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『ビジネスガイド』提携

環境型、対価型のほかに「制裁型」「妄想型」が!
最近増えている新型セクハラの類型と、企業がとるべき対処&未然防止策
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一般財団法人女性労働協会専務理事・昭和女子大学特命教授 福沢 恵子

ビジネスガイド表紙『ビジネスガイド』は、昭和40年5月創刊の労働・社会保険の官庁手続、人事労務の法律実務を中心とした月刊誌(毎月10日発売)です。企業の総務・人事・労務担当者や社会保険労務士等を読者対象とし、労基法・労災保険・雇用保険・健康保険・公的年金にまつわる手続実務、助成金の改正内容と申請手続、法改正に対応した就業規則の見直し方、労働関係裁判例の実務への影響、人事・賃金制度の構築等について、最新かつ正確な情報をもとに解説しています。ここでは、同誌のご協力により、2013年2月号の記事「最近増えている新型セクハラの類型と企業がとるべき対処&未然防止策」を掲載します。
『ビジネスガイド』の詳細は、日本法令ホームページへ。
ふくざわ・けいこ ● 早稲田大学政治経済学部卒業。朝日新聞記者を経て2003年より東京家政大学人間文化研究所助教授。2007年より日本女子大学客員教授、2011年より一般財団法人女性労働協会専務理事、2012年より昭和女子大学特命教授。専門領域は女性の就業支援を中心にキャリア開発論、労働法、メディアリテラシー。

「セクシュアル・ハラスメント」(以下、「セクハラ」という)は男女雇用機会均等法(以下、「均等法」という)11条で、「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること」と規定されています。これは、多くの場合「相対的強者から相対的弱者へ行われる迷惑行為」です。しかし、近年では、この定義が必ずしも適切とは言えない状況も見受けられるようになってきました。

そこで、本記事では、「新型セクハラ」について解説するとともに、その対策を考えてみたいと思います。

1. 従来型のセクハラ類型とその特徴

セクハラについては、これまで「環境型」と「対価型」という分類が一般的でした。

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「環境型」とは、就業環境として望ましくない状態が恒常的に続いている場合を指します。例えば、以下のような事例がそれに該当します。

「職場の目につく場所に他者が見て不快と思われるヌード写真が貼られている」、「自席で週刊誌のヌードグラビアをしげしげと眺めている」、「職場で卑猥な話題を大きな声で話す」等、不特定多数の人に不快感をもたらし、職場の士気を損なうおそれのある行為。さらには「身体を触る」、また、「性的な情報を意図的に流して、本人に苦痛を与える」といった特定の人を対象とした行為も含まれます。

一方「対価型」の場合、 該当するのは以下のような事例です。

「自分と性的な関係を持てば、昇進させてやると持ちかける」、「付き合わなければ査定を低くすると脅す」、「性的な関係を拒んだ相手を解雇する」などといった特定の相手に関係を強要するケースで、いわゆる典型的なセクハラとしてイメージしやすいタイプです。

しかし、筆者はこの2分法だけではセクハラの実態を十分に反映しているとは言えず、先に挙げた「環境型」と「対価型」のほかに、「制裁型」と「妄想型」を付け加える必要があるのではないかと考えます。

2. 新型セクハラその(1)―「制裁型」の特徴とケーススタディ

「制裁型」は、セクハラの加害者が持つ性差別的な価値観に端を発するものです。

例えば、「女性はサポート役に徹すべきで積極的に提案をすべきではない」、「女性は昇進を目指すべきではない」などという発言、さらには、そこから外れた人を「指導」の名の下に抑圧するというものです。この場合、加害者は「自分の考えに異を唱えることは許さない」とばかりに、高圧的・独断的に振る舞います。しかも、それを「教育」や「職場の秩序を守る」という感覚で行い、セクハラ行為をしているという自覚がまるでないのです。

この場合、「身体を触る」「性的関係を強要する」といった行為はないものの、加害者の行動や言動によって被害者の自己肯定感は著しく損なわれ、就業意欲も失われてしまいます。

(1)ケーススタディ

A子さんの上司であるB課長は「母親は子育てに専念すべき」という考えの持ち主で、育児休業から職場復帰してきたA子さんに対し、「どうして子どもがいるのに仕事をしたいのか? 子どもが可哀そうではないか?」と言う一方で、「仕事をするからには一人前に働くべきだ」と主張し、時短勤務を希望したA子さんに対して「仕事に対する姿勢がなっていない」と非難しました。

(2)解説

育児・介護休業法は、23条で、3歳未満の子を養育し、または要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者について、事業主に、勤務時間の短縮等の措置を講じる義務を課しています。また、同法24条では、3歳から小学校就学前の子を養育し、または家族を介護する労働者についても、育児・介護休業制度または勤務時間の短縮等の措置に準じた措置を講じるよう努力義務を課しています。

したがって、A子さんの時短勤務は当然認められるべきものです。また、「子どもがいる女性は仕事をすべきではない」という個人的な価値観を押し付ける態度は、上司として決して望ましいものとは言えません。

(3)とるべき対応

企業の相談窓口等が女性従業員からこのような相談を受けた場合にとるべき対応として、次のことが挙げられます。

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【1】時短勤務の利用申出
育児・介護休業法に定める要件を満たす従業員からの申出である場合には、会社所定の申請書類等を提出してもらい、利用期間等を記載した短時間勤務取扱通知書等を手渡します。

【2】一方的な価値観の押付けの排除
管理職等でセクハラ・パワハラや産前・産後、育児期間中に労働者が利用できる諸制度に関する知識が不足している人については、研修等を実施することにより、自分の価値観を押し付けることのないよう指導する必要があると言えます。


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