前業務(朝礼)への法的対応が混ざり合っているため、法的観点を整理した上で、説得力ある説明と実務的対応を行うことが非常に重要です。
以下に、従業員への説明に耐えうる根拠・論理構成をわかりやすく整理いたします。
1. 朝礼が「業務」であることは明確にできる
まず原則として、就業時間前であっても会社が参加を義務付けた「朝礼」は労働時間に該当します。
2.根拠:労働時間とは
厚生労働省の定義に基づけば、
「労働時間」とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間を指す(最判平成12年3月9日)
したがって、朝礼を会社が義務付け、実質的に出席を強制している場合、その時間は労働時間と見なされます。
よって、8:50〜9:00の朝礼は、就業時間外でも労働時間と評価されるのが通例です。
3. 固定残業代(みなし残業)に含めて処理することは可能
次に、「固定残業代で支払っているのに、なぜ朝礼に来ないといけないのか?」という点について。
この従業員の処遇は、
所定労働時間:9:00〜18:00(休憩1h)
月20時間分の時間外労働に対する固定残業代を支給
20時間超過分は1分単位で支給
この場合、8:50〜9:00の朝礼時間を「時間外労働」として労働時間に含めることは可能です。そして、この時間は、20時間の固定残業代の一部として処理されることになります。
4.裁判例の傾向
固定残業代の対象となるか否かは、就業規則・賃金規程・雇用契約書の記載内容による
明確に「時間外労働◯時間分の残業代として月額◯円支給」とあり、内訳と法定割増賃金計算がされていれば有効
5. 従業員への説明方法(法的視点も含めて)
以下のように整理して説明することが、法的にも実務的にも納得感が得られやすいです。
想定される説明文(文書または口頭でも)
【説明の例】
〇〇さん
ご質問の件について、会社としての考えを明確にご説明いたします。
朝礼(8:50〜9:00)は、コールセンターの業務開始前の重要な連絡事項を伝える業務の一部であり、就業時間前であっても「労働時間」として位置づけられます。
あなたの処遇では、月20時間分の時間外労働に対応する固定残業代を含めて支給しています。この朝礼時間(1日10分相当)も、この20時間の中に含まれているものとして取り扱っています。
実際に月20時間を超える残業が発生した場合には、追加で1分単位の時間外手当も支給しており、制度としては法的にも有効なものと認識しております。
したがって、朝礼への参加は「業務命令」であり、「法的な労働時間」である以上、出席は義務です。
6.補足ポイントとして添えておくとよいこと
固定残業代制度は「業務命令で行う時間外労働」の対価であり、朝礼もその一環として扱う
朝礼参加が納得できない場合には、制度や時間配分の見直しを議論することは可能だが、「法的根拠のない任意参加」ではない
他の従業員との公平性や業務運営上の必要性を踏まえた対応であること
7. 今後の対応(予防策)
就業規則・賃金規程等の明文化
→ 固定残業代に「朝礼等を含む」と明記しておくとより明確になります。
雇用契約書の記載も再確認
→ 時間外労働何時間分/何円を含む、という記載が必須です。
制度説明を定期的に実施
→ 固定残業代の制度は誤解が多いため、年1回程度の説明の機会があるとトラブル予防になります。
8.まとめ
論点→回答
朝礼が労働時間にあたるか→ あたる(業務指示で実施、始業前でも)
固定残業代で支払ってよいか→ 就業規則や契約書に明記があれば有効
朝礼参加を義務化できるか→ できる(業務指示・労働時間内)
従業員が納得しない場合→法的根拠と制度の説明を文書で丁寧に行うべき
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/17 14:17 ID:QA-0155604
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
|従業員に「これは業務指示であり義務なので朝礼に参加してください」と
|伝えるだけでは納得しないと考えられます。
このような問題を今後、回避するのであれば、反論が生じないよう、
以下のような、より明確な会社ルールを示せる状態にする選択があります。
・朝礼が労働時間であることを就業規則等に明記しておく
・みなし残業の対象業務として朝礼を含むことも契約書に具体的に記載しておく
一方、朝礼が毎日行われるものであれば、実態とあうよう、標準的な、
始業開始時間自体も10分早めることの方が会社としてはスマートな対応と
考えます。ご検討いただければと思います。
投稿日:2025/07/17 14:19 ID:QA-0155605
相談者より
ご回答ありがとうございます。
労働時間の変更についても検討したいと思います。
投稿日:2025/07/25 10:42 ID:QA-0155816大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
残業というのは、臨時的という位置づけですので、
従業員が労働時間という認識を強く持つには、
毎日残業ありきというよりは、
始業・終業時刻を8:50~17:50と変更することを検討してください。
どうしても終業時刻の18:00をずらせない場合には、
36協定内の残業命令であり、固定残業代の中で、早出残業分も支払っている
旨、説明してください。
また、就業規則の時間外労働の規定も根拠となります。
投稿日:2025/07/17 17:05 ID:QA-0155622
