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【ヨミ】セクハラ セクハラ

セクハラとは、「性的な言動によって、個人または職場全体に不利益・不快感を与えること」です。2019年5月にパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)や改正女性活躍推進法が可決・成立し、セクハラに対する罰則は今後さらに厳しくなっていくと考えられます。セクハラは、パワハラと同様に人権侵害です。正しい知識を身につけ、セクハラ「ゼロ」の職場にすることが、企業に今求められています。

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1. セクハラの定義~性的な言動によって個人または職場全体に不利益・不快感を与えること~

セクハラとは「セクシャルハラスメント」の略であり、「性的な言動によって、個人または職場全体に不利益・不快感を与えること」を意味しています。

「職場におけるセクハラ」の定義

男女雇用機会均等法では、「職場におけるセクハラ」を下記のように定義しています。

(1)「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われる」
(2)「それを拒否したり抵抗したりすることによって解雇、降格、減給などの不利益を受けること」
(3)「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に重大な悪影響が生じること」

これらの要点について、順に解説していきます。

(1)「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われる」とは?

簡単に言うと「職場で望まれていない性的な発言がされること」を意味しています。注意が必要なのは、ここで言う「職場」は業務上関係する場所という意味で、会社の中だけを指しているわけではない点です。

つまり、普段働いている建物の中だけではなく、仕事で行く必要のある顧客企業や出張先、業務の延長と考えられるような宴会、接待の場も含まれる、ということです。そのため、これらの場における望まれていない性的な発言や行動は、会社の管理下の基で行われたセクハラにあたる恐れがあります。

(2)「それを拒否したり抵抗したりすることによって解雇、降格、減給などの不利益を受けること」

この項目は、主に「対価型セクハラ」のことを指しています。例えば他人へのセクハラや性的な言動をやめるように注意したことで、自分が何らかの報復を受けた場合などがこれにあたります。

日頃から社長が性的な発言をしているのをとがめたことで給与やボーナスが下がった、部署を異動させられた、などといった場合もセクハラとして訴えることができるでしょう。

(3)「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に重大な悪影響が生じること」

この項目は、主に「環境型セクハラ」のことを指しています。職場に性的なポスターを貼る、ある社員の性的なうわさを流す、女子社員の肩をもむ、などがこれにあたります。職場の環境が不快なものになる、というのが重要なポイントです。

人事とビジネスパーソンが知っておくべき4種類のセクハラ

セクハラには、上述の「対価型」と「環境型」のほか、「制裁型セクハラ」「妄想型セクハラ」と呼ばれるものもあります。

(1)「対価型セクハラ」

対価型セクハラとは、相手に対して何らかの見返りを約束することで性的な行為を求めることを言います。要求に答えなかったことで報復する場合も、対価型セクハラになります。具体的例としては、次のようなものがあります。

  • 昇給させる代わりに性的な関係を要求する
  • 性的な言動に対して抗議した罰として評価やボーナスを下げる
  • 美醜やスタイルなど、自分の性的な好みで給与や教育に差をつける
(2)「環境型セクハラ」

環境型セクハラとは、性的な言動、飾り物で職場の空気を悪くすることです。悪気がなかったというのは、言い訳になりません。職場の環境を悪化させることで、他の労働者が被るダメージは想像以上です。「こんなことで大事になることはないだろう」と思うのではなく、「気にする人はいる」と想像力を持つことが重要です。具体的な例を見てみましょう。

  • 性的な事柄について大声で話す
  • セクシーなポスター、玩具などを机の上に飾る
  • 飲み会でお酌を求めたり、料理を皿に取り分けたりすることを強制する
  • カラオケでのデュエットを強制する
(3)「制裁型セクハラ」

制裁型セクハラとは、「女性が俺に意見することは許さない」と圧力をかける、「女性の上司の言うことは聞かない」など高圧的な態度をとる、といったタイプのセクハラです。また、直接身体を触ったりはしませんが、態度に現れる場合もあります。
このタイプのセクハラは、自分がセクハラをしているという自覚が足りないことも多いようです。具体例としては、次のようなものがあります。

