企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】テクハラ テクハラ

「テクハラ」とは、テクノロジーハラスメントあるいはテクニカルハラスメントの略で、ITに疎く、コンピューターなどハイテク機器の扱いが苦手な人へのいじめ・嫌がらせのことです。ITに関する知識が豊富でスキルの高い人がそうではない人に対し、わざとわかりそうもない専門用語で指示を出して追い詰めたり、相手が対応できないと侮辱的な言葉で叱責したりする行為がテクハラに相当するとされています。
(2013/10/28掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

テクハラのケーススタディ

ITスキルが劣る人へのパワハラの一種
「できて当然」に労災や賠償のリスクが

ビジネスのIT化が進み、業務にパソコンや携帯端末などを活用する機会が飛躍的に増えるなか、それについていけない人に対する「テクハラ」が問題視されています。いくら業務に欠かせないスキルでも、それが不足しているからといっていじめや嫌がらせを行うのは許されることではありません。たとえ悪意がなくても、相手がそう受け取ればテクハラと見なされますし、過度に心理的負荷を与え続けた場合は、企業への損害賠償請求や労災認定といったトラブルにまで発展しかねないのです。

確かに業種・職種を問わず、ITは必須のビジネスツールです。それなしでは、企業活動そのものが立ち行かないというケースも珍しくありません。したがって、働く人なら誰もができて当然であり、業務に必要なスキルなのにできないのは、身につけようとしないほうが悪い、という見方もあるでしょう。ITスキルの高い人や先進技術の活用に意欲的な人からすると、そうでない人がよけいにサボっているように見えて、ついイライラやストレスを感じてしまうのは否めないところです。

そしてそんないら立ちから、思わず「こんな簡単なこともできないの?」と相手を責めてしまうことも。しかしできない人にとっては、そうした何げないひとことが強いストレスやプレッシャーとなり、心理的に追い詰められてしまう可能性があるのです。ITにふれる機会が多い職場ならなおのこと、指導や教育と称してそのたびごとに心ない叱責や人格を否定するような言葉をかけ続けられたとしたら、仕事そのものへの意欲さえ失ってしまっても不思議ではありません。

厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」が示すパワーハラスメントの定義――「職場内のさまざまな優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為」にしたがえば、「テクハラ」もITスキルという専門能力の優位性を背景に行われるという意味で、パワハラの一種であると考えられます。テクハラを受けたことにより、心身の健康を著しく害した、人格権を損害されたという場合は労災認定や賠償請求が可能になり、テクハラを行った人だけでなく、使用者である会社も損害賠償責任を負うことになります。

また使用者には職場環境配慮義務がありますから、テクハラが横行して職場環境が悪化した場合、社員から会社に対してこの義務を果たすよう求められますし、会社が応じなければ、職場環境配慮義務違反に対する損害賠償責任も問われます。本当に業務に必要なスキルであれば、相応の教育訓練が行われるべきでしょう。会社としてその機会を十分に提供せず、職場環境の悪化にも対応しないまま、「できて当然」と社員だけに責任転嫁するのは許されないということです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

ITSS
経済産業省が策定した、IT関連サービスに必要とされる能力を明確化・体系化した指標です。SSはスキル・スタンダードの略で、「ITスキル標準」という言い方もします。
パワハラ
2019年5月29日、企業にパワハラ防止を義務付ける「労働施策総合推進法」の改正案が可決されたことをご存じでしょうか。閉じられた環境の中で起こる「いじめ」や「嫌がらせ」は、学校だけの問題ではなく、職場の問題でもあります。今回の法改正は、都道府県労働局に寄せられる、職場での「いじめ」や「嫌がらせ」の相...
逆パワハラ
一般にパワハラというと、職務上の地位などを背景に上司から部下に対して行われるハラスメント(精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為)を指すのに対し、「逆パワハラ」とは、部下から上司、後輩から先輩、非正社員から正社員など、管理される側から管理する側に対して行われるいじめや嫌がらせ行為...

関連する記事

人事マネジメント「解体新書」第96回 職場の「ハラスメント」(パワハラ・モラハラ)の予防・対処法 ~基礎知識から、予防・再発防止策までのポイントを解説(後編)~
昨今、「パワハラ」「モラハラ」など、職場における「ハラスメント」が急増しており、企業の人事管理上、大きな問題となっている。「後編」では、パワハラ・モラハラ問題に対して、企業はどのように対処していけばいいのか、具体的な方法を紹介する。
2016/06/29掲載人事マネジメント解体新書
「社外からの 社外への」×「セクハラ パワハラ」対応策
職務上や取引上の優位な立場を悪用して、相手に身体的・精神的苦痛を 与える社外セクハラ・パワハラ。商取引上の違法性などを鑑み、社内で起きた 場合とは違った視点での対応が求められる難しい問題です。 具体的な事例や裁判の判例を挙げながら、抑えるべきポイントについて解...
2018/11/08掲載人事・労務関連コラム
人事マネジメント「解体新書」第95回 職場の「ハラスメント」(パワハラ・モラハラ)の予防・対処法 ~基礎知識から、予防・再発防止策までのポイントを解説(前編)~
職場の「ハラスメント」(パワハラ・モラハラ)の予防・対処法「前編」では、最近特にクローズアップされることの多い「パワハラ」「モラハラ」に焦点を当て、「前編」では基礎知識として、ハラスメントの現状と企業が負うリスクについて紹介する。
2016/06/22掲載人事マネジメント解体新書

関連するQ&A

26業務について
26号業務内で2つ以上の業務を行う契約書(○号業務と○号業務のような形式)は有効となるのでしょうか?
パワハラについて会社側の防御
お疲れ様です。 最近、当社においては厳しい指導があるとすぐにパワハラだ、訴えると言いふらす社員がいます。 会社としては、パワハラとして訴えられないような基準はどう持てば良いのでしょうか? 最低、これを守れば、概ね大丈夫だと言うことでもよろしいので、ご指導頂ければ幸です。
ビジネススキルとヒューマンスキル
社内研修の体系化を企画しておりますが、そのカテゴリの話になった時、「ビジネススキル」と「ヒューマンスキル」の違いは何だと言う話になりました。 現時点では私どもとしては、ビジネススキル=所属している会社において自分の業務を遂行する上で必要なスキル(業務フロー、コンプライアンス等) ヒューマンスキル=ど...
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
人事・労務の専門家が親切・丁寧にお答えします。
健康経営を戦略的に推進するステップとは?取り組み事例と外部サービスの選び方

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

50音・英数字で用語を探す

新着用語 一覧

注目コンテンツ


健康経営の実践に必要なステップ、外部サービスを選ぶ際のポイント

健康経営を戦略的に推進するための必要なステップや取り組み事例、外部サービスを選ぶ際のポイントをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


河合塾マナビスが実践 ~ 自立して考え、行動できる社員を育てる仕組みとは?

河合塾マナビスが実践 ~ 自立して考え、行動できる社員を育てる仕組みとは?

大学への現役合格を目指す高校生に、映像による授業を提供している、株式会...


2015年9月施行予定の「改正労働者派遣法」の狙いは何か?<br />
 改正により派遣先企業に求められる対応を考える

2015年9月施行予定の「改正労働者派遣法」の狙いは何か?
改正により派遣先企業に求められる対応を考える

2015年9月施行予定の「改正労働者派遣法」により、これまでの派遣労働...