相談者より
ご回答いただき、ありがとうございます。
就業時間の変更も検討はしたいと思うのですが、もし変更できず参加を義務として場合、残業の強要とはならないでしょうか。
弊社の就業規則には、「会社は業務の都合により、時間外を指示することがあります。社員は正当な理由なく拒否してはなりません」と定められてはいます。
投稿日:2025/07/25 10:41 ID:QA-0155815大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
固定残業代
以下、回答させていただきます。
(1)固定残業代についての理解を得ることも重要ではないかと思われます。
(2)下記リフレットを利用して、制度の趣旨を御説明することが考えられま
す。
割増賃金の計算方法
<割増賃金の計算が大変なので、固定残業代を採用してもいいですか?>
川崎北労働基準監督署
https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/content/contents/001107232.pdf
(3)また、厚生労働省の通達(最高裁判決に基づくもの)において課されてい
る要件を本件では満たしていること、ここでは業務命令への遵守が当然の前
提になっていることについて御説明することが考えられます。
※ 時間外労働等に対する割増賃金を基本給や諸手当にあらかじめ含めて
支払っている場合には、次のことに留意する必要があること。
(1) 基本賃金等の金額が労働者に明示されていることを前提に、例え
ば、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金に当たる
部分について、相当する時間外労働等の時間数又は金額を書面等で
明示するなどして、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金
に当たる部分とを明確に区別できるようにしているか確認するこ
と。
(2) 割増賃金に当たる部分の金額が、実際の時間外労働等の時間に応
じた割増賃金の額を下回る場合には、その差額を追加して所定の賃
金支払日に支払わなければならない。そのため、使用者が「労働時
間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライ
ン」を遵守し、労働時間を適正に把握しているか確認すること。
投稿日:2025/07/17 19:10 ID:QA-0155629
相談者より
ご回答ありがとうございます。
内容参考にさせていただき、検討したいと思います。
投稿日:2025/07/22 18:48 ID:QA-0155749大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
人事課題において、コンプライアンスは最も優先順位の高いポイントです。
業務開始前に朝礼を義務とするのであれば、業務開始時間を10分早める必要があり、現状の「固定残業支給があるから」は理由になりません。
就業規則を改正し、また不利益変更にもなりますが、コンプライアンスに沿って朝礼参加をさせるのであれば、勤務時間の変更によって業務命令として行使が可能になります。
投稿日:2025/07/17 21:25 ID:QA-0155632
相談者より
ご回答ありがとうございます。
勤務時間の変更について検討いたします。
投稿日:2025/07/22 18:45 ID:QA-0155748大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
そもそもですが、就業規則上、就業時間が9:00~18:00ということであれば、始業時刻の10分前から朝礼を始めることに合理的な理由は見当たりません。
お客様対応のため、始業時間よりも前に朝礼を行う必要があり、それを義務とするのであれば、始業・終業時刻をそれぞれ10分前倒しし、8:50~17:50とすることが適正な対応であるといえるでしょう。
投稿日:2025/07/18 08:41 ID:QA-0155643
相談者より
ご回答ありがとうございます。
朝礼の実施時間および勤務時間について調整・検討したいと思います。
投稿日:2025/07/22 18:45 ID:QA-0155746大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、始業時刻前であれば朝礼参加の指示をされる事は原則として認められません。
つまり、従業員が業務上の指示に従う義務が生じるのは、雇用契約における勤務時間内に限られますので、当人の指摘はもっともといえますし、残業代を支払う場合でも毎日の朝礼等で常態として始業時刻を変更する事は契約内容に反しますので不可です。
対応としましては、正式に始業時刻を10分前に変更(※不利益変更になりますので、従業員の同意が必要)されるか、始業時刻後の朝礼実施または朝礼自体を任意参加とされる等の措置が必要です。
投稿日:2025/07/18 19:08 ID:QA-0155687
相談者より
ご回答ありがとうございました。
朝礼を始業後に行うなど、現場での調整を検討いたします。
投稿日:2025/07/22 18:43 ID:QA-0155745大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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