  • 女性の上司の言うことだけ無視をする。または毎回、男性の上司に支持を仰ぎ直す
  • 女性はサポート役で主役になるべきではない、という言動をする
  • 子育て中の社員に対して「時短勤務はいいよな」などの発言をする
  • 面接で「子どもを育てながら仕事したいの?」などと質問をする
(4)「妄想型セクハラ」

妄想型セクハラとは、相手が笑顔で挨拶をしたり、出張に同行したりするだけで「私のことを好きかもしれない」と勘違いした言動をとることを言います。このケースでは、相手をはっきりと拒絶しないと「嫌がるふりをしている」とさらに勘違いされ、迷惑な言動を加速させかねません。
この場合も、セクハラをしている本人に自覚がないことが多いようです。具体的な例について見てみましょう。

  • 休日も一緒に過ごそうとしつこく誘う
  • 髪型が自分の好みではないと指摘する
  • 一緒に歩いているときに腰に手をまわす

多様化するセクハラ

セクハラは男性からだけではなく、女性から男性へも起こり得ます。インターネットが普及し、ソーシャルメディアの活用が進む現在において、どこまで会社が責任を負うべきかという課題もあります。

セクハラには、上記のように「対価型」「環境型」「制裁型」「妄想型」の4タイプがありますが、分類すればもっと細かくなるかもしれません。また、性的マイノリティとされるLGBTへの配慮なども、今後議論をより活発化させる必要があるでしょう。

2019年5月29日には、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」(改正女性活躍推進法)が成立しました。この法律が施行されると、これまで労働者301人以上の会社が対象となっていた女性の活躍に関する情報公表の義務が、101人以上の会社にまで拡大されます。

こうした背景もあり、セクハラ、パワハラに関する法律は今後さらに厳しくなっていくでしょう。セクハラの予防には、定期的に新しい知識を身につけ、対策を練ることが重要です。

ここからは判例とともに、セクハラについてもう少し詳しく解説していきます。

2. 判例でわかる! セクハラの被害

現在、セクハラの被害は増加傾向にあります。法務省の「平成30年(2018年)における『人権侵犯事件』の状況について(概要)」によれば、セクハラの事件数は410件で、前年比で35.3%増加しています。

また、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で自身のセクハラ被害などを告発・共有する#MeToo運動や、パンプスやハイヒールなど、職場で強制されている靴に関する被害を告発・共有する#KuToo運動(靴、苦痛などから命名)なども話題になっています。実際にどんな判例があるのかを含め、具体的に見ていきましょう。

セクハラの判断基準と起こりやすい環境

セクハラは、罰則規定が明確ではないことや、閉鎖的な環境や働く人の意識の低さなどによって起きやすくなります。パワハラもストレスの多い環境で起こりやすいとされていますが、セクハラに対しても同じことがいえるでしょう。

そのため、セクハラを防ぐには、罰則規定を設けて企業としてセクハラに反対している方針を周知させ、相談の窓口を設けて意識の啓蒙を図ることが重要です。適切な対策を講じていなかった場合、従業員から裁判を起こされる可能性もあります。

セクハラの判断基準については、判断が難しいという見解もあります。しかし、セクハラ被害の証拠を残し、周りの賛同を得ることで、ある程度明確に判断することができます。冒頭のセクハラの定義の際にも触れましたが「労働者の意に反する性的な言動」というのが、判断の重要な鍵となります。セクハラはデリケートな問題ですが、勇気をもって行動することが大切です。

性的な言動には気を付けよう! どのような発言がセクハラにあたるか

「労働者の意に反する性的な言動」は、セクハラの判断基準のうちで最も重要なものです。全く関係のない場所で性的な言動をすることは、多くの労働者の反感を買うでしょう。

実際、ある従業員が、休憩時間中に自らの性体験や性癖などの露骨な話を同僚にしたことで訴えられ、処分された事例があります(最一小判平成27年2月26日)。本人は気軽な雑談のつもりでも、その発言が繰り返し行われることでセクハラにつながっていくこともあるのです。

