諭旨解雇・解雇予告と有休消化
御世話になります。
どうぞよろしくお願いいたします。
パワハラとセクハラの事実が明らかになった社員(社内調査済み)へ弁明の機会は設ける予定です。
社員のハラスメントは事実と認定しておりますが、今までの本人の業績を考慮し、諭旨解雇にするべきか検討中です。
その場合、本人が自主的に退職すると申し出た場合は、有給消化を認めたうえで退職となると認識しております。
ただし諭旨解雇で自主退職しない場合は、会社が指定する退職日(30日以上前の日を指定する予定)に有休消化せず、解雇予告の30日分を手当として支給することのみでよいのでしょうか。
解雇予告手当と有休消化、諭旨解雇が厳密に理解できておらず質問いたしました。
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/07 15:21 ID:QA-0159253
- はらっぺさん
- 埼玉県/その他業種(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
ハラスメント事案での諭旨解雇・解雇予告・有休消化の取扱いは、
「退職の形式(自主退職か解雇か)」と「会社の指定(退職日・就労免除)」の整理が鍵となります。以ご説明申し上げます。
1.「諭旨解雇」とは
諭旨解雇は、懲戒解雇に相当する非違行為があるものの、本人の反省や情状を考慮して、本人に自主退職の機会を与える処分です。
したがって、手続の流れは次のようになります。
段階→内容→退職の法的性質
(1) 社内調査・弁明機会→事実確認と本人聴取-
(2) 諭旨解雇処分決定→「懲戒相当だが、自己都合退職の猶予を与える」旨を通知
(3) 本人が自主退職届を提出→自己都合退職(任意退職)
(4) 本人が拒否・無反応→諭旨解雇→懲戒解雇に移行、または通常の解雇通知
したがって、
本人が自主退職に応じれば「退職扱い(有休消化可)」、
応じなければ「会社からの解雇(有休は原則消化不可)」となります。
2.有給休暇と退職(または解雇)との関係
(1) 自主退職の場合
本人が退職を申し出て、会社もそれを認めた場合は、
労働者の権利として有給休暇の消化申請を拒むことはできません。
(ただし、業務に著しい支障がある場合を除く)
よって「諭旨解雇で本人が自主退職を選んだ場合」は、
有給消化を認めたうえで退職するのが原則です。
(2)解雇の場合(本人が自主退職をしない場合)
解雇には「即時解雇」と「予告解雇」の2類型があります。
即時解雇…労基法20条により30日分の解雇予告手当を支給
予告解雇…30日前に予告して解雇日を設定
この場合の有休消化の扱いは以下のとおりです。
区分→有給休暇の扱い
会社が30日前に解雇を予告した場合→通常の就業義務あり。本人が有休申請した場合、原則認める必要あり(ただし就業命令で業務上支障がある場合は却下可)
即時解雇の場合(予告手当支給)→退職日=解雇日であるため、有休消化はできない(労働関係は即日終了)
3.今回のご相談ケースに即した整理
状況→法的整理→有休・手当の扱い
本人が諭旨解雇に応じ、自主退職届を提出→自己都合退職(会社からの退職勧奨)→有休消化可能(希望があれば時季変更権を適用する余地はあり)
本人が自主退職を拒否(会社が諭旨解雇→予告解雇へ)→使用者による一方的な解雇(予告解雇)→解雇日までの勤務義務あり。有休申請があれば個別判断。会社都合で業務支障を理由に却下可。
本人が非協力的で即時退職を命じる場合→即時解雇(労基法20条)→解雇予告手当(30日分以上)を支給。有休消化不可。
4.実務上のおすすめ対応手順
(1)弁明機会を設け、本人に処分内容と諭旨解雇の趣旨を説明。
→「懲戒相当だが、本人に名誉を考慮して退職機会を与える」旨を明確に。
(2) 自主退職に応じるなら、有休消化スケジュールを本人と調整し、退職日を設定。
→ 書面で「退職届」と「有休消化日程確認書」を残す。
(3)応じない場合は、
→ 「〇月〇日を解雇日とする」と記載した解雇予告通知書を交付。
→ 予告期間を30日以上取るか、足りない場合は解雇予告手当を支給。
5.まとめ
項目→(諭旨解雇→自主退職)→(諭旨解雇拒否→会社解雇)
退職の性質→自己都合退職→会社都合解雇
有給休暇→消化可能→原則不可(または限定的)
解雇予告手当→不要→必要(30日前予告または手当支給)
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/07 15:47 ID:QA-0159258
相談者より
ありがとうございます。
整理しきれない部分もクリアになり、とても参考になりました。
投稿日:2025/10/07 16:55 ID:QA-0159264大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
解雇予告手当の有無に関わらず、会社に在籍していれば、
有給休暇取得を行使する権利が労働者にはあります。
逆に即時解雇であれば、在籍がなくなった時点で、有給休暇取得
を行使する権利自体が当然ながら、無くなります。
投稿日:2025/10/07 15:55 ID:QA-0159259
相談者より
ご回答ありがとうございます。
社内決定に併せて手続きしてまいります。
投稿日:2025/10/07 16:56 ID:QA-0159265大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
30日前に解雇予告をするのであれば、
解雇予告手当は不要です。
解雇予告手当は即日解雇であれば30日分必要であり
あとは30日に満たない日数分必要です。
はじめに退職日ありきですので
退職日までは本人希望により有休取得が可能です。
投稿日:2025/10/07 16:19 ID:QA-0159260
相談者より
ありがとうございます。
解雇予告手当の日数に対する考えがはっきりと理解できました。
投稿日:2025/10/08 06:32 ID:QA-0159283大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
有給休暇の取得
以下、回答いたします。
(1)「諭旨解雇」は法律用語ではなく、会社により様々に取り扱われていますが、概ね、一連の流れ(イメージ)は以下のように認識されます。
〇月〇日:〇月×日までに退職届を提出するように促す。合わせて、期限までに提出がない場合には懲戒解雇することを予定している旨を伝える。
一方、退職に応じるようであれば、有給休暇の消化を含め「退職日」の調整は可能である旨も伝える。
〇月×日:退職届の提出なし。
翌日:解雇を予告する(解雇日は30日後)。解雇日を前倒しする場合には解雇予告手当を支払う(労働基準監督署の認定を得る場合には不要)。
(2)年次有給休暇は、原則、1)退職届を提出する場合には「退職日」までの間、2)退職届を提出しない場合には「解雇日」までの間、取得することが可能であると考えられます。
投稿日:2025/10/07 16:44 ID:QA-0159262
相談者より
ありがとうございます。
とてもクリアに理解することが出来ました。
投稿日:2025/10/08 06:33 ID:QA-0159284大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、諭旨解雇であっても当人が自主的に退職しなければ解雇である事には変わりませんので、解雇日までに消化出来ない年休が有る場合でも取得させたり買取したりする義務はございません。
従いまして、ご認識の通りの対応で問題はないものといえます。
投稿日:2025/10/07 19:04 ID:QA-0159270
相談者より
ありがとうございます。
義務がないことも理解できました。
投稿日:2025/10/08 06:34 ID:QA-0159285大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
基本的にご認識通りですが、退職はまず退職日が決まってから手続きとなります。
解雇処分であれば、解雇日までに使えない有給は失効します。
まずは何日付で解雇にするかで決まります。
投稿日:2025/10/07 22:20 ID:QA-0159278
相談者より
ありがとうございます。
解雇日の決定が先になる旨、よくわかりました。
投稿日:2025/10/08 10:20 ID:QA-0159310大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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