セクハラの言動で気を付けなければならないのは、その言動が相手の不快感につながっていないか、ということです。状況や場合によっては、同じ発言でもセクハラだととらえられないことがあります。

しかし、今後セクハラ、パワハラに関する法律が厳しくなっていくなか、そもそも職場で性的な発言をすること自体を控えなければなりません。「自分の言動は大丈夫だ」と過信せず、それらの言動自体を一律して職場から遠ざけることが重要です。

取引先、顧客からの社外セクハラへの対処法

取引先や顧客など、社外の人からのセクハラ被害に遭った場合はまず、自社と相手の会社の担当者に相談することが重要です。両社が問題を真摯に受け止めているなら、お互いに協議し、問題のある社員の処分を下すでしょう。どちらにも取り合ってもらえない場合は、弁護士に相談するとよいかもしれません。

具体的な例として、「イビケン(旧イビデン建装)事件」という有名な事件があります。ある会社で働いていた女性が、親会社が同じ別の子会社で働いていた男性にしつこくつきまとわれたことで起こった裁判です。親会社の安全配慮義務違反もあわせて問われたことで有名です。

もともと二人は交際していたのですが、別れた後にストーカー行為をされたことで、裁判へと至りました。結果としては、男性と男性の所属会社、そしてその親会社が責任を問われることになりました(名古屋高裁平成28年7月20日判決)。これは子会社、親会社ともに対応を誤った事例ですが、自社以外の人からセクハラを受けた場合も、罰せられることを示しています。

セクハラに関する罰則 セクハラをするとどうなるの?

セクハラの防止義務に関しては男女雇用機会均等法や女性活躍推進法で規定されています。男女雇用機会均等法では性的な言動を主としたセクハラの防止対策を会社に義務づけ。女性活躍推進法では、女性の昇進や仕事の内容など、まさに「女性の活躍」に関する事柄が規定されています。

2019年5月29日にパワハラ法案(改正労働施策総合推進法)と改正女性活躍推進法が同時に可決・成立され、女性の採用や昇進に関する情報の公開を義務づける範囲が拡大。ワーク・ライフ・バランスに関する環境の整備状況を公開するなどの新しい義務ができました。

しかし残念ながら、これらの法律には罰則規定が設けられているわけではありません。現状では努力義務なのです。ただ、罰則規定がないからといって、セクハラが許されるわけではありません。男女雇用機会均等法や女性活躍推進法で規定されていなくても、セクハラの内容によっては「傷害」「暴行」「脅迫」「名誉毀損」「侮辱」「強制わいせつ」「強姦」などの罪に問われることになります。例えば、キスなども「強制わいせつ」に問われる可能性があり、6ヵ月以上10年以下の懲罰刑になる可能性があります。

3. セクハラ対策は早急に! セクハラ防止対策のポイント

セクハラにあたるかどうかの線引きは、そのときどきの環境や感情によって影響を受けることもあります。しかし、企業としてセクハラ防止対策を軽視していると、直接の加害者とともに訴えられるリスクが高まります。

それを防ぐためには、上記の事柄を踏まえて 1.専用の相談窓口を設ける、2.相談を受けた際の手続きのマニュアルを作成する、3.セクハラ防止の方針や罰則の規定を職務規定などに設けるなどの対策が必要です。

何がセクハラに当たるのか、どのように防ぐかなどの講習会を社員に対して定期的に実施することも効果的です。厚生労働省のガイドラインでは、事業主が行うべきセクハラ対策として、「セクハラ防止に対する周知や啓発」「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」「セクハラが起こった際の対処」「プライバシーの保護やセクハラ被害者への不利益の防止」などの項目が挙げられています。

セクハラはパワハラと同様に人権侵害であり、現代社会の深刻な問題の一つです。「セクハラが行われている会社」という情報は、インターネットを通じてすぐに広がり、企業の大概的なイメージを悪化させるほか、社員の離職や優秀な人材確保に影響を及ぼす可能性もあります。

今後改正される法律の知識をアップデートしつつ、適切な対策を練ることで先進的なイメージを社会に与えることができます。誰もが不利益を被らない社会の実現を目指して、セクハラのない職場の早急な実現が望まれています